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転生先生ネギま
プロローグ
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
大学の鐘が鳴り響く。
「はい、それじゃ今日の講義はここまで。
レポートの提出期限日は来月末までだからな」
初老の絶賛砂漠化進行中な頭を持つ先生が授業を締めくくる。
「――っんん、くぅ〜〜。おわったぁ〜〜。」
やっと今日最後の授業から開放されて背伸びをする。
「おわったって、ほとんど寝てるんじゃないの?」
マイフレンドが教科書をかばんに突っ込みながら俺にツッこんでくる。
「失礼な、うっとりうっとりしてるだけで寝てるわけじゃない。
ぎりぎり寝てないからセーフだ。
まあ、先生の言葉は耳の中を右から左へ通り抜けていってるけど」
「思いっきりアウトじゃん」
痛いところを付いてくる。
「まあ、どんまいだ」
そうごまかし俺は教室の出口へと向かう。
俺とマイフレンドは駅の方向へと歩いていく。
――今日はバイトがないからまっすぐ帰れるな。
「今日は家に帰ってネットでも見ますかなぁ~」
「俺はこれからバイトだな」
そろそろ駅に着く。
マイフレンドとはここでお別れだ。
「おう、じゃまたな〜。アディオス!」
「またね〜」
別れてホームへたわいのないことを考えながら歩く。
――今日はみんな遅いからフロに晩飯の準備せんとなぁ〜。
「というかうちの大学絶対授業数多すぎるよなぁ〜」
うちの大学は工学系とはいえ毎日1時間もあかずに5限も授業があるのだ。
「確かレポートの宿題あったなぁ。
さっさと終わらせんと、また締め切りぎりぎりでヒーヒーいうしなぁ」
愚痴りながらホームへと並ぶ。
幸いまだ人は少なく最前列に並ぶことができた。
――でも俺の性格的に行くと絶対ヒーヒーいわないと動かないからなぁ。
「あぁ〜、かったりぃ〜」
電車が来る時間が近づくにつれて人の列が多くなっていく。
――とりあえずネトゲでもしようかなぁ〜。
『まもなく電車が参ります。………』
――やっと電車きた。さみぃからはよ、乗せてくれ〜。
プオオォォォォォーーーーー!!
「うぅ、さみぃ……、(ドン!)――っ!」
突如、背中に衝撃が走り電車の目の前へと押し出された。
――お、押された〜〜!!
そんなこと思ってるうちに電車は目前まで来ている。
――グシャ……
…
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――目の前が真っ暗だ
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――ここはどこだ?
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――俺は死んだのか?
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…
――っん?なんだ、あの光は?
近づいてくる?
これはもしかしてお約束か?
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…
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…
…
…
――って、全然近づいてこねぇ〜〜!!
時間の感覚が狂ってどんだけたったかなどわからなかったがそれでもこの変化のない空間は少々苦痛だった。
――ここはだんだん光が近づいてきて目の前が光でまぶしくなってって意識が戻るって奴がお約束っしょ!?
すると、俺の思念が通じたのか光がだんだん近づいてくる。
「よっしゃ、こいこい!!そして現実世界に戻ろうぜ俺!!」
光はもう直前まで迫っている。
カアアァァァァァーーーー!!!!
…
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…
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…
…
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…
…
「っん」
気が付いて体を起こしてみると、
――天井が空でもなければ病院の白でもない。
むしろまわりにはなにも見えない。
「ここは?」
周りは暗い、というか無限に続きそうなくらい闇が広がっている。
足元は延々と続く闇で見えないくせにしっかり足をつくことができる。
そして目の前には、
なんかきらびやかな服に金ぴかの王冠を頭にのっけたむさいおっさんが玉座に座っていました♪
「おぉ、勇者よ。死んでしまうとは情けない。」
「って、なにぃぃぃーーーーーー!!!!」
――まだ夢の中なのか。
夢と思って頬をつねってみるが、
――いてっ、とりあえず夢ではないのか…。
いや、まあよしと、いや、よくないがよしとしよう。夢でもなんでもいい。納得しよう。
とりあえず……、
「なぜにここでドラクエ!?
俺勇者じゃないし!
どうせだったらもうちょっと桃色的展開な夢を希望する!!
