注意:)

番外編は主に統夜の視点でのドラゴンナイトのストーリーを記していきます。

今回の話はキットではなく統夜が彼の立場になったドラゴンナイトの第二話を文章化した物ですので、内容についてはあまり期待はしないで下さい。


番外編『ドラゴンナイト・ビギンズ後編』

 

統夜にとっての始まりの日…仮面ライダーの力とレンとの出会いは語った。残されたのは、ドラゴンとの契約の日の事である。

 

「今から話すのが、オレのドラグレッダーとの契約…ドラゴンナイトの力を得た時の話だ」

 

 

 


 

 

 

ベンタラ…

 

ドラグレッダーの火炎弾に吹き飛ばされる統夜の変身したブランク体とウイングナイト。地面を転がる統夜に対して、ウイングナイトは地面を転がりながら立ち上がる。

 

「うわぁ!」

 

「…危なかったな。行くぞ!」

 

後ろにドラグレッダーの姿がない事を確認すると、ウイングナイトは統夜にそう声をかけて何処かに向かって走り出す。

 

「何処に?」

 

「窓を通って帰るんだ」

 

「窓を通る? 通れるのかよ?」

 

「物が移る物なら何でも。そこで見てろ」

 

そう言ってウイングナイトは近くに有る建物の窓に近づいていくと、吸い込まれる様にウイングナイトの姿は窓の中に消えていった。

 

「…凄い…」

 

目の前の光景に呆然としていると、後から何かの咆哮が聞こえてくる。後ろを振り返るとそこにはドラグレッダーの姿があった。

 

「ヤバイ…早く逃げないと!」

 

統夜が慌ててその場から逃げ出すとドラグレッダーの火炎弾がウイングナイトの飛び込んで行った窓を破壊する。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ」

 

時折振り返りながら逃げている統夜を後からドラグレッダーが追いかけていく。

 

「窓、窓は何処だ!? じゃなきゃ、何でも良いから、ものが映るものは?」

 

そう言って周りを見回していると黒い車の車体に薄らと風景が映し出されている事に気が付いた。そして、ドラグレッダーの咆哮が近づいてくる事に気が付くと、統夜は意を決して車へと向かって走り出す。

 

「くそ、一か八かだ!?」

 

そう叫んで車のボディーへと飛び込んでいく統夜の居た場所をドラグレッダーの体が通り過ぎていった。周囲を見回すドラグレッダーだが、そこに既に統夜の姿はなく、車の車体にドラグレッダーの視線が向けられた。

 

そして、ディスパイダーが倒された場所ではライダーとは違う不気味な異形の人影が手を翳すと、黒い粒子が集まり一体の化け物を作り出していく。それはウイングナイトが倒したはずのディスパイダーだ。

 

しかも、再生しただけでなく、ディスパイダーは頭の部分に人間の様に二本の腕を持った上半身を着けて蜘蛛のような下半身を持った姿、『ディスパイダーリボーン』として再生したのだ。

 

それを確認すると、異形の影は消えて行った。

 

 

 

 

地球…

 

奇しくもディスパイダーに襲われた時に入ってしまった場所から飛び出すと、統夜は周囲を見回して、自分が飛び出してきたと思われる黒い車へと向き直る。

 

「あー…態と逃げたって思われたかな?」

 

統夜の近くにはウイングナイトの…レンの姿は無かった。

 

 

 

 

別の場所…

 

窓からゆっくりと出てくるとレンは周囲を見回すとそこに統夜の姿が無い事に気が付き、

 

「何処だ、あいつ?」

 

そう呟くのだった。

 

 

 


 

 

 

現在、機動六課

 

「と言う訳で、オレは無事元の世界に戻れたって言う訳だ」

 

「え、その時に契約したんじゃないんですか?」

 

キャロからの質問に乾いた笑いを浮かべると、

 

「あー…あの時は逃げるのに必死だったし、契約の方法も必要性も知らなかったからな…」

 

今になって思い出すと、ドラグレッダーからの統夜へと向かってきた攻撃は全て余波だった気がする。ドラグレッダーが一刻も早く統夜と契約する為に動いていたと考えれば頷ける事だ。

