220000HIT お礼リクエスト作品 第5弾 

 今回のリクエストは、「ゾロとボニーちゃんのお話」です。ボニーちゃんはこのサイトでは初登場なので、まだうまく特徴がつかめていない感じなのですが、心をこめて書かせていただきました。

 リクエスト、本当にありがとうございました。リクエストしてくださった方、よろしければタイトルをつけてやっていただけるとうれしいです。ご連絡、お待ちしています。

 

 

 

 

  No Title

 

 

「お前、成長してねぇな。」

ひと目見るなりそう言い放った男に、ボニーは怒りを覚えた。

しかし、ふと思い出した。

2年前、天竜人のことを知らなかったとは言え、無謀にも彼らに立ちはだかり、これまで誰もが触れずにいたこの世界の醜い部分にまるで臆することなく立ち向かった、この男のことを。

 

 

 

2年前。

シャボンティ諸島に、ルーキーと呼ばれる海賊たちが集まった。

新世界を目指すためには、ここで船をコーティングする必要があるからだ。

しかし、1億超えの海賊がこんなにも多く集結することなど、そうそうあることではない。

さらにそこは、天竜人は居住するマリージョアのお膝下でもあった。

街の中は我が物顔で天竜人が闊歩し、人間や魚人たちが彼らに逆らわず生きていた。

誰が撃たれようと、殺されようと、見ないフリをするしかない。

そんなときに、何も知らなかったらしい男が何を思ったのか、堂々と天竜人の前を横切り、それどころか刀を向けようとしたのだ。

それがルーキーの一人、麦わらのルフィが率いる海賊の副船長であり、自らも1億を超える剣士、ロロノア・ゾロだった。

 

最初はただのバカだと思った。

この世の中、天竜人に逆らうことなど、あり得ないことだ。

海賊には海賊なりの暗黙の了解があり、新世界へと船を進めるためにはこの島では海軍大将を呼び寄せるような派手な振る舞いをしない、ということくらい誰だって知っているはずなのだ。

それなのにこの男は、天竜人の振る舞いを無視するどころか、当たり前のように歯向かい、殺気を放ったのだ。

それも、見ず知らずの人間のために。

 

案の定、その後は海軍の大将「黄猿」や、パシフィスタが数台現れ、島は大混乱に陥った。

麦わら海賊団は、バーソロミュー・くまによってこの島から姿を消された。

船長である麦わらだけが兄のエースを救うために世界政府と戦ったが、他の仲間たちも含めてそれ以降の消息は全くわからず、全員殺されたのではないかとまでささやかれていたのだ。

 

それがなぜ、今、ここにいるのだろうか。

何もなかったかのように自分に声をかけてきたのだろうか。

ボニーは混乱していた。

 

「今まで、どこに?」

かろうじてそう尋ねると、ゾロは

「修業。」

と簡潔に答えた。

自分がどこにいて、なぜここにいるのかなど、大した問題ではないとばかりの答えに、ボニーは面白くない表情を見せた。

「何か用かよ。」

ふてぶてしくそう言えば、ゾロは途端に照れたような表情を浮かべた。

「・・・こと、・・・だよ。」

小さな声で呟いた言葉が聞き取れなくて、ボニーは思わず

「あぁ?」

と聞き返した。

「礼を言ってなかったことを思い出したんだよ。」

予想外の言葉に、ボニーは驚きを隠せない。

しかし、そう言えばこの男は、海賊のくせにかけらもためらうことなく人助けをするような男だったと思い出し、どれだけ義理がたい男なのだと呆れた。

 

「飯でも行くか?」

そうさらりと言われ、気がつけばボニーは頷いていた。

先を行くゾロの後に続いて、とぼとぼと歩いて行き、1軒の店に入った。

田舎の食堂のような店で、ゾロは当たり前のように酒を頼み、適当に料理を頼んだ。

自分の二つ名である「大食い」を知らないはずなのに、テーブルの上にはあふれんばかりの量の料理が並んだ。

「好きに食ってくれ。」

そう言うなり、目の前のボニーを特に気にすることなく、ゾロは自由に酒を飲み、料理に手を付けた。

つられるようにボニーも料理に手を伸ばしたが、正直、今までで一番少ない量しか食べなかったのではないかと思うくらい、食べ物が喉を通らなかった。

しかしゾロはそんな様子には全く気付いていないようだった。

結局、テーブルの上の料理と酒を一人で片付け、会計を済ませるとさっさと席を立った。

ボニーも、慌てて後を追うようにして店を後にした。

 

 

ゾロは振り返ることなく歩き続けていたが、あまり人通りのないところまできてようやく足をとめた。

その理由がわからず、ボニーもつられるようにして足を止めた。

ゾロは振り返ることなく話し始めた。

「あのときは、本当に助かった。ありがとな。」

照れているのか、ぶっきらぼうな話し方が彼らしいと思いながら、ボニーは黙って聞いていた。

「グランドライン前半を楽園と呼ぶ奴がいるって言うが、本当に冒険がしたい、強くなりたいって奴から見れば、きっと新世界の方が楽園だと思う。お前も、ルーキーと呼ばれ、海賊としてワンピースを目指してるってことは、そう思ってるんだろう?」

ゾロは、ボニーのことをよく知りもしないだろうに、そう聞いた。

それでもやはり、ボニーは

「あぁ。そうだな。」

と当たり前のように答えた。

「どんなに辛くても、欲しいと思ったものは手に入れるまであきらめない。だろ?」

「そうだ。」

ゾロのその言葉が、すんなりとボニーの胸に落ちた。

簡単には、あきらめない。

海賊を名乗る以上、海軍だろうが、海賊狩りだろうが、他のルーキーだろうが、誰にも自分の邪魔はさせない。

ただ、自分の目指す道を進むだけだ。

 

「また、会おう。」

そう言うと、ゾロは振り返ることなく歩き出した。

ボニーはその背中を、黙って見送った。

 

 

 

そして、ボニーは目を覚ました。

気がつけば、船の中だった。

そうだ、自分は今、赤犬が乗ってきた海軍の軍艦に乗せられているのだ。

新世界に入って早々に黒ひげに遭遇し、結局こうして海軍の手に落ちたのだ。

でも、心は落ち着いていた。

きっとそれは今まで見ていた夢のおかげだろう。

海賊のくせに、ちっとも海賊らしくなく、それでもどこまでも海賊らしい男。

あのとき、見ず知らずの相手を助けた男のことが、心のどこかで引っかかっていたのだと、夢を見て初めて自覚した。

それでも、気分は悪くなかった。

いつか、またあの男に会いたい。

そう思えば、今、あきらめる訳にはいかないのだ。

 

食欲の落ちる自分など、想像もつかないが、それでもいつかあの男と一緒に・・・そう考えて、ボニーは笑った。

 

欲しいものは、自分で手に入れる。

改めてそう決意したボニーだった。

 

 END

 

 

 今回のリクエストは、「ゾロとボニーちゃんがどこかの島で偶然に会って、そのままデートしてしまうお話。」というものでした。見知らぬ男を迷いなく助けるゾロを気にしていたボニーちゃんが、改めてお礼なんてされたら、さすがの食欲も落ちるんじゃないかなぁと想像して書かせていただきました。

素敵なリクエスト、ありがとうございました。

 

    

       

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