米ソの軍事バランスを大きく崩す、思考誘導武器システムを装備したソ連の最新鋭戦闘機ミグ31<ファイアフォックス>。この情報をもとにSIS特殊工作部長オーブリーは、ソ連機に精通した西側のパイロットをソ連の奥深く進入させ、彼らの鼻先からミグ31を掻っ攫うという突飛な作戦を立案、米空軍パイロット、ミッチェル・ガントに託されることになるが・・・。
昔クリント・イーストウッド主演で映画化されてTVでは観たはずだが、その印象はなんにも残っていない。ガントはびくついて神経質な印象(状況を考えると当然だが)の男なので、イーストウッドとはうまくイメージが重ならない気がする。
展開はというと、前半が密入国からビリアルスクの工場にあるミグ31奪取まで。後半は奪取からソ連領内を出るまでという大きな括りだ。前半もなかなかスリルに満ちた潜入作戦が進行するが、まあそれは本書の特色ではない。わたしなどは一歩ひいたところから見てしまうと、つまらない国家間エゴのために膨大な国費と工作員の命が費やされていくのは、エンターテインメントと割り切っていても、どうにもひっかかりを感じて楽しみも半減してまうが、後半ミグ31を奪ってからの脱出作戦、特に最大懸念事項であるソ連領内での燃料補給をどうするのかというサスペンスは、これはなかなかハラハラで読ませる。
それに比べると、ラストのファイアフォックス同士の空中戦も+αってところか。
思考誘導武器システムの見せ場が用意されているのだが、こんなもの危なっかしくてとても使いもんにならないような…。
しかしこの時代のスパイ小説を読むと、後に書記長として表の世界に出てきたアンドロポフが、KGB議長として出てくることが多くて不気味だ。
続編に「ファイアフォックス・ダウン」という続編があるようだが、個人的にはガントのその後より、最初自信満々で足元を見事にすくわれてしまった、不運なKGB“M”局局長、コンタルスキーがどうなったのか知りたいとこだ。
(2012/10/21改訂) |