 

「今と比べると全然想像できへんな…」

 

「ドラグレッダーと契約前と契約後を一緒にするな。重ねて言うなら、ライダー自身の能力は雲泥の差なんだ」

 

そんな事を言ってくれるはやてを横目で睨みつけながら告げる。

 

「ねえ、それで統夜はどうやって仮面ライダーになったの?」

 

「そうだな…」

 

フェイトから続きを促されて話の続きに入る。あの後、統夜は

 

 

 

 


 

 

 

 

過去、地球、統夜の自宅…

 

無事戻って来れた事で緊張の糸が切れた統夜は毛布をかけてソファーで横になっていた。眠くなるほど疲れているのに、全然眠れない。目を閉じて思い出されるのは、カードデッキを手にする事になった時に聞こえてきた謎の声から始まった、一日の中で体験した人知を超えた出来事。

 

『統夜、ドラゴンを探せ』『契約のカードだ』

 

目を閉じて思い出す度に頭の中に響く謎の声…。

 

『統夜…』

 

そして、頭の中に一つの映像が浮かぶ。咆哮を上げながらブランク体の統夜へと向かって来るドラグレッダー。ブランク体の統夜の中にドラグレッダーが吸い込まれていく瞬間、統夜は龍の意匠を持った真紅の騎士へと変わっていく。

 

そんな映像が頭の中に浮かんだ瞬間、眠るのを諦めて起き上がると時間は既に夕方だった。

 

そして、テーブルの上に無造作に放置していたカードデッキが目に入りその中の一枚のカードを引き抜く。

 

「…契約のカードか…」

 

絵柄が何も無く、『CONTRACT』と書かれたそのカードに視線を向けて、統夜はそう呟く。恐らくはあの声の言っていた契約のカードとはこのカードの事だろうと当りをつけていた。

 

「このカードが契約のカードだとして…オレは何をすれば良いんだ?」

 

頭に手を当てて謎の声の言う『契約のカード』らしき物を眺めながら呟く統夜だった。

 

 

 

 

翌日…

 

統夜はバイクを走らせている。彼と併走する様に鏡の向こう…ベンタラをドラグレッダーが飛翔していた。

 

ふと、バックミラーに別のバイクの姿が見える。ヘルメットで顔は隠れているが、それは先日であった相手…レンだ。

 

「またあいつか?」

 

統夜がスピードを上げるとレンは追跡すべく己もバイクのスピードを上げて統夜を追いかける。人気の無い路地裏に入り、左右に蛇行しながら、時に積まれているダンボール箱を倒しながら、チェイスを続けている。

 

「っ!? うわぁ!!!」

 

暫く逃げていると、前にダンボール箱を運んでいる男が通りかかり、統夜は慌ててブレーキを押す。

 

「うわぁ…とっとっとっ!!!」

 

「あ、危なかった! ごめん!」

 

「気をつけろ!」

 

バイクを止めて謝罪している間にレンのバイクが統夜の隣に停車する。そして、そのまま統夜のバイクのキーを抜き取り、そのまま走り去っていく。

 

「おい、何するんだよ!!!」

 

統夜の抗議の言葉も無視してスピードを落として走り去っていく。…着いて来いと言うことなのだろう。だが…

 

「…押してくしか無いよな…はぁ…」

 

レンが走り去っていった方にバイクを押しながら歩く事になった統夜だった。

 

それから数分後…レンがバイクを止めて待っている場所に着くと、

 

「何のつもりだ、キーを返せ!」

 

「カードデッキは何処だ?」

 

統夜に近づきレンはそう問う。

 

「…あれで別の世界に行けるんだろう?」

 

答えが返って来る事は期待していないかったが、レンの反応を見るとその考えは間違っていないだろう。ならば、次の質問は…。

 

「契約のカードって、何のこと?」

 

「っ!? 誰からその事を聞いた!?」

 

自分以上にカードデッキやあのドラゴンの事を知っていると考えた統夜が聞くと、彼の言葉に答えずにレンは統夜に詰め寄っていく。

 

