愚かな人の住処


 

 

  

 

とあるお家ののんびりした朝の一時。

 

 

「あんちゃ〜ん」

 

 

寝室から服を着替えた妹の声が聞こえてくる。

 

新聞を読みながらコーヒー…ではなくミロを啜る6歳児な俺。

 

コーヒーなんて牛乳と砂糖で甘くしなきゃのめねぇよ。

 

んっ、また●×商事の株価が上昇。

 

どこの会社もウハウハだな。

 

さすがはバブル。

 

そのうち弾けると知っている我が身としては親父には今のうちに頑張ってもらっておいきたいところだ。

 

あぁ、そろそろ気づいているだろうが俺はいわゆる生まれ変わり、通称転生の経験者だ。

 

といっても、今いる世界、世界といっちゃうとなんかSFでファンタジックな想像をしちまいそうだがここは正真正銘日本、・・・合衆国ニッポンポンではないのであしからず、そして我が家は大阪。

 

もともと東京人な俺から見るとスーパーのセールタイムがパネェ大阪だ。

 

商店街での主婦のおばちゃんとお店のおっちゃんとの仁義なき値引きバトルも見逃せねぇ。

 

ただここで問題があるのがここには転生と言う概念が迷信とかそういうのではなく普通に存在していて、転生してきた人が現実に存在するってことだ。

 

まあ、気づいたのは成長して本とか新聞が手の届く範囲にきてからなんだが。

 

あっ、誰かここで多人数転生型な奴とか思った奴いるだろ。

 

ちがうんだなぁ。

 

まあ、普通といっても普通に暮らしてたら会うことなんてまずいないからな。

 

結局なんなんだよというと、

 

 

『えーっ、昨日、午後3時頃、○○県××市にある株式会社▲▲▲で心霊事故が発生しました。

 

警察によると昨日、株式会社▲▲▲の社内に悪霊が発生し、駆けつけたGSによって成仏させられたようです。

 

この事故により5人の死傷者、15人の重軽傷者を出した模様です。

 

この株式・・・』

 

 

今のを聞いてピンッときたやつがいるとおもうがそうだよ。

 

オカルトが実在している世界。

 

もっといえば恐らくGS美神の世界観な世界なんだよね。

 

この事実に気がついたのはニュースでさっきのようなニュースを見たときだ。

 

ただでさえ普通にTVのニュースでオカルト事故のようなのが流されると思ったら解決したのはGSときたもんだ。

 

お化けが迷信ではなく実際にいると聞かされてガクブルになって1年間ほどお袋か親父に手をつないでもらわないと眠れなくなってしまったのは早速作ってしまった俺の黒歴史だ。

 

まあ、ここらへんまでだったらただのよく似た並行世界とかも考えられるんだよね。

 

主要人物にももしかしたら会ったことがあるかもしれないけど会ってないしね。

 

親父とお袋も色眼鏡なしに見たら大阪風?な普通の主婦にサラリーマンだからな。

 

ならどうやってそう思ったかって?

 

それはだな、

 

 

「ほら、忠夫。

 

成実が呼んでるわよ」

 

「はいはい、今行くで」

 

「はい、は一回」

 

「は〜い」

 

ゴスッ☆

 

「つぅ〜、お袋。

 

はいは一回なんていわれたらは〜いと言うのがお約束だと思うんや。

 

浪速の大阪人を自称するワイとしてはお約束を抜くなんて絶対にできんのや」

 

「なら浪速のお袋を自称するお母さんとしてはそこに突っ込みを入れないなんてできんわ」

 

「ツッコミがバイオレンス過ぎるんや。

 

もっと優しいツッコミ入れたってぇな」

 

「はっはっはっはっは、甘いなぁ忠夫。

 

浪速の大阪人はなぁ、女を最低30斬りせんとあかんのや。

 

エロ本くらいで顔真っ赤にしてるオマエじゃとうてい無理やな。

 

そういう意味では俺は25から正真正銘の浪速の大阪人になったということやな」

 

「あなた、私と結婚したのは25になる前やったよね」

 

 

ゾワッ・・・。

 

 

「ひっ、ゆっ、百合子っ。

 

待ってくれ、違うんだ。

 

今のは言葉の綾であって・・・」

 

「お話はじっくり聞かせてもらいましょうね。

 

じっくり・・・」

 

「たっ、忠夫っ!

 

助けてくれ!

