天眼の王12


 美羽を追い詰めたカルムの手には何時の間にか短剣が握られていた。
「ミウちゃん、動かないで・・・お互いに楽しもうよ」
カルムはいつものように少しふざけたような口調でそう言った。
そして目的のものを見付けるかのようにカルムの空いた手が彷徨いながら美羽に触れてきたのだ。
最初は彼女の頬に触れ、それから滑るように首筋を撫で下ろした。それから持っていた短剣を手探りで見付けた美羽の衿くりの開いた胸元へ差し込んだのだ。
ヒヤリとした刃の背が美羽の肌に触れ、部屋は寒くも無いのに全身総毛だった。そしてその刃は美羽の肌を傷つける事無く衣服のみ切り裂いたのだ。厚手の生地は胸元から腹の部分までザックリと無残に一直線に切り裂かれ美羽の白い肌がその裂け目から覗いていた。

「ちょっと怖かったかな?脱がせるのは面倒だったからね。見えないから小さな留め具は苦手なんだよ。ごめんね、ミウちゃん」
カルムは言い訳をしながら用が無くなった短剣は床に投げ捨てた。
それから真っ青な瞳を大きく見開いて震える美羽の背中を壁に押し付けると、裂けた服の中から柔らかな乳房
を掴み出したのだ。
「つぅ・・・・・・」
イエランを心配させないように声を出さないと思っていた美羽だったが、乱暴な行為に声を少し漏らしてしまった。だから慌てて奥歯を噛み締めた。
カルムは掴み出した胸のふくらみを丸く円を描くように揉みながら美羽の耳元で囁いた。

「ミウちゃん、声を出して・・・イエランに聞こえるようにね」
美羽はそう言われても唇を噛み締め我慢した。
しかしカルムはそれを嘲笑うかのようにこれでもかと愛撫を続けた。胸のふくらみを大きく揉まれる刺激でその先端は手のひらの中で尖り始めている。カルムは揉む手を止めその先端だけを爪で、クイッと抓んだ。ビリッとしたものがその先から下腹部の奥に走り、美羽は堪らず声を出してしまった。

「やっ、あっあ・・・あぁ・・・っっ」
その場所はいつもイエランから執拗に責められていて敏感になっているのだ。
仰け反って反応する美羽をカルムは当然見逃さなかった。イエランと同じくその場所を責め立てた。

「あっぅ・・・いや・・・イエラン・・・見ないでっ・・・あっっ・・・くっ」
美羽はイエランの食い入るような視線をカルムを通り越して感じた。美羽を責め立てるカルムの背の影で直接見えないと思ってもそう感じてしまうのだ。覚悟していても他の男によって乱れる自分をイエランには見られたくなかった。今、想うのはイエランの事だけ・・・そうでないと気が変になりそうだ。

(私の謎かけ・・・伝わった?)
美羽はラーシュに心が読まれるのかどうか確かめる為、嘘を言った。宋の予想は的中だった。
しかもイエランにそのことを伝えたい思いで言った。イエランならこの意図が分かってくれる筈だ。
私は大丈夫だと叫びたかったがカルムが敵に回っている以上、迂闊には動けなかった。
二対一ではどう考えても不利だろうと思ったのだ。宋の言った通りに油断させて隙を狙うしか無い。
ラーシュのこの酷い仕打ちはその良い時間稼ぎになるだろう。

(私さえ我慢すれば・・・)
「くっぅ・・・あっ、あ、あっく・・・」
「ほらっ、声を殺さない・・・甘く切ない声を聞かせて」
壁にかけられているタペストリーの織り目が美羽の背中をゴワゴワと刺激していた。数日前のやわらかなベッドの中で快感に酔いしれていた時と大違いだ。それを更に擦り付けるような勢いでカルムは両方の乳房を押し潰すように、ぐっと下から持ち上げ鷲つかみにした。乳首がカルムの指の間から、ツンと覗き尖っている。その敏感になった突起をカルムがぬるりと舌で舐めては、カリッと甘噛みした。
強い縛めと先端の甘い刺激に美羽は大
きな声を上げた。
「ああああっ――っっ」
相手はイエランじゃないのに感じてしまう自分が嫌だった。昔の悪夢が蘇ってくるようだ。嫌悪する男でも触られれば感じて淫乱のように蜜も滴らせる・・・その蜜が溢れる場所にカルムの手が迫って来た。

