250000HIT お礼リクエスト作品 第2弾 

 今回のリクエストはベンゾロのお話とのことでしたので「社長の秘密」シリーズで書かせていただきました。

 リクエストしてくださったかりんさん、素敵なリクエスト、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 社長の秘密 6

 

 

  

海賊製菓の社長であるゾロは、あいかわらず仕事中心の慌ただしい毎日を送っている。

2月のバレンタインデーを終え、ホワイトデーまでのつかの間の休息。

今日は、ゾロにとっては久しぶりの丸々一日の休暇だ。

本当だったらベンを誘って温泉にでも行きたいところだったのだが、あいにくベンは出張中で、ここ3日ほど会えずにいる。

それなら部屋の掃除でも少し力を入れてやろうかと思ったのだが、ふと思いついてクローゼットの中をごそごそと漁り、一つの箱を取り出した。

「これ、これ。」

予想通りの場所にあったことに満足しながら、ゾロはその箱を開けた。

中に入っていたのは、20個以上のキーホルダーだった。

 

 

今は携帯電話に着ける根付やストラップの方が一般的だろうが、一昔前、自分がまだ幼い頃は、キーホルダーは土産物の代表格のようなものだった。

仕事でいつもあちこち飛び回っていた父親であるシャンクスが不在なときは、いつもベンが様子を見に来てくれた。

でも、ベンだって当然忙しい訳で、時には出張に出ることもあった。

「お独りで大丈夫ですか?」

そう聞かれれば、

「大丈夫だよ。」

という答え以外口にすることができなかった自分と

「できるだけ急いで帰ってきますが、何かあれば遠慮なく電話してくださいね。」

と言い残して出かけていったベン。

そして帰ってきたときには、子どもが好きそうなお菓子とキーホルダーをくれた。

「何か困ったことはありませんでしたか?」

「大丈夫だよ。」

そんなお決まりの会話を交わしてお土産を受け取る。

寂しいと言えなかった自分と、そのことを自覚させないように気遣ってくれたベン。

「そりゃあ、好きになっちゃうよな。」

そう呟いて、箱をそっと撫でた。

 

 

 

ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴った。

(誰だろう?)

そう思ってインターホンのカメラを確認すると、ベンが立っていた。

「ちょっとよろしいでしょうか。」

「うん、今開ける。」

そう応えて、ゾロは鍵を開けた。

 

「こんにちは。」

ちょっとよそよそしい声でベンが声をかけた。

「何か、あった?出張は?」

「いえ、何かあった訳ではありません。出張は無事に終わり、今朝こちらに帰ってきました。」

「そう、お疲れ様。」

ゾロがそう言うと、ベンはふと床に置かれていた箱に気がついた。

「これは?」

「あぁ、さっきたまたま見つけて。」

そう言ってゾロは箱を持ち上げると、中身をベンに見せた。

「覚えてる?」

「もちろんです。」

「たくさん、あるよな。」

ゾロは、ただ思ったことを口にしただけなのだが、その言葉を聞いたベンが途端に難しい顔になった。

「・・・ごめん。」

思わずゾロは謝罪の言葉を口にしてしまう。

「どうして謝るんだ?」

ベンは厳しい表情を崩さないまま、そう問いかけた。

「だって、俺にとってはこのキーホルダーは宝物だったけど、でもベンにしてみたら忙しい出張の合間に買ってこなきゃならない、面倒なものだったのかなって思って・・・」

そう言って、ゾロはキーホルダーの入っていた箱を愛おしそうに撫でた。

「本当にそうか?」

その様子をじっと見ていたベンが重ねて問う。

「えっ?どういう、意味?」

「このキーホルダーが宝物だったって。」

「うん。出張してたベンが、少しでも俺のこと、思ってくれてたっていうのがわかって、うれしかったから。」

「まったく・・・」

そう言うと、ベンはいきなりゾロの身体をぎゅっと抱きしめた。

「えっ。」

その拍子に、ゾロが持っていた箱がカタンと音を立てて床に落ち、入っていたキーホルダーが散らばった。

「ベン?」

「どうしてお前は・・・まったく。」

どうしてベンがいきなり自分を抱きしめる展開になっているのかがわからず、ゾロはただ戸惑うばかりだ。

「ベン、どうしたの?」

「俺はまだお前に寂しいという言葉すら、言わせてやれていないのかと思うと自分が情けなくなる。」

「そんなこと、ないよ。」

「いや。ゾロ、寂しいって言わせてやれなくて、ごめんな。」

「ベン・・・」

「俺じゃあお前の亡くなった母親やシャンクスの代わりにはなれないが、それでも、少しでもお前を笑顔にしてやれればと思っていた。」

そう言うとベンはゾロから身体を離し、ポケットの中をごそごそと漁った。

そして小さな袋をゾロに差し出す。

「何、これ。」

「成長がなくて、悪いな。」

ゾロが中身を確認すると、そこにはキーホルダーが入っていた。

「昔も、今も、芸がないな、俺も。」

「違うよ、ベン。俺はベンのこと、母さんやシャンクスの代わりだなんて思ったことなかった。いつだって、ちゃんと、ベンが俺のところに来てくれるのを待ってたんだ。昔も、今も。」

そう言うと、今度はゾロからベンに抱きついた。

「もう、いいよね。」

「何がだ?」

「お互い、もう素直になっていいよねってこと。」

「素直に、か。」

「そう。俺はシャンクスを待つのとは別の気持ちでベンを待ってた。正直に言うと、今日だってベンがいないから、キーホルダー出して、眺めてた。」

「俺は、昔は出張中にお前が泣いてるんじゃないかって気になってた。今は、お前の傍に誰か違う人間がいて、そいつの所に行っちまうんじゃないかって心配してる。」

「そんなこと、あるはずないのに。」

「それは、わからないだろ?これだけ年も離れてるし。」

「もしかして、年の差、結構気にしてた?」

「気にならないと言えば、嘘になるな。」

「そうなんだ。俺は、昔の方が気にしてたかな。いつまでたっても子どもにしか見てもらえないなって思ってたから。」

「こうやって、話すのも悪くないな。」

「うん。今日は家でのんびり過ごそうか。」

「あぁ。」

 

出張で離れていた時間を、二人はゆっくりと穏やかに埋めていく。

 END

 

 

ということで、今回は社長シリーズのベンゾロのお話で書かせていただきました。

意地っ張りゾロと、優しすぎるベンというのを今回のテーマでした。

おじさまたちに愛されるゾロを好きだとおっしゃってくださる皆様が、少しでも喜んでくだされば幸いです。 

かりんさん、素敵なリクエスト、本当にありがとうございました。

 

 

    

       

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