第八話
一誠が悪魔に転生し、正式にグレモリー眷属に加わってから、リアスにとっては不安満載だった最後の一人であるルークの
まあ、何か企んでいる表情だったらしい……。(彼が悪魔に転生した時にリアスや朱乃にも向けていた表情らしいが、女性に出会うたびに浮かべている表情で、それが原因で顔は悪くないのに女性からの受けは悪い)
この世界に転生した際に貰ったチート能力は他にも幾つか有るらしいが、最も汎用性に富んで扱い易く戦闘に向いているのがこれらしい。
(……それにしても)
リアスから聞いた話では一誠に使った駒は
……なお、この事はリアスからは一誠に対しては口止めを頼まれていた。
(……やっぱり、あれは……
実際、祐司が見た所では一誠の戦闘者としての能力は低いと言うしかない。同時に魔力も低い方だろうから……総合すると彼のそれは数字に居れば『1』が良い所だ。
1が2倍になってもたいした脅威ではなく、今のままでは折角の
所詮は道具は道具、扱う者自身が強くならなければ何の意味も無い。……無いのだが……。
(シェンロン、ナタク……一誠の強化は早めに頼む)
『『分かった』』
騎士シェンロンと武者ナタクに依頼する祐司だった。予感が正しければ、悪魔に転生した上に
流石に二度目の生もそんな形で幕を閉じるのは友人として同情するので、倍加する元の数となる一誠自身の力であるXを少しでも高める必要が有るだろう。……闇の化身と言う大き過ぎる問題も転がっているので、なるべく早急に。
どれだけ強力な武器を持っていたとしても、扱う人間が弱ければ意味が無い。神をも滅ぼせる可能性を持った
(……そうなると……。まだ正体が分からない今の内がアイツを強くするには最善のタイミングなのかもな)
……そう考えるが、その最善を既に逃していると言う事は神ならざる身の祐司には分からない事だった。……最も彼の場合聖書の神はある意味倒すべき対象で、信じている神はSDガンダムワールドの神々だけだが……。
半ば部室を追い出される形でチラシ配りをしている転生者と、下積みの仕事として同じくチラシ配りをしている一誠に対して、最低限の事だけはしておいてやろうと思いつつ夕飯の買い物をする祐司だった。
「い、イッセー……何が有った?」
「……なんで魔法限定なんだよ……あれじゃ拳で倒せるだろう……」
あれから数日後、悪魔としての仕事を幾つかこなして憔悴しきった一誠を不思議に思って問いかけると、『
「……漢女? ああ、
「見たこと有るのかよ!? しかも、あんなのが神様やってる世界があるのかよ!? ……オレ、この世界で生まれて良かったって心底思うよ……」
どうやら恐ろしい世界を想像している様子だが、寧ろ一誠としては楽しい世界に分類できるだろう。……三国志の英雄が女性(しかも美人)になっている世界だから。三璃紗の世界と間違えて行った時に出会ったらしい……。
「あんな筋肉ムキムキで魔法少女になる必要ないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!?」
「なんだ、パワーファイターから魔法使いに転職を希望なのか?」
そう言えば、未来の時代のリオン・カージと一つとなったスダ・ドアカワールドのアルガス騎士団ではパワーファイターの家系から法術師になったガンダムがいたと聞いたなと思いつつ、
「つまり、ルーンジストでも探してるのか? 魔法使いに転職するための」
「有るのかよ、そんな便利なのが!?」
別にそれほど便利な代物ではない。
リオン・カージの『勇者エックス』が騎士へと至る為、騎士を夢見る少年剣士から闘士、魔術師から目指していた騎士へとルーンジストの力を借りて転職した事は祐司も聞いている。
……バロックガンの支配の及ばない未来の時間軸に当たるその世界の勇者、エックスの力をスペリオルドラゴンが借りたと言う話だ。それは神だとしても遥かな未来さえは思い通りには出来無いと言う良い証明だろう。
「……有るぞ、リオン・カージにな」
闘士や魔術師、騎士に転職するルーンジストを手に入れる為、また剣士、闘士、魔術師の力を極める為の試練を乗り越えるのに勇者エックスは苦労したが……。
「なあ……」
「何を考えてるかは知らないけど、手に入れるのは苦労するぞ」
主に巨大な魔獣『魔獣パトゥーリア』を倒したり、闘技大会で優勝して主催者の巨人に化けた巨蟹を倒したり、魔術師と大蜘蛛の姿を持った奴を倒したり、と。
まあ、手に入れるための試練が同時にそれぞれの職を極めるための試練となったのはエックスにとって幸運だったのかもしれない。
大魔王の配下の策を潰した上で職を極める修行を行い、同時に新たな力を得る為のルーンジストまで手に入ったのだから。まあ、ある意味運さえも味方につけるのが『勇者』としての才能なのかもしれないが。
こんな感じでリアスからの依頼もなく、時折事情を知っていてる外部の友人と言う事で一誠の悪魔の仕事に対する感想を聞かされているが、それほど何時もと変わらない日々が続いていた。
まあ、ルーンジストの事を聞いた一誠が何を考えているのかは祐司にとって、心底どうでも良くて、寧ろ今晩の夕食のメニューの方が大事だ。
(……あの鴉女、何処に居る?)
