とある世界の輝かしい夜 後編 3
≪先輩、ターゲットが完全に止まって15分経過しました。店から調度3キロの地点です≫
オレンジのミニハロが耳をぱたぱた動かしながら報告する最中、ハイネは片手に持ったカクテルを上機嫌に一口啜った。
「はいよ、ならそのまま足止めヨロシク♪ 22時まででいいから後は適当にヨロシクな。お礼は纏めて年明けだ」
≪了解……では良いお年を♪ ニコル次、2時と3時の方向に各10発撃ち込め≫
≪はい!!≫
ハロを媒介にした回線を切断する直前、景気良くトリガーを引くブリッツの銃音が響いた。
今は雪を作る時と違い、極力大きな塩の塊を散布している筈。
塊は重みで重力に逆らえなくなり落下するのだが、落ちる途中、積乱雲のなかの上昇気流と下降気流によって何度も上下し水の粒が付着する。
雲の中で揉まれ、凝縮し、重みで下に突き抜けた頃には重さが3キロも4キロもある氷の塊が完成だ。
そんなものが空から降って来ればどうなる?
落ちる時の加速もハンパでなく、地上に到達する頃には車や建物も粉砕する程攻撃力が増す。
当たれば間違いなくお亡くなりだ。
いくら焔の錬金術師とて、命が惜しいのならのこのこ飛び出してくる事もなかろう。
積雪は程よく厚みを増し、1メートル達成は確実だ。
一階の扉も窓も雪に覆われ、もう出入りはできない。
邪魔者はめでたく片付き、キラも計画通り帰れなくなった。
ハイネは電話室からハロと一緒にゆったり出ると、晴れ晴れと皆が居る長椅子に向かった。
羊の皮を敷きつめた趣味良い生成り色のマットの上に、はしゃぎ疲れてうとうとしているレイを胸に抱っこし、真っ赤な顔したキラがすやすやと眠っている。
もし今、外に雹が降っているなんて知れば、彼女は直ぐにフリーダムに飛び乗り、ロイを迎えにいくだろう。
それでは意味がないから、まず甘いホットココアに香り付けと騙し、ブランデーをたっぷり入れたものを与えた。
ほろ酔いにさせ、思考能力を奪ってしまえば、後は坂道を転がっていくようなものだ。
喉が渇いたと言えば、オレンジジュースを差し出すふりして、スクリュードライバーを手渡した。
お馬鹿な彼女は爽やかなテイストに騙されて、ジンベースのカクテルを一気飲みし、一発でノックアウトだ。
「ホント、キラって黙っていると美人さんだよなぁ」
ハイネはキラの真横に腰を降ろすと、寝ているキラの唇に躊躇う事なくキスをする。
舌を絡める程濃厚なのを仕掛けても、酒に負けたキラは起きる気配もない。
「寝ている時しか襲えないなんて情けない。君、女タラシの名前を返上したら?」
テーブルを挟んだ対面のソファには、くったり酔いつぶれてしまったアンジェをちょこんと膝に乗せた、呆れ顔の美貌の魔人が占領している。
「そんなものとっくに捨てているぜ。俺が誰の為にこの世界に移住したと思ってんだ?」
「なら、邪魔者はとっとと殺せば? 僕も下僕に面倒な指示送らなくてすむし」
セイランが、涼しい顔して啜っているのはスピリット酒だ。
無色透明な上アルコール濃度が70パーセントもある酒を飲んでも、彼は一向に酔いを見せない。
そんな彼の周辺は今、使い魔達がフヨフヨと群れをなして漂っている。
一応どれもが人の形を取っているが、目は空洞で身体は透けており足が無い。
西洋の物語に出てくるようなゴースト達は、現在雹の襲撃にあっているイーストシティで、シェル街を中心に飛び交い、人間の命が損なわれないように守っている。
こんな化け物が徘徊していても人々の阿鼻叫喚が聞こえないのは、この街のハイネ達以外の人間は、現在の惨事を気付いていないからである。
「僕はそろそろアンジェを連れて、虚空城に帰りたいんだけど」
