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溜息の
貴人![]()
中編![]()
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「ライナー、どうした?初夜明けにしては浮かない顔だな?それとも張り切り過ぎて疲れた顔かな?」
翌日の昼過ぎまで続いていた披露宴にしつこく残っていた悪友達が、客の見送りに現れたライナーに絡んで来た。
「・・・・・・・・・」
ライナーは悪友達の冷やかしを何時もの様に陽気に返す気力が無かった。
新婚初夜に結んだ協定・・・名案だと思っていたライナーだったが意外と気分は重く、スッキリしなかったからだ。
「好きにするか・・・確かにそう決めたが・・・流石に新婚早々の外泊は世間体に悪いだろうし・・・暫くは大人しくかな?はぁ〜気が滅入る・・・」
煩い母親を黙らせる為には取り敢えず、品行方正に努めるしかないと・・・
ライナーは溜息をついた。
昔から束縛を嫌い、自由を好むライナーは誰かが待っている場所に帰る習慣が無い。今は取り敢えず帰るという状態だ。皆は美しい妻の出迎えを羨ましがっていたが・・・そんなに良いものでは無いとライナーは言いたかった。屋敷に一歩入ると同時に辺りは張りつめた空気が漂うからだ。ライナーは協定通りに振舞っているだけで、シャルロッテに指一本触れていない。見せかけでも軽い抱擁ぐらいしたかったがとてもそんな雰囲気になりようが無かった。
ライナーの動作一つ一つにシャルロッテが、ビクついているのだ。
「シャルロッテ・・・そんなに怖がらなくても良いだろう?何がそんなに怖い?」
ライナーはお互い好き勝手にする約束だが取り敢えず会話は必要だと思って問いかけた。
シャルロッテはライナーを怖がっていたのでは無かった。むしろその逆で意識し過ぎて、ギクシャクしていたのだ。憧れ続けたライナーと同じ時間を共有して今は一応、寝所も一緒となれば男性経験不足のシャルロッテがそうなるのは当然だ。自分の本当の気持ちを言えないからライナーの問に黙してしまった。
そうしているとライナーの溜息が聞こえ・・・
シャルロッテは少し胸が苦しく感じた。
「シャルロッテ、屋敷に一日中籠っていても退屈だろう?出掛けたら良いよ。ベルツ家の付き合い上、昼の誘いもかなりあるだろう?それに私は忙しいから帰宅も遅いし夜会で羽を伸ばしても構わないよ」
確かにクレール家とは比較にならないくらいの招待状が毎日来ていた。
交際が不得手なシャルロッテはそれらを全て断っていたのだが・・・
「・・・ご招待はお受けした方が良いのでしょうか?」
「全部受ける必要は無いけれどね。付き合いもあるから・・・その事情は家令にでも聞けば適当に選別してくれるよ。気晴らしにでも行くと良いよ」
ライナーは何時も家に籠っているシャルロッテへの気遣いで言った事だったが、その本人は協定での妻としての役目を課せられたのだと思った。
「・・・はい・・・わかりました・・・」
シャルロッテは嫌で堪らないがライナーが自分の返事を聞いて満足そうに微笑んだので嫌悪感を呑み込んだ。そして不安な気持ちを抱いたまま今日もライナーと背中合わせに寝ると背中にライナーの温もりを微かに感じた・・・もっと感じたいと思っても近くに寄る勇気は無かった。この微妙な間隔が今の二人の関係を表しているようだ。
そして朝になればライナーはもういない。何時もの事だが・・・シャルロッテはまだ少し温かいライナーの寝ていた場所に手を伸ばし小さな溜息をついた。
「本当に忙しい人・・・私も頑張らないと・・・」
シャルロッテはライナーの薦め通り、このベルツ家別邸を取り仕切る家令のアルノーに招待状の選別を任せた。貴族でも上下はありベルツ家に見合った付き合いと言うものは当然あるが、シャルロッテは貴族達の繋がりも何もかも全く分からなかった。母親がシャルロッテとジークの実父ベッケラート公爵を避けていたせいで貴族の大きな集まりに殆ど顔を出さない状態だったので必然的に娘達も華やかな場所に行くことは無かったからだ。
