第六話

 

 

「そ、そうだったの……」

 

 祐司の言葉に表情が引き攣るリアスだったが気を取り直して、話を元に戻す事にした。

 

「この子よね、『天野 夕麻』って」

 

 そう言ってリアスは一枚の写真を一誠に見せる。祐司も彼の見た写真を除きこむと、

 

「……やっぱり、あの時の烏女だな……」

 

 写真の中の彼女は堕天使としての姿では無く普通の少女と言う姿だったが、黒い翼でも付け加えれば間違いなくあの時の女堕天使と一致する。

 

「彼女は確かに存在していたわ。まあ、念入りに自分が貴方の周囲に居た証拠を消した様だけど」

 

 そう言って指を鳴らして指示を出すと朱乃が新たに写真を取り出す。背中に漆黒の翼を持った祐司が遭遇した堕天使としての彼女の姿だ。

 

「天野夕麻、いえ、この堕天使はある目的で貴方に近づいたの」

 

「目的?」

 

 リアスの言葉に一誠が聞き返す。祐司には彼女の言う夕麻(仮)の目的は大体見当は付いているが、

 

「貴方を殺すために」

 

「っ!? 何でオレが!?」

 

「落ち着いてイッセー。……運が無かったんでしょうね」

 

(随分キツイ言い方するな。まあ、間違いでもないけど)

 

 実際、祐司も一度同じ理由で命を狙われた事もあるが。……その結果で堕天使サイドがどんな被害を被ったとしても自業自得だが……。部下の暴走を止められなかった時点で上司にも当然ながら責任が有る。

 

神器(セイクリッド・ギア)の事だろ?」

 

神器(セイクリッド・ギア)?」

 

「貴方、本当に何者かしら。其処まで知っていたり、魔王様の一人と知り合いだったり」

 

 既に呆れと言う感情がリアスには浮かんでいる。実際、純粋に祐司自身の交友関係は悪魔関係に限定されていて、堕天使と天使との交渉窓口は騎士ガンダム達の作った物が大きかったりする。

 

神器(セイクリッド・ギア)とは、特定の人間に宿る規格外の力。中には私達悪魔や堕天使を脅かす程の力を持った神器(セイクリッド・ギア)が有るの」

 

「付け加えると、歴史上の偉人の多くが神器(セイクリッド・ギア)を宿していると研究者の間じゃ言われている。序でに言っておくと……その中でも神さえも滅ぼせる力を持っていると言われているのが、レア中のレア、十四種(・・・)神滅具(ロンギヌス)だ」

 

 そう言ってリアスの説明に付け加え、

 

「で、これがその一つ……最も新しい神滅具(ロンギヌス)

 

 手を翳すと炎が十字架を作り出し炎の印象を持ち中心に金色の十字の星が有る赤い剣『炎の剣』を作り出す。

 

黄金龍の武具(スペリオル・エクリプス)だ」

 

 ……本来、騎士ウイングが最強の姿である神聖騎士(ディバインナイト)ウイングとなるにはスペリオルドラゴンの持つ三種の神器の力が必要だ。そして、ガンダムの力が使えない状況で祐司が戦えるようにと、スペリオルドラゴンが己の力で生み出した大精霊『エクリプスワイバーン』を神器と言う形で与えたのが、本来の歴史ならば存在しないはずの14番目の神滅具(ロンギヌス)である黄金龍の武具(スペリオル・エクリプス)である。

 異世界(スダ・ドアカワールド)の神の力の一部から生み出された大精霊を宿した神器(セイクリッド・ギア)が何時の間にか神滅具(ロンギヌス)になっているのは疑問だが。

 

 後天的に与えられた聖書の神では無く異世界の神の生み出した異質なる14番目の神滅具(ロンギヌス)。だが、その信実を知る者は祐司達だけだろう。……重ねて言うが、何時の間にか14番目の最も新しい品に認定されたのは心底疑問だったりする。

 

 なお、祐司の神器は通常の形態として『三種の神器』が有るが、炎の剣しか使っていない為に熟練度は低い為に同時に三つは使えず二つまでしか使えない。そんな訳で神聖騎士(ディバインナイト)の姿への進化は現時点では不可能となる。

 

