第九話『毒蠍』

 

???

 

無数の血痕を残す研究所のような建物の中で仮面ライダーブレードは辛うじて生きているが、今も血を流している両腕や両足などを切られた研究員らしき白衣を着た人間達を一瞥し、

 

「連れて行け」

 

レッドミニオン達と自身のアドベントビーストのガルドストーム、ガルドミラージュの二体へと指示を出す。

 

「やれやれ、ブレード君、彼等は貴重なサンプルでも有り、大事な労働力だ。必要以上に破損させられては困るな。あれでは、すぐに死んでしまうのではないかね?」

 

「…申し訳ありません、将軍。ですが、お忘れですか? 私との契約を」

 

「覚えているとも、殺したい人間を殺しても良いと言うのが君との契約だったね、ブレード君? なるほど、確かに君は契約を守っているか。いやいや、すまなかったね」

 

「いえ。此方こそ申し訳ありません。以後、あれらが労働力として機能する程度に留めて置きます」

 

「しかし、この世界の人間達も正義のお題目で、随分と酷い事をする物だね。流石の私でも、目を背けたくなるよ。そして、同時に感心してしまうね…ベンタラのライダー達や統夜君は敵ながら素晴らしい人間だったと」

 

「まったくです。では、最後にテストを兼ねて少々派手な花火を上げるので」

 

「そうか。では、私も手伝おうじゃないか。この力を試してみたかったのでね」

 

ブレードの取り出すカードを見ると、嬉々としてアビスもまた一枚のカードを取り出す。十数分後、二人の仮面ライダーの手によって研究施設が一つ、跡形もなく消滅したのだった。

 

 

 

 

 

 

統夜SIDE

 

「実はな、聖王教会からの依頼でな、明日からあるロストロギアを回収しにいかなあかんのよ」

 

隊長室で統夜ははやてからそんな話を聞いていた。まあ、それがこの機動六課の役割に当てはまるのだったら行くしかないだろう。

 

「そんなに危険な代物なのか?」

 

「う〜ん、危険性はないみたいやけど…まあ、ロストロギアやし、ウチに廻ってきたって言う所やね…」

 

そこまで言った後、はやては申し訳なさそうな表情を浮かべる。

 

「どうしたんだ?」

 

「う〜ん、フェイトちゃんと統夜君には申し訳ないんやけど、私となのはちゃん、フェイトちゃんにシグナムにヴィータと、シャマルとフォワードのみんなで行ってもらう予定なんや」

 

はやての言葉の意味に気が付き、統夜はその言葉の中にある一つの危険性に気が付いた。

 

「ん? オレが居ないと、モンスターやゼイビアックスのライダー達には対応…出来たとしても、鏡面世界に連れて行かれたら、助けられないんじゃないのか?」

 

「ああ、それなら心配はないはずや」

 

「…What…?」

 

訳の分からないままそんな声を出してしまった。

 

「出張先はウチらの世界…第97管理外世界…地球の海鳴市なんや…」

 

嬉しさ半分、申し訳なさ半分と言った表情で告げるはやてだが、それを告げられた統夜は納得の行った様子で頷いている。

 

確かにゼイビアックスの活動している場所は、現在は統夜の居るミッドチルダに限定されている為に他の世界ならば安全だろう。

なにより、その場所が地球ならば…他の国であっても、ベンタラの統夜を除く十一人の仮面ライダー達の存在がある為、寧ろ『インサイザーに次ぐ弱さ』と言う嫌な自負の有る統夜しか居ないミッドチルダよりも、全員が統夜よりも長い間戦いを潜り抜けてきた歴戦の戦士達である彼等が居る世界なら、ゼイビアックスの配下のモンスターや、なったばかりの犯罪者程度が変身するライダー等敵ではない。少なくとも現状ではゼイビアックス自身が直接動かない限りは安全だろう。

特に自分と同じくサバイブのカードを持つウイングナイトことレンや、最強の称号を持つラスならば、最弱と言われているインサイザーレベルのシェルクラブ程度の(ライダー)なら五、六人位は敵ではないだろう。

 

「いや、仕方ないだろうな。オレはこっちでゼイビアックスや、奴のばら撒いたカードデッキを持ったライダー達の動きに対応しなきゃならないしな」

 