ライナーが珍しく昼間、屋敷に立ち寄るとシャルロッテは出掛けていた。
「奥方様はブッケル男爵家の茶会に行かれています」
ライナーからシャルロッテの行先を聞かれた家令のアルノーが答えた。
「ブッケル?あのブッケルか?」
「はい・・・お止めしたのですが・・・」
「シャルロッテが止めても行くと言ったのか?」
「はい・・・私の説明が悪かったのだと思います。申し訳ございません」
「シャルロッテが止められても行くような性格じゃ無いと思ったが意外だな・・・まあ、いい。私から注意しておこう」
「お願い致します」
その日、帰宅したシャルロッテにライナーはその話を切り出した。
「シャルロッテ、今日行ったブッケル男爵の招待は全部無視して良いから。何かと美味しい餌をまいて皆を集めているけれど余り良い噂は聞かない。もてなしの一つとして賭事紛いのゲームも有るらしいし・・・何を貰った?」
シャルロッテの後ろに控えていた家人の手に贈物らしき包みを見つけたライナーは話の途中で訊ねた。
シャルロッテは、おずおずとその箱を家人から受け取り蓋を開けると中には宝石をあしらったブローチが輝いていた。
ライナーは落胆したようなため息をついた。
「シャルロッテ、そんなものが欲しいなら宝石商を呼んで買いなさい。無闇に他人から貰えば何かと面倒だからね。アルノー、これをブッケル男爵へ丁重にお返しして来てくれ」
ライナーはシャルロッテの手から箱を取り、アルノーへ渡した。
シャルロッテは何か良言いたそうな顔をしたが黙ったままで俯いた。
一瞬、シャルロッテは泣いているのかと思ったライナーは又、小さくため息をつくと、精一杯声を和らげて話しかけた。
「シャルロッテ、私は怒っているのでは無いよ。慣れないのだから注意してあげているだけだから・・・招待状の選別はアルノーに任せたら良いからね」
シャルロッテは又、何か言いたそうな顔をしたが小さな声で答えた。
「・・・はい・・・わかりました」
ライナーは口数の少ないシャルロッテに期待はしていないが・・・彼女からは短い返事の言葉しか聞いていないような気がした。そう答えられるとそれ以上何も言えず結局気まずい感じになる毎日だ。しかし二人で過ごす時間はライナーが忙しいせいでほんの少ししか無いのが救いだった。
だが・・・今日はまだ夕暮れ・・・夜はまだこれからだ。
(長い・・・な。いっそ・・・)
どこかへ出かけるか?と何時も思うが何故か?今まで実行した事は無かった。
沈黙している所に客の訪れの知らせが届いた。
「こんな時刻に?誰だ?」
「そ、そ、それが・・・デュラン子爵夫妻だと名乗っておいでですが・・・あの方は・・・」
家人がその名を告げる前に部屋の扉が大きく開いた。
「なかなか良い屋敷だな、ライナー」
「皇子!それに」
「ジーク?」
名を偽って急に現れたローラント皇子よりもシャルロッテの姉妹の名を嬉しそうに呼ぶ声と表情にライナーは驚いた。それは今まで聞いた事も見た事も無い喜びに輝いた声音と顔だったからだ。
姉妹達はお互い嬉しそうに両手を取り合って再会を喜んでいた。
「ジークがシャルロッテと最近会っていないと寂しがるから連れてきた」
「皇子、連れて来たと軽く仰っていますがお立場をお考え下さい。皇子が前触れも無く臣下の自宅を訪れるような事、有ってはならない事です」
臣下が皇族を自宅に招待するにはそれなりの手続きが必要だった。もちろんその逆に勝手に訪れるのも問題があった。皇族が訪れる家は当然、彼らのお気に入りとされ、貴族社会の力関係に関与してくるのだ。
「申し訳ございません、ライナー・・・私も皇子をお止めしたのですが聞き届けて下さらなくて・・・」
「姉妹が自由に会えなくてどうする。それこそ間違っている」
「皇子が城を抜け出すのは今に始まった事ではございませんし、妖魔の危険も少なくなっていますから以前のように口煩くは申しませんが、ジークが――」
「ジーク?」
ライナーの親しげな呼び方にローラントは不快感を露わにした。
