220000HIT お礼リクエスト作品 第11弾 

 今回のリクエストは、GDさんからのリクエストで「ゾロがノロウィルス」のお話です。

 素敵なリクエスト、ありがとうございました。

 よろしければタイトルを付けてやっていただけるとうれしいです。

 ご連絡、お待ちしています。

 

 

 

   No Title

 

 

 

それは、たまたま立ち寄った島を出発した翌日の夕食のときのことだった。

いきなり、ウソップが気分が悪いと言いだしたのだ。

それに続いて、ナミとロビンも不調を訴えた。

すぐにチョッパーが診察したが、みな腹痛と吐き気を訴えており、

「3人とも、何かおかしなものでも食べたのかな。」

と診断した。

「食あたりってことか?」

フランキーが問うと、

「症状から見ると、その可能性があるってこと。」

と答えた。

「まぁ、3人ともそんなにひどい症状じゃないから、2、3日安静にしていれば問題ないと思うよ。念のため、みんなも今日は早目に休んでね。」

そう言うと、薬を調合し始めた。

 

実際、3人ともそれなりに体力はあるので症状もあまり悪化することなく、今は部屋でぐっすりと眠っている。

他の仲間もチョッパーの指示もあって早く部屋に引き揚げたので、今、船で起きているのは朝食の仕込みをしているサンジと、見張り番のゾロだけだった。

それはいつもと変わりない光景のように見えたが、実際にはそうではなかった。

 

 

サンジは、スープストックを作りながら、先ほどから同じことばかりを考えていた。

「食あたり・・・か。」

レストラン時代から、食事を作るときには衛生面に万全の配慮をしてきた。

グランドラインに入ってからは、未知の食物に出合うことも多かったが、そんなときには自分の舌で必ず安全を確かめてから調理したし、立ち寄った島ではできるだけの情報を集めるように努めてきた。

今回だって、確かに新しい食材を仕入れはしたが、調理の仕方も確認済みだし、自分で毒見もしている。

アレルギーだというなら仕方がないかもしれないが、3人一度にというのはそうとは思えない。

「コック、失格だな、こりゃ。」

そう自嘲気味に言う。

もしかしたら、自分が調理した物ではなく島で食べたものが原因かもしれない。

自分はフランキーを連れて食材を仕入れに市場に行っていたので、3人の行動についてはよくわからない。

自分が作ったもの以外を口にするなと言うつもりはないが、それでも今回のことはサンジの心の中に重い影を落としていた。

 

「おっと、あいつの夜食、忘れてたな。」

ふと見張り番であるゾロのことを思い出した。

いつもなら、この時間になると酒を取りにキッチンにやってくるのだが、今日はまだ顔を出さない。

仲間が体調を崩している時だから、自重しているのだろうかとも思ったが、そんなタイプではない。

周りがあたふたしていても冷静に

「チョッパーが大丈夫だって言ってんだから、大丈夫だろ。」

と言っていつも通り晩酌するような奴だ。

「仕方ねぇな。」

冷蔵庫からいくつかの食材を取り出して、簡単な夜食を用意してサンジは見張り台へと向かった。

 

 

「おい、くそマリモ。寝てんじゃねぇだろうな。」

わざとトゲトゲしく言えば、

「んぁ?」

とゾロが訝しげな顔を向けてきた。

「ほら、夜食、持ってきてやったぞ。」

そう言ってトレーを持ち上げて見せると、ゾロは

「そこに置いといてくれ。」

と答えた。

「何だよ、珍しいな。酒も持ってきてやったってのに。」

「いいから、それはそこに置いて、ちょっとこっちに来い。」

珍しいことに、ゾロは酒よりもサンジに傍に来るように言ったのだ。

サンジは戸惑いながら、ゆっくりとゾロに近づいた。

 

「何か用か?」

問いかけたサンジの顔をゾロがじっと見つめた。

「ったく、こんなこったろうと思ったが、あいかわらずだな、てめぇは。」

はぁと大きくため息をつきながら、ゾロが言った。

「はぁ?何だよ、いきなり。」

「また、くだらねぇこと考えてただろ?」

そう言うと、ゾロはサンジの頭をこつんと指で弾いた。

「てめぇ、いきなり何するんだよ。」

「あいつらが調子を崩したのは、てめぇのせいじゃねぇ。そうはっきり言ってやらないと、てめぇは自分の腕も信用できねぇのか?」

直球で確信をついてきたゾロに、サンジは思わず目を見開いてしまった。

「あいつらが今日、何をしてたかてめぇは知ってるか?」

「俺はフランキーと一緒に食材を仕入れに行ってたから知らねぇよ。」

「だったら教えてやる。あいつらは3人とも一緒に行動してた。」

「そうなのか?」

「あぁ、間違いねぇ。だからあの3人だけ具合が悪くなったってことは、つまり・・・」

「島で何かあったってこと、か。」

「そう言うことだ。だから、いつまでもくだらねぇことでウダウダしてんじゃねぇよ。」

そう言って、ゾロらしいにやりとした笑みを見せた。

「別にウダウダなんてしてねぇよ、くそマリモ。」

サンジもまた、ようやく普段の調子を取り戻してにやりと笑って返した。

 