やり直しを要求する!!」
俺は目の前の理不尽に向かってほえた。が、
「おぉ、勇者よ。死んでしまうとは情けない。」
「って無視!?放置プレイですか!?」
目の前の見た目王様(今後“王様”と呼ぶ)には聞かなかったようだ
「ふむ、人の楽しみに茶々を入れるとは、心の狭い奴だ。
そんなんだから彼女の一人もできないのだ。」
ヤレヤレと王様は肩をすくめる。
「関係ないし!つうかほっとけ!俺の悲しい現実を引っ張ってくるな!!
っていうかなぜ知ってる!?そしてあんた誰!?」
と俺は騒ぐが、
「うるさい、黙れ」
王様は切り捨てる。
「問答無用!?」
王様は咳払いを一つして、
「うむ、では気を取り直して……、
おぉ、勇者y「いい加減に話に入れーーーー!」うとは情けない。
そう慌てるな、しわが増えるぞ」
「誰のせいだ、誰の」
「無論、貴様だ」
沈黙が奔る。
「……」
「……」
「……」
「……」
「はぁ、とりあえずお話お願いします。似非王様」
「…言葉に棘があるようだがまあいいだろう。我輩の寛大な心にむせび泣くがいい」
そういって王様は胸を張った。
――ムダに付き合うのも時間の無駄か。ここは冷静に行くか。
「で、ここはどこよ?なんとなくいつも見るような夢にしてはリアルすぎるし、ほっぺつねっても痛いし。夢だったらさっさと醒めてくれ」
「うむ、とりあえずこれは夢ではないぞ」
「ふ〜ん」
王様は苦笑しながら、
「なにせお前は電車に引かれてミンチになったしな」
とほざいてくれた。
「ふ〜ん、ってなにぃぃぃぃーーー!!」
冷静さは一瞬できえた。
「うむ、ナイスリアクションじゃ(グッ)」
「ナイスリアクションじゃないし。っていうか何苦笑しちゃってんの。それよりなに、やっぱ俺死んじゃったの?」
「うむ、我輩がケーキ屋さんで買ったしゅーくりーむとやらを食べようとしたらうっかり落としてしまいそうになってな、ぎりぎりキャッチできたんだが、そのときキャッチするには貴様が邪魔だったのでな、こうチョイっと。我輩のお茶目さん★」
王様はいい笑顔を浮かべている。
「“お茶目さん★”じゃねーーーー!どうしてくれんじゃぁぁぁーーー!!」
「ふっ、問題ない」
王様は冷静に返す。
「もんだいあるわーーー!!」
「細かいことを気にするでない、彼女いない暦イコール年齢」
「誰だってそんなんで死んだら気にするわーー!!ていうか人が気にしているこ――っ!」
そこで俺はやっと気づく。
「俺が死んだのならお前は誰だ?なぜここにいる!」
「ふっ、ようやく気がついたか。
もしお前が気づかなかったらどうしようと思ったぞ」
そういって王様は抑えていたであろう気配を開放する。
――っ、なんだこのいきなり感じる重圧感は?
これがいわゆるプレッシャーて奴か?
背中に伝うひやあせがとまんねぇ…。
そして王様は突如聞こえてきたバックサウンドの絶頂期に宣言する。
「我輩は謙虚と遠慮をつかさどるモテモテ金持ちナイスガイのゴールデン神様、ケンキョー・エーンリョであーる!!!(ドォォォーーーーン!)」
再び沈黙が奔った。
「……」
「……」
「……」
「……」
「なんだ、その貴様の“この人頭イっちゃってるわ〜”的視線は?」
「いや、むしろ頭蟲湧いてるんじゃないかとか思っちゃってる今このごろ」
「貴様何気に酷いな」
「お前ほどじゃないけどな」
「……」
「……」
「で、ほんとのところお前誰なのさ?」
俺は胡散臭そうなこの王様に疑いの目を向ける。
「いったであろう、謙虚と遠慮をつかさどるモt「それはもういい」む、信じておらんな、貴様。」
「いっぺん辞書で謙虚と遠慮の意味を調べてから出直してこいや」
「む、我輩を表すには謙虚と遠慮のふたつは絶対に欠かせないとまで言われた漢じゃぞ」
真顔で返す王様。
「漢って言われている時点ですでに謙虚はないとおもうのだが」
「して、貴様の処遇じゃが…」
「スルーかよ、いいけど」
「とりあえず、好きなように転生させてやろう」
「は、んなことできんのかよ?」
「我輩は神であるぞ」
