今は予防医学が発達して、毎年一回のワクチンで恐ろしい伝染病も影を潜めていますが、油断は大敵です。
ごくまれにワクチンを打っていても発病したというケースも聞きます。
ここでは、そんな恐ろしい伝染病の代表的なものをお話ししたいと思います。
| 病因 | 狂犬病ウィルス |
| ウィルス 説明 |
すべての温血動物に感染し、感染した動物は必ず死ぬという 恐ろしいウィルス。 |
| 感染経路 | 病犬に咬まれることにより、病犬の唾液中のウィルスが咬んだ傷口から 相手の体に侵入し、感染します。 |
| 潜伏期間 | 犬によって違い、早くて一週間、遅くて二年ですが、 だいたい二週間から六週間。 |
| 症状 | 目つきがうつろになり、口からヨダレをたらしてやたら他の動物に噛み つくようになり、フラフラとした歩き方をし、三日から一週間ほどで急性の 脳脊髄炎を起こして死亡するという経過をたどります。 水を飲もうとすると、激しい喉の痙攣を起こして水が飲めないため、 別名「恐水病」とも呼ばれています。 |
| 予防と治療 | 発症してしまってからの有効な治療法がないので、ワクチンをうけること。 幸い日本では昭和二十五年に狂犬病予防法が制定され予防接種が 義務づけられてから一件も発生していないが、外国では発症の例が まだあるので、油断はできません。 |
| 病因 | 犬ジステンバーウィルス |
| ウィルス 説明 |
伝染性の強い、死亡率の高い急性のウィルス性疾患。 1才未満(3〜6ヶ月)の幼若犬に多いです。 |
| 感染経路 | 病犬の鼻水や尿、目ヤニなどに潜んでいて、接触によって感染するほか、 空気感染もします。 |
| 潜伏期間 | 3日〜6日(平均4日) |
| 症状 | 四十度ぐらいの高熱が出て食欲がなくなり、元気もなくなります。 そして、鼻や目から水様の分泌物が出たり、下痢や血便、あるいは咳が 出たりもします。ウィルスが体のどこにとりつくかによって症状は少しずつ 違います。熱はいったん下がりますが、再び高熱を出すという具合。 軽くて済むこともありますが、症状が悪化することも多く、ウィルスに脳を おかされて痙攣を起こして死亡したり、肺に巣くっていた他の細菌が増殖 して肺炎を引き起こし死亡するということもあります。 また、運良く治っても後遺症としてチック(首から上の筋肉が一生痙攣 している。)がでることもあります。 |
| 予防と治療 | ウィルスそのものをやっつける方法はないので、予防接種が最大の 防御法です。 感染してしまうと、回復には時間が掛かり、1ヶ月前後はみておいて 下さい。治療としては二次感染を防ぐために抗生物質を与えたり、 栄養剤やビタミン剤などを投与したり点滴を行います。 この病気は空気の乾いた冬の寒い季節にかかりやすいので、 そのような時期に、この病気にかかったら、犬を暖かい場所に寝かせ、 消化のよい流動食を用意して栄養の補給につとめ、体力の消耗を防いで やることが大切です。 また、自分の犬だけでなく他の犬に対しても責任ある行動が必要です。 病犬を他の犬と接触させたり、散歩をさせるのは絶対にやめなければ なりません。症状の軽いうちは飼い主が病気に気付かず犬を引っ張り 回すこともあるようですが、これは病犬にとって負担になるだけではなく、 他の犬に対しても病気をばらまいているようなものです。 有効消毒・・・塩素系の消毒薬(ハイター30%溶液)・・・etc |
| 病因 | パルボウィルス |
| ウィルス 説明 |
元々は猫の病気だったが突然変異で犬にも感染するようになりました。 抵抗性が極めて高く、アルコール、熱、クレゾールなど一般的な 消毒液では通用しません。 どの年齢の犬でも発症するが、生後6〜20週の幼若犬に多いです。 |