「あのドラゴンは?」

 

「ドラゴンには関わるな!」

 

「どうして?」

 

「あのドラゴンと契約を結べば…ベントされるぞ」

 

「ベント? 何のことだよ?」

 

まだベントと言う言葉の意味も、カードデッキの事も知らなかった当時の統夜にはレンの言葉の意味は何一つ理解できなかった。

 

そんな言葉を交わす二人の耳に耳鳴りの様な音が響く。

 

「この音は?」

 

「入り口が開いた」

 

統夜の問いにレンは簡潔に答える。

 

「誰かの身に危険が。来い!」

 

そう言ってレンは統夜の襟首を掴んで統夜を『入り口の開いた』場所に連れて行く。

 

 

 

 

別の場所では男性が自分の身に迫る危険も知らずに修理の作業をしていた。

 

男性の近くの鏡面に映し出されるディスパイダーRの姿。男性はそれに気付かず…否、知らずに作業を続けていた。

 

そして、鏡面から糸が伸び男性の腕に巻きつく。

 

「? なんだこりゃ?」

 

疑問に思って糸が伸びている先に視線を向けると、今度は全身を糸が巻きついた。

 

「助けてくれぇー!!! 誰かァー!!!」

 

その場所に丁度レンと統夜が辿り着いた時、男性の助けを求める声が聞こえてその場所に近づいていく。

 

必死に引きずり込まれない様に抵抗しているが、引きずり込まれるのは時間の問題だろうと思われた時、統夜とレンが男性の腕を掴んで、逆の方向に引っ張る。

 

綱引きの様な状態となり、糸が切れた事で統夜達は後に跳ばされ、襲われた男性はそのまま体を壁に打って気絶してしまう。その光景を鏡面の向こうで眺めながら、ディスパイダーRは残念そうにその場を立ち去っていった。

 

「この人を頼む」

 

レンは統夜へとそう告げてディスパイダーRの居た鏡面へと近づき、ウイングナイトのカードデッキを取り出し、

 

「そこを動くなよ」

 

と、統夜へと釘を刺しカードデッキを鏡面へと向け、

 

「KAMEN RIDER!」

 

統夜の目の前で仮面ライダーウイングナイトへと変身し、そのまま鏡面へと飛び込んで行った。

 

遠目でだが、ウイングナイトの入っていった鏡面からウイングナイトの姿が見える。

 

 

 

 

アドベントサイクルより降りたウイングナイトはダークバイザーを持ってディスパイダーRへと切り掛かるが、それをディスパイダーRは人の様な上半身の両腕を武器に受け止める。何度目かの格闘の末に武器を取り出そうと距離を取った瞬間、蜘蛛の足の一本が横凪に振るわれる。

 

「ハァ!」

 

右からのそれを避けて左から向かってきた物を受け止めた後、続けて右からの攻撃を蹴り飛ばし、受け止めていた足にダークバイザーの一閃を見舞う。

 

 

 

 

 

その戦いに魅入りながら、統夜はウイングナイトの飛び込んで行った鏡面へと…ウイングナイトとディスパイダーRの戦う姿の映し出されている鏡面へと近づいていく。

 

そして、カードデッキへと手を伸ばし暫くそれに視線を向けていると、意を決してカードで月を鏡面へと向け、

 

「KAMEN RIDER!」

 

レンのやった様に叫ぶのだが、

 

「あれ?」

 

幾ら待っても何の反応も起きなかった。

 

「言い方が拙かったのか? …カメンライダー」

 

そう思ってもう一度鏡へと向けて言って見るが、やっぱり無反応だった。

 

「…仮面ライダー…」

 

やはり、三度目もダメだった。

 

 

『そうじゃない、統夜』

 

 

そう言って統夜の後から誰かが近づいてくる。見覚えの有る男性だが、それが誰なのかは思い出せない。

 

「アンタは?」

 

『オレはなんて言った、統夜?』

 

意識が戻ると周囲には統夜と気絶しているディスパイダーRに襲われた男性以外の姿は無く、あの声の主と思われる男の姿は無かった。

 

