
「あああぁあ――ぁん、あっ、つっ・・あん、あん」
「んんっ、サガンさ、まぁ・・・イイ、あんん」
バシリと肌を叩く音が響く。
「ひっ、あっんん・・・あふっ、ん」
黄金作りの悪趣味な広い寝台の上に男が一人に女が三人―――
バシッと音がする度に嬌声が上がる。
尻を突き出した女にサガンが己の楔を打ち込み、抽挿を繰り返す度にその女の丸い尻を叩いていた。
「こらっ!もっと締め付けやがれ!おらっ!」
バシリと音が鳴る。叩かれている女の尻はもう真っ赤を通り越して紫色に腫れ上がっていた。
「ひっ、ひっ、うぅ・・・」
それからサガンは激しい律動を繰り返しながらそれに合わせて女の首を後ろから締め上げ始めた。
「ぐ、ぐぇ・・ぐぐ」
「はっ!やっと締まりだした!おら、おら、おら!」
「ぐぐっうう・・・あ・・・ああっ・・・」
サガンの動きが更に激しさを増し始めると、女の目は宙を彷徨いだらしなく舌を出しダラダラと涎を流していた。
「ちっ、自分ばっかり感じやがって!もうお前はいい!」
「あっ、まって!ぎゃっ――」
サガンは女からまだ大きく反り返る楔を抜くと、その女を寝台から蹴り出してしまった。
「次は私が!」
サガンの身体を後ろから嘗め回していた女が今度は自分だと名乗り出た。
「ふん!どうやって俺を満足させる?」
「お好きなように、サガン様」
「好きなようにか・・・」
サガンの目の前で寝転んだ次の女は両足を開いて両手でその足を抱えた。男を迎え入れる花芯は丸見えだ。サガンは面白くなさそうに鼻を鳴らしその場所を無視して女の身体をひっくり返してしまった。
「な、何を!嫌!そこは――」
「うるさい!お前はここで俺を満足させろ!」
「そ、それは・・・」
「満足させられなければ首の骨をへし折るぞ!」
「そ、そんな!で、でもそこは!きゃ―――ぁぁあっ」
サガンが大きな昂ぶりを捻じ込んだのはこういうものを受け入れるように出来ていない器官だ。
慣らす訳でも無く無理矢理押し込んだ。
「ふぅ、流石にキツイな此処は、よっ」
サガンが納まりきれない楔を奥へと進ませようと女の腰を掴む。
「あうっ、あ・・・い、嫌、動かないで!」
「おいっ!誰に言ってやがる!黙ってお前は喘いでいろ!」
「い、いやっ――い、痛い!さ、裂けるぅ・・・」
サガンは女の抵抗を無視して排泄する器官でしか過ぎないその場所の内壁を押し広げながら一気に挿しこんだ。
「ぎゃぁ―――っ!」
「おっ、締まる、締まる」
ぐったりとなった女の乳房を後ろから両手で揉み上げながら腰は荒々しく律動を繰り返し始めた。
滑りが悪かったそこは切れ、鮮血を滴らせサガンの大きな昂ぶりをすんなりと呑み込み始めた。
「あ・・・っ、ああっ、あっんん」
「おらおら、腰を振れ!」
「ひゃぁ・・・ああっ」
サガンの片手が女の蜜が溢れ出した場所に下りて指を挿しこんだ。
「ひゃん・・・あっ、あっん」
「はっ、尻の穴で感じてやがる。ほらっ、もっと腰を振れ!」
サガンは容赦無く指で絡み付く花芯の奥を掻き回し、昂ぶりはその後ろで、ずぶずぶと抜き挿しを繰り返していた。そして片方の乳房だけ千切れんばかりに揉まれて女は狂ったように嬌声を上げ続けた。
もう一人寝台に居た女は流石にこの狂乱ぶりに怖気ついているようだ。
それでもサガンは果てること無く狂暴な楔で女を攻める。
そのサガンの左腕に鎖が下がっていた。そしてその鎖がクイッと引っ張られた。
「ちょっと、もういい加減にしたらどう?」
「何だと?止めれだと?はっ、仲間に入りたくなったんだろう?お前も濡れてきた筈だ。全てが伝わるんだからな」
サガンを止めたのはリネアだった。
この呪いの鎖は繋がれた相手の感情や感覚を伝える。だから嫌でも伝わってくるのだ。確かにサガンが興奮しているのは分かる。しかしその感覚にはリネアも経験があった。男女のそれでは無く戦いに臨むような高揚感だ。恐らく先刻の派手な捕り物の興奮を引き摺っているのだろう。それにしても・・・
「貴方、全然感じて無いじゃない。感じても無いのにそんな立派なもの勃たせられるなんてね。それの方が驚いたわ。でもそれを果てさせるのは自分では難しいのかしら?そうならその前に女の子達が壊れてしまいそう」
「な、な、なななっ!」