| 感染経路 | 病犬の排泄物に混じっていて、経口感染します。 便中に排泄されたウィルスは、室温下で6ヶ月以上も感染力を維持します。 |
| 潜伏期間 | 2.3日 |
| 症状 | 激しい嘔吐に始まり、トマトジュースのような下痢が何回も続くので激しい 脱水が起こり、衰弱していきます。初期の治療を間違えれば死に至る大変 こわい病気で、幼犬や老犬、または他に病気を持っている犬などが感染 した場合は、特に致命的な結果になりやすいです。 幼犬では心筋炎を起こして急死したり、死亡率の大変高い病気です。 |
| 予防と治療 | ワクチンが一番の予防法ですが、もし、感染してしまったのなら最初の 72時間が最も重要で、出来るだけ早く病院に連れていき、この間に 強力に治療しなければなりません。 持続的な輸液療法と、適切な抗生物質を一定の間隔で投与 することと、手厚い看護が必要です。 有効消毒・・・次亜塩素酸ナトリウムのみ(ハイター30%溶液) |
| 病因 | 犬アデノウィルスT型ウィルス |
| ウィルス 説明 |
ジステンパー、パルボウィルス感染症と並んで最も重要な急性の肝炎を 主徴とする全身性疾患。 |
| 感染経路 | 病犬の尿や鼻汁に含まれており、このような尿や鼻汁に接触することで 感染する接触・経口感染。 特に尿中へのウィルス排泄は、治療後半年以上、時には2年もの長期に わたることがあります。 |
| 潜伏期間 | 接触感染で6〜9日、経口感染で4〜9日 |
| 症状 | 症状には四つのパターンがあり、一つ目は突発性致死型。 さっきまで元気に遊んでいたような犬がみるみる元気をなくし、四十度以上 の高温におそわれて十二時間から二十四時間のうちに高い確率で 死に至ってしまいます。 次は重症型。発病して二十四時間のうちに四十度以上の高熱を出し、 元気がなくなってものを食べなくなります。それに伴って扁桃腺がはれたり、 吐いたり下痢をしたりするほか肝臓がはれます。肝臓がはれると痛みが 生じるのでお腹の辺りを触られるととても嫌がります。肝臓の炎症による 典型的な症状としては、口腔やその他の粘膜の黄疸です。 全身のリンパ節が腫脹し、ウィルスによる凝固系の異常が出血傾向を もたらします。早期に治療すれば回復の見込みは高く、最初の二十四時間 を過ぎると犬は快方へと向かいますが、短期間、片方ないし両方の目が 青みを帯びて混濁するいわゆる「ブルーアイ」(2〜8日たつと消える。)と 呼ばれる現象がみられます。 三つ目は軽症型。文字通り症状は軽く大事には至りません。 食欲が少し落ちたり時に下痢をしたりすることがありますが、病気という 感じはあまりしません。ただし、狂騒症状といって変にうるさくワンワンと 騒ぎ立てることがあるのが特徴です。 治りかけの時に「ブルーアイ」がおこるのは重症型と似ています。 最後に不顕性型。これといって具合も悪くないのに、体内に伝染性肝炎の 抗体をもっているというケースです。 |
| 予防と治療 | 直接ウィルスを殺す薬はないので、ワクチンをうけることが大切です。 発病してからの治療はジステンパーの治療と似たような方法がとられます。 飼い主としては、犬を快適な場所に寝かせて栄養の補給につとめることが 大切です。 生ワクチンをうけると「ブルーアイ」になる確率がやや高くなります。 特にアフガンハウンドで著明な傾向がみられます。 |
| 病因 | 犬アデノウィルスU型ウィルス |
| ウィルス 説明 |
呼吸器系の伝染性疾患で、いわゆる「ケンネル・コフ」症候群の一つ。 単独感染では軽症だが、二次感染・混合感染がこわい病気です。 |
| 感染経路 | 空気感染 |
| 潜伏期間 | ・・・ |
| 症状 | 通常、短く乾いた咳や鼻汁、鼻炎、体温の上昇、食欲不振などが おこり、通常3週間ぐらいすれば自然治癒するのが普通です。 軽い症状しかいたりませんが、感染力が強いため、 放置すると肺炎にまで発達することがあります。 |