堕天使の本拠に逃げたと言う可能性も有るが、別の堕天使を倒している以上何らかの行動を見せるだろう。……少なくとも、
(……三大勢力の連中の大半って、自分の種族こそが至高って自惚れているからな)
少なくとも騎士ガンダムから聞いた堕天使のトップであるアザゼルや、自分が会った事の有る悪魔の勢力のトップのレヴィアタンはそうでもないが、と考えながら、それぞれの勢力の持つ種族的な弱点を挙げて心の中で溜息を吐く
(……あの男の堕天使が仲間だったとしても逃げるとは考え辛い。敵だったら尚更だ。まだあの女はこの町に居る)
本人は無自覚だろうが、向こうから売ってくれた喧嘩だ。向こうが後悔する位徹底的にやるのみ。
「なあ、祐司」
「どうしたんだよ?」
「実はさ、他にもこんな依頼を受けたんだけど……」
つい最近の一誠はこの学校の……悪魔とは無関係な教師に召喚されたらしい。
何でも、一年生に入学してから何ヶ月も登校してきてない女子生徒が居るので、何とか彼女を登校させて欲しいそうだ。相手が女の子と言う事で張り切っている一誠に件の女子生徒の家の住所を聞いたのだが……
「なあ、イッセー」
「なんだよ?」
「……そこ、オレの家だぞ」
「ナニィィィィィィィィィイ!?」
祐司の家だった。そして、祐司の家には一人一誠から聞いた条件に該当する者が居る。
「……はぁ、蛍の事か」
「誰だよ、蛍って?」
「誰って……オレの妹だ。……義理のな」
その言葉を聞いた瞬間一誠が顔を俯かせながら黒いオーラを纏っている。
「……ん、だと……」
「お、おい……」
「小猫ちゃんと同居してるだけじゃ無くて、義理の妹が居るだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!?」
「お、おい、イッセー!?」
祐司の胸倉を掴んで前後に振ってくれている一誠をなんとか宥めようとするが、残念ながら効果は無し。
「なんでお前ばっかりそんなハーレム状態なんだよ!? 顔か!? やっぱり顔なのか!?」
「知るか!? ……それに、どちらかと言うと『実力』だろうな?」
一誠にハーレムと言われて改めて考えると、同居人には小猫に義妹の蛍、現レヴィアタンとも親しかったりする。……確かにそれなりに親しい付き合いの相手は女性が多い。
『実力』と言われてorzな体制で俯いている一誠を一瞥しつつ……
(……まあ、強くなった所で望みが叶うかは別問題だけどな……)
そんな事を思うのだった。
「おーい、イッセー」
「なんだよ?」
「どうでも良いけど、家に来る時は一言連絡入れてくれよ」
「何でだよ……」
「いや、流石に行き成り押しかけられたら、敵襲と勘違いされて吹飛ばされても困るからな」
九割ほど冗談だが。……流石に自宅と蛍の警護に用意しているレッドランダー達は其処まで過激では無い。天使嫌いの蛍ではあるが悪魔相手には問答無用で攻撃するとも思えないし……。
「三匹のドラゴンとそのパートナーに」
「ぶっそうだな、おい! ってか、ドラゴンなんて飼ってるのかよ、お前の家!?」
「いや、相棒と言う関係だから、どちらかと言うと対等だな」
正確に言うとドラゴンでは無く『ガンドラゴン』だが、この世界のドラゴンと比べてもそれほど大差は無いだろう。……ドラゴンフォーメーションの掛け声でパートナーと合体する事意外は。
まあ、パートナーと合体した結果戦車部隊を一瞬で消滅させるほどのパワーアップを果たすのだが。
……どっちにしても断じてガンドラゴン達はペットでは無い。とりあえず、祐司の家に行く時は祐司にも一緒に行って貰おうと心に誓う一誠だった。
放課後……
そのまま帰ろうと思った祐司だが一誠に頼まれて一緒に部室に行く事になった。主に本日祐司の家に蛍に登校の為の説得に行く予定だったからなのだが……
「無理だろうな」
「……無理ですね」
冷たく斬り捨てる祐司と小猫の二人。幸いにも転生者は悪魔の仕事に出ている為に部室にはいない。
「何でだよ!?」
「いや、蛍の説得って時点で……」
「……無理だと思いますから」
蛍の性格を良く知るが故の二人の言葉だ。まあ、祐司も蛍が一度も登校しないのは問題だと思っているので一誠の依頼達成に協力しても良いと思っているが。
まあ、余計なストレスためたくないと言う理由で、毎日登校しているが二年になってからは殆ど授業をサボっている祐司も問題が多すぎるだろう。
「……どんな子なのよ、その蛍って子?」
「一言で言うと……排他的な性格だな」
リアスの言葉にそう答えながらも、それは自分にも当て嵌まっているのだろうと思う。だが、その傾向は蛍の場合はかなり酷い部類に入るのが問題だ。
……少なくとも、初対面の一誠では説得以前にマトモに会話する事さえも不可能で、聞き入れるかどうかは別にして、説得できるとすれば……騎士ガンダムかサタンガンダムか、祐司か小猫くらいだろう。
「初対面の相手じゃ会話にさえ……」
「じゃあ、何度か会いに行けば……」
「説得が成功すると言う以前に、一誠……お前、蛍と会話を成立させる前に、卒業すると思うぞ」
どっちがとは言わないが、つまり年単位で必要と言う事だ。まあ、短時間で会話を成立させる方法が無い事もないが……。
(……
身内に対しては初対面でも簡単に受容れてくれる性質も持っているので、要するに『他』で無くなれば良いだけなのだが、実際にはそれも難しいのだ。
「取り合えず……一度会ってみるか?」
「そうする」
こうして、一誠の