220000HIT お礼リクエスト作品 第1弾
今回のリクエストは、黒クマさんからのリクエストで「親ばかなミホ様&ブラコンペローナとゾロのお話」です。WJやコミックスでチェックされている方はご存じの設定ではありますが、アニメ派の方にはネタバレになってしまいますのでご注意ください。
黒クマさん、素敵なリクエストをありがとうございました。よろしければタイトルをつけてやってください。ご連絡、お待ちしています。
No Title
「明日、出発する。」
仲間との約束の日まではまだ日があるというのに、ゾロは突然ミホークとペローナに宣言した。
迷子対策なのかと言うペローナに
「俺は迷子になんかなったことはねぇ。」
と言葉を返すゾロ。
こうして見ていると、まるで仲の良い兄妹のようだ。
「この小さな島ですら迷子になってたてめぇが、目的地に辿りつける訳ねぇだろうが。」
「まっすぐ進めばいいだけだ。迷う訳ねぇだろううが。」
ゾロは、大事にしまっておいたレイリーのビブルカードを見せた。
「これの動く方に進めば問題ねぇ。」
自信満々に言うゾロに、ペローナは呆れたようにため息をついた。
あの新聞を見た日から1年と10カ月。
つまり仲間とシャボンティ諸島に集うまで2カ月ある。
ミホークの話によれば、このクライガナ島からは1カ月もあれば行けるらしい。
しかしペローナは、いやミホークから見ても、ゾロが自力で島に辿りつけるとは思えなかった。
しかし、送ってやるとも素直に言えず、ペローナは先ほどから何だかんだとゾロに突っかかっている。
ゾロはそんなペローナの思いに気付いていないどころか、逆にからかわれていると思って、本気でペローナにやり返している。
「でも、こんなに早くここを出るってことは、着くまでに時間がかかる自覚があるってことじゃねぇのか。」
「途中で修業しながら行くだけだ。問題ねぇ。」
「・・・わかってねぇ。」
「何だと?!」
こうしてまた言い争いを繰り返している。
仕方なく、ミホークは重い腰を上げて仲裁に乗り出した。
「ロロノア、ところでどうやってこの島から出るつもりだ?」
「どうやってって、その辺の板に乗ってでも行けるだろう?」
「無理だな。」
「どうしてだよ、やってみなけりゃ・・・」
「やらなくてもわかる。時間の無駄だ。」
「無駄なことなんかねぇ。」
「もう少し成長したと思ったが、あいかわらず目の前のことしか見えておらんな。」
「何だと?!」
「お前はここでの鍛錬で何を学んできたのだ?ただがむしゃらに前にだけ進めば良いということがまだわからんのか?」
「でも、それが俺の・・・」
「大事なのは形ではない。違うか?」
「だったら、どうすりゃいいって言うんだよ。」
「送ってもらえばよかろう。」
「送ってもらう?」
「そうだ。お前一人では、どれだけ時間がかかるか予測はできない。それでなくとも、このグランドラインのでたらめな天候は、時間の感覚を失いやすい。そうなると、集合場所に着くのが遅れて、仲間たちに馬鹿にされるぞ。」
そう言われたゾロの頭に、ぐるぐる眉毛が浮かぶ。
「それは、ダメだ。」
「そうだろう?それにな・・・」
そこまで言って、ミホークはゾロにだけ聞こえる小さな声でささやいた。
「あいつも、手がかりがほしいようだからな。」
そう言ってペローナの方を見る。
「手がかり?」
「以前一緒に行動していたモリヤは、あの戦いの場にいたことはいたが、どうなったかは俺にもわからん。素直に連れていってくれと言えないあいつの気持ちも察してやれ。」
ミホークはここでの修業の日々の中でゾロの性格を見抜いていた。
あまりにまっすぐで、前だけをがむしゃらに見ているように見えて、気を許した相手には思いのほか面倒見が良いのだ。
ペローナしかり、島に生息しているヒヒたちしかり、だ。
「だから、送らせてやれ。」
という言葉に、ゾロは仕方がないとばかりにうなずき、
「そんなに一緒に行きたきゃ、連れてってやるよ。」
と偉そうにペローナに言った。
こうしてその3日後、ミホークが用意していた船にゾロはペローナと共に乗り込んだ。
船出のときには、ヒヒたちも心配そうな顔で船の近くまでやってきたと思うと、それぞれが持ち寄った果物などの食料を差し出した。
「盛大な見送りだな。」
「こいつらにも世話になったからな。」
そう言うと、ゾロは剣士としての礼儀としてなのか、一頭一頭に丁寧に頭を下げた。
あれだけ気性の荒かったヒヒたちが、それに応えて丁寧な礼を返す。
「じゃ、行ってくる。」
最後にゾロはミホークの前に立った。
「世話になった。」
「あぁ。」
「次に会うときは、世界一を賭けて戦うことになる。」
「まだ、難しいことはわかっていると思うが。」
「俺はまだまだ強くなる。」
「まぁ、期待せずに待っていよう。」
ゾロが船に乗り込む。
それを認めて、ペローナは見送っていたミホークに視線を送った。
ミホークは黙って頷いて見せた。
航海は概ね順調だった。
船の操作はゾロが、航路の指示はペローナが行った。
ゾロは、ビブルカードを手掛かりに進むつもりだったが、ペローナはミホークからシャボンティ諸島までのログポーズを預かっていたので、そちらを見ながら船を進めた。