「そ、それは嫌!止めて下さい、カルム様!」
「ふふふっ、やっと嫌だって言ったね。ミウちゃん」
「カルム様?」
美羽はカルムが正気に戻ったのかと思った。しかし・・・
その手は止まることなく美羽の下着に触れ滑り込んできた。

「やっ、あっ――っん・・・」
「胸だけでこんなに感じているなんて凄いね?ほらっ、見てごらん。こんなに蜜が溢れている・・・」
カルムは美羽の花芯から蜜を指に絡ませ目の前に翳して見せた。
糸を引いて光る蜜を見せられた美羽は顔を赤くした。恥ずかしくて死にそうだった。

「可愛いね、ミウちゃん」
そんな様子が伝わったのだろうか?くすっと笑ったカルムはその蜜をゆっくりと見せ付けるように舐めた。美羽はもう恥ずかしくて目を、ぎゅっと瞑ってしまった。

 二人の様子を監視するように見ていたラーシュが彼らに背を向けてイエランと向い合った。
そして満足するような笑顔を浮かべている。半減すると思っていた効果が思ったより成果を上げている様子だからだ。美羽が幾人の男と関係していようと逆に嫉妬心を煽った結果となるようだ。
イエランが悲しもうと嫉妬しようとラーシュには関係無い。垣間見ることさえ出来なかったイエランの心が乱れればそれで良いのだ。

「座ったらどうだい?まだまだ長いよ」
肩を震わせ無言で立ち尽くすイエランにラーシュは着座を促した。動こうとしないイエランに更に嘲りを加える。

「彼女、噂通りの淫乱だね。色情狂だった黒翔の王が丹念に仕込んだだけある。お姫様とは思えない乱れ様だね。何時も狂王の腹の上で腰を振って踊っていたんだろうな。お姫様を止めて踊り子にでもなればいいよ。はははっ・・・そう、そう、それに彼女を囚えていた猛牙の王子の時の話は本人から聞いているかい?別名暴虐の王子・・・その名の通りに獰猛だから何人もその最中にやり殺したと言うしね。僕なんかどんな風にしたらそうなるのか想像も出来ないよ。彼女壊れなくて良かったね」
イエランの嫉妬を煽る為に美羽の記憶を読んで如何にも知っていると言うようにラーシュは得意そうに話している。しかしラーシュは自分が喋れば喋るだけ美羽の心に侵入出来ていないと言う証明をイエランにしているようなものだった。黒翔の王も猛牙の王子も美羽を最後まで手に入れていないのだ。

「男なら誰でも良いのかな?そこの誰かさんのとどっちが淫乱かな?」
端に控えていた宋がぴくりと動いてラーシュを睨んだ。そしてイエランも怒りで真っ赤に充血した目を向ける。

「はははっ、怖いな。さあ言う通りにして貰おうか?その椅子に座るんだ。そんなに立っていられたら見下ろされているようで気分が悪い。じっくり自分の女が信頼していた兄に犯されるのを見るんだ。はははっ・・・」
ラーシュはイエランの反応が愉快で堪らない様子で美羽達の方は見ていない。
美羽の喘ぎ声だけでも状況は十分分かり見る必要は無いと思ったようだ。もともと性的なものを嫌悪しているから見たく無いのが本音だろう。

「ミウちゃん、良い子だから声を出して。悦んでいるようにしている方がイエランは心配しないよ。きっとミウちゃんが自害するんじゃないかとか、つらいだろうと思っているだろうからね。だから平気だと言ったように楽しんだらいい。それにそうしないとイエランが酷い目に合うよ」
カルムは美羽の耳元で密かにそう言った。
美羽としてはイエランに心配させたくないから声を出したくなかった。それに危機に陥っているのに自分だけまるで悦んでいるかのような声を聞かせたく無いのだ。少しでも反抗したいのにそう言われてしまうと従うしか無い。
カルムの手が前を裂かれた衣服にかかり一気に腰の位置まで下げられてしまった。やっと腰で留まっている感じだ。美羽は瞳を閉じたまま恥ずかしさに耐えた。
次に腰に手をかけられ体の向きを変えられたようだった。そのまま、グッと背中を押されて尻を突き出したような体勢となった。更に濡れた下着もずり下げられ包んでいたその丸みを抜けた途端、するりと膝を通り足首まで落ちてしまった。濡れた花芯が外気に触れヒヤリとした。
流石に美羽は驚いて閉じていた瞳を開けて顔を上げた。
しかしその瞳にイエランの姿が飛び込んで来て思わず声を上げてしまった。

