「しこり」とは「腫瘤」のことで、筋肉が凝り固まったものです。
  腫瘤とは、腫れたコプのようなもので、周りと硬さの違う何かの塊を
  いいます。腫瘍(良性、悪性)、リンパ節、肛門嚢、ヘルニア、膿瘍などが
  腫瘤の正体ですが、コブの正体がわからない間、一時的に使われます。

 良性と悪性

   最初に腫瘍の可能性があるかどうかを疑います。犬の異常を診るときに、
   物騒な病気や多く起こる病気から疑うのです。腫瘍であるとすれば、それが
   悪性なのかどうかを詳しく検査して調べるわけです。
   悪性腫瘍には肉腫と癌があります。腫瘍の治療には外科的切除、抗癌剤、
   放射線治療の3つがあります。
   


腫瘤はできる場所によって、正体も様々です。ここでは、そんないろいろな腫瘤に
ついてお話したいと思います。

腫瘍 犬の体表にできる腫瘍で、最も多いのが乳腺腫瘍です。中年期にさしかか
った牝の犬に多発します。犬の乳腺腫瘍は大部分が良性です。米粒程度の
ものから鶏卵程度のものまで様々ですが、大きな腫瘤は悪性であることが
多いようです。これに対して、猫の乳腺腫瘍はほとんどが悪性です。
牡犬の場合、陰茎の脇にボッコリと大きな腫瘤ができることがあります。
よく見ると、その腫瘤ははお腹の中にあることがわかります。陰嚢には睾丸
が1つしかないか、または1つもありません。そんな場合は、睾丸の腫瘍が
疑われます。睾丸は胎児のときにお腹の中で形成されて、それが陰嚢の
中に降りてくるのが正常です。しかし、いつまでもお腹の中に睾丸が留ま
って、腫瘍化することがあります。若い時期に発見することが多く、手術で
治療します。腫瘍は、触ると弾力性のあって軟らかいもの、コリコリして
硬いものまで様々です。もちろん、硬さと悪性・良性は関係ありません。
ヘルニア 鼠径部やヘソ周囲に見られることが多いです。お腹の壁に孔があいていて、
内臓の一部がそこから飛び出している状態です。飛び出した内臓は脂肪
だけだったり腸が含まれていたりと様々です。これらの臓器は皮膚で
被われていて、触ると柔らかいのが普通です。しかし、硬い場合はその他の
原因が疑われます。
リンパ節
(リンパ腺)
リンパ節は、ひと言でいえば、血液の濾過装置です。リンパ節は、下顎や
鼠径部など体表にもいくつか存在します。このリンパ節は普段は触れません
が、腫れてくると触れるようになります。原因が何であれ、腫れて大きくなった
リンパ節は触るとコリコリして、弾力性があり、パチンコ玉程度に大きくなり
ます。リンパ節は白血病、リンパ肉腫、伝染性肝炎、咽頭炎などで腫れる
ことが多いので、非常に危険なサインです。リンパ節がはれている犬では、
熱があるとか、元気がないなど、何らかの症状が出ています。
治療はリンパ節が腫れた原因を明らかにし、それを取り除くことです。
肛門嚢 肛門嚢の中には悪臭のする液体が蓄えられていて、これは便が直腸を通過
するときに分泌されます。この液体がたくさん溜まると、肛門嚢が腫れてきて
大きくなるわけです。目立った腫瘤になることはあまりありませんが、大きく
なったものは触ればわかります。お尻を床に擦り付けたり、頻繁に肛門を
気にするようであれば、最初に肛門嚢をチェックして下さい。ひどくなると
破裂してその傷口が肛門の脇に開口します。
個体差によって、肛門嚢が腫れやすい犬とそうでない犬がいますが、
なぜ、腫れやすいのかはわかりません。
定期的に処置をすることが大切です。
膿瘍 皮膚の下の組織で膿が袋の中に溜まっている状態をいいます。好発部位は
特にありません。ケガ、虫さされなどが原因で細菌感染した後に起こります。
膿瘍は、触るとブヨブヨした感じがします。大きくなると破裂して膿が排出され
ます。治療は膿瘍ができた場所、大きさ、犬の全身状態によって異なります
が、基本的には局所を切開・排膿し、消毒剤、抗生物質などを用います。
ヨウドチンキをつければ治る程度のものから、治療が必要なものなど
いろいろあります。