 ……結構祐司って過保護にされていると思う。まあ、持っている本人は持っている神器(セイクリッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)であろうが無かろうが大して気にしていない。飽く迄スペリオルドラゴンの力の一部と言う事だけが重要なのだ。そんな祐司も妹達に対してはかなり過保護なのでその辺は育ての親に似ていると言うところだろう。

 

 まあ、持っている神器(セイクリッド・ギア)については当代のレヴィアタンにも知られている事なので特に手持ちの神器の事は隠す気は無い。寧ろ、さっさと言っておこうと思って情報を明かしたわけだが……。

 

「……取り合えず、貴方への質問は後にするわ。イッセー、手を上に翳して頂戴」

 

「は?」

 

「良いから早く」

 

 リアスに急かされて言われたとおりに手を翳す。

 

「目を閉じて貴方の中で一番強いと感じる何かを心の中で想像してちょうだい」

 

「い、一番強い存在……。ドラグ・ソボールの空孫 悟かな」

 

(イッセー、それって漫画のキャラじゃ……)

 

 まあ、下手な英雄などより創作の中のヒーローの方が余程強いだろうが。

 

「その存在を真似るのよ。強くよ、軽くじゃダメ」

 

「ドラゴン波!」

 

(そう言えば、オレの場合は父さんだったよな……)

 

 漫画の必殺技のマネをしているイッセーを生暖かい目で見つつ、自分の時の事を思い出す。元々の持ち主だっただけにイメージの元としては正しいだろう。

 

 まあ、レッドランダーにでもなれば似たような技が使える祐司なら兎も角、普通の男子高校生の若葉マーク付きの転生悪魔の一誠に出来るわけも無く、両手首の付け根同士を合わせて、掌を開いた状態で両腕を突き出した必殺技のポーズが虚しく空を切っていた。

 

 まあ、恥ずかしさで身悶えている一誠は明後日の方向に捨てておく事にして彼の左腕を見ると紅い籠手が装着されていた。

 

「イッセー、目を開けてよく見て御覧なさい」

 

「へ? って、な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 己の左腕に現れた神器に驚愕している一誠を他所に祐司は怪訝な表情を浮べていた。

 

「あれ?」

 

「……どうしました、兄様?」

 

「いや、なんか違う気が……『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』ってあんな形だったかな〜って思って……。それに、あの神器から感じる力は……強力過ぎる気が……」

 

 凝った装飾に緑の宝玉。そして、感じられる力は極有り触れたよくある品……カードゲーム等の希少価値(レア度)で例えるならばノーマルと言った品にしては感じられる力は強過ぎる。『龍闘神シェンロン』にも匹敵しかねないそれはまるで……

 

(……赤龍帝の籠手(ブースデッド・ギア)……な訳無いか。そんなレア中のレアが有るわけないよな……)

 

 そもそも神器その物が比較的レアな品物なのだし、そんな中で最上級の品がこんな身近にある訳が無いと一度考えを否定する。

 龍の力と言う点から騎士シェンロンやレッドランダーならば真偽はハッキリするだろうが、祐司には分からない事だ。……別に興味も無いが。

 ストレスの元凶である転生者(バカ)の居るオカルト研究部に長居するつもりもないのだし。

 

「それが貴方の神器よ。あとは自分の意思で出し入れができるわ。そして、その神器(セイクリッド・ギア)を危険視されて殺された所を私が生き返らせたのよ。……悪魔としてね」

 

『あの時か……。色々と複雑な心境だな』

 

(まあ、お前の場合は特にそうだろうな)

 

 騎士ウイングの言葉にそう言葉を返す。あの時に夕麻と名乗って人間に化けていた堕天使によって一誠は殺された。そして、それを生き返らせて救ったのは悪魔であるリアスと言う事情は騎士ウイングにとっては色々と複雑な心境だった。

 

 ……どうでも良いが、死の直前とは言え本来なら眷属である朱乃達ではなく主であるリアスを呼び出せた一誠の思いの強さには思わず感心してしまう。

 元々目を付けていたが、死の直前だったためか力を見る事が出来たために彼女は己の眷属悪魔として一誠を助ける事を選んだ。

 