統夜はカードデッキから契約のカードを抜き取り、

 

「契約のカード。…ドラゴンを…」

 

そう呟く統夜の耳に遠くから小さく何かの鳴き声が聞こえてくる。そちらへと向かっていくと、ビルの鏡面の中に波紋が広がり、そこでドラグレッダーが円を書く様に泳いでいた。

 

「お前は…? これは…そう言うことか!?」

 

ドラグレッダーの姿、そして、何も描かれて居なかった契約のカードにまるで鏡の様に、ドラグレッダーの姿が映し出されている事でそのカードの使い方を理解し、契約のカードをドラグレッダーへと向ける。

 

「正直…何が何だか良く分からないけどな…。あんな化け物の好きにさせるってのは、気に入らないんだよ…! お前がオレに力を貸してくれるって言うなら…喜んで契約でも、何でも、してやる!!!」

 

 

 

 

 

「なに!?」

 

ベンタラから鏡を通してウイングナイトはドラグレッダーと契約しようとしている統夜の姿を見た。

 

「よせぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」

 

慌てて統夜を止めに入ろうとするウイングナイトだが、それによって出来た隙を突かれディスパイダーRに捕獲される。

 

 

 

 

「だから…オレに力を貸せ!!!」

 

統夜のその言葉を待っていたと言う様子でドラグレッダーは統夜へと向かって、彼へと飛び込んでいく。統夜の体の中にドラグレッダーが吸い込まれて行く様な感覚が襲い、統夜は周囲を鏡で覆われた空間に閉じ込められる感覚を覚えた。

 

意識の中でドラグレッダーが統夜の体を包み込み、彼の姿をブランク体へと変身させる。そして、次の瞬間、無地のカードデッキにドラゴンの頭をイメージされた金のエンブレムが刻まれる。

 

簡略化されたデザインの手甲型のカードリーダーも龍の意匠を持った物…真紅の『龍召機甲ドラグバイザー』へと形を変える。

 

頭の仮面に龍をイメージさせるデザインの模様が刻まれ、地味な黒のスーツが赤く、鉛色のアーマーが銀色へと染まる。

 

全身から感じさせられる力は今までの比ではない。体の中で炎が燃え上がる様な熱を感じ、体の奥底から湧き上る力は己自身に強力な力を与えられたと実感させる。

 

その姿はあの時のイメージの中で見た物と同じ姿。

 

そう、これが『仮面ライダードラゴンナイト』の誕生の瞬間だった。

 

 

 

 


 

 

 

 

「…こうして、オレはドラゴンナイトになって、長く続くゼイビアックスから地球を守る戦いに参加する事になった訳だ」

 

そこまで話すと『パンパン』と手を叩いて『話はここまで』と言うような態度で話しを切り止めて食堂から出て行こうとするが…。

 

「ちょっと待ちい!!! どう考えても、これからって所やろ!!!」

 

思いっきりはやてに止められた。

 

「いや、変身した所まではちゃんと話しただろ?」

 

「でも、これからが本当の初陣ですよね?」

 

「う…」

 

そう、ティアナの言うとおり、統夜のドラゴンナイトとしての本当の初陣はこれからなのだ。

 

「ただ、敵を倒しだけで、あんまり楽しい話しじゃないと思うんだけどな…」

 

「そんな事ないよ」

 

そう言って逃げ場を作ろうとしたが、フェイトに塞がれてしまう。仕方ないと思いながら、話の続き…ディスパイダーRとの戦いの記憶を話す。

 

 

 

 


 

 

 

 

「うわぁー!!!」

 

ディスパイダーRと戦っていたウイングナイトがそのままビルから落下させられる。

素早くウイングナイトのアドベントビーストのダークウイングが翼となり、空を飛ばせた事で地面に叩きつけられるのは避けられたが、ディスパイダーRは戦場となっていたビルの壁を歩きながら、ウイングナイトを追撃する。

 

「くっ!」

 

ディスパイダーRの射出した糸がロープのようになり、ウイングナイトの体に巻きつき、翼を封じて、ウイングナイトから飛行能力を奪い地面へと落下させる。

 

