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天人の
囁き
29![]()
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サシャは逃げようとしたが、あっという間に背後からカルムに抱きすくめられた。
その段階で片手は胸元から服の下に潜り込み、もう片方の手はスカートを捲り上げて下着の上から探るように長い指が這い回っていた。
「あっ・・・・・・ぅぅ・・・」
サシャは慌てて自分の口を両手で塞いだ。
その手の指を一本、一本、カルムが弄るように舐め始め・・・肩が震えた。
「サシャ・・・その手を外して・・・口づけ出来ないだろう」
サシャは嫌だと首を振った。
しかし、カルムの指はもう胸の頂きに狙いを定め、もう片方は下着の中へと侵入している。声を抑えるのに必死なのに手を離してしまったら終りだ。
「ぅぅ・・・・・・っ・・・うぅ・・・」
「強情だね、サシャは・・・」
カルムはサシャの耳の中に舌を差し入れた。
「っ・・・く、ぅぅ・・・」
ピチャリと濡れた水音を立てられたサシャは、カタカタと膝を震わせ、立っていられなかった。しかし此処で崩れればもっとこの状態が酷くなるのは明らかだった。
全身に広がる震えに耐える・・・
カルムの指はサシャの小さな胸の突起を指に挟み、こね回していた。
それが尖り始めると爪で弾く・・・
「ふっ・・・ううっ・・・ぅぅぅ・・・」
「本当にここは敏感だね・・・でも、指で弄られるのと舐めて貰うのと・・・どちらがいい?」
サシャは首を振った。手を離して迂闊に答えれば声を殺せなくなる。
「答えないと焦らしたままにするよ」
カルムは意地悪く言うと下着の中に入れていた手を抜き、胸を弄っていた手だけにした。その手は指先が触れるか触れないかのような動きを繰り返した。そのもどかしさにサシャの肌はざわめき一層敏感になっていくようだった。
「舐めて貰いたい?それとももっと強く弄って貰いたい?」
カルムの甘い声が鼓膜に直接響くようだった。サシャは焦らされ頭が、ぼうっとして来ると何時の間にか口を塞いでいた手を解いていた。
「・・・舐めて・・・」
思わず出た自分の言葉にサシャが驚いて正気に戻ったが、気だるく緩やかに微笑むカルムが目に入ってまた、ぼうっとしてしまった。
サシャは立ったままカルムの方へ向きを変えられると胸元だけ肌蹴られた。服の隙間から覗く控えめな胸のふくらみにカルムは舌を這わせ始めた。歯は立てないが甘噛みのような感じでふくらみの形をなぞっていた。そして尖っている頂きは舌先で、チロチロと舐め吸い上ては、ついばむように噛む。
「ふっ・・・くっ・・・う、んん」
サシャはもう立ってはいられなかった。天上を見上げて仰け反り震えた。
「サシャ、しっかり立って。寝転がったら折角の盛装が皺だらけになってしまうだろう」
「そ、それなら・・・ぬ、脱げば良い・・・やっ、まっ・・・う、んん」
動きを止めていたカルムの指がサシャの下着の中へ差し込まれた。
「脱ぐなんて勿体無い!こんなに可愛い恰好をしたサシャのまま抱きたいし、ベッドにでも行ってしまったらそれこそ時間忘れてしまうだろう。これでも自制しているんだよ」
本当にこれで自制しているのか?とサシャは言いたかった。時間が無いのならするべきでは無いし、本当に終わるのか?と思ってしまう。
「さあ、サシャ。壁に手をついて身体を支えるんだ」
サシャはカルムから壁に向かって軽く押された。その壁にしがみ付いたサシャの腰を引いたカルムは邪魔なスカートを器用に巻き上げると下着を引き下ろした。
「やっ・・・ま、まて・・・いきなり・・・」
「時間が無い。大丈夫、もう十分に濡れている・・から・・・っ・・」
カルムの声に余裕が無くなっていた。自分の衣をもどかしげに解く音が聞こえると熱い塊がサシャの薄い尻の割れ目に当てられた。サシャの身体が、ビクリと大きく揺れた。
「大丈夫だよ・・・サ・・シャ・・・痛くしないから・・・」
埋める場所を探すかのようにカルムの硬く反り返ったものは、サシャの花芯の敏感な突起を擦った。
「ううっ・・・そこ・・・だ・・・め・・・」
蜜が更に溢れ、それを絡めながら何度か前後して擦った後、蜜壺へと沈み出した。
「ふっ、くっ・・・」
「ああぅ!・・・っ・・・うう」