 リアスが言うには小猫にも目を付けていたらしいが、近づこうとするたびに何かに邪魔をされていたらしい。……当然ながら今も近くに潜んでいる護衛役の騎士デスサイズと武者デスサイズの仕業だ。

 

 リアス達が背中からコウモリを思わせる悪魔特有の翼を出すと、それに触発されたらしく一誠の背中からも同じ様に漆黒の翼が現れる。

 

「てい」

 

「おわ!? な、ななななななななな何するんだよ、祐司!?」

 

「……いや、つい衝動的に。正直警戒していたモンで。悪い、もうしないから安心しろ」

 

 軽く一閃した今まで出しっぱなしにしていた炎の剣を慌てて避けた一誠が涙目で抗議してくるのを軽く謝りながら心の中で『敵対しない限りは』と付け加えて炎の剣を消す。

 実際には何となくと言う理由では無く、祐司達はそれぞれが三大勢力の被害者である。悪魔側の被害者が小猫であり、祐司と蛍の悪魔への嫌悪は彼女の事情による物であり、己の感情ではない。その事を思い出したであろう手に力が篭っていた彼女に変わって軽く一誠に避けられる速さで攻撃しておいた。……衝動的だろうがなんだろうが彼女にそれをさせない為にだ。

 なお、知り合いの魔王レヴィアタンに関しては向こうが謝ってきたので寧ろ関係ないはずの彼女に謝らせてしまった事に申し訳なさも感じてしまった事も有る。

 

 前に出て戦うのは二人では無く、己とガンダム達である。それは祐司にとっての一つの決意だ。

 

「改めて紹介するわね」

 

 リアスが言うと祐斗がスマイルを浮べる。

 

「僕は『木場 祐斗』。兵藤一誠君と黒野祐司君と同じ二年生だよ。えーと、悪魔です。よろしく」

 

「私は三年生、『姫島 朱乃』ですわ。一応、研究部の副部長も兼任しております。今後ともよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ。うふふ」

 

「そして、今は此処に居ないイッセーと祐司……君のクラスメイトの『草壁 裕也』を含めた彼等の主であり、悪魔でもあるグレモリー家の『リアス・グレモリー』よ。家の爵位は公爵。よろしくね、三人とも」

 

 赤い髪を揺らしながら堂々とリアスが名乗った事で自己紹介が終わり、彼女は祐司と小猫の二人……いや、祐司へと視線を向ける。

 

「さて、私達の事は話したわ。次は貴方の事を教えてくれるかしら? 貴方は一体何者なの?」

 

「何者って? ただの強力な神器(セイクリッド・ギア)を持ってる人間だけど」

 

「ふざけないで! ただの人間があんな姿に変身して、しかも……魔力も何も使わずに堕天使を滅ぼせるなんて出来るはずないわ」

 

(……さすがに騙されてくれないか。神器(セイクリッド・ギア)の力と思ってくれると期待したんだけどな)

 

 実際、ガンダム達の力を隠す意味合いでも14番目の神滅具(ロンギヌス)と言うのは丁度いいカモフラージュだったのだが、見破られる時は良く見破られてしまう。どうするかと祐司が考えていると、

 

 

 

『此処まで来たら話すしかないだろう』

 

 

 

 その場に響くのは誰の物でもない声。その声に一誠が驚いてリアス達が警戒する姿を見せると、

 

「はぁ……仕方ないか」

 

『仕方ないと言う以前にお前のミスだ』

 

 先日の祐司のミスを叱責するように静かながら厳しい言葉が響くと祐司と小猫の後ろに黒い鎧を纏ったガンダム族の騎士が現れる。

 

「っ!? 何者なの、何時の間に此処に……」

 

「最初からだ。やれやれ……気付いていたのが祐司だけとは、オレがお前達の敵だったらどうなっていたか」

 

 『未熟だ』とでも直接口には出していないがはっきりとそう言っているのが分かる口調で告げる黒い鎧の騎士。そんな彼に対してリアス達が臨戦態勢を取るが、当の騎士デスサイズは意にも介さずゆっくりと口を開く。

 

「オレの名は『騎士(ナイト)デスサイズ』。彼女の護衛を任されている者で、祐司の仲間と言うことになるな」

 

「彼は何者なの? 貴方が変身した姿に似ているようだけど」

 

「似ているも何も、オレが変身したのと……一応同族だろうからな」

 