「うぁ!」

 

ウイングナイトが地面に落下すると、壁からディスパイダーRはウイングナイトの正面に回りこみ、トドメを刺さんとニードルガンの様に針を打ち出す。

 

そして、それがウイングナイトに当りそうに成った瞬間、ウイングナイトとディスパイダーRの間に乱入した赤い影がそれを叩き落す。

 

龍の意匠を持ったドラゴンを従える真紅の騎士…『仮面ライダードラゴンナイト』…『辰輝 統夜』だ。

 

「アドベントカードを使え!」

 

後から身動きを封じられたウイングナイトの言葉が響く、

 

「これか?」

 

ドラグバイザーをスライドさせ、カードデッキから剣の絵が書かれたカードを取り出す。最初に変身した時の物とは絵が全く別物だった。それをドラグバイザーに装填、元の位置に戻すと電子音が鳴り響く。

 

 

SWORD VENT

 

 

ドラグレッダーの咆哮と共に上空から降ってくる一振りの剣『ドラグセイバー』を受け止め、ディスパイダーRを見据えながら、

 

「はぁ!!!」

 

気合を込めた叫び声手と共にディスパイダーRに向かっていく。

 

ドラゴンナイトを迎え撃とうとディスパイダーRは無数の針を打ち出すが、ドラゴンナイトはそれをドラグセイバーで、蹴りで、叩き落しながら相手との距離を詰め、

 

「はっ!」

 

ジャンプと共にディスパイダーの下半身を足場にして、上半身に斬撃を浴びせる。

 

『!?』

 

「たぁ! はぁ!」

 

何度目かの斬撃を受けたディスパイダーからの反撃を受け、ディスパイダーRの下半身から振り落とされると、今度はカードデッキからドラゴンナイトのエンブレムと同じ物が書かれたカードを取り出し、ドラグバイザーにセットする。

 

 

FINAL VENT

 

 

ドラグレッダーがドラゴンナイトの背後で円を書く様に動き、同時にドラゴンナイトも中国拳法の様な体勢を取り、空中へとジャンプし、それを追いかける様にドラグレッダーも飛ぶ、

 

ドラグレッダーと共に空高く飛翔し、それが最大まで跳んだ所で一回転の動作、右足をディスパイダーRに向けた所で、ドラグレッダーもディスパイダーRへと頭を向ける。

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアア!!!」

 

ドラグレッダーの炎と共に打ち出されたドラゴンナイトの必殺のキック…『ドラゴンライダーキック』を受けたディスパイダーRはそのまま粉々に爆散した。

 

「はぁ…はぁ…。やった…」

 

主の勝利を祝福する様にドラゴンナイトの周囲をドラグレッダーが飛び回り、咆哮を上げる。すると、ディスパイダーRが存在していた場所に燃える炎の中から光の球の様な物が現れる。それに向かってドラグレッダーが向かっていくと、光はドラグレッダーに飲み込まれ、完全に消えていった。

 

「人の忠告を聞かない奴だな」

 

その光景を眺めていたドラゴンナイトにそう言いながらウイングナイトが近づいてくる。

 

「忠告を聞かなかったのは、謝るけど、助けたのに酷いな」

 

「ドラゴンに関わるなと言ったはずだ」

 

ドラゴンナイトへと言い放つウイングナイト。その言葉からは何処か怒りの感情が伺える。

 

「でも…オレは…」

 

関わらないと言う事を選択できなかった。モンスターに襲われる人を助けたい、そう思った時、勝手に体が動いてしまったのだ。

 

「これでお前は『仮面ライダードラゴンナイト』だ。満足か?」

 

苛立ちを押さえた様な口調でドラゴンナイトへと言い放ち、ウイングナイトは背を向けて去って行ったのだ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「…以上。これが、オレのドラゴンナイトとしての初陣だ」

 

「「「わぁー」」」

 

スバル、エリオ、キャロの三人がドラゴンナイトの最初の戦いの話を目を輝かせながら聞き入っていた。

 

