250000HIT お礼リクエスト作品 第3弾 

 今回のリクエストはオールキャラのお話とのことでしたので「仲間」シリーズで書かせていただきました。弱りゾロのお話です。

 リクエストしてくださったかヤスさん、素敵なリクエスト、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 仲間 9

 

 

食堂に集まって昼食を取っていると、ふとルフィが食事の手を止めて

「今、何か聞こえなかったか?」

と言った。

「別に、何も変わった音は聞こえなかったけど。」

「このうるさい食堂の中だもんな。」

周りの仲間たちには特に変わった物音は聞こえていなかったが、それでもルフィの野生の勘は侮れないことをみな知っている。

「ルフィ、どんな音が聞こえたのかしら?」

「んーん、声?うん、声だ。」

そう言うと、残っていた料理を慌てて流し込み、立ち上がった。

「行ってくる。」

そう言って、すぐに立ち去ろうとするのをサンジが慌てて止める。

「おいおい、ちゃんと説明していけ。どこに行くんだ?」

「ゾロんとこだ。」

「ゾロの所?」

「今の、ゾロの声だと思う。今日、まだ来てねぇし、何かあったのかもしれねぇからな。」

ルフィの言葉にみな、以前ゾロが松葉杖をついて登校してきた姿を思い浮かべた。

「誰か、ゾロから連絡は?」

みな揃って携帯電話をチェックするが、誰のところにも連絡は入っていない。

ウソップがゾロの携帯に電話をしてみるものの、電源が入っていないのか通じない。

「行ってみるか。」

「そうね。」

結局、午後から授業がない、または自主休講にしても問題ないというルフィ、サンジ、ナミ、ウソップの4人がゾロの家を訪ねてみることにした。

 

 

アパートに着くと、すぐに部屋のチャイムを鳴らしてみたが、反応はない。

ドアノブを回してみても、鍵がかかっていて、開かない。

「確か、1階に大家さんがいるんだったわよね、このアパート。」

ナミが思い出してすぐに大家の部屋に向かう。

「友達と連絡がつかなくて。」

と心配そうな表情で話せば、以前からナミたちがたまに遊びに来ていたのを知っていたからか、大家さんは意外にもあっさりと合い鍵を貸してくれた。

「さすが、ナミさん。」

サンジがそうほめると、

「まっ、ざっとこんなものよ。」

そう言って、ナミは早速カギを開けた。

カチャリ。

ロックが外れる音がして、鍵が開いた。

念のため、ゆっくりと扉を引く。

部屋の中はカーテンがかかったままなせいか、どことなく暗い。

「ゾロ、いないのか?」

ルフィが声をかけ、返事を待たずに部屋へとあがる。

「ゾロっ?!」

先ほどまでのどこか呑気な声色が、急に緊迫感を帯びた。

ドタドタと慌てて部屋の奥へと駆け込むんだルフィの後を追うように、他の3人も部屋へと入って行く。

そこで見たのは、床に倒れているゾロだった。

なぜか、口にタオルを銜えている。

「強盗?」

状況がわからないので、ナミはそう言ったが、別に猿ぐつわをされているわけではない。

ふと、理由に思い当たったサンジが急いでウソップに指示を出す。

「ウソップ、洗面器持ってこい。」

そして、さっとゾロに近づき、ゆっくりと額に触れる。

ゾロはぐったりとしていて、サンジが触れても、ほとんど反応を示さなかった。

「少し、熱っぽいがそれほど高くはねぇな。ルフィ、手、貸せ。」

「おう。」

「いきなり動かすなよ。ゆっくりだからな。」

「タオルは?」

「洗面器が来るまで、そのままにしておけ。」

サンジとルフィがゆっくりとゾロの身体を動かしたが、その拍子にゾロが口にくわえていたタオルをぎゅっと噛みしめた。

「大丈夫だ。もうちょっとだからな。」

サンジが宥めるように声をかける。

何とかゾロの上半身を起こしたところで、自分の身体に寄りかからせる。

「ナミさん、すいませんが冷蔵庫に水がないかどうか、見て来てもらえませんか?」

「わかったわ。」

そこへ洗面器をもったウソップが戻ってきた。

「これでいいか?」

「あぁ。こっちにくれ。」

ウソップから洗面器を受け取ると、それをゾロの傍において改めてゾロに話しかける。

「ゾロ、吐けそうなら吐いていいからな。タオル、取るぞ。」

そう言うと、ゾロがくわえていたタオルに手をかける。

ゆっくりとタオルを抜き取ると、それをルフィに渡した。

「新しいのを、取ってきてくれ。」

そう指示し、ゾロの前に洗面器を置く。

「どうだ?吐けそうか?」

背中をさすりながらそう声をかけるが、意識が朦朧としているのか、返事はない。

「サンジくん、水はないみたい。ビールしか冷蔵庫になかったわ。」

「そうですか。」

「コンビニで買ってこようか?」

「いえ、身体を起こすのに慣れてきたら、病院に連れていきます。」

「救急車は?」

「ここからなら、病院まで背負って連れて行った方が早いですから。」

「そう。じゃあ私が先に病院に行って、先生に連絡しておくわ。」

「お願いします。」

ナミが一足先に病院に向かった。

「ゾロ、大丈夫か?」

ルフィが心配して声をかけると、ゾロは朦朧としながら

「気持ち悪ぃ。」

と力なく応えた。

「病院、行くぞ。」

サンジが声をかけると、ウソップがどうやって連れていくつもりか尋ねた。

「俺が背負う。」

サンジは迷うことなく言った。

普段は、男連中には素直な優しさを見せないサンジだが、本当は性別にかかわらず相手に尽くせる人間なのだということが、こういうときによくわかる。

「辛いだろうけど、ちょっとの我慢だぞ、ゾロ。」

ルフィが安心させるように、ゾロの頭を優しく撫でた。

新しいタオルを改めて口にくわえさせ、サンジがゾロの身体を背負う。

ルフィとウソップが部屋の鍵をかけたり、荷物を持ったりしてサポートしながら、どうにか病院へと運び込んだ。

 