「ごめんな、統夜くんの家族も心配しているはずやのに。それに十年ぶりの里帰りの機会やのに」

 

「里帰りについては別に気にしなくても良いさ。十年も前の思い出なんてそうそう覚えてないしな。まあ…父さんや母さんに…レンさん達に連絡を入れられないのだけは心苦しいな…」

 

「連絡先を教えてくれれば、伝言くらいは伝えてもええよ」

 

「そうだな。日本からだと国際電話になるけど、大丈夫か?」

 

「うん、その辺は現地協力者に頼んでみるで。じゃあ、伝言する相手が決まったら、あとでフェイトちゃんに伝えてあげてや〜」

 

物凄く楽しそうな笑顔でそう言ってくれました。

 

「…なんでそこでフェイトの名前が出てくる…?」

 

「え〜、フェイトちゃん、統夜くんの恋人候補やん。だったら、ご両親と話してみたいはずやで」

 

「…おいおい…」

 

思わずはやての言葉に呆れてしまう。…恋人候補と言う段階で両親に挨拶も何もないだろうと、内心突っ込みを入れてしまうが…。

 

(…まあ、フェイトならマヤさんへの伝言を頼むのにも丁度良いか…)

 

正確には以前の戦いの協力者であるマヤを通じてのベンタラの仲間(ライダー)達への伝言になるのだが、それはベンタラの事を出さない事と最低限に留める必要が有る。

 

(…ベンタラの事を話せれば楽なんだけどな…)

 

そう思わずには居られない。フェイトの事は信用しているが組織の人間である事は変らない為に隠しておくべき事は隠しておくに越した事はない。少なくとも、自分と組織のどっちを優先してくれるのかハッキリするまでは…。

 

(…まあ、それがハッキリすれば、ベンタラの事を話すか話さないかは決まるんだけどな)

 

「ところでその『レンさん』って言う人が統夜くんの師匠みたいな人やな」

 

「ああ。オレと初めて出会ったライダー…オレと同じ『騎士(ナイト)』の名を持つライダー…『仮面ライダーウイングナイト』だ。…行方不明になっているだろうし…レンさんにも連絡できたらしておいた方がいいか…」

 

「ふーん、それでその人には何て伝えらればええんや?」

 

「…正しくはレンさんにじゃないけど、伝える事は簡単だ…。オレは元気にしているって言う事と……『ゼイビアックスは生きている』……だ」

 

簡潔であり、最重要な要件である。

間接的にとは言え、向こうでは行方不明と思われているであろう統夜からのベンタラを守る仮面ライダー達にとって倒さなければならない敵であるゼイビアックスの生存の報告なのだから、ユーブロンや他のライダー達もそれを知った上で行動してくれるだろう。

上手く行けば、時間は掛かるだろうがベンタラから救援を送って貰えるかもしれない。自分の弱さと一人で出来る事の限界を理解している統夜としては、自分一人しか戦えないこのままの状況では時間は掛かるだろうが負けるのは自分の方だと言う事は良く分かっている。

 

「…所で、八神隊長達が出張している間、オレはオレでゼイビアックス対策に勝手に動いても良いのか?」

 

「その事なんやけどな、うちらの出張中ゼイビアックス対策の為に統夜君には他の部隊に出向いて欲しいんやけど」

 

「…それは、別に構わないけど…出張先は前に聞いた話に出てきた『信用できる相手』の部隊か?」

 

「そうや、ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐にはお世話になっとるし、信用できる相手やから、手伝ってきて欲しいんや。お願いできる?」

 

「分かった。ゼイビアックス対策なら喜んで協力させて貰う」

 

「ありがとな。もう向こうには話はつけてきたんや。後は統夜君から返事を貰うだけやったんや。統夜君は向こうの部隊の場所を知らないから、迎えに来てもらう様に頼んどいたで」

 

「…悪い…」

 

辰輝統夜…少しは地理にも慣れて来たが、流石にまだ一人で遠出できるほどは慣れてはいない。そう言って待ち合わせ場所を教えてもらう。

 