サガンは感じていないとあっさりと言い当てられて言い返す言葉が直ぐに出なかった。
鎖で感情が伝わるとは言ってもそこまで分かるものでは無い筈だ。リネアに言われるまでも無くサガンは何時もそうだった。それこそ猛牙族は年中発情していると揶揄されるように色欲は溢れるように湧いて来る。しかし何人の女達を抱いても満足することは無かった。それこそ果てる事の無い肉欲を女達に沈め続けてもいつも同じだった。女で熱は冷めないのだ。だからこれを美羽に試したかった。
サガンは何かを彼女に感じたのだ。しかしそれは叶わなかったものだ。
「それに・・・彼女達の選び方って――」
リネアは繋がれた鎖が彼女を叩くように大きく波打って来たので言葉を途切らせてしまった。
もちろんそれをしたのはサガンだ。
「何するのよ!」
「うるさい!黙れ!お前達!もう下がれ!興が削がれた!さっさと行け!」
サガンは怒鳴って女達を部屋から追い出してしまった。
「あらあら、良かったの?今からだったのでしょう?」
「女、何を知っているんだ?」
リネアが今からと言ったのは正視出来ない性交の事では無い。
その言葉の意味をサガンは勘付き問い質した。
「あら?犯りたいだけのお馬鹿さんじゃないのね?」
「女!いい加減にしろ!」
リネアは、クスクス笑い出した。
「三人のうちの二人・・・一番目と二番目にした子達は何処かの密偵かしら?まだ手を出さなかった女の子は普通の子でしょう?違った?」
サガンは目を大きく見開いた。そして声を潜める。
「お前が何で分かる?俺の頭の中まで筒抜けなのか?」
「違うわよ。天眼を開けば分かるでしょうけれどそれくらい見れば分かるわ。彼女達、貴方に選ばれようとする女達の中でかなり積極的だったでしょう?だって彼女達の手足には痣があったわ。貴方の無茶が原因でしょうけれどね。今までも何度か指名した。そうでしょう?それを受けてでも自分が選ばれようと積極的だったわ。他は皆、とりあえず出迎えたようだけど・・・幾ら気に入られたいからって誰も死にたくないでしょう?貴方の暴虐ぶりは有名だもの。それは閨房の中でも一緒。やり殺されるですってね?ああ、もしかして殺されたって言うのはそういう種類の女達?」
サガンの目が一瞬見開かれた。
「当たりなの?後宮は密偵の巣窟のようなものだし彼女達は貴方から気に入られて情報をつかむなり操りたいと思っている。もしくは暗殺?まあありきたりの手だけれど間抜けなら有効よね。貴方、一応間抜けでは無いようね」
「うるさい!黙れ!お前のように頭が回る女が一番嫌いだ!」
「認めるの?それに誉めてくれてありがとう」
「誰が誉めた!」
「誉めたじゃない?私が賢いって」
「そんな事は言ってない!小賢しいと言ったんだ!」
リネアは大仰にため息をついた。
「女は馬鹿が可愛いってこと?男ってみんなそんな考えよね」
サガンは他の男達と同じ括りにされた事に腹が立った。
「お前!」
と怒鳴りかけたがリネアがその前に畳み掛けた。
「女だってね、ちゃんと男と同じ事は出来るのよ。もちろん男の方が勝っている場合もあるけどその逆もあるわ。それを認めたがらない男が多いけどね。貴方みたいに」
「そしてお前は自分が賢いと思って上から見下ろしているって訳か?俺も噂は聞いている。天眼の王の姉は軍を束ねているってな!そりゃあ気分は良いだろう。男共の上に立って祭り上げられているんだからな。自分が偉くて強いと勘違いしているんだろう!」
どちらかと言うと愉快な気分で喋っていたリネアはサガンの言葉に、ムッとした。
「私が祭り上げられているですって!」
リネアの剥きになった様子に今度はサガンが愉快になって来た。
「そうさ!どうせ優秀な副官達がいてそいつらから女王様のようにかしずかれているんだろう。そいつらは王命でも受けているんだろうさ!大事にしてくれってな!あんたは只の象徴でお飾りさ!」
サガンはリネアの顔色が、さっと変わったのを見た。逆上するかと思った彼女が一瞬で大人しくなってしまったのだ。そしてぽつりと呟いた。
「そうね・・・貴方の言う通りかもね」
リネアは気づかない振りをしている存在を思い浮かべた。
サウル―――カルムの忠実なる部下。
(部下?僕 かもね・・・)