 

サンジはそのままキッチンに戻り、朝食の仕込みを済ませて男部屋に戻るついでにふと上を見上げた。

ゾロのいる見張り台はまだ明かりがついている。

しかしふと、何かが心に引っかかった。

さっきゾロは、ウソップ、ナミ、ロビンの3人が一緒にいたと言っていたが、それを見ていたゾロはどうなのだろうか。

ゾロも彼らと一緒にいたのではないか。

だとすれば、どうしてゾロは具合が悪くならなかったのだろう?

あいつは夕食のとき、どんな様子だっただろうか?

「まさか・・・」

ふと思いついてサンジは再びゾロのもとを訪れた。

案の定、先ほど差し入れた夜食には手をつけていない。

「ゾロ?」

と名前を呼び掛けてみるが返事はない。

よく見てみれば、ゾロは床に横になり、なぜか口に手ぬぐいをくわえている。

「ゾロ?」

近づいてもう一度名前を呼ぶと、ゾロは視線を寄越したもののすぐに何かをこらえるように目を閉じた。

「吐きそう、なのか?」

そう気づいてあわてて近くにあったバケツを差し出すが、ゾロはそれを拒む。

その理由が、サンジにはわかった。

コックである自分に気を遣っているのだろう。

 

今回、ウソップたちが体調を崩したのを自分の料理のせいだと思って落ち込んでいた自分。

そしてそれに気付いて、自分も具合が悪いのに、サンジに「お前のせいじゃない」と言ってくれたゾロ。

そんなゾロが、サンジの前で、サンジの作ったものを吐くことなどするはずがないのだ。

 

 

「てめぇこそ、くだらねぇこと考えねぇでさっさと吐いちまえ。」

そう言ってサンジがゾロの背中をさすってやると、ゾロはついに堪え切れずサンジが用意したバケツの中に嘔吐した。

「余計な気ぃ遣ってるんじゃねぇよ。」

そう言うと、ゾロは途端にすねたような表情になった。

「てめぇも今日、ナミさんたちと一緒にいたんだろ?」

ゾロは仕方ないという感じで頷いた。

結局、医務室にいたチョッパーに知らせ、薬をもらってゾロに飲ませた。

「そう言えば、さっきウソップが起きたときに話を聞いて、理由がわかったんだ。」

チョッパーがマスクをサンジに差し出しながら言った。

「何だったんだ?」

「昨日立ち寄った島で、突然具合が悪くなった子どもを介抱したんだって。その子もお腹が痛いって言って嘔吐していたって言うから、もしかしてと思って調べたら、やっぱりそうだったんだ。」

「そうだったって?」

「ノロウィルス。」

「ノロウィルス?」

「そう。胃腸系の症状を引き起こすウィルスで、嘔吐物なんかから感染しやすい。」

「それで、みんな?」

「うん。」

原因がわかれば、後は治療するのみだ。

チョッパーが効果的な薬を調合したので、ゾロの症状も直に落ち着くだろう。

「サンジにも心配、させちゃてごめんね。」

「別に、気にしてねぇよ。」

「良かった。あっ、でももしかしたらサンジも感染したかもしれないから気をつけてね。もし具合が悪くなったら、すぐに言ってよ。」

「あぁ、わかった。これ以上病人が増えたら困るもんな。」

「そうだよ。もし今、敵襲があったら大変だもんね。」

 

 

チョッパーの薬が効いたのか、4人ともすぐに元気になり、船は日常を取り戻した。

しかし、コックである自分を気にかけてくれたゾロのことを意識し出したサンジは、自分の心に芽生えた何やら温かな気持ちには、まだ気づいていない。

 

 

 END

 

 

 

 

 

今回は、ゾロがノロウィルスという設定をOPENにしておりました。普段なら詳細は控えておくところなのですが、第10弾が弱りゾロがテーマだったので、今回はそれ以外に焦点を当てて書かせていただこうと思いまして、今回はリク内容を公開しておりました。具合が悪くても仲間のことを優先するゾロ、いかがでしたでしょうか。

リクエストしていただいたGDさん、素敵なリクエストありがとうございました。

    

       

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