…まあ、一人で戦っていた頃はバイク(当然、違法駐車の物を黙って借りた物)を使って走り回ってもいたが…完全に此方では無免許運転の上に盗難の罪が重なりそうなので黙っておく。

付け加えておくと、なのは達と再会した時に使って見せたドラグサイクルについてはドラゴンナイトの能力と思われている様子だ。借りたバイクは現場に放置された。

内心、最近では『バイクの事も何とかしないと戦力が不安だよな』等とも考えている。

 

「それで、案内してくれる相手は誰なんだ?」

 

写真が有れば分かり易いなと思いながらも、迎えに来てくれる相手の事を知って置こうと尋ねる。

 

「相手は108部隊の隊員で『ギンガ・ナカジマ』、スバルのお姉ちゃんや」

 

「…ああ、そう言えばスバルちゃんからお姉さんが居るって聞いた事が有ったような…」

 

はやての話を聞いて、以前スバルと話していた時に聞いた話の中でそんな話題が出たと言う事を思い出す。

 

「ギンガは髪を長くしたスバルを想像すればすぐ分かる。歳はうちらより年下の17歳で結構な美少女や、見とれるんやないで〜」

 

「髪を長くしたスバルちゃんね…。なるほど」

 

はやての言葉を聞いて頭の中で迎えに来てくれる相手の『ギンガ・ナカジマ』の顔を思い浮かべていると、

 

「浮気はあかんよ〜」

 

「がぁっ!」

 

はやてから不意打ち気味に言われた言葉に思わずずっこけてしまう統夜君でした。

 

「ちょっと待て! 何でそこで浮気とか言う話になるんだ!?」

 

「え〜…フェイトちゃんと…」

 

「…まだフェイトとは正式に恋人になった訳じゃないし、返事は保留って形になっただけだ…」

 

楽しそうにニヤニヤと笑いながら聞いてくるはやてを横目で睨みながら、そんな返事を返す。……何故か地球に帰ってからも知人一同からこの事でからかわれる絵が想像できてしまう統夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、翌日…地球へと出張に出た機動六課のメンバー達を見送ると、統夜は待ち合わせ場所まで向かった。

 

「あの、貴方が辰輝統夜さんですか?」

 

「ああ、君が迎えの…ギンガ・ナカジマさん?」

 

はやてから伝えられた待ち合わせ場所で待っていると、青い長い髪の女性にそう話しかけられる。

 

(確かに、スバルちゃんに似ているな。…それにしても…)

 

そのまま本人か確認するように軽く会話を交わして彼女の所属している部隊へと向かう事になったが、何処か彼女の態度に硬い物がある事に気が付いた。

 

(…警戒されてる…のか)

 

『無理も無いだろう』と思いながら心の中で溜息を吐く。どれだけ話が伝わっているかは疑問だが、表面的な情報だけでも統夜は『アビスと同じライダーの力を持っている者』なのだから、警戒されるのも無理はないだろう。

 

向こうにしてみれば…『統夜がゼイビアックスの仲間では無い』と言う確証はないのだから、素直に信用してくれた機動六課の面々にしても、統夜がなのは達の知り合いだったと言う事や、直接的に二度も助けられたと言う事も有るだろう。

 

実際、過去のゼイビアックスとの戦いの中でも、味方の振りをして近づいてきた相手…地球の『仮面ライダートルク』、『ドリュー・ランシング』が居たのだから…。

もっとも、最後は見事にゼイビアックスから切り捨てられ、統夜達にも信用されず、哀れにも刺客として送られた仮面ライダーストライクにベントされたが、それも当然だろう。それは自業自得で有り今も一切同情していない。

…原典の龍騎の『仮面ライダーゾルダ』には色々な面で負けている男だった…。

 

 

閑話休題それはさておき

 

 

「…オレの事が信用できない…か?」

 

「っ!? ………はい、正直………」

 

道を歩きながら統夜はギンガへとそう話しかける。ギンガにしてみても、統夜は指名手配中の犯罪者と同じ力を持っている次元漂流者、有名人エース達の知り合いだとしても、それは統夜がフェイトへと言った言葉の様に人が変わるには十分過ぎる程前の事…初対面の相手に信用してもらえる材料が無いのは自覚している。