| 予防と治療 | 集団飼育されている犬の間で極めて早く伝染するので、飼育管理には 注意が必要ですが、ワクチンを打つことが一番の予防です。 抗生物質による治療が効果的ですが、重篤な感染では吸入治療も 必要となります。 |
| 病因 | パラインフルエンザ5型ウィルス |
| ウィルス 説明 |
呼吸器系の伝染性疾患で、いわゆる「ケンネル・コフ」症候群の一つ。 |
| 感染経路 | 病犬の鼻汁や咽頭部におり、咳によってまき散らされる空気感染。 |
| 潜伏期間 | ・・・ |
| 症状 | 集団的に発生するのが特徴で、咳をし、鼻汁、扁桃腺の発赤、腫脹。 軽症だが、混合感染ではより重症になります。 |
| 予防と治療 | イヌアデノウィルスU型ウィルスとほぼ同じ |
| 病因 | スピロヘータ(細菌) |
| 細菌説明 | カニコーラ型(犬疫型)とワイル型(黄疸出血型)の二種類があり、 ワイル型は犬だけでなく、人やネズミにも感染します。 |
| 感染経路 | 病犬の尿中に潜んでいて、その犬のおしっこのにおいをかいだり、 汚染された水を飲んだりして経口感染をします。人に感染する経路は主に 皮膚に出来た傷などから体内に侵入するという経路をたどります。 菌は尿中に長期間排泄されるので注意が必要。 |
| 潜伏期間 | たいていは不顕性。急性症もある。 |
| 症状 | 初めに発熱しますが熱はすぐに下がり、盛んに吐いたり下痢をしたり します。食物や水をとっても、それらを吐き戻してしまうので、体は次第に 脱水症状をきたし体力を消耗し、最終的には腎炎を起こして死に至ります。 また口の中に炎症や腫瘍が出来たりするのが特徴です。 一方ワイル型もやはり発熱や下痢、嘔吐、口内炎などが起こりますが、 特徴的なのは黄疸が起きるという点です。人が感染した場合にも黄疸は 見られ、これを「ワイル氏病」と呼んでいます。 |
| 予防と治療 | ワクチン接種が大切です。 もし発病しても早期に適切な治療を行えば回復は十分望めますが、 手当が遅れたり、病犬が老犬だったりすると死亡率は高くなります。 治療としては、病原体そのものをやっつける抗生物質を投与するほか、 症状を抑えるために下痢や嘔吐を抑える薬を与え、輸液を行って 脱水症状になるのを防ぎます。また、犬の体を温かくして安静にしてやる ことが必要です。 有効消毒・・・ハイターなど。 |
以上、大まかな伝染病を書いてみました。ここにあげている病気は幸いにもすべて
ワクチンが開発されています。大切な愛犬を病気から守るため、必ず、予防接種は
してあげて下さい。
ワクチンの接種時期
生まれたばかりの仔犬は、初乳を通して母親より免疫をゆずり受けており、各種の病気に
対する抵抗力を身につけています。しかし、この母親ゆずりの免疫は生後数週間から
数ヶ月で消失し、この免疫が切れる時期が仔犬にとって一番危険な時期です。この時期に
タイミングよくワクチン接種を行います。ただし、母親ゆずりの免疫が残っている時期に、
ワクチン接種をしてもあまり効果はありません。ですから、通常は生後2ヶ月(6〜8週齢)
に最初のワクチン接種を行い、その後3週間から1ヶ月後に2度目のワクチン接種を行い
ます。さらに、年1回(ワクチンにより、6ヶ月に1回)ワクチンの追加接種を行います。
ワクチン接種の注意
接種前・・健康状態のチェック。元気、食欲、排泄の状態など。
何らかの問題があれば、必ず獣医に言う。
検便も一緒にし、寄生虫の検査をしてもらう。
接種後・・接種当日の痛み、元気の消失は安静にし、心配なら獣医に相談する。
発熱、嘔吐、下痢、口唇・眼鏡の腫れ、痙攣、失神などは直ちに獣医に連絡。
数日は激しい運動、入浴は避ける。
2回目のワクチン接種後、2週間たてば散歩が可能です。