250000HIT お礼リクエスト作品 第6弾 

 今回のリクエストは「子ゾロのお話」でしたので、以前書かせていただいたわんぱく子ゾロのお話を書かせていただきました。

 リクエストしてくださった方、このたびはリクエストどうもありがとうございました。

 

 

 

 

  わんぱく子ゾロの物語   

 

 

【いってきます】

そう書かれた手紙を残して、ゾロは家を出た。

わずかなお小遣いを入れた財布とお菓子、そして愛犬キテツのえさを入れたリュックを背負っていた。

「キテツ、行くぞ。」

そう声をかけられると、普段なら散歩に行けるのかと思って大喜びでしっぽを振りながら近づいてくるキテツも、ゾロのただならぬ雰囲気を感じ取っているのか、ずいぶんとおとなしい素振りだ。

それでも、ゾロの決意は変わらない。

ぐっと唇を噛みしめると、ゾロはキテツをつないだ紐をしっかりと握りしめて家を出て行った。

 

 

そもそも、なぜゾロが一人で家を出ることになったのか。

それは昨日、土曜日の出来事が始まりだった。

「あら、この人。」

パソコンでニュースのチェックをしていたゾロの母親が聞き覚えのある名前を見つけて、ふと声をあげた。

そばでテレビを見ていたゾロは、何事かとパソコンのスクリーンを覗き込んだ。

「おじさんだ!なぁ、おじさん、どうしたんだ?」

ゾロがそう言って、母親にニュースの内容を詳しく教えてくれるようにせがんだ。

「ちょっと待ってよ。どれどれ・・・」

記事によると、大剣豪ことジュラキュール・ミホークが、タクシーでの移動中に交通事故に巻き込まれ、病院に運ばれたとのことだった。

「俺、お見舞いに行く!」

「何言ってるのよ。どこに病院かもわからないでしょ。」

「それでも未来の大剣豪として、おじさんのお見舞いをしたい。」

「そんなに簡単にはいけないのよ。この記事にも、怪我は軽かったって書いてあるから、もう退院してるかもしれないし、あんたが行ったところで何もできないわよ。もうこの話はおしまい。」

そう言うと、母親はゾロとの話を切り上げ、パソコンをシャットダウンした。

 

しかし翌朝、起きて来た母親が目にしたのは、【いってきます】というゾロの書き置きだった。

(やられたわ・・・)

思わず頭を抱えた。

(昨日、おとなしく引き下がったと思ったら、これだわ。あの迷子を捜すことを考えたら、適当な病院にでも連れて行っておけば良かった。)

そう後悔しても、もう遅い。

とりあえず、ゾロの取りそうな行動を予想して、捜索を開始した。

 

 

一方、ゾロはその頃、キテツと共に駅に向かって歩いていた。

ゾロの家から駅までは子どもの脚では、歩いて30分はかかる。

しかし、以前コウシロウ先生から教えてもらったミホークの道場へは電車でしか行けないということを、ゾロは知っていたのだ。

ただ、問題は家を出てから1時間以上たっても、駅が見えてこないことだった。

「キテツ、駅はどっちかお前、わかんねぇのか?」

ゾロがそう言ったが、キテツはワンと小さめに吠えただけで、そのまま歩いている。

「もしかしてお腹空いて機嫌悪いのか?次に公園があったら、そこで休憩だな。」

そう言ってさらに30分ほど歩いたところで、とりあえず休憩できそうな公園を見つけた。

「ここで休むか。」

リュックの中からキテツのえさを取り出し、差し出した。

「喉も乾いたよな。」

自動販売機で水を買うと、片手を丸めてそこに水をため、キテツに差し出した。

ぴちゃぴちゃと音をたてながら、キテツは水を飲んだ。

「駅はどこにあるんだろうな。」

ぽつりとゾロが呟いた。

ミホークのお見舞いに行こう、そう思っただけなのにこんなにぐるぐると歩きまわるだけで、駅にも行けない。

そんなゾロの不安な気持ちを感じ取ったのか、キテツが不安そうな目でゾロを見ていた。

こんなにも心細そうなキテツの姿を見るのは初めてだ。

「ごめんな・・・」

そう言ってキテツを抱き上げる。

そのぬくもりがあまりにも優しくて、ゾロは思わず泣きそうになった。

 

 

「ロロノアくん!」

いきなり自分の名前を呼ばれて、あわてて顔をあげてみればそこにいたのはミホークだった。

「おじさん?」

「良かった、見つかって。」

「見つかった?それよりおじさん、大丈夫なの?」

「何が大丈夫なんだ?」

「だって、事故にあったってニュースに書いてたから、だから俺、お見舞いに行こうと思って。」

「そうか。それは心配をかけたな。でも大丈夫だ。ロロノアくんこそ、大丈夫か?」

「俺?」

「泣いていただろう?」

「泣いてない。」

「そうか。とりあえず家に連絡を入れるぞ。」

そう言うと、ミホークはゾロの家に電話を入れた。

「さぁ、帰ろうか。」

「うん。」

近くに止めてあったミホークの車に乗り、ようやくゾロは家へと帰ることができた。

 

 

 

「何やってるのよ。ミホークさんにまでご迷惑をおかけして。」

車を降りるなり、そう母親に怒られゾロがしゅんとなる。

「ロロノアくん、心配しましたよ。」

気付けば、コウシロウ先生も玄関にいた。

ゾロがいなくなったことに気付いたゾロの母からコウシロウ先生に連絡が入り、念のためにとミホークの道場に連絡を入れたところ、コウシロウ先生もミホークも、一緒にゾロを探してくれたとのことだった。

「まずは、心配かけた皆さんに、ちゃんと謝りなさい。」

「はい。おじさん、コウシロウ先生、ごめんなさい。」

「大体、誰にも連絡しないで、どうやって行くつもりだったのよ。せめて駅までの道を覚えてから出かけなさい。」

「わかった。」

 

こうして、ゾロの小さなお出かけは終了した。

自分の見舞いに来ようとしていたという話にミホークがいたく感動したということや、1時間30分以上歩きまわったにもかかわらず、結局は家から1キロほどしか進めていなかったことは、大人たちだけの秘密だ。

 

 

 END

 

 

 

ということで、久しぶりにわんぱく子ゾロのお話を書かせていただきました。

このゾロは天真爛漫と言いますか、無鉄砲と言いますか、とにかく元気な雰囲気を欠かさないようにと思って書いております。

彼のそんな明るさに振り回されつつ、癒される大人たちの姿を皆さんにもお楽しみいただければ幸いです。

このたびは素敵なリクエスト、本当にありがとうございました。

 

 

    

       

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