「うー、せめて22時まで付き合ってくれない? やっぱMSだと加減利かないからさ」
「アンジェを呼んでくれた分は働いたつもりだけど」
「俺、報酬を惜しまないぜ」
「金品で僕が釣れるとでも? そんなもの、無限の時を生きる僕に、一体なんの意味があるという?」
「まあまあ、ちょっとこれを見てから言えって♪」
ハイネは懐から分厚い封筒を取り出すと、セイランに向かってテーブルの上で滑らせた。
それを難なく受け取ると、彼はつまらなさそうに封を開く。
だが、中身を取り出して見た瞬間、セイランは文字通り目の色を変えた。
なぜなら一枚目から大きく引き伸ばされた写真には、メイド服に身を包んだアンジェがにっこり笑っていたのだから。
次に捲ればレイとお揃いのウサギ服、ウエイトレス時代に使用していたアリスの服、シルクハットを被った可愛いディーラー姿などなど。
どれもモデルのように可愛くポーズを決めている。
「おい、どうしたんだこれ?」
「んー、店を立ち上げた頃、もし客が来なくて金に困ったら、写真売って小銭稼ごうと思ってさ。ローズもアンジェもレイも可愛いし、俺も結構イイ男だろ。折角綺麗なツラらなんだからさ、利用しない手はないじゃん」
昔、おふざけでノリノリて撮った写真も、取っておけば色々役にたつものだ。
「あんたいい度胸だ。僕のアンジェの写真を売ったのか!?」
「いや、この店成功したからお蔵入りだって。もしその写真で商売なんかしていたら、お前みたいな嫉妬深い恋人にさ、口が裂けたって言えるか。俺だって命は惜しい」
頭の中身を探るように、眇められた蒼い目がハイネを射る。
だが、実際疚しい気持ちが一欠けらもないので、ハイネも余裕を崩さなかった。
「ネガごとやる。アンジェにも黙っとくし、どう? 俺に買収されてくれない?」
セイランは口を引き結んでむっすり膨れながら、右手を大きく差し出してきた。
その顔はうっすらと赤みがさし、悔しいが欲に勝てなく、でも大ぴっらに欲しいと言えない天邪鬼な彼らしくてメチャ笑える。
「サンキュ♪ お前、俺の最高のダチだぜ♪」
自分では絶対見られないアンジェのコスプレ写真をネガごと貰えた事か、それとも友達が極少だから≪俺の最高のダチ≫と言われたのが嬉しかったのかは知らない。
けど、今彼はいつもより機嫌が良い。
口に出せないが、こいつも案外可愛い男だ。
「セイラン、客室に薪ストーブを入れてきたから、アンジェと使ってくれ」
腕をまくった袖を直しつつ、ラウが階段を降りて来る。
姿が見えないと思ったら、自発的に寝室の準備に行ってきてくれたらしい。
「イーストシティ観測至上初めての積雪2メートルだ。冷え込みもきついだろう……レイ、君も風邪をひくからベッドに行きなさい」
優しく弟を揺り起こせば、同じ顔した幼子が、眠い目を擦りながらむくりと身を起こす。
だが真っ赤な顔して自分を抱きしめながら寝ていたキラを見つけ、また彼女の腕をいそいそと自分の背に回し、べったりとうつ伏せに抱きしめなおす。
「ここでキラと一緒にサンタさんを待つ」
「レイ、彼はいい子が寝ている時じゃないと来ないんだよ」
キラの腰にしがみつき、ぶんぶん首を横に振る。
「……でも俺、キラといたい……。キラは起きたらあいつの家に行ってしまうのだろ? 俺は嫌だ、あいつばかりがキラを独占するなんてズルイ」
「キラはお嫁に行ったんだ、仕方ないだろう?」
「サンタさんは俺の願いは叶えてくれるんだろ? 俺は今年一年いい子で頑張ったのだから、きっと俺にお母さんをくれる。だから俺はここで待つ」
キラはレイにとって大切な母代わりで、ラウにとっても大切な妹分。