その不愉快そうな声にライナーは直ぐ気付き言い直した。
「失礼しました。訪問のしきたりだとか、決まり事だとかで申し上げておりません。恐れながら妃殿下がご自分で気がつかない間にご懐妊されていましたらと心配して、ご自重をと――」
ライナー最後まで言う事無く言葉を呑み込んだ。
ローラントの瞳が吊り上がり、美麗な顔に怒気を上らせたからだ。
その様子にジークは直ぐに反応した。
「皇子、私は気にしません!お怒りは必要ないものです!」
「お前が気にしなくても私は許さない!お前達は何時もそうだ!ジークリンデが世継ぎを産むまで彼女を監禁するのか!そして生まれた子も私のように監視し続けるのだろう!」
「皇子!ライナーはそんな事は言っておりませんでしょう?それを言ったのは先日の神官だった筈です」
ジークはローラントの怒りを治めようと言い繕ったが皇子は聞かなかった。
「同じだ!皆、心の中ではそう思っている!」
長子のみに引き継がれる冥神の血は国に安寧をもたらす宝だ。
その為、神殿を中心とした血統の維持への執心は異常さを伴う場合が多かった。
特にローラントはその恩恵を数世代へ継ぐ冥神の直系、冥の花嫁が母親だ。生まれた時から本当の自由が無かったものだ。軟禁状態のようなもので常に誰かの監視下にあった。今は若干、緩んだような気がしているが実際は変わっていなかった。そして今はそれにジークが監視下に入っているのだ。
世継ぎが生まれれば二人共用無しとなるが・・・それが自分達の子供に移るだけだと思うとローラントは腹が立って仕方が無かった。
ジークはローラントの気持ちが良く分かるから言葉が出なかった。自分は気にしないと幾ら言っても聞かなないのだ。先日もそんな風に言った神官が不敬罪で処罰されたばかりだ。
「あの・・・皇子・・・私のようなものが直接申し上げる事をお許し下さい・・・夫はジークを心配して注意しただけでございます。妊娠初期は一番気を付けなければならないものだと聞きます・・・何かの弾みで転びでもしたら子はもちろん母胎も危ないので・・・特にジークは男の子のように活発で・・・私も心配です。これはお世継ぎ様だから心配だと言うのではありません。それは関係無く・・・その・・・親しい者ならば当然の気持ちです・・・」
俯いて喋っていたシャルロッテは周りが余りにも静かだったので、そっと顔を上げた。最初に目に入ったライナーは驚いた顔をしていて、皇子は・・・笑い出した。
「やはりそなた達は容姿だけでは無く、性格も似ているな?ジークと違って内気だと思っていたのに私に意見するとは意外だ。世継ぎは関係無い?ジークが言いそうな台詞だ」
意表を突かれて思わず毒気を抜かれた皇子は機嫌を直したようだった。
ジークは、ほっとした。ローラントは以前のような癇癪を起さないが、ジークの事になれば容赦しない。烈火の如く怒ってジークのとりなしも効かない事も度々だった。
「シャルロッテ、助かった。皇子は特にその件は過剰に反応され、私が何を言っても聞き入れて下さらないから」
ジークは、そっとシャルロッテに言った。
「そうなの?皇子は気難しいの?」
「私はそう思わないけど、周りはそう思うみたいだ。そう言えば・・・シャルは皇子に初めて会った時から会話が弾んでいたね?」
「何をひそひそ話しているんだ?」
ローラントが不愉快そうな声を漏らした。
折角治った機嫌が悪くなったら大変だ!ジークは急いで返答した。
「内気なシャルロッテがこんなに喋るのは珍しいと思いまして。皇子とは初対面でも会話が弾んでいたのを思い出したもので・・・皇子は特別なのだろうかと聞いていました」
ジークが他意無く言った特別≠ノライナーは気になった。
そもそも皇子が見初めた夜会はシャルロッテが出席する予定だったと聞いていた。
その時はジークと皇子の運命のようなものを感じたが・・・
もしもシャルロッテが出席していたのならどうなっていたのか?とふと思ってしまった。ジークだったから気になったのか?それともシャルロッテだったとしても皇子は心惹かれたのだろうか?
