§§ えっ、ハーレクイン? §§
今年は例年になく劇場で映画を観ていてヤバイ。
CG時代になっての初ターザンである。
ディズニーの「ジョン・カーター」が、映画の出来はなかなか良かったというのに大ゴケという世間の不条理を知ると、バローズファンとしては、観に行かないわけにいかないではないか。
自慢じゃないが、ハヤカワ文庫から出たターザンシリーズはすべて持っているし、ついに邦訳されなかった数冊のうち2冊は原書で所持してるのだ。まだ読んでないが。【注1】
わたしが行かずんば誰が行く!というくらいの義務感があった。
もとより映画に、原作への忠実度なんて期待してないが、冒頭のオパルに始まって、ターザンはグレイストーク卿として英国にいるので、おっ「ターザンの復讐」に結構忠実? なんて思っちゃったが、すでにジェーンとは結ばれていることに始まり、やっぱり好き勝手やっていた。映画なんだから良いのだが、原作ファンは、オパルが出てきた時点で、どんな美女がラーに扮するんだ?と想像した筈で、そして彼らは(わたしも)がっかりだ。
まぁバローズ作品の女性に大した個性のキャラはいなくて、ヒロインはほぼ攫われるだけである。それ以外の女は、(ヒーローのヒロインに対する)踏絵的な役割で出てくるか、あるいは危機に瀕した主人公が助かるためのギミックとして配置されるだけ。つまりあくまでヒーローの行動理由を作るため、言い換えれば、悲しいかな彼を目立たせるだけの存在である。だから、特に日本のバローズファンがどの登場人物(♀)が好きだと言う場合は、ほぼ武部本一郎の表紙/挿絵に魅かれたのだろう。
脱線してしまったが、本作のジェーンはなかなか能動的で、自分で行動しようとしていたので、その演出は悪くはない。
ただし彼女の一番重要な役回りはやっぱりターザンの圧倒的な行動力とパワーをひき出すことにあるのは絶対で、あまり前へは出られず、それゆえさほど強い印象も残せない。驚くのは、そんなジェーン役のマーゴット・ロビーが、「スーサイド・スクワッド」ではハーレ・クインを演ってる事だろう。名前を二度見したよ。さすが女優というべきか。印象がまるで違う。
さて、肝心のターザンだが、(今回の映画に合わせて作り込んだのだろう)その身体の美しさにはほれぼれした。スーツを着ても似合うのがさすがだ。シュワちゃん系のマッチョではああはいかない。
アレクサンダー・スカルスガルドという役者が、“世界で最も美しい顔”の常連と言われる基準はよく解らないが、
全体的に映画の暗めのトーンといい、「グレイストーク -類人猿の王者- ターザンの伝説」のクリストファー・ランバートのイメージに近い気がする。なんとなく泣き顔が多い。
ところで、本作の売りはやはり冒頭に書いたように、CGでほぼなんでも表現できるようになっての実写映画ということだろう。【注2】
本作のライバル作品「ジャングル・ブック」はモーグリ以外フルCGとの事なので、あちらほどではないにせよ、本作もCGで大量に処理されていて、パンフの情報によると、メイン舞台となるコンゴのロケは空撮のみだという。
つまり俳優陣はアフリカに行くことなく…?
ということになるが、雄大な大自然の迫力は期待以上だった。
今回はパンフを買ってしまったので、そちらからのネタが多いが、本作のストーリー上の背景に、ベルギーのレオポルド二世によるコンゴ統治の史実が使われていて、またメイン・キャラ5人のうち2人が実在の人物だという。
パンフの中で、誰ぞはただの空想アクションではなくて、歴史劇になっていると書いていた(ように思う)。たしかに当時のコンゴの一部は、ベルギー王の私領になっていて、原住民への残虐行為をイギリスに批判されたことや、ジョージ・ワシントン・ウィリアムス(演:サミュエル・L・ジャクソン)が、当時のコンゴを旅行した際に現地の状況にショックを受け、レオポルド二世に公開状を出したという事実はあったらしい。
しかしそれにしても、レオポルド二世を批判したというイギリスやこの映画の製作国であるアメリカは、アボリジニやインディアンを大量虐殺して、植民地支配や奴隷貿易をしこたまやっていたのだ。
なにをぬけぬけとベルギーだけ悪者にしとんねん。
呆れてしまう。
ま、いずれにしても、CMでも流していたクライマックスシーンは、ファンタジー爆発だ。面白いけど。
さすがのターザンも、ワニを手なずけることは難しいだろう。【注3】
【注1】パンフを読んだが、俳優や製作陣でも、原作を読んでるやつなんて誰もいない。バローズに言及しているのは、パンフではただ一人、コラムを寄せている小谷真理だけであった。
【注2】Wikiでチェックすると、「ターザン 失われた都市」という実写映画が1999年に作られていた。同じ年に「ハムナプトラ」や「マトリックス」のような、CG特撮が売りの映画が公開されていたが、生物の毛並とか背景まるごととか、まだまだ限界があった。“失われた都市”とあるので、こちらにはオパルとラーがもっとフィーチャーされていたと想像する。ちなみに「ターザン 失われた都市」のターザン役は、「名探偵モンク」でナタリーの恋人役をしたキャスパー・ヴァン・ディーンだ。「スターシップ・トゥルーパーズ」の主役と書く方がわかりやすいか…。
【注3】バローズ作品では、地底世界シリーズの3巻、「戦乱のペルシダー」で、タナーが大蛇と仲良くなってた。この時タナーと同じく捕まっていたデヴィッド・イネスを救出するために、地底世界ペルシダーに向かうのがターザンだ!
(2016/9/8記)
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