――こいつが神であることを百歩譲って認めても、つかさどってるものがものだけになぁ〜。
そう考えていると、
「信用しておらんな、まあいい。転生先の希望を言うがよい。
ある程度くらいは融通をきかせてやるぞ?」
なんとなくお約束的なせりふを言ってきた。
「もどれないのかよ?」
「肉体が無事ならともかく貴様の肉体はすでにミンチと化してるからな」
――お前のせいでだけどな。
頭の中で恨み言を言いつつ、
「それじゃあ、日々平穏なところがいいな。絶対に誰かのお茶目で電車にひかれないような所が」
皮肉を言ってみた。
「うむ、貴様の希望は承知した。ではお前が住んでいたところに魔法という神秘がはこびる熱血ガチバトルチックな世界に転生させてやろう」
「ちょっとまてや、普通な世界にしやがれ。アブノーマルノーサンキュー!ギブミーラブアンドピース!」
必死に講義するが。
「はっはっはっは。そんなにピーピーと喚くとはよっぽど次の転生先が気に入ったか。」
取り付く島もないようだ。
「話し聞けやこのくそ親父」
「なんせ我輩はお茶目でうっかり電車に突き飛ばしちゃうような奴だからな」
「さりげにさっきの恨みに持ってる!?」
「それではさらばだ、我輩はここから優雅に贅沢しながら私生活から貴様の初めての“ピー”までしっかりウォッチんg…げふんげふん観察しているからな」
「言い直しても特に変わってねぇ、つうかぜってぇお前謙虚と遠慮つかさどってねぇだろ」
そんなうちに俺の足元には魔法陣らしきものが描かれていた。
「それでは我輩を楽しませて来い。
てぃび まぐぬむ いのみなんどぅむ しぐな すてらるむ にぐらるむ え ぶふぁにふぉるみす
さどくえ しじるむ ポチっとな」
何かが開いた音とともに一瞬の浮遊感が俺を襲った。
「せめて空気読めぇぇぇぇェェェェェェーーーーーーーーーーーーーーーーー」
◆
――っは!?ここは?
周りは相変わらず闇である。
しかし先ほどの闇とは何か違う気を感じていた。
くっ、また真っ暗だ。とりあえず、
(このくそ親父がーーー!!)
「おぎゃああーーーーー!!」
――ってなにぃぃぃぃーーー!!
初老の爺さんが赤ん坊(俺!?)を抱いて言う」
「おぉ、元気な赤ん坊ですぞ。」
隣にいた爺さんが歓声を上げていた。
「――○○、きいておるか?お前が命をひきかえに生んだ子はここにいるぞ」
「はっ、ナギに似て生意気そうな顔をしておるわい。
奴も自分の息子の顔くらい見にこんかい、○○が…」
――どうやら、俺はあのくそ親父の言うとおりに転生して今ここに生まれてきたということか。
母親の方はおそらく…くっ。
気が沈むが周りの雰囲気に当てられてそういう気持ちもしぼんでいく。
「ほらほら、なかないでね。貴方のお母さんは貴方に生まれてきてほしいからムリをして生んだのよ。ねえ、スタンさん。」
――さっきからナギにスタンとか、どっかで聞いたことあるような……
「それで、ネカネ」
先ほどの初老の爺さんがネカネと呼ばれた少女に問う。
――ネカネ!?おいおいまさか……。
俺の中で最悪の答えが組み合わさろうとしている。
「こいつの名前は聞いているのか?」
「ええ、この子の名前は“ネギ”です。」
ネカネは絶望を宣告した。
――やっぱりかぁぁーーーー!!
いや、まだだ。俺の希望(平穏)はまだ残ってる。
実は周りの人たちは同名なだけでこの名前もいっしょなだけだ。
姓のほうはちがうはず。
「貴方のお父様ナギ・スプリングフィールドに負けないように立派に育つのよ、ネギ」
「はん、あんな奴が増えても困るだけじゃわい」
――イヤァァァァァーーーーーー!!
“俺はこのとき気づいちゃいなかった。
俺の苦悩はまだ始まりに過ぎないことを……”
「おぎゃああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
(洒落にならねぇこといってんじゃね、くそおやじぃぃぃぃぃーーーーー!!!)
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