リネアは何だかおかしくなって来た。事情も何も知らない他国の者にズカズカと心に踏み込まれて暴かれているのが無償におかしくて笑いがこみ上げてしまうのだ。
「な、何がおかしい!」
「別に貴方を笑っている訳じゃないわよ。でも貴方って本当に純粋なのね」
サガンは今まで言われたことの無い表現に呆れ返って馬鹿のように口をあんぐりと開けた。
リネアは本当に新鮮だった。こんなに誤魔化しのない真っ直ぐな感情を所構わずぶちまける者は周りにいない。心を読むことが出来る者が普通にいる天眼国では本当の自分を見せないのが一般的だ。
誰もが読まれないようにと感情を抑えるのに長けている。
(私達と正反対よね。きっと直感だけで動いている感じかしら?面白いわ)
「ふふふ、休暇も結構楽しくなってきたわね」
「これのどこが楽しい!分かって無いからそんな事を言う!これは脅しでも何でも無い!油断していたら確実に死ぬぞ!」
「油断したらでしょう?私はしないし貴方なんか殺しても死ななさそうじゃない?でもずっとこのままなんていうのは嫌だけどね」
サガンに次から次へと突っかかる女は・・・嫌、男の中でもいなかっただろう。自分が絶対に危害を与えられないと知った上での事かもしれないが、全く動じていない豪胆さにサガンは面白く無い気持ちが半分・・・リネアと言う存在に興味を感じるのが半分。
(こんな女は俺の周りにいやしない・・・こんな女を落とすのも面白いじゃないか?)
美羽の時は無理矢理押し通すことしか頭になかったサガンだったが流石にリネア相手ではその手は使えないと思った。男を見下す女にはより強い雄を誇示し攻める手も有効だと思う。サガンもその方が性にあっているが蛇連鎖のせいでそれもままならない。相手が屈服するまで攻める間に自害してしまう可能性があるからだ。
(天眼という奴らは鼻持ちならないぐらいお高くとまってやがるからな・・・)
リネアは急に静かになったサガンをいぶかしんだ。天眼を開いてなければ流石に何を考えているかまで読みとる事は出来ない。くるくる変わる表情と言葉は感情豊かで心を読まなくても分かる。こんなに分かり易い男は初めてだが感情が凪いでいる場合は不透明になり、ただ不穏な感じだけが伝わってくるのだ。それでも自国では質問した事のない・・・聞いても無駄なことをつい言葉にしてしまった。
「何を考えているの?」
サガンの目が愉快そうに光った。
「俺が何を考えているのかって分からないのか?天眼のお姫様は何でも見えるわけじゃないんだな」
「天眼族が誰でも心眼を持っている訳では無いのよ。力の差があるわ。それに天眼を開かないとその力も半分以下が普通!」
そう・・・天眼を開かなくてもそういう芸当が出来るのはカルムぐらいだ。精神的な自己防衛の強い同族相手でも開眼無しで表層意識はある程度読めているだろう。
(カルムは聞かぬ振りをしているけれどね・・・)
「ふん、じゃあ教えてやろう。そう言えば天眼の女を味見したこと無いな、と思ったのさ」
「味見?最低な言い方ね!それはそうでしょう。天眼の女は同族とだけ契る。それが誇りだし、そうで無いのなら死んだ方がいい。だから黒翔国と戦になったのよ。女達を無理矢理犯したのだから」
「へぇ〜それなら益々犯りたくなったぜ!でも、まぁ〜お前では試さないけどな。死なれたら困るしな・・・」
そう言うサガンの目はリネアを値踏みしているようだった。
(嘘ばっかり!全然そんな顔して無いじゃない!如何にも狙っているって言う顔をしている癖に!嫌らしい男!)
リネアは言葉とは裏腹なサガンに心の中で悪態をつきながら微笑んだ。文句を言って自意識過剰だと思われるのは癪だった。
「・・・・そうね、それが賢明よ。ところで聞きたいのだけれどこれって誰が見ても分かるような有名な呪?」
リネアは気味の悪い鎖を指差した。
「ああ、喜ぶ連中は山のようにいるだろう。だが奴らは誤算だった。俺の対がユーシャじゃなくお前だったって事だ。お前は自分の身ぐらい自分で守れるだろう?」
リネアはサガンの言い方自体勘に触ったが、足手まといとして扱われない感じを受け気分は悪くなかった。敵の多そうなこの男と生死を共にしなければならないという現実は気に入らなくてもだ。
リネアは不敵に微笑んだのだった―――