統夜自身は特に気にせずに話を進めていたが、統夜がレンの助けに入った時には大いに盛り上がりを見せていた。

 

「今になって考えてみれば…レンさんのアドバイスが無かったり、契約したのがドラグレッダーじゃなかったら、負けていただろうけどな…」

 

簡単に勝利できた様に見えるが、実はかなりギリギリの勝利だったとも考えられる。この当時はまだドラグレッダーと契約した事で得られたドラゴンナイトの能力と、レンのアドバイスのお蔭で勝利できたような物だ。

 

「でも…そのレンって人、やっぱり酷いと思うの! 助けてもらったのに、お礼も言わないなんて!」

 

「あー…オレが契約しようなんて考えなければ、敵からの攻撃なんて受けなかっただろうし、オレが忠告を聞かなくて危なくなった様な物だからな…」

 

レンの態度に怒るなのはを宥めつつ、そうフォローする。実際、自分の勝手な行動のせいで危険に晒されたのだから、あの時の事は文句を言われても礼を言われる立場ではなかった。

 

「…でも、初めての実戦でそこまで戦えるなんて…」

 

「そうでもないさ。実際、あの時のオレは何も分かって無かった。レンさんが何を考えていたのかもな。…それを知ったのは、直後だ。そこでオレは出会った…ゼイビアックスに利用されて敵に廻った…新しい仮面ライダーに」

 

「新しい仮面ライダーって、もしかして…?」

 

統夜の言葉に反応したフェイトの顔色が少しだけ悪くなる。彼女が鏡面世界のモンスターの動きを認識できる様になった切欠を、以前ゼイビアックス側のライダーに襲われた時の事を思い出してしまったのだろう。

 

「あー…フェイトの考えている通り、フェイトを襲った青蟹のベースなったと思われるライダー…『仮面ライダーインサイザー』だ。ついでだ。関係ないけど、もう少しだけ話しておくか…」

 

そんなフェイトを安心させるように髪を撫でながら統夜は溜息をつきながら最後に補足するように話を続ける。

 

 

 

 


 

 

 

 

「どうも」

 

自宅の前まで着くとそこには一人の女性が待っていた。

 

「ああ、これ落し物」

 

差し出されたのは、統夜の財布。どこかで落としたとは思っていたが…。その女性に警戒心を向けながら財布を受け取ると無言のまま家の中に入ろうとする。

 

「待って」

 

そんな統夜を女性は追いかけながら、

 

「あいつ等は何? バイクの男は誰? 何故私のカメラを壊したの?」

 

そう問い掛ける。

 

「質問攻めだな」

 

素っ気無くそう答えることで返した。実際、この時の統夜には分からない事の方が多く女性の質問には答えられなかった。

 

「調べてるの。教えて、私は捕まるまであいつ等の姿が見えなかった。あなたには最初から見えてたんでしょう?」

 

 

 

 


 

 

 

 

「私と同じだ」

 

「そう、見える様になった経緯はフェイトと同じ、彼女がオレ達の戦いの協力者になってくれた人で、新人ジャーナリストの『マヤ・ヤング』さんだ」

 

瞳に触れながらそう呟くフェイトに統夜がそう説明する。

 

「でも、不思議だよね…なんで、私達は攫われてもいないのに、最初から見えるのかな?」

 

「せやな。お蔭で現れた後は警戒できてええんやけど」

 

そう、ミッドチルダに現れるモンスター達は何故か鏡面世界から出ると視認出来る様になる。幸いと言ってしまえばそれまでだが…確かに気になる点だが。

 

「特殊な方法で世界を移動した事による弊害…。世界そのものが接触した事で認識できるようになったか…。まあ、深く考えてもしょうがない話だな…」

 

 

 

 


 

 

 

 

最終的にマヤに問い詰められた結果、統夜が折れた事でカードデッキの事を話す事となる。

 

「同じ世界がもう一つ有る? 鏡の中に?」

 

「物を移すもの全般らしい」

 

そう言ってお茶を出すと統夜もソファーに座る。

 

「その世界に入ろうとすると滅茶苦茶早いジェット機に乗った様になる」

 