「きゃっ・・・いや・・・あっ、やっ」
イエランの座る方向へ顔を向けられてしまったのだ。美羽は顔を背けたが一瞬目が合ってしまった。
こんな姿の自分を恋人に真正面から見られるなんて死んでしまいたいぐらいつらかった。
裂かれた服の切れ端が腰の位置で下がり前からは見えないかもしれないが、カルムからは美羽の花芯が丸見えだろう。興奮しているのかカルムの額に薄っすらと金の
天眼が覗いている。普段の視力が殆ど無くても天眼が開けば話は別だ。これでは本当に丸見えだった。
二人の様子を凝視していたイエランの息を飲む音が聞こえた。その様子にラーシュも思わず美羽達を振り返った。

「おやおや、立ったまま後ろから犯すなんて兄さん考えたね。これなら悦ぶ彼女の顔がよ〜く観賞出来る。良かったね、イエラン。誤解しないで欲しいけど今は僕が操っている訳じゃないからね。もちろんお願いはしているけど、あれは本能のままさ。ただ理性や道理を外してやっただけ・・・そうなれば目の前の獲物を貪り食おうとしている只の獣でしかない。なあ、イエラン。楽しんでいるかな?」
立ったまま身体を二つ折りにさせられたような状態の美羽は臀部をカルムが吊り上げている感じだ。
だから両足は辛うじて床についているようなもので自分の足で身体を支えてはいない。
それなのにカルムの膝が美羽の両足の間に割って入り足は無理矢理開かれた。尻はカルムに向って突き出し頭は下がり全体的に身体が不安定なまま沈む。
金色の長い髪が床に渦を巻いて乱れ落ち美羽の顔を隠してくれた。これならイエランから自分の顔を見られないだろうと美羽は少しだけ、ほっとした。だから後は逆さに宙に揺れる胸のふくらみを両手で隠すようにした。

「さあ、ミウちゃん、行くよ。覚悟は良いかな?」
美羽の腰を支えていたカルムの片手が離れ自分の服の紐を解き始める音が聞こえてきた。下に落ちる音はしないから脱いでしまったのでは無いだろう。前だけ肌蹴たようだった。
熱く硬いものが美羽の花芯を後ろから、ぬるっと掠めた。

「あっ・・・い、いやっ!やめて!」
美羽は、ぞわりと背中に悪寒が走った。
イエラン以外受け入れた事の無い場所にそれが侵入して来るのだ。猛牙の王子の時はもう駄目だと思い猛々しい肉の塊を当てられた瞬間死を選んだ。しかし今は簡単に死を選ばない。

美羽はイエランとそう約束したのだ―――

 法国の地でもう死なないと美羽は言ったが、いつも死の淵を見ていた彼女をイエランは疑っていた。
だから天眼に帰った数日、愛を交わす度にイエランはそれを呪文のように言い美羽に約束させたのだ。
『美羽、絶対に自ら死を選ぶな・・・いいな・・・死ぬんじゃない』
美羽は絶え間なく送り込まれる快感に酔いしれながら夢うつつに頷いた。

『返事しろ、美羽!しないと私に誓え!美羽!』
イエランは再度強く命令しながら美羽の中から昂ぶりを引き抜いて誓え、美羽≠ニ再
び言うのと同時に角度を変えて勢い良く突き入れた。抉るような突き上げに美羽は返事を忘れてしまった。
『ひっ・・・あぅっ・・・あ、あん・・・は、あっ、』
『美羽、返事は?美羽!』
イエランは性急に返事を要求しながらも美羽との繋がりを容赦なく揺さぶってくる。約束を迫るイエランは休む間も無く律動を与え続けるのだ。

『あああっ・・・あ、あ、・・・っん』
悲鳴のような声が美羽の喉から迸り、もう返事どころでは無い。抽挿は激しさを増し穿たれる昂ぶりの熱さに思考が白濁してしまう。

『美羽、約束しろ!』
『あっ、は、はい・・・や、約束します・・・あっ、待って、いやっ・・・あん』
何度返事を聞いてもイエランは満足しなかった。美羽を突き上げる度、彼女を掻き抱く度に、息さえ忘れそうな激しい口づけの合間に何度も繰り返した。最後にはいつも美羽の額に汗で張り付いた金色の髪を優しく撫でつけながらイエランは切なく囁く。