サシャは再び自分の口を塞いだ。でも片手は壁にすがったままの状態で耐えた。
後ろから挿入されるのは何度もあったが、立ったままは初めてでどうしていいのか分からなかった。膝が、ガクガクするから足に力が入り、カルムの肉塊の侵入を難しくしてしまう。じわじわと抉り込まれているがまだ先の方しか入っていない。
「サシャ、力を・・抜いて・・・ふぅ・・・無理か・・・じゃあ、壁から手を離さないでね。行くよ」
「な、何を?」
サシャの両足がふわりと浮いた。身体が傾いたので慌てて壁にすがると状況が分かった。カルムがサシャの腰を持って自分に引き寄せたようだった。だからつま先が床すれすれで宙に浮き無防備な状態となっていた。そこで一気に貫かれた。
根元まで深々と埋め込まれた熱い肉塊がサシャの中で力強く行き来を始めた。突き上げられる度に不安定な足先が揺れる。
「はっ、・・・ぁああ、あっ、ん、んん、あっ・・・」
抑えようの無い喘ぎ声が唇からこぼれ、両手は壁に爪を立てて掻いた。
カルムの激しい抽挿にサシャの身体はガクガク揺れた。突き入れられる度に息が詰まる。そしてその動きに合わせてサシャも腰を揺らしていた。もう何が何だか分からない状態になった時、壁を掻いていた手にカルムの手が重ねられた。
「サシャ、爪が割れるよ。ほら、こっちを向いて・・・」
こっちを向けと言われてもカルムの萎えない塊はまだ後ろから埋まったままだ。
座ったままされた時はその状態でも前や後ろに向きを変えるのは容易だったが、立ったままでは無理な話だ。しかしカルムはサシャの両足に手をかけ抱き上げると、そのまま身体の向きを変えた。サシャの両足はカルムの腹の上で大きく開いて抱かれた状態だ。
「ふふっ・・・君は軽くて助かったよ。流石にこの体位は力技だからね。猛牙のあの男がしていたのが良いって言ったから一度してやろうと思っていたんだよ」
「いいとか言って・・・ない・・・うう」
「言ったよ。あの男の方が良いって・・・ふっ・・・く・・・」
「あっ・・・う、くっ・・・言っていな・・い」
「野蛮な抱き方なのに優しいって・・・言った・・・」
そういう意味じゃないとサシャは言い返したかったが、カルムの激しい突きで喉の奥から漏れる声は言葉にならなかった。強烈な刺激はサシャの頭の中を真っ白にし、思考は止まってしまった。声を抑えたいのに、泣きじゃくるような声を上げていた。
「ああっ・・・こ、え・・・声・・・い、いや・・・あっ、ああっ、あ、あん」
嫌、嫌と朦朧としながら首を振るサシャにカルムは軽く口づけした。
「くっ、サシャ・・・声、嫌なら・・・塞いであげる・・・」
「う、うううっ・・・んうぅ・・・」
喘ぐサシャの唇にカルムの柔らかな唇が押し当てられた。そして熱い舌がサシャの舌を捉えた。舌は擦り付けられ口の中をかき回し、強く吸い上げてくる。
サシャの喘ぎ声はこの口づけに呑み込まれるが、息まで奪われて眩暈がしそうだった。唇を重ねる角度を変える合間にサシャは声を上げた。
「も・・・やめ・・・ふっ・・・うん」
「だ・・・め・・・もう・・・あ、あ、あ・・・ん」
「くっ・・・駄目、止められない。サシャの中は・・・うっ・・・気持ちがいいから・・・」
サシャの中で暴れるカルムの屹立したものは熱く滾っているようだった。
それでも今は自制が必要な場所だ。箍が外れたカルムでも流石にそれは忘れていない。もう時間も無い・・・カルムは行儀悪く舌打ちをしてサシャを抱える腕に力を入れた。
激しい突きに合わせてサシャの腰を大きく揺らす。散々貫かれていた花芯は蜜で溢れ、ねちゃねちゃと粘着音を響かせ興奮を更に促した。サシャの喘ぎはもう悲鳴のようだった。絶頂を迎えたサシャの中でカルムも達していた。身体の最奥で熱い飛沫が飛び、咥え込んでいるカルムの熱い肉が震えているのをサシャは感じた。
サシャを圧迫していたものが、ずるりと抜かれると抱えられていた足は床に降ろされた。サシャは、へなへなと床に座り込んだが急に抜かれた花芯が、ヒクヒクと痙攣しているようだった。まだ終わっていないそんな感じ・・・サシャは無意識に目の前にぶら下がるカルムの萎えかけた塊に手を伸ばした。まだ先は傘を広げて、ヒクつき白濁したものを溢れさせている。
「サ、サシャ?ううっ・・・ふぅっ、く・・・」