「ありがとう。あの私のカメラを壊してくれた人はしょっちゅう飛んでる訳ね。この搭乗券で」

 

そう言って統夜から渡されたカードデッキを返して言った。

 

「私は『ハイパーシークレットニュース』ってサイトで謎を追っているの。見せた方が早いわね、コンピューターは有る?」

 

「無い」

 

「一緒に来て」

 

統夜が簡潔に答えるとマヤはそう言って立ち上がり、二人は統夜の自宅を出て行く。

 

「あなたにサイトを見せるわね、確かその角を曲がった所に…」

 

キィーン

 

その音が響いた瞬間、統夜はマヤを止める。

 

「なに? 統夜くん?」

 

「聞こえたのか?」

 

「ええ、はっきり。何の音?」

 

統夜の問いにそう答えるマヤ。統夜は苦笑を浮かべて近くの鏡面へと視線を向けた。

 

「多分、こっちへの招かれざる客だ」

 

そう言って近くにある窓に近づいていくと、途中でマヤを止める。

 

「少し下がっていた方がいい」

 

「何をするの?」

 

統夜はマヤの問いにカードデッキを取り出す事で答える。

 

「KAMEN RIDER!」

 

その叫びと共に統夜の体を赤い光が包み込み、彼をドラゴンナイトへと変身させる。

 

「じゃあ」

 

マヤへとそう言い残し、ドラゴンナイトは窓の中に飛び込んで行った。

 

 

 

 

ベンタラ…

 

二体のレッドミニオンが一人の女性を何処かへ連れて行こうとしていた。そして、指揮官らしき茶色の蟹も一緒に歩いている。

 

「彼女を放せ!」

 

茶色の蟹がドラゴンナイトの声に反応して振り返り、レッドミニオン達に『ここはオレに任せて先に行け』と言う様な仕草で指示を出す。

 

そして、レッドミニオン達を追い掛けようとするドラゴンナイトに蟹が襲い掛かる。

 

蟹の攻撃を避けながら蟹の頭を踏んで相手の後ろに回りこむと、デッキからカードを抜き出し、ドラグバイザーに装填、

 

 

SWORD VENT

 

 

ドラグセイバーを召喚して、蟹へと切りかかる。蟹のモンスターの体は想像以上に硬く、ドラグセイバーの斬撃でも傷一つ付けられなかった。

 

「くそっ!!!」

 

蟹の体にキックを打ち込んでも、ダメージを受けた様子も無く、尚もドラゴンナイトに向かっていく。

 

振り下ろした鋏を避けて背中から切りつけるが、寧ろ背中の甲羅への攻撃は今まで以上にダメージを受けた様子も無い。

 

「なに!? ぐわぁ!!!」

 

横凪に振られる鋏に受けて、両腕で捕獲されそのまま投げ飛ばされ、ドラゴンナイトは柱に叩きつけられ、床を転がる。

 

「ぐ…あっ…」

 

ぼやける視界の中で統夜はアドヘントサイクルの存在を見た。

 

「来てくれたのか?」

 

それに乗っているのがウイングナイトと考えてそう呟くドラゴンナイトだが、ドラゴンナイトの隣を走っていくアドベントサイクルに乗っているのは、ウイングナイトではなく蟹と同じ茶色の仮面ライダー。

 

「な? あれは…?」

 

蟹のモンスターの前に止まりそこから降りてくるのは、蟹を思わせる茶色の装甲に蟹の鋏を思わせる鋏型のカードリーダーと、蟹の紋章が刻まれたカードデッキ。

 

「別の仮面ライダー? 丁度良い、二人で一緒に。うわぁ!」

 

立ち上がるドラゴンナイトを蟹のライダーはパンチを打ち込む。

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

ドラゴンナイトの静止の言葉も無視して尚も殴りかかる蟹のライダー。ドラゴンナイトも反撃を試みるが、それらは簡単に受け止められ、カウンターを加えられる。

 

「ぐぁ…」

 

壁際に追い詰められ鋏を使った突きが放たれた時、ドラグセイバーを盾に受け止め、

 