 武者と騎士とコマンドとガンドランダー。住む世界は違ってもガンダムと言う事だけは変わらないだろう。世界が変われば在り方も寿命も大きく変わってくるのだが、それはそれ、あまり考えない事にしておく。

 まあ、寿命が思いっきり違うガンドランダー世界とは違い比較的武者ガンダムと騎士ガンダムの世界は比較的近い世界だろう。人間と共存しているか否かと言う点が一番の相違点だが、武者ガンダム達の世界にも人間は存在していたと言う説も有り、何らかの理由で天馬の国と呼ばれる現代世界に別れた可能性もあるが。

 

 警戒心を向けられていると言うのに武器を持つでもなく自然体で居る騎士デスサイズを一瞥してリアスは祐司へと視線を向ける。

 言外に『お前達など敵ではない』とでも言っている様子に見える騎士デスサイズの姿には悪魔として多少の苛立ちを覚えるが、先ずは話を聞く事を優先した様子だ。

 

 まあ、本当に騎士ウイング達と共に古代神バロックガンとその配下のオズワルドと戦った騎士デスサイズにとって敵ではないのだろう。

 聞いた話ではレーディングゲームと言うバトルゲームに参加できるのは成人してから、ハグレ悪魔も祐司が倒してきたレベルから考えれば大抵は戦闘では無く彼女達の一方的な蹂躙と言えるレベルの相手が多いだろう。……一度騎士ガンダム達が連れてきた小猫の姉の様なレベルは上級に分類されるだろうし。

 己と同等以上の強敵や一瞬でも気が抜けない程のレベルの強敵との戦いは経験してないのなら、騎士デスサイズはそう言うレベルの戦いを潜り抜けている。故に油断こそしていないが自然体のままで居られるわけだ。

 

 だが、こうして騎士デスサイズが姿を表した最大の理由は『安易に誤魔化さずに有る程度は話せ』と言う事だろう。

 

「オレが変わった『ガンダム』の名前は『武者ウイングゼロ』と『サイバーウイングゼロ』……別の世界の英雄って所だな」

 

「別の世界? どう言うことなの?」

 

「さあ? ただ、彼等の様な姿をした者達が存在する世界で『英雄』と呼ばれるべき存在が、彼ら『ガンダム』って事だけだな。寧ろ、その中の一つ『スダ・ドアカワールド』は其処に居る騎士デスサイズの方が詳しいだろうな」

 

 最後に『元々その世界の住人だし』と付け加えておく。

 

「確かにそうだが、今回はオレ達の世界の事は関係ないだろう」

 

「異世界とか祐司、お前と小猫ちゃんって何者だよ?」

 

「残念ながら、かなり特殊な人間である事に間違いない。ただ、オレはガンダム達がこの世界で実体化する為に必要な才能を持っているらしいな」

 

「『らしい』って?」

 

「父さんから聞いた話だから、詳しくは知らないからな」

 

 一誠の疑問にある種簡潔に答える。要するに彼らの疑問について説明する事を殆ど知らず、全部父親である騎士ガンダムへの信頼だけで受容れていたりする。比較的詳しく知っているであろう騎士デスサイズに聞いても無理そうだと判断し、リアスはそれ以上聞く事を諦める。

 

「そう、じゃあ一つだけ聞かせて貰える?」

 

「何を?」

 

「ええ、貴方が堕天使を倒したのは何?」

 

「……サイバーウイングゼロ。ある種の『魔法』やそれに近い力が有る他の世界とは違って……科学の力が超常の域に達した唯一の世界の戦士だな。……全人類VS11人って絶望的な戦いを勝利した戦士の一人でもあるな」

 

「ぜ、全人類が敵ってどんな状況だよ!?」

 

「……オレも本人達から聞いた時には……流石に驚いた」

 

 一誠の突っ込みに明後日の方向を向いて答える。Gチェンジャーの世界では全人類が敵に洗脳され、敵軍の一角に変えられていた。その為に自らの意思で変わる力を持ち洗脳に抗えた『フェニックスゴッド』達11人のGチェンジャー以外は全て敵になっていた訳だ。

 

「そんな話を聞かされても、未だに信じられないわね」

 