 

こんど行きつけのうまいところに一緒に連れってってやるからな」

 

「親父・・・、お袋」

 

希望が見えたのか親父が藁にもすがるような顔でこっちを見ている。

 

お袋は笑顔だが目が笑ってない。

 

親父。

 

藁にもすがるってのはなほとんど可能性のないものにすがることをいうんだぜ。

 

「お袋、念に念を入れといてや。

 

多分行きつけっていわゆるソッチ系の店やで」

 

「ただおぉぉぉ――――――っ!」

 

「あなた、そこらへんじぃぃぃぃーーーーっくり聞かせてもらおうかしら」

 

そういいながら般若の目をしたお袋は親父を連れて行った。

 

すぐに親父の悲鳴が聞こえてきたがすぐに復活するから会社には間に合うだろう。

 

 

さて、分かってくれたと思うが改めて紹介しよう。

 

俺の今の名前は横島忠夫。

 

某煩悩アルバイターと呼ばれ、バブルな世の中にいるくせに生活レベルが最底辺な人外キラーと名高いあのYOKOSHIMAだ。

 

まあ、顔つきも親父に似たイケメンではないけど不細工ではないくらいの面。

 

とりあえずニコポはないな。

 

いや、実際はやりたくないよ。

 

ちなみに自分が横島と気づいたのは3歳でお袋の腕の中で遊び疲れてぐったりしながら散歩から帰ってきたときに我が家の表札を見たときだ。

 

忠夫って漢字もつい最近初めて見たしね。

 

いやぁ〜、自分の名前も名字もあんがいガキだと認識できないモンだねぇ〜と思ったね。

 

まあ、気づいたら気づいたでまた悩み事が一つできたんだよ。

 

知っての通りYOKOSHIMAといえば煩悩。

 

つまり近い将来俺もあんな感じになってしまうのだろうかと。

 

あんなのは漫画だから訴えられないのであって実際やったら普通に犯罪だ。

 

あれは女じゃなくても普通にヒく。

 

まあ、その問題はとある理由である意味解決、ある意味放置できたのだが。

 

それは、

 

 

「あんちゃーん。

 

何で返事してくれないんや」

 

「いやいや、返事はしたで。

 

ただ、お袋のバイオレンスなツッコミでかき消されただけで」

 

「それじゃあしてないのと一緒やん!」

 

 

あぁ、ちらっと見た人は想像しちゃったかもしれないがどっかの下半身が不自由なタヌキさんではない。

 

この子は横島成実。

 

俺の年子の妹だ。

 

ちなみにこの子も別に美人ではないが不細工でもない。

 

お袋似な普通の大阪っ子?な感じの女の子だ。

 

そう、見た目だけならば・・・。

 

 

「とうちゃんとかあちゃんはどうしたん?」

 

「あぁ、お袋は親父とちょっとOHANASHIしてるぞ。

 

議題はいつものごとくや」

 

「なっ、父ちゃんまた一人でいったんかっ!

 

ウチも一緒に行ってネーちゃんの乳揉みたかった!!」

 

「・・・はぁ、一応女同士でも犯罪になるんやで」

 

「なにをいうんや、ある偉い人がいっとった。

 

なんで山に登るんや、そこにあるからや・・・、と。」

 

「はいはい、なんで女のオマエがそこまで親父に似ちゃったんやろなぁ」

 

「あんちゃんが枯れとるだけや!

 

あんなぁ、性欲とは人間の三大欲求なんやで。

 

つまり、たとえ女の子だろうとそこに乳があるなら乳を求めるのが世界の摂理なんや!!」

 

「オマエ意味分かっていっとるんか?」

 

「へっ?、とうちゃんみたいなことっちゅーいみやろ?」

 

「まちがっちゃいないけどさぁ〜、なんというか、無駄にハイスペックなのかただの馬鹿なのか」

 

 

そう、あろう事か親父の性癖がコイツに遺伝していたのだ。

 

女の人に抱かれていつもスゴイ喜んでるなぁとは思っていたんだ。

 

それがまさか人の乳を堪能しているとは思わなかった。

 

気づいたときはとっさにおろさして謝り倒したさ。

 

子供のすることだってわらってくれたが俺には一種の予感があった。

 

コイツは絶対にTSYOKOSHIMAになると。

 

そんなわけで悩みが解決と同時に新たな悩みを抱えてしまったのだ。

 

絶対に苦労する妹ができてしまったなと。

 

将来どんな煩悩馬鹿が生まれてしまうのか本当に心配でしょうがなかった。

 

どこから持ってきたのかリビングでさっそく親父のエロ本をにやけた顔で見ている妹を見ながら俺は本を取り上げるために静かに席を立った。