 

「まあ、オレもすぐに信用してもらえるなんて思ってないからな」

 

それは自分も経験していた事だ。今になると申し訳なさでいっぱいだが、一度でもレンを信じずにドリューを信じてしまった事は今でも反省している。

今の統夜の立場は以前のレンに近いのだし。

 

そんな事を考えていると、モンスターの接近を告げている耳鳴りの様な音が聞こえてくる。

 

「ところで…」

 

「なんですか?」

 

「悪いけど、少しだけ寄り道していく…鏡の無い所で待っててくれ」

 

「え、何が…」

 

「あれを見ろ!」

 

二人の前方を歩いている女性の横にある鏡の中から異形の腕が伸び、その女性を鏡の中に引きずり込んでいく。

 

「今のは!?」

 

それは一瞬の出来事だったので、他の通行人達の目には認識されていない様子で、何事も無かったように過ごしていた。恐らく、ギンガも統夜に言われなかったら、気が付く事はなかっただろう。

 

「あれが行方不明事件の真相だ。そして…異星人ゼイビアックスの侵略行為の一環だ」

 

「あれが…」

 

それだけ告げると統夜は女性が飲み込まれた場所へとカードデッキを向ける。

 

「KAMEN RIDER!」

 

その叫び声と共に現れたベルトのバックル部分にカードデッキをセット、回転しながら赤い光が統夜を包み、統夜は仮面ライダードラゴンナイトへと変身し、水面の様に波打つ鏡の中に飛び込んでいく。

 

「あっ、待って下さい!」

 

鏡の中に飛び込んだドラゴンナイトをギンガが追いかけようとするが、当然ながらそこは触れても硬い感触があるだけでモンスターやドラゴンナイトが居る戦場へと行ける訳が無かった。

 

 

 

 

 

 

 

SWORDソード VENTベント

 

 

「はぁ!!!」

 

鏡の中に飛び込むと同時にドラゴンナイトはドラグバイザーへとカードを装填し、ドラグセイバーを召喚し、レッドミニオンの一体を切り裂き、蹴り飛ばす。

 

「ゲェ!」

 

真横の壁から飛び掛ってくるレッドミニオンをバックステップで避けてそのままドラグセイバーを振り下ろす。

 

「こいつ等だけじゃない…」

 

女性を誘拐したモンスターの腕を見たのは一瞬だけだったが、レッドミニオンの物とは違った。目の前に居る二体のレッドミニオン以外にモンスターは存在している事になる。

 

存在しているであろうモンスターの出現に注意を払っていると、後からシマウマをイメージさせるモンスター『ゼブラスカル ブロンズ』が襲い掛かる。

 

「くっ! こいつは!?」

 

寸前でそれに気が付いたドラゴンナイトはゼブラスカルBの振り下ろした両腕にある角状の武器を避ける。その姿は過去に戦った相手に似ている事から恐らくは同種であろう事は直に理解できる。だから、その能力も…大体は理解している。

 

「はぁ!!!」

 

ゼブラスカルBへと振り下ろしたドラグセイバーを両腕の武器で受け止める。押し切ろうと力を込めた瞬間、ゼブラスカルBの胴体がバネのように伸びてドラゴンナイトの力を受け流す。

 

そして、そのまま伸びきったバネが戻る様に力を増してゼブラスカルはドラゴンナイトを押し返す。

 

「うわぁ!!!」

 

ゼブラスカルBの力によって吹き飛ばされたドラゴンナイトはそのままドラグセイバーを弾かれ、後に有ったビルの壁とへ叩きつけられて地面を転がる。

 

(…こいつ…やっぱり)

 

そんなドラゴンナイトへと追撃をかけるゼブラスカルBの頭へとカウンターの形で右ストレートを打ち込むが、今度は首が伸びて頭へと打ち込まれたドラゴンナイトのパンチの衝撃を受け流す。

 

(…前に戦った奴と同じ能力か…)

 

首が戻ると同時に振り下ろした両腕の武器を横に避けるとカードデッキからカードを引き抜き、

 

「!!!」

 

叫び声と共に繰り出されるゼブラスカルBの攻撃を避けながら、ドラグバイザーへと装填する。

 