容姿はそっくりでも性格は全く似ていないとライナーは思っていたのに皇子は似ていると言った。
(似ている?そうなのか?)
ライナーは昔から知っている仲なのにジークとシャルロッテが似ている・・・そんな事を一度も思ったことがなかった。外で剣を振るジークを女の子として見たことが無かったが、シャルロッテは何時も窓越しで見る事が多く・・・声を聞くのは稀だった。結婚して仮にも一緒に住んでいる今でも自分と殆ど会話をしないのに皇子と会話が弾んでいた。それは何だか気分が悪く・・・
「特別と言えば特別ですが・・・皇子はお綺麗だから・・・あの・・・」
綺麗だから何なのか?とライナーはその続きを聞きたかった。
ジークも以前から気になっていたが・・・綺麗と言う言葉に、ふと思い出した事があった。
「ああ・・・そう言えばそうか・・・成程」
「成程とは?」
ローラントもシャルロッテの答えが気になったのかジークに問いかけた。しかし、シャルロッテがジークの腕を引き、その答えを嫌がる素振りをした。
「分かった、言わないから」
「何?」
「申し訳ございません、皇子。この場では申し上げられませんので、後ほど・・・」
「今は言えないと?」
「今は・・・と言うか・・・」
ジークが珍しく言いよどみながら、チラリとライナーを見た。
「ライナーに聞かれたく無い話と言う訳?ふ〜ん、分かった。では今夜、ゆ〜っくりと聞こう」
ローラントがジークの耳元で甘く囁くと首筋に口づけした。
「お、皇子!」
ジークが焦って顔を赤くする様子を見たシャルロッテは少し驚いて・・・そして何となく羨ましいと思った。会う度にどんどん変化して成長する姉妹がとても眩しく感じた。しかし今まで太陽の下で輝くジークを羨ましいと思った事は無かった。何故?羨ましいと思ったのか?
(ジーク・・・幸せそう・・・)
そう思ったシャルロッテは、はっとした。
(私は幸せじゃないの?)
シャルロッテは嫌々ながら行く社交の場で皆が皆、ライナーと結婚出来て羨ましいとか幸せだとか言われた。その実感はシャルロッテには無かった。忙しい夫の顔を見るのは稀で久しぶりに顔を見ても胸が、ドキドキしてまともに顔も見られず話す事も出来ない・・・
(・・・ああ・・・そうなのね・・・皇子と仲良く話すジークが・・・話せるジークが羨ましいのね・・・)
ジークは自分の気持ちを表現するのが苦手で会話は堅苦しく弾まない。シャルロッテは人見知りが酷く内気で会話は殆どしない。種類は違うが会話が続かない似た者同士の二人だったのに今は違う感じだ。
(私も・・・ローラント皇子になら話せるのに・・・)
シャルロッテのローラントになら会話出来る理由―――
ローラントは冥神のようだと称えられるようにその美しさは人外のものだ。それは人が絶対の美に憧れ作り出す人形に似ていた。究極の美は皆同じようなのかもしれない。シャルロッテが大事にしていた人形も美しく皇子と何処となく似ていた。その人形はシャルロッテの唯一の友であり、話し相手だった。だからローラントと話す事は人形に語りかけるのと同じようなもので抵抗無かったのだ。ジークがそれに気が付いたようだったが、そんな子供じみた行為をライナーに知られたく無かった。
ライナーの何時もの溜息を聞きたく無い・・・彼はいつも溜息をつく・・・自分に呆れているのだとシャルロッテは察していた。だからもうこれ以上、失望するような事をしたくなかった。
結局、この日もジーク達が帰った後は静かな夜だった。静けさを好むシャルロッテだがライナーと一緒だとその静けさがとても重苦しかった。
(あ・・・また、溜息・・・)