『三人一緒に、この世界で暮らそうね♪』と提案したのはキラなのに、その約束は半年も持たず、あっさり黒髪の男に連れて行かれた。
諦める事に慣れきり、我侭を言えない上顔に表情があまり無いレイは、内心どれだけ嘆いていたのだろう。
家族で過ごす初めてのクリスマスの日に、ロリコン大佐を呼ばなくて本当に良かった。
「だがレイ、サンタさんはお前が寝ていなくては現れないのだよ?」
ラウが優しくレイの頭をかき撫でる。
「さあ、今日は休みなさい。キラも今夜はここに泊まるから安心していい」
「なら俺はキラと一緒に寝たい」
「ああ判っている。でもキラもお風呂に入って寝巻きに着替えないとならないだろう? 彼女が休む準備が出来たら、私がちゃんとレイのベッドに入れておくから」
「……約束する?……」
「勿論だとも、さあ行こう」
ようやく心の折り合いがついたのか、レイはおとなしく起き上がる。
そして皆のほっぺにキスを一通り贈り、ラウに手を引かれて階段を昇っていった。
幼子から自分までキスを貰ったセイランは、慣れない習慣に眉根を寄せて固まっている。
「本当に、成りは大きくても思考は子供なんだな」
「そ、だからレイがアンジェにキスしても、挨拶なんだからいたぶらないでくれよ」
「覚えておくよ」
「感謝♪ あ、そうそう……言ってなかったけど、俺、ロザリアの姐さんにアンジェ経由でスペシャルクリスマスプレゼント贈る約束してさ、その見返りにアンジェの休日3日?ぎ取ったから、後はヨロシク」
「それは僕にロザリアへの贈り物を見繕えと?」
「そう、聖地時間の3日はでかいぜ。下界換算150日♪ 姐御へのご機嫌取りで可能なら安いもんでしょ。交渉代は取らないよ、一応お前へのクリスマスプレゼントな♪」
「ふーん、いい仕事だ」
「それだけかい、もっと褒めてくれ」
「流石ペテン師だ、感心したよ」
「褒めてねぇ」
「……僕にとって最高の贈り物だってことだ……」
天邪鬼だから素直にお礼が言えない男から精一杯の感謝を貰い、ハイネもほっこり嬉しくなった。
指先一つで惑星丸ごと木っ端微塵にできる魔物と、にこやかにサシで話せる男は稀有だろう。
またセイランとアンジェがこの店にちょくちょくと現れるお蔭で、彼の視界でホムンクルス達が暴れる事は一切なくなった。
打算は全く無いと言い切る事はできないが、この男とそれなりに友情が育めて、ハイネ的には満足だ。
だが、セイランの膝にはアンジェがちょこんと乗っているのに、自分のは空席なのは悲しい。
ハイネはキラの頭を持ち上げると、ころりと己の膝に転がした。
男の硬い太ももだと寝心地もあまり良くない筈なのに、酔っ払いは気持ちよさげに寝息を立てている。
やはり彼女に、危機管理能力は皆無だった。
「あーあ、キラはやっぱ無防備で可愛いなぁ。ラウがレイと約束しなかったら、即行俺のベッドに持ち帰ったのに」
「…お前はまだ諦めてないのか?…キラが大佐を選んだのだぞ」
「あれ、ラウ居たの?」
気配を殺してソファの真浦に立っていた男に、ハイネはブランデーのグラスを差し出した。
「飲む? 俺の愛飲」
「赤ワインの方がいい」
「はいよ」
手馴れた仕種でワイングラスを手渡すと、ラウは溜息混じりにハイネの隣に腰を降ろした。
外の雪が酷くても、この店の暖炉の火は途切れる事無く、羊の毛皮の敷物も十分暖かい。
レトロだが、プラントでは味わえない贅沢だ。
「全く、私に言わせれば羊の皮を被った狼なのは、お前も一緒だぞ。今の平穏な生活を壊されるのは面白くない。お前も自重して、キラからハイネという優しい兄貴分な友人を取り上げないでくれ」
「うわ〜、それって俺に『キラに手をだすんじゃねーよ』って事?」