「だったら、SF映画やアニメでも想像すれば良いんじゃないですか? 彼等の科学技術はSFの域だし。まあ、銃とか爆弾じゃなくてビーム砲とかミサイルとか、そう言うのが当たり前に出てくる奴とか」

 

「……それなら少し納得できるわね……」

 

 リアスが何をイメージしたのかは分からないが、それで少しは納得の出来るイメージが湧いたのだろう。そんな祐司と小猫を見ながらリアスは暫く考え込むと……。

 

「ねえ、貴方達。私の眷属にならない? 祐司、貴方の力なら爵位を貰うのも夢じゃないわよ」

 

「断る」

 

「お断りします」

 

 リアスの言葉に即答する祐司と小猫。

 

「も、もう少し考えてくれても良いんじゃないの?」

 

「あの、リアス先輩。爵位ってどう言うことですか?」

 

 祐司達の会話に疑問を覚えた一誠が問いかけてくる。そもそもこの中で三大勢力に関わる上で若葉マークの一誠の存在を忘れてしまっていた。

 

「そう言えば、イッセーには説明してなかったわね。悪魔で活躍すれば爵位を貰って成り上がる事が出来るのよ。やり方次第ではハーレムも作れるかもしれないわ」

 

「マ、マジですか……? う……うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!! オレ、頑張ります!」

 

 『ハーレム』と言う言葉に反応して過剰な反応を見せてやる気になっている一誠を冷めた目で見ている祐司と小猫の二人。騎士デスサイズに至っては呆れて頭を抱えている。

 

「シェンロンに同情するな」

 

 真面目な方に分類される騎士デスサイズ。その内騎士シェンロンに協力して一度性根を叩きなおした方が良いだろうかと本気で思っている。戦士としての心得が足りないと思っているし。

 

「気をつけろよ。悪魔の社会じゃ転生悪魔って純粋な悪魔よりも下に扱われる事があるらしいぞ。半ば奴隷の様に扱われる事例だって存在するそうだしな」

 

「確かに残念ながらそう言う事も多いけど、私は違うわよ!」

 

 心底『心外だ』と言う表情を浮べて怒鳴るリアス。

 

「まあそう言う判断は保留として」

 

「しないでくれる!」

 

 涙目で講義してくるリアスを放置して祐司は一誠の肩を叩く。

 

「まあ、お前の場合は選択肢なんて無いんだ。人生ならぬ悪魔生を謳歌するといいだろ」

 

「思いっきり他人事かよ! なあ、祐司お前も悪魔になってくれないか? お前が居ればなんか……」

 

「残念ながら、オレは既に黄金龍(スペリオルドラゴン)の……そっちの流儀で言うなら『眷族』になってる訳だしな。それに……」

 

 飽く迄己はスペリオルドラゴンの命の下に闇の化身と戦う為に裏に関わっている。自由に動ける立場である現在の立ち居地を崩したくは無いのだし。別に転生しているわけではないが、黄金龍の眷属と言う勢力としての立ち居地は動きやすいし、強力も依頼と言う形で受ければいいのだし。

 

 第一、

 

「アンタの所のルークとは必要以上……以前に必要でも関わりたくない」

 

「そ、そう……なんかごめんなさい」

 

 気まずそうに目を逸らしながら深々と頭を下げるリアス。祐斗と朱乃も表情に『また、あいつか』と言う様な物が浮かんでいる。

 

 後で分かった事だが、リアスもあの転生者(バカ)を眷属にしたのは気の迷いだったと思っているらしい。何でも、戦闘力だけは一級だが周りと問題を起しているらしく彼女達の評価を一人で落としているらしい。

 

「じゃあ、最後に二つだけ聞かせて貰える?」

 

「何を?」

 

「貴方達は私達の敵になるつもりは?」

 

「悪魔全体……と言うならレヴィアタン様とは個人的に親しいし、なるべくなら敵対したくない。友人も居るしな」

 

 敢えて其処で個人の場合は上げていない。

 

「それと……黄金龍ってあの……『二極の龍神』の片割れの、あの『絶対なる黄金龍』?」

 

「いや、二極の龍神とか絶対とか知らないんだけど……」

 

 言うべき事は一つだけ……『何やってるんだ父さん』と言った所だ。


 









 

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