 

STRIKEストライク VENTベント

 

 

「はぁ!!!」

 

ゼブラスカルBの攻撃を避けながら電子音と共に上空からか現れたドラグクローを装着し、ゼブラスカルBへと殴りかかる。

 

ドラゴンナイトの打撃は全て体の各部位を繋ぐ筋肉をバネの様に伸ばすゼブラスカルBにはそれほど大きなダメージにはなっていない。

 

だが、ドラゴンナイトは仮面の奥で笑みを浮かべながら、ゼブラスカルBの胸を蹴る。当然、ゼブラスカルBはそれも体の筋肉を伸ばす事によって無力化する。

 

「伸びた所に追撃を受けたらどう防ぐんだ!?」

 

ゼブラスカルBの胸部を蹴った時の衝撃を利用して後ろに跳ぶドラググローを装備した腕を売り上げると、ドラグレッダーの頭を模した手甲ドラグクローの龍のアギトに火球が出現する。

 

「ハァァァァァァァァァァァアアアア!!! タァ!!!」

 

「!!!!????」

 

ドラググローから打ち出された炎は体の筋肉が伸びきったゼブラスカルBを飲み込む。全身をドラゴンナイトが打ち出した炎に飲み込まれたゼブラスカルBは悲鳴を上げながら爆散する。

 

「ふぅ…」

 

ゼブラスカルBを倒した事で周囲に他のモンスターの姿が無い事を確認するとそのまま現実世界へと帰る為に先ほど入ってきた鏡面へと近づいていく。

 

 

 

 

 

 

現実世界…そこではドラゴンナイトの飛び込んでいった鏡面を見つめているギンガの姿があった。

 

自分達では手出しできない場所から人を攫う異星人の手下の怪物達。その存在を知った彼女が考えているのは…己の無力さなのだろうか…。

 

だが、彼女には鏡の中で行われている戦いを見ることは出来ない。それが可能なのは、ライダーである統夜と一度連れ去られ統夜に助けられたフェイトだけだろう…。

 

…だから、彼女は気付かない…。

 

鏡の中から狙う影に。

 

鏡の中からすぐ近くに立つギンガへとゆっくりと手を伸ばす毒々しい赤い甲冑の仮面の騎士をイメージさせる人影。

 

だが、赤い影は直に伸ばした手を戻しその場から逃げ出していく。その理由は、

 

「悪い、待たせたか? 少し寄り道しすぎたけど…時間は大丈夫か?」

 

「い、いえ、事情が事情ですから、理由を話せば大丈夫です」

 

鏡の中から戻ってきた統夜の言葉にそんな言葉を返すギンガ、目の前の現実に付いて行けないと言う様子は見える物の、彼女の態度からは何処か警戒心が緩んでいる様に感じられる。

 

「それなら安心だな…でも、少しは急いだ方が良さそうだな」

 

「そうですね」

 

「ああ、それと…もう少し気楽に話してくれて良いぜ」

 

「え、ええ、辰輝さん」

 

「統夜で良い、スバルちゃんのお姉さん」

 

「ふふっ、ギンガで良いわ、統夜さん」

 

ヒラヒラと手を振りながら先を歩いていく統夜に対して小さく笑いながらギンガはそう答えた。

 

 

 

 

 

鏡の中…統夜が見たら『仮面ライダースティング』に似た面影があると思うであろう毒々しい赤色の仮面の騎士がそんな二人の姿を見ていた。

 

だが、その仮面ライダーはスティングと違いある種の昆虫をイメージさせる装甲と、頭から伸びる弁髪状のパーツはその昆虫の最大の特徴を模していた。

 

暫く二人の姿を監視していたライダーは自身の傍らに現れた三本の尾を持つ…初めてミッドチルダに来たトウヤを襲ったモンスター…己のアドベントビースト『ポイズンスコルピオ』を引きつれその場を立ち去っていく。

 

その仮面ライダーの名はゼイビアックス製の第四のライダー、『仮面ライダーポイズン』。ポイズンスコルピオと契約した毒蠍のライダー。

 

 

それが…統夜が戦うゼイビアックス製の次なるライダーの名。






 

 

 

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