「オレは辰輝統夜だ。あんたは?」

 

「黙って戦え」

 

そう言って問答無用に仕掛けられる蟹のライダーの攻撃、更には蟹のモンスターも協力してドラゴンナイトに襲いかかる。

 

「待ってくれ…モンスターと…仲間なのか?」

 

ドラゴンナイトの言葉を無視して、蟹のライダー『仮面ライダーインサイザー』とそのアドベントビースト『ボルキャンサー』はドラゴンナイトへと襲い掛かる。

 

 

 

 


 

 

 

 

「これが、最初の戦いの後に起こった、ライダー同士の戦いの一部だ」

 

「…地球にもゼイビアックスの手下になった人達が居たんやな」

 

悲しげに響くはやての声。ゼイビアックスと言うエイリアンに協力する人間がそんなに多く存在していると言うのはあまり考えたくもない事実なのだろう。

 

「ああ。オレとレンさん…それとレンさんの恋人のケイスさん以外の人達はゼイビアックスに操られて、騙されていた」

 

そこまで言った後、統夜は苦笑を浮かべてしまう。…以前、ゼイビアックスは人間は愚かだと言っていた。確かに、自分達の見方になってくれたのはゼイビアックスがカードデッキを渡した人間の中では僅か一人、仮面ライダースティングのクリス一人だけだったのだから。

 

「そう言う訳で昔話はこの辺でな」

 

『パンパン』と話を切り止めて今度こそ終わりにする。

 

「なんだよ、その蟹のライダーと戦った時の事は話さないのかよ?」

 

「さあ、話は飽く迄オレの初陣の話し出し、機会が有ったら、また次の時に話してやるよ」

 

ヴィータの言葉にそう言って話を切り止めて、統夜は食堂を出て行こうとすると、一度立ち止まり、ティアナへと向き直り、

 

「お前はオレとは違う、急いで強くなるしかなかったオレと違って、お前の周りには仲間が沢山いるんだ。無理して急いで強くなる必要は無い。そんな強さには…その内に、歪みが出る」

 

「…………」

 

「…分かるだろう…。オレが強いとしたら、それは多くの仲間が居る強さを得られなかったからだ。お前が欲しいのは孤独と引き換えの強さか…それとも、仲間と共に有る為の強さか…? 自分が欲しい強さをもう一度良く考えてみろ」

 

「…はい…」

 

そう言って統夜は改めて部屋から出て行った。

 

 

 

「統夜」

 

外を散歩していた統夜の背中にフェイトの声が投げかけられる。

 

「…どうした?」

 

「…統夜…マヤさんって人は「タダの協力者で、知り合い。それ以上の関係は無いから安心しろ」うん」

 

実際、マヤ・ヤングには協力者で有り仲間で有ると言う感覚しかないし、恋愛感情を持つ理由も無い。

 

「…ねえ…統夜…。統夜はインサイザーってライダーと戦って…」

 

「…レンさんに助けられた…。初めて他のライダーをベントしたのは仮面ライダースピアーだな」

 

「そう…なんだ。統夜は辛くなかった…誰にも知られずに戦い続けて」

 

「辛くなかったなんて言ったら嘘になるな。辛かった…誰からも理解されずに…ゼイビアックスやモンスターだけじゃなくて、時には人も敵になったんだからな」

 

戦いの辛さ以上に『孤独』と言う敵が統夜達には最大の敵。それでも、地球ではレンと言う頼りになる仲間も存在していたが、ミッドチルダでは本当に意味で…孤独…。

 

「大丈夫。私達が…私が居るから。私は統夜の味方だから」

 

そんな事を考えているとフェイトの手が統夜の手を握り微笑んでそう告げる。そう、今も統夜は孤独じゃない。

 

「そうだな、ありがとう」

 

支えてくれる仲間はちゃんと居る。

 

(…レンさん…助けが要らないなんて思い上がったことは言わないけど…オレは戦っていける。…仲間はちゃんとここに居るからな)

 

心の中、月を見上げながらそう告げるのだった。








 

 

 

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