サシャはカルムのそれに唇を寄せ舐めだした。ぬめる精液を拭うように舐め、最後の一滴まで絞り取るかのように口に咥え吸い出したのだ。根元も、ギュッと扱かれたカルムは息絶え絶えの声を上げた。
「サ・・・シャ・・・くぅ・・・は・・・うう・・・く」
ビチャビチャ舐る音とカルムの甘い吐息だけが部屋に響いた。
「っ・・・く・・・!」
カルムの大きな吐息が漏れると同時にサシャの口の中へ再び精が吐き出された。
それでようやく我に返ったサシャが驚いて口を離すとまだ吐き出しかけていた熱い粘液は飛び散り、彼女の顔を汚した。
「すまない、サシャ。汚してしまって・・・」
カルムはサシャの顔に付いたものを、ベロリと舐めて拭った。
「うっ・・・微妙な感じだな・・・自分のものを舐めることになるとは・・・」
「な、舐めるな!ふ、拭けばいいだろう!」
カルムが、クスクス笑った。
「サシャも拭けば良かったのに舐めただろう?」
「そ、そそれは・・・」
「ふふふっ、でも気持ち良かったよ。教えてもいないのに・・・サシャは才能あるなぁ〜」
「さ、才能とか言うな!」
「可愛いね・・・サシャは。しかし・・・服の皺を心配したのにこれじゃあ意味無かったね」
カルムの上半身は着衣の乱れは無かったが、肩や胸元の飾りは引き千切られ刺繍は糸を引いてボロボロだった。サシャがカルムにしがみ付いた時の跡のようだ。
「あっ・・・私か?す、すまん・・・」
「サシャのせいじゃ無いよ。私が上手なせいだからね。気持ち良かったんだろう?猛牙の奴より良いと思った?」
「だからそれはっ!もう!いい!もう直ぐ時間だ!」
勢いよく立ち上がったサシャは直ぐによろめいた。身体の真ん中にまだカルムのものが埋まっているような感覚だった。そして花芯から、ドロリとしたものが溢れて滴り落ちそうになり膝を閉じた。
(動いたら出る・・・それに下着は?)
「どうしたの?サシャ。膝が曲がっているよ・・・」
「何でも無い」
「そう?気持ち悪いのだろう?舐めて綺麗にしてあげようか?」
「み、視たな!ば、馬鹿!余計な世話だ!」
(下着だ!下着を着ければ問題ない・・・えっと・・・下着は・・・)
「着せてあげようか?これ」
カルムが、ニッコリ微笑んで持っているのはサシャの下着だった。サシャは諦めたように溜息をついた。逆らっても結局思うように遊ばれるだけだと諦めた。
結局、サシャは全部脱がされてカルムの気が済むまで、清めると言う名目で触られて衣服を整えられた。召使なしの盛装の着付けは間違っている感じだが取り敢えず形だけは整ったようだった。
その二人の様子をドルイドは見ていた―――
カルムが自分の執務室に似ていると言った部屋は正反対の仕掛けがしてあった。
天人の力は治癒以外にも便利なものが有る。それを利用したもので天殿の主な部屋はカルムの執務室のように遮断するものでは無く公開されるものだった。
要するに丸見えだし、丸聞こえする仕掛けだ。それらはもちろん全て非公式で随時ドルイドの秘密の部屋へ伝わるのだ。
いつも温和な風貌のドルイドの顔は怒気で歪んでいた。
「サシャ・・・物でも人でも心寄せる事は大きな悲しみだと・・・いつも教えていたのに・・・本当に悪い子ですね・・・私は可愛いあなたを悲しませたく無いのに・・・残念です・・・ユハ」
「ハイ・・・ココニ・・・」
独り呟くように言っていたドルイドの直ぐ側にユハが立っていた。
しかし、様子がおかしかった・・・カルムに食って掛かったような覇気は無く虚ろな瞳で無表情だ。サシャとカルムの様子をドルイドと同じく見ていた筈なのに憤りも何も無く感情の欠片さえ見当たらなかった。
「もう天眼国の動向を気にする事態では無い。サシャさえ取り戻せればこの天山が壊滅しても再興出来る・・・私の大望が少し遅れるが絶たれるより良いだろう・・・忌々しい天眼!私の邪魔はさせない・・・ユハ!行け!報奨はサシャだ!全て終わればサシャを好きなだけ抱かせてやる!」
サシャを抱かせる<hルイドのその言葉にユハは反応した。虚ろな瞳は暗闇に浮かぶ炎のようだった。そして深く一礼すると足早に部屋を後にしたのだった。
「只人でも良い人形に育ってくれた。サシャの初めての願いをどうしたものかと迷ったが引き取って正解だったようだ。一途で馬鹿な男ほど扱い易い・・・さて、私の可愛い巫女達も働いて貰おう」