ライナーの小さな溜息がシャルロッテの耳に入って来た。
シャルロッテはどうしたら良いのか分からなかった。勇気を出して話しかけてみようと何時も思うが・・・思っても言葉が出ないのだ。幼い頃、シャルロッテの性格に影を落とした乳母のコスタの仕打ちは今でも拭い切れないものだった。少し声が高い彼女が喋ると煩いと言って折檻され、用心して喋っても気に入らないと食事を抜かれた。コスタの脅威が去ってもシャルロッテは対人恐怖症が治らず、神経過敏で相手が怖く喋るにも勇気が必要だった。
(今日こそ、勇気を出して・・・)
自分と同じ境遇だったジークが変化出来たのだからとシャルロッテは羨ましい反面、勇気も貰った。
もう、コスタは居ない・・・傷付くような幼い自分でも無いのだとシャルロッテは自分に言い聞かせた。
「・・・あの・・・」
時間つぶしに読書をしていたライナーがシャルロッテの呼びかけに視線を上げた。
「何?」
問い返したライナーだったが、その後に続かない会話に再び溜息をついた。
「何時も緊張しているけど、俺はそんなに話し難い?」
「あの・・・」
礼儀正しい言葉使いしかしなかったライナーの言い方の変化にシャルロッテは驚いた。
怒っているのだと思うのだが・・・いったい何に?
今度は大きな溜息―――
「皇子は良いわけ?俺から見れば皇子の方が、ずっと話し難いと思うけど・・・もしかして・・・皇子が・・・好きとか?」
ライナーの突飛な考えにシャルロッテは驚き、瞳を大きく見開いた。
その様子をライナーは勘違いした。
「やっぱり・・・そうか。他なら頑張れ・・・と言いたいけど・・・皇子は無理だな」
「わ、私は・・・」
「もちろん知っていると思うが皇子はジーク以外の妻を望んでいない。君が不幸になるだけだし、それに万が一、皇子の手が付いたとなれば協定違反だ。皇子相手となればこちらは退くしかない。遊びに口は出さないが離婚になるような事はしない約束だ」
どうしてそんな連想が出来るのかとシャルロッテは唖然として言葉が出なかった。それがまたライナーの誤解を裏付けたようだった。
「―――シャルロッテ、皇子だけは諦めなさい。いいね?そうしないと皆が不幸になる・・・」
ライナーはそう言うと大きな溜息をついた。
シャルロッテは、はっとして勇気を掻き集めた。
「ち、違います!誤解です!私が皇子に話し易いのは私のお友達に似ているからです!」
「友達?」
「そうです!私の綺麗なお友達・・・その・・・私の人形に・・・似ていて・・・あの・・・だから・・・」
初め勢いが良かったシャルロッテの声は段々小さくなって消え入りそうだった。
「君の人形?」
ライナーはシャルロッテの持ち物を思い返してみた。確かに名工の作品と思える美しい人形があった。それはこの屋敷の中にあるシャルロッテの私室に置かれているものだ。
「人形と皇子・・・」
ライナーは笑いが込み上げ思わず吹き出した。
「確かに皇子は黙っていれば人形のようだ!それならそうと早く言えば良いのに。あっ!でも人形のようだと言えば激怒されたかも。それにしても、人形ね〜ぷっ、くく」
ライナーはどうしてこんなに愉快な気持ちになるのか分からなかった。とにかく離婚の心配が無くなったことだけは確かだと思った。
(まぁ・・・他人にしりごみするシャルロッテが誰かとどうかなるなんて、先ず考えられないし安心だ)
「?安心??何がだ?」
ライナーは心に浮かんだ言葉を声に出して呟いた。
何が安心なのか?自分でも意味が分からず首を傾げたのだった。
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