『美羽―――愛している。だから死ぬな・・・』
死に急ごうとする美羽を現実に繋ぎ留め続けたイエランの切ない願いだ。


 だから美羽は死を選ばない。
死は全てを開放してくれるだろうが其処にはイエランはいないのだ。美羽はそれこそ耐えられない。

(私は平気・・・大丈夫・・・我慢すればいい・・・えっ?どうして??)
覚悟した美羽だったが可笑しい事に気がついた。
カルムの楔は奥に入る訳でもなく蜜を絡め取るようにぬらぬらと動いているだけだ。
それでも敏感な部分にそれが当たるから美羽はその度に声を上げてしまった。

「あっ・・・あんっ・・・いやっ・・・くぅ、んん」
「ミウちゃん、素敵だ。その調子だよ」
カルムが背中に覆いかぶさって耳元で囁いた。
やはりカルムは前だけ肌蹴ているようだった。イエランと同じような冷たい肌が美羽の背中に重なったのだ。ピッタリと重ねられたカルムの胸部はイエランより少し骨張っているような感じだった。
そう感じるくらい美羽はカルムに引き寄せられていたが彼の猛った楔は美羽の花芯に近付いては離れるだけで一向にその奥を貫かないのだ。
しかし美羽はどうして?と思う暇は無かった。カルムの指がそれと交互して花芯を嬲り、美羽を狂ったように翻弄していた。

「や、あ・・・ぁ・・・っん・・・あ、ぁ・・・」
もうただ喘ぐ事しか出来ない。更に美羽が乳房を隠していた手はカルムから払い除けられ、胸のふくらみは無防備になって揺れた。その宙に揺れる白い果実をカルムは弄び始めたのだ。

「い、やっ、ああっ・・・っっん・・・あっ、あ、っん」
カルムの容赦ない執拗な愛撫に美羽は背中を反らした。しかしカルムの昂ぶりは花芯の
奥を侵さないが下半身は密着したままだ。感じる場所を責められ、さらにその前後に激しく動く硬い楔が弄られ腫れて敏感になった花芯を擦り快感が全身を駆け巡る―――
「ぁあっ、あっ、んんんっ・・・あぁあ――・・・っ」
美羽が大きな声を上げた時、ラーシュが肩越しに、ちらっと様子を窺った。

「おやおや、激しいことで」
端から見ればカルムの猛った楔で美羽を貫き、激しく抽挿を繰り返しているようにしか見えない。

「もうそろそろかな・・・さあ、いくよ。ミウちゃん」
「や・・・っん・・・あ、ぁ・・・あっああ――っ」
美羽はイエランと体を繋いで何度も共に味わった快感の果てにも似たものが一気に押し寄せた。
目の前が真っ白になり銀色の砂が降って来るような感覚だ。
カルムの淫猥な指使いだけで放心状態に陥ってしまったのだ。同時に放たれた熱いものが美羽の太腿あたりで感じた。カルムの昂ぶりは美羽の中に入る事無く外で爆ぜたようだった。
美羽は息も絶え絶えで、ぐったりとカルムの腕の中でビクビクと身体を震わせたが、そのままずるずると床に崩れ落ちた。そしてその上にカルムが力尽きたようにうつ伏せる。

「ははっは、どうだった?イエラン、楽しめたかい?楽しんだみたいだね?」
頭を抱えるように俯いているイエランにラーシュは勝利を確信した。もう天眼国の王座を手に入れた気分だった。ラーシュは勝利に酔いしれ哄笑した。
力を弱体させたり、心の隙をついたりするには精神的に痛めつける方法や大いに喜ばせる方法がある。イエランに対してはもちろん痛めつける≠選択したが、ラーシュ自身が後者になっているとは思ってもいないだろう。それを待っていたのは・・・


ひとこと  やってしまいました。ごめんなさい? 美羽ちゃん×カルム 相手は宋にとも途中迷いましたが…やっぱりカルムに…その方が話しが盛り上がるかと思って…と言いたいのですが、もちろんそれは言訳で私の暴走した妄想によります。あ〜やっぱりと思わないで下さい。このシチュエーションは天眼の王を構想する前から考えてました。前後もなく漠然と…凄い妄想だと自分でも感心してしまいました。そして此処で繋げた自分に驚きです。という訳ですが次回のイエランの逆襲をお楽しみに。


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