ほどなくしてカルムは天山の巫女達に囲まれていた。その中にロヴィーサは居なかったが彼女より下位の巫女だろうと思うのに思考が視えなかった。
サシャのようにでは無く・・・靄がかかったような・・・そんな感じだった。カルムは当然、不審に思ったが自分の力を過信していた。
そしてサシャは見知った顔の巫女達の様子が可笑しいと直ぐに感じた。
「皆、どうした?」
「アルジノ、ゴメイレイ、デス」「アルジノ、ゴメイレイ、デス」「アルジノ、ゴメイレイ、デス」
「巫女達はカラクリ人形のように口々に言った。
「主?誰?」
聞きなれない言葉にサシャは聞き返したが巫女達は答えなかった。
するとカルムが急に嘲笑った。
「やはりサシャを諦めて無いようだ。でもか弱い女を使っても無駄だ。私は躊躇無く殺せる。小細工は効かない」
カルムは見えない眼を使う心眼者だから当然の事だが何処からか監視されていると感じていた。相手の出方を見る為にも分かっていてサシャを抱いたのだ。案の定、反応は早く仕掛けて来た訳だ。
カルムの天眼が妖しく光り出した。サシャは、ハッとして叫んだ。
「駄目だ!カルム!」
「殺したら駄目だと?」
「殺す?駄目だ!駄目!」
カルムは溜息をついて、面倒だな・・・と呟いた。
そのやり取りの少しの時間がカルムを危機に陥れた―――
サシャが悲鳴を上げた。カルムが急に美麗な顔を苦痛に歪めよろめいたのだ。
巫女達の手がカルムに翳されていた・・・それは治癒では無く真逆・・・
「や・・・止め・・・どうして・・・」
サシャはその力を十分知っている。知っているから恐ろしく声が震えた。
巫女は天人の力を治癒に使うが逆に病魔を植え付ける事も出来るのだ。治癒の一環として軽く使って身体の免疫力を向上させる。しかし、場合によっては死に至らしめるその力は加減が難しく、サシャのような高位能力者でも滅多に使わないものだった。
しかし苦悶していたカルムが、ニタリと微笑んだ。
「ふふっ・・・油断した。今までに無い面白いものだが、これくらいで天眼族を・・・私は殺せない」
「カルム、だ、大丈夫なのか?」
カルムは心配するサシャに笑って見せた。
「大丈夫だよ、サシャ。私の自己治癒力を知っているだろう?例え死病でも死なないよ」
サシャは、ホッとしたもののカルムがまた嘘を言っているのかも?と思い直した。
大丈夫だと言う割に顔色は最悪だ。サシャが口を開きかけると嘲笑う声が響いた。
「そんなもので殺せるとは思っていませんよ」
姿は見えないが声はドルイドだった。
「やはり・・・お前か・・・」
「そうですか・・・成程。ユハ、奴の右脇腹が死点だ!」
突進して来たユハにカルムは心眼攻撃を一瞬躊躇った。病魔に蝕まれ感覚が鈍っていたと言うよりもサシャの顔が、ふと過ったせいだった。サシャが特別に思っているレーナの兄を手にかければ彼女が悲しむと思ったのだ。
その一瞬で、ユハの剣はカルムの右脇腹に突き刺さった・・・
「ぐっ・・・急所を・・・お前・・・私の思考を・・・うっ・・・」
ドルイドの高笑いが響いた。
「心の臓を突かれても、首を落されても死なないらしいと噂される天眼族も急所さえ分かれば赤子の手を捻るようなものです。病魔に蝕まれて咄嗟に急所を悟られまいと心を動かしたのが敗因でしたね。最強の心眼でも力の源が違う天人の力には関係ありません。私には全て見えるのですからね。サシャは返して貰います。おや?もう聞こえていませんね」
カルムの顔は血の気が無くなり真っ白でその場に崩れ落ちていた。その耳にはドルイドの声では無くサシャの泣き叫ぶ声が遠く聞こえているだけだった。
(・・・サシャ・・・泣かないで・・・)
「嘘だ―――っ!カルム―――っ!目を開けろ!約束が違う!死ぬな―――っ!」
「ユハ、サシャを例の場所へ連れて来なさい」
「ハイ」
ドルイドの指示にユハがサシャに近づき手を伸ばした。
「触るな!カルムの血に濡れた手で私に触れるな―――っ!嫌だ!止めろ――っ!嫌あぁぁぁ―――・・・」
当て身をされたサシャはユハに担がれ運ばれた。カルムを押さえる役をしていた巫女達は何も無かったかのように、バラバラと散って行った。
瀕死の状態のカルムだけがその部屋に残っているだけだった―――
(サシャ・・・泣か・・・な・・いで・・・やく・・・そくは・・・ま・・もる・・・)
『・・・サシャ・・・その時は殺してやる。一緒に死のう・・・君を一人になんかさせない・・・』