「彼女は情が怖い。困らせるな」
「だからまだ実力行使はしてないでしょ。でも頼みは聞けないぜ、キラはいずれ俺が貰うから」
「ハイネ」
「そう堅苦しく考えなくてもいいだろ。恋愛なんて、所詮決闘と同じなんだからさ。僕は自分に素直な人間の方が好きさ。奇麗事で一体何が手に入るっていう? 敵なんてさっさと殺しちゃえば? 君ならいくらでも証拠隠滅できるだろ?」
「セイラン、お前も魔人の理屈で煽るな」
「ラウ、君はハイネがキラを手に入れて困る事があるのかい? それとも君もハイネと同じ穴のムジナ?」
「下衆な勘繰りはしないでくれたまえ、私はキラに関しては兄妹の愛情しかない。ただ、彼女は私とレイを救ってくれた恩人だ、彼女を悲しませる様な事は二度とゴメンだ」
酒が程よく入っているからか、日頃無口な男達の舌も良く回る。
「ラウ、俺が女一人ぐらい幸せにできない甲斐性ナシに見える?」
「嫌、お前なら10人纏めて女を囲えそうだ」
「ありがと。そんでキラはこの俺が、生まれて初めて欲しいと思った女なの」
「思い通りにならない女だからという執着なら、私は今後貴様もロイ同様に扱うが」
「勘弁してくれ、俺はあんな最低男じゃない」
ラウもキラの兄と呼ぶに相応しい頑固者だ。
今、ラウとは良い兄貴分、弟分の関係を築いているが、不幸な生い立ちで培った鉄の意志も厄介で、一度暴走してしまえば、CE世界を知っているだけに、ロイより余程厄介な敵に変わるだろう。
くしゃくしゃと煩い前髪をかき上げ、ハイネは言葉を捜した。
この男には、煽てもおべっかも金品も女も通用しないのなら、正攻法で攻めるしかないだろう。
「キラってさ、はっきり言って馬鹿だろ? あいつの意志を尊重してたらさ、不幸な道をわざわざ選んで、突っ走って行っちまう。CEで戦争終結まで戦って、やっと平和が来たってのに、今度はいつ内乱勃発してもおかしくないアメストリスに来てさ、大総統狙ってる男と結婚しちまうなんて、マジ最悪。フリーダムごと利用されんの目に見えてるじゃん。大体、アメストリスなんて俺達の国じゃないんだし、キラがまた戦争に巻き込まれるのって、俺が嫌なんだよ。第一、ラウだってキラと一緒に移住したのって、こいつを軍に利用されないように目を光らす為だったんじゃねーの?」
無言は首肯だ。
ラウは己の手柄をあえて誇示する男ではない。
彼は大きな白い手でワイングラスを弄びながら、じっと薄氷色の目で探るようにハイネを伺っている。
「だがな、キラはもう人妻だぞ」
「知ってるか? 統計ではさ、女って恋人がいても、後からのこのこやってきた男に乗り換える確率、80パーセントなんだぜ」
「ほう」
「こんなに勝機があるのにさ、指咥えて見てるだけなんてアホらしいと思わない? 大体生きていて、同じ世界にいて、目の前に惚れた女がいるんだぜ。人間なんていつくたばるか判らないのにさ、試してみないうちに諦めるなんて馬鹿げていると思わない?」
「思わないとも」
怨嗟の篭る聞きたくもないくぐもった声に、ハイネが目を眇めて振り返ると、大きな暖炉の赤々と燃える炎が割れた。
焼けた煉瓦と薪を踏みしめ、中から焔の錬金術師が這い出してくる。
雪で埋まった扉からは入れないと見切りをつけ、当初の予定通りに煙突をつたって降りてきたのなら、ハイネ達の今の会話は全部聞こえていたと取ってもいいだろう。
赤いサンタの衣装が黒い煤で汚れ、いつも飄々とした彼らしくなく疲れて見える。
だが、黒曜石のような瞳だけ、異様な輝きを放っていた。
発火布でできた手袋を嵌め、煤を祓いついでに掲げた腕を突き出し、いつでも指を鳴らせる体制を取っている彼に、ハイネもキラをラウに預けて立ち上がり、オレンジハロを侍らせ、愛用の銃を向ける。