「こっちだよ。」

待っていたのはチョッパーだ。

ゾロたちの後輩であるチョッパーの実家は、医者なのだ。

案内されるまま診察室に入り、ゾロを診察台の上にゆっくり下ろす。

すぐに待っていたドクターが診察をしてくれた。

「急性胃腸炎だな。」

「胃腸炎?」

「まぁ、疲れて体力が落ちていたせいで、症状が悪化したんだろう。」

ドクターがそう説明する。

「脱水症状を起こしているから、今、点滴を打っとる。それが終われば帰っていいぞ。」

呑気に説明され、やっと仲間たちの緊張が解けた。

 

「最初に、タオルくわえて倒れてる姿を見たときは、どうしようかと思ったけどな。」

「本当よ、もう心配かけて。」

「それにしても、やっぱりルフィの野生の勘はすげぇな。」

「そうね。じゃ、行ってくるわ。」

「えっ、どこに行くんだ?」

「買い物よ。あの冷蔵庫の中身じゃまた脱水症状起こすもの。スポーツドリンクでも仕入れてくるわ。」

「俺も行く!」

それまで心配そうにゾロに付き添っていたルフィも、安心したのかいつもの元気を取り戻し、ナミにくっついて買い物に出かけた。

「俺は、先に部屋に戻ってベッド、片付けしとくな。」

ウソップも気を利かせて、支払いを済ませると先にゾロの部屋に戻ったので、結局、残されたサンジがゾロの点滴が終わるまで付き添った。

 

「終わったぞ。」

点滴の針を外すと、ゾロが目を覚ました。

「気分はどうだ?」

ドクターが声をかけると、

「だいぶ、マシ。」

とまだ力ない声ではあったが、ゾロはしっかりと応えた。

「水分をしっかりとること。しばらくは、消化の良いものだけ口にして、薬を飲め。症状が落ち着いたように思えても、薬は最後まで残さず飲めよ。」

「はい。」

「では、帰っていいぞ。」

そう言われて、ベッドから起き上がったゾロだが、そこでふと隣にいたサンジに気付いた。

「俺、どうやってここに来たんだ?」

「覚えてねぇのか?」

「あぁ。」

「まぁ、帰るときになりゃわかる。落ち着いたら、帰るぞ。」

「おう。」

少しおぼつかないものの、点滴でだいぶ体調が落ち着いたゾロは何とか自力で病院の玄関まで来る。

「支払いは、先に帰ったお友達が済まされましたよ。お薬も、渡してあります。」

と看護師が教えてくれ、サンジが

「ウソップだな。」

と告げた。

「あいつもいたのか?」

「あぁ。ナミさんとルフィもだ。今は、飲み物買いに行ってる。」

「そうか。面倒、かけたな。」

「まだだ。」

「まだ?」

「俺には、もう一仕事、残ってるからな。」

「もう一仕事?別に、後は家に帰るだけだから、どうにかなる。」

「いや、無理だな。」

「なんでだよ。」

ゾロが、いかにも納得いかないといった表情で問うと、サンジが足元を指差した。

「ここまで、背負ってきたから、お前の靴はここにはねぇ。」

そう言われて、ようやく思い当たったらしい。

「だったら、スリッパでも借りて帰る。」

「無理すんな。そんなふらふらした足取りで帰ったら、どんだけ時間がかかるかわからねぇ。おとなしく、帰りも俺の背中に乗れ。」

「マジで、言ってるのか?」

「当たり前だ。さ、帰るぞ。」

そう言うと、サンジは嫌味っぽくにっこりと笑い、ゾロの前に立つ。

ゾロは、仕方がないとあきらめてサンジの背中に負ぶさった。

「素直でよろしい。」

そう軽く応えたサンジが、しっかりとした足取りで歩き出した。

 

 

「お前、結構、力あるんだな。」

照れているのか、顔を下げているゾロのすこしこもった声が聞こえた。

「コックさんをなめんな。料理ってのは、結構力仕事なんだよ。」

「そっか。」

「お前は、案外軽いぞ。」

「うるせぇな。でも、お前の飯食うようになったら、これでも増えたんだ。」

「そっか、そっか。」

「ありがと、な。」

ゾロの精いっぱいの声が聞こえて、サンジの表情が自然とほころんだ。

「早く、元気になれよ。」

そう言うと、気合いを入れなおしてアパートに向かった。 

 END

 

 

オールキャラで、ゾロが胃腸炎になるお話とのことでしたので、今回はパラレル「仲間」設定で書かせていただきました。

ゾロのピンチが本能でわかるルフィ。

要領よく問題を片づけるナミ。

さりげなく気がきくウソップ。

そして、頼りになる男サンジのキャスティングでお送りしました。

お誕生日にお祝いできなかったので、今回はサンジくんのポイントUPということで。

ヤスさん、素敵なリクエストをありがとうございました。

 

 

    

       

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