途中で出会った海賊たちはゾロの相手にはかなり役不足だったが、海王類は食糧の調達もできて楽しめた。
そして予定よりも少し時間をかけて、1か月半後に無事にシャボンティ諸島に到着した。
「着いたぞ。」
ペローナが言うと、ゾロは見覚えのある光景に満足げに頷いた。
「お前はこれからどうするんだ?」
「ここでちょっとやることがあるから、ここでてめぇとはサヨナラだ。」
「そうか。お前、一人で大丈夫か?」
「当たり前だ!てめぇと一緒にするな。」
「こっちこそ、てめぇと一緒にされたくねぇよ。」
「ちゃんと番号見て、進めよ。」
「わかってる。最後までうるせぇ奴だな。」
そう言って、ゾロは船を飛び降りた。
「おい、荷物は?」
ペローナがそう声をかけたが、ゾロは
「ここまで送ってくれた駄賃だ。好きにしろ。」
と言って、ゾロはそのまま歩いて行ってしまった。
実は船には、航海の途中で手に入れたいくつかのお宝もあったのだが、それはペローナにくれるらしい。
まぁ、あの男ならどうとでもするだろうと思い、ゾロを黙って見送った。
それから数日後。
まだ仲間が集まってきていないのをいいことに、ゾロはシャボンティでのんびりとした時間を過ごしていた。
釣りをしたり、昼寝をしたり、島のあちこちを歩いてみたりして、その合間に時折シャッキーの店に顔を出した。
一応、サニー号の場所を教えてもらったのだが、そこにはどうしてかたどり着けず、まぁ他の連中が来たらそいつらに任せようと決めた。
その頃、ペローナはここまで乗ってきた船である人物と話していた。
「あいつはダメだ。本当にどうしようもねぇ。」
ここにたどり着くまでの旅を思い出しながら、うんざりした口調で言う。
「あいつの方向音痴がここまで酷いとは思わなかった。」
どうやらそれはペローナの想像をはるかに上回るものだったらしい。
「確かに、あの島にいた頃から城の中ですら迷うような奴だったし、ヒヒですら覚えてる道をなかなか覚えられなかったから、まぁそれなりの覚悟はしていたが、普通一本道で迷うか?ありえねぇだろ?」
そしてそれを聞きながら、あいつならやりかねないだろうと頷いているのは、誰であろうミホークだった。
「でもお前がこうして一緒に来たことで、あいつもどうにか予定どおり島に到着できたんだ。良かったじゃないか。」
「あぁ。それに、途中でモリヤ様に関する情報も手に入れられたしな。」
「それは良かったな。」
「それにしても、お前も暇な奴だな。」
「ん?そうか?」
「だって、わざわざこうやって、ここまであいつを見送りに来るなんて。」
「見送りという訳ではないと言ったはずだが。」
「そういうことに、しといてやるよ。」
そう、ミホークはゾロとペローナの二人を追うようにしてこのシャボンティ諸島にやってきたのだ。
島を出る前夜、ミホークはペローナに伝電虫を差し出しシャボンティ諸島に到着したら連絡するように伝えていたのだ。
そのときは、まさかミホーク自身がここまでやってくるとは思っていなかったが、どうやら思った以上にゾロのことを気に入っていたらしい。
「あいつには、会わないのか?」
「あぁ。ただ、あいつらがここを出発するときにはそれなりの騒ぎになるだろうから、2年の修業がちゃんとモノになったのかを確認するつもりだ。」
「まぁ、馬鹿な子ほどかわいいというからな。」
ここまで送ってきた自分も人のことは言えないな、と思いペローナはにやりと笑った。
その後、ゾロはどうにか仲間たちと無事に合流し、サニー号は慌ただしく魚人島へと旅立って行った。
ペローナ自身は、海軍の足どめに手を貸していたが、ミホークはただ黙って船を見送っていた。
「声くらいかけてやれば良かったんじゃねぇのか?」
「私が少しでも気配を発せば、あいつはすぐにそれを察知するだろう。それぐらいには鍛え上げたつもりだ。」
「まぁ、そうだろうな。」
「次にあいつと顔を合わせるのは、世界一をかけて剣を交わすときだ。」
「お前も、新世界に行くのか?」
「気が向けばな。」
そう言って、ミホークはサニー号が旅立った海を静かに見つめた。
その直後、二人のもとに1羽のカモメが飛んできた。
二人の頭上をぐるりと回ると、1通の手紙が空から降ってきた。
「何だ?」
手にとってみれば、そこには【ミホーク様、ペローナ様】と宛名が書かれていた。
開いてみれば、そこには一言
『最後まで、世話になった。』
と書かれていた。
「ばればれ、だったみてぇだな。」
そう言ってペローナがミホークに視線を送ると、ミホークは堪えきれないとばかりに声をあげて笑った。
「最後まで楽しませてくれる奴だ。」
二人の心の中には、いつの日かまた3人で顔を合わせる日のことがはっきりと描かれていた。
きっと、ゾロも同じことを感じていることを信じて。
END
というわけで、シャボンティ諸島での修行で強さと自信を身につけて新世界へと旅立つゾロと、それを家族のような温かな気持ちで見送るミホークとペローナ。2年の日々は3人の間に、仲間とはまた違う絆を作ったのではないかなぁと思いながら、書かせていただきました。
黒クマさん、リクエストありがとうございました。よろしければ作品にタイトルをつけてやってください。ご連絡、お待ちしています。