special thanx
人間誰もが生まれ落ちる時も死んでいく時も一人きりだ。
自分を守るのは自分、自分の事がわかるのは自分だけ。
大切な人を作れば作るだけ、自分の負担が重くなる。
大切な人がいなくなってしまえば、自分がつらくて耐えきれなくなる。
だったら最初から大切な人などいなければいい。
だったら最初から一人で生きていけばいい。
一人で生きられるってずっと思いあがっていた
でもそれは間違いだと気付いた。
困った時、相談に乗ってくれて慰めてくれたヒューズ。
つらい時、傍にいてくれたロイ。
優しい気持ちをくれた、アルフォンス。
笑う事の楽しさを教えてくれたエドワード。
いつも心配してくれたリザ。
ふざけあって気持ちを軽くしてくれたハボック。
そして、私を必要としてくれた特務の皆。
躓いて気付いたよ、沢山の愛情友情
温かい気持ちが沢山溢れているのに、言葉にする事が出来ない。
私はその気持ちを表現する言葉を知らなかった。
教えてくれたのは、貴方。
でもそれを言うのが何となく恥ずかしくてずっと言えなかった。
いつからか素直に言えないありふれたその一言今伝えたい
ありがとう
私を生んでくれた母と父。
育ててくれたあの人。
傍にいてくれた軍部の皆に幼い兄弟。
そして見守ってくれた君
絶望ばかりが支配していると思い込んでいたこの世界。
争う連鎖は止まらないと思い込んでいたこの世界。
戦う事でしか誰かを守れないと思っていた。
強くなってこの世界を駆け上らないと誰かを守れないと思っていた。
誰かを守る事が私に出来る事なんだと思っていた。
でも違った。
私が守っていたのではなく、私を守ってくれる人が沢山いたんだ。
想像していた以上に この世界には沢山の優しさが溢れていた
開いてしまった扉を閉める時、不思議と戸惑いはなかった。
離れ離れになっていた彼らが再び共に生きていける事の喜びの方が大きかったのかもしれない。
私が行くと言った時、彼らは必死で引きとめてくれた。
だけどそれが私の決心を強固にしてくれたんだ。
彼らの幸せを守りたい。
このアメストリスという世界が好きだから。
このアメストリスという世界に住む優しい人達が好きだから。
だから私は扉を閉めた。
泣くのは笑う為、別れはいつかまた出会う為
扉を閉めて現われたのは新しい世界。
空から落ちる私に手を差し伸べてくれた麦藁帽子をかぶった不思議な少年。
羊船に乗って迎えてくれたのは7人の男女。
緑色の髪で刀を持っている男性はゾロ。
金色の髪でスーツ姿の男性はサンジ。
鼻が長くて明るい少年はウソップ。
可愛らしいトナカイはトニー・トニー・チョッパー。
オレンジ色のショートカットで元気の良い女性はナミ。
黒髪で妖艶な雰囲気を持つ女性はロビン。
そして、この船の船長である少年、ルフィ。
空から落ちてきた異端な存在である私を笑顔で迎え入れてくれた。
必ず全てには意味がある事
彼らは海賊だった。
私は元軍人、相容れない存在かと思ったのに彼らは気にしないでいてくれた。
キラキラした瞳で夢を語る彼らに、少しだけ心が苦しくなった。
彼らの夢は何て大きくて素敵な夢なのだろう。
「なァ、の夢は何だ?」
そう聞かれて咄嗟に答えられなかった自分がいた。
夢などというものは持ってはいけないものだと思っていた。
咎人に夢を語る資格などないと思っていた。
時に僕は忘れるから夢に迷って
それでも彼らと過ごす時間は想像するよりずっと楽しくて幸せで。
この幸せな時間がずっと続けば良いと願うようになっていた。
それでようやくわかったんだ。
私の夢は、彼らと共に在る事。
彼らと共にずっと笑って旅を続けられる事。
彼らの傍にいたい。
それを叶える為にはもっともっと強くならなくてはならない。
全ての敵から守りきれるくらいに。
そう思わせてくれたのは、今までの私があったから。
そう思わせてくれたのは、今までの悲しみを通り過ぎてきたから。
そう思わせてくれたのは、間違いなく彼らのおかげ。
強さと優しさをくれるよ
嬉しさも楽しさも皆でいればその分だけ大きくなる。
苦しみも悲しみも皆でいればその分だけ小さくなる。
仲間がいる事の幸せ。
仲間でいられる事の幸せ。
泣いて笑って吹き飛ばして、次の事へと向かっていく。
明日はいつも旅立ち
ゴーイング・メリー号は穏やかな海上を悠々と滑るように進んでいく。
読書を終え、外の空気でも吸おうと思い甲板へ繋がる扉を開けたは思わず足を止めた。
目の前に広がるのは太陽を溶かしたように広がる黄金色の輝きを放つ水面。
その上には海の何倍も輝く大きな大きな夕陽が広がっていた。
「皆、ちょっと甲板に来てくれないか」
は扉を開けたまま、船内に向かって大声を上げた。
夕陽が美し過ぎてこれを見せたいと思う人がいる
の声にあちこちから皆が顔を覗かせる。
「何だ何だ?おもしれェもんでもあったのか?」と顔を輝かせるルフィ。
「せっかく寝てたのに何だよ」と言いつつあくびを噛み殺しながら歩いてくるゾロ。
「何よ、何かあったの?」と羽根ペンを持ったまま部屋から出てきたナミ。
「どうした!?敵襲か!?」と慌てて飛び出してきたウソップ。
「お呼びですかちゃーん!貴方のプリンスが今!」とキッチンから駆けてきたサンジ。
「どうしたんだ」と首をかしげながら近づいてきたトニー。
「ふふ、何かあったの」と穏やかな笑みで歩いてきたロビン。
閉めかけていた扉を開いて見せれば、全員の表情が黄金色に染まった。
「皆で見たかったんだ」
の言葉に全員が笑顔で甲板へと足を進める。
まるで世界が全て夕陽に包まれたかのような光景に心が洗われていくようだ。
「すっげーキレーだな!ありがとな!」
「綺麗だなー!ありがとう」
「よーし!じゃあお礼ににおれの冒険話を聞かせてやろう!」
「本当に綺麗ね。呼んでくれてありがとうね」
「ちゃんと見る夕陽は格別にロマンチックで綺麗だー!!」
「うるせェよアホコック。……でもまあこういうのもたまにはいいんじゃねェ?」
「、ありがとう」
夕陽に包まれた彼らの笑顔に私も自然と表情が柔らかくなる。
この幸せがいつまでも続きますように。
誰一人欠ける事無く、ずっとずっと一緒に居られますように。
こんな風に思える自分なんて想像した事すらなかった。
ありがとう、私を受け入れてくれて。
ありがとう、私に幸せな感情を教えてくれて。
全ての人に、ありがとう。
願わくばこの世界に生きる全ての人の上に、平等に幸せが降り注ぎますように。
UP DATE : 2007.12.02