「言っとくけど、指鳴らしてもハロがお前の焔を喰っちまうから、無駄なマネはよせ」
「ロボットに許容量がどれだけあるかは知らんが、底なしに受け止められる訳ではあるまい」
「そういや、お前に預けていたレイへのプレゼントはどうした?」
「お前達がイーストシティに降らせた雹で潰れた」
「おいおい、善良な一般人に濡れ衣着せるなよ」
「なら、そこで浮いている幽霊はなんだ? 街中建物を壊されても住民から悲鳴が一切聞こえない、そんな怪異を起こせるのは、そこにいる魔人だけだろう? 違うか?」
気色ばむ男に、ハイネは首を竦めて溜息を吐いた。
言い逃れは無駄だろう。
先端の科学技術に疎くても、自力で大佐に登った男は愚かではない。
「私もキラを手に入れた経緯は強引だった、そう負い目があるから今までお前との付き合いを大目に見てきたが、おめおめと妻を寝取られる程マヌケではないのでな。キラを返せ、そしてお前は今後絶対に近づくな」
「断る。覚えておけ、俺はお前を許さない。卑怯な手段でキラを奪ったってのもあるけどさ、一番むかつくのはてめえが【キラを一番に考えられない男】だってことだ」
ハイネとロイの年の差は9つ。
だが、世界大戦を生き残り、ずっとキラを戦場で支えてきたのは自分達アマルフィ隊のメンバーだ。
若造の戯言と侮られるような人生は送ってきてはいないし、人を見る目もあるつもりだ。
「キラはな、誰にも【英雄】なんて騒がれず、静かに暮らしたくてこの国に来たんだ。なのにてめえの嫁なんて最悪だろが。お前は今から権力闘争の真っ只中に突っ込んで行くんだろ? そんな自分の身も危険に晒される分際で、どうしてキラを巻き込んだ? せめてキラを守れる地位につくまで待てなかったのかよ? ホントにキラを愛していたら、待てただろ? このエゴイスト!! 反論があるなら言ってみやがれ!!」
「キラはそんな柔な女じゃない。彼女は私と共に戦える女だ」
「ふざけんな、この中年男!! 言うに事欠いて、てめえの戦争に巻き込む気満々じゃねーか!!」
「他人は口出し無用だ」
ハイネはむかつく男に左拳を振り上げる。
体術と銃撃戦なら、コーディネーターでザフトレッドなハイネの方が圧倒的に有理であるが、ロイにも男の意地があったようだ。
身を屈めてハイネの足を払おうと足蹴を飛ばしてくるが、紙一重で身をかわして避け、ついでに長い足で蹴りを入れる。
≪うわあああああああ!!≫
緊張感を中断するマヌケな叫び声に目を走らせれば、もみの木にかけられた靴下に足を引っ掛け、ぶらりと宙吊りになったハボックがいる。
どうやら煙突から降りようとして、途中で足を滑らせたらしい。
意識が削がれた瞬間、ぱちりと指が鳴る音が響いた。
伝い落ちる冷や汗を拭う間もなく、膝を曲げ、向けた銃の引き金を引こうと指に力を入れるが、いつの間にかハイネの手元の銃が消えていた。
「2人とも、そこまでにしたら?」
セイランが、ごとりとハイネの銃をテーブルに置いた。
その下敷きになっている白布は、赤い火蜥蜴の練成陣が書き込まれている。
ロイの手袋だ。
指を鳴らしたのは彼でなく、美貌の魔人の方だった。
07.12.28
……(  ̄ ̄∇ ̄ ̄; )
すんません、ロイキラ創作の筈なのに、いつの間にかハイネVSロイになってました。
掘り下げていったらとんでもないシリアスに(号泣)
後1話で終わります(多分( ̄― ̄)θ☆( ++) )
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