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「おォいおい!口程にもねーなんて親父にも言われた事ねェよー!!やめろ失敬な、おれはワンゼだよーん!実際おれがお前の珍しいぐるぐるマユゲによって目ェ回してたトコを差し引いてもお前なかなかやるなー!!」
「お前に顔が珍しいとか言われたくねェよ!!」
「確かにな。私も初めて見るある種貴重なタイプだと思う」


サンジが抗議の声を上げが関心しているといつの間にか立ち直ったワンゼが麺を打ちだした。


「よーしいいよー!!おれが何故この罪人護送チームに選ばれたかを今すぐお前達に分からせてやる!!」
「単に人手が足りなかっただけだろう」
「お前本当に毒舌だなー!!いいよー今すぐわからせてやる!!」


の言葉に一瞬反応を示したもののワンゼは麺を打つ手を止めない。
ワンゼの両手から次々と麺が打ち出され、ワンゼの体に麺が巻き付いていく。
その奇妙な光景にとサンジは顔を見合せて首をかしげた。
麺はいつの間にかワンゼの体を一回り以上覆い尽くし体を巨大化させていく。
既にワンゼの胸から下は全て麺で覆われていた。


「さっさっさーっ!!ラーメン拳法の極意は麺を自在に操る事にある!!」
「食い物で遊びやがって」
「パワー、スピード、特殊能力共にさっきまでのおれとはケタ違いの強さを発揮するよー!!」
「喋りはいいからかかって来い!!てめェその麺全部食わせてやるから覚悟しろ!!」


気色の悪い笑みを浮かべて叫ぶワンゼにとサンジが顔をしかめる。
正直な所今すぐ殴り飛ばしたい衝動に駆られたがはぐっとこらえて隅に寄った。
サンジの方が我慢ならないだろうと思ったからだ。
料理人として、彼がワンゼの事を許せるはずもないだろう。
ふざけた男だとは思うが一応あれでも政府の人間だ。
どんな能力を持っていてもおかしくはないだろう。
だが、はサンジが負けるなど露ほども思ってはいない。
動きの違いからしてワンゼよりサンジの方が数段上のはずだ。
攻防を繰り返す二人の隙をついてはワンゼとサンジをひらりと飛び越えた。


「サンジ、その変態を見ているのに飽きたので先に行く」
「お…お前いつの間におれの後ろに!?」
「つい何秒か前だ」
「んなっ!!ちゃん行っちゃうのー!?おれの勇姿を見て欲しいのに」
「サンジがカッコイイのは知っているさ。では頼んだ」
「さっさっさー!!行かせないつってるだろーが!!」


片手を上げて次の車両への扉を開こうとしているにワンゼが殴打を繰り出す。
だがそれはいつの間にか移動してきていたサンジによってに届く前に止められた。


ちゃん!おれってカッコイイ!?」
「ああ凄くカッコイイ。では頑張れ」
「ムホホホ、カッコイイだなんてちゃんおれに惚れたら…」


目にハートを浮かべ体をくねらせるサンジの肩を叩いては次の車両への扉を開けた。
だが、その車両はがらんどうで誰もおらずは首を傾げる。
ワンゼの話によればこの車両にはCP9の新入りのネロという人物がいるという話だったはずだ。
という事は先程からの耳に届く上部での音は恐らくネロと誰かが戦っている音なのだろう。
隠れるスペースもなく、ここにいないのは間違いなさそうだった。
全員で足止めをくう必要はないと判断したは第3車両を通り抜け次の扉を開けた。

第2車両へと足を進めたの目に飛び込んできた人物は、CP9の面々。
という事はこの先の車両にロビンがいるのだろう。
さすがに4対1で勝てる相手ではない。
失敗したと思ったが今更戻れるはずもなくは深呼吸して足を踏み入れた。


「おや、お前さんどうやってここに」
「…妙な事ね。確かに屋敷に置いてきたはずなのに」
「どこから来たんじゃ」
「隣の車両から歩いてきた」


カクとカリファの言葉に後ろの車両を指さす
二人の表情がにわかに曇る。


「…新入りがおるんじゃなかったのかのう」
「その新入りさんはどうやら場外バトル中の様なので置いてきた」
「役に立たないわね」


一定の距離を保ちながら淡々と言葉を述べるカリファとカク。
どうやら今すぐ戦闘に持ち込む気はないようだ。
こちらから手を出せばそうもいかないだろうが。
手袋は既に装着してある。予備と別の手袋は左腰のポケットに手を突っ込めばすぐ取れる。
手袋の上に指輪を装着し直しておいたので指輪の瞬時錬成も可能だ。
慌てる事はない。ロビンはこの海列車に乗っている。
そう自分に言い聞かせるの前にカクが一歩足を踏み出した。


「わしらには敵わないとわかっておるじゃろう」
「…さぁな」
「あのままウォーターセブンに残っていれば死なずに済んだものを何故追いかけてきたんじゃ」
「ロビンを攫いに」
「懲りないのう」
「昔から諦めは悪い方なんだ」


とカクの間に一触即発の空気が生まれる。
手袋を装着した右手を前へかざした時、その雰囲気に待ったをかけた人物がいた。


「ちょっとお聞きしたいのだけれど」
「…ああ」
「貴女はあれほどの強さをもってして、今まで全く海軍にも政府にも情報があがってこなかった。それは何故かしら」
「さぁ」
「報告だと貴女が麦わらの一味に加入したのはつい最近。それまでは何を?」
「…科学者、だな」


が答えた瞬間、後ろから何かが迫ってくる気配を感じ咄嗟には横の座席へ身を翻す。
その瞬間、後方の扉が上下真っ二つに割れ先程の車両にいたワンゼが気を失った状態で飛び込んできた。
割れた扉からゆっくりと幾分傷を負った状態のサンジが姿を現す。
の姿を見つけたサンジの表情が和らぎもまたサンジの元へ歩み寄った。


ちゃん無事か!?」
「ああ、サンジ早かったな」


ホッとしたのもつかの間、今度は車両の連結部分の屋根がめりめりと音を立てて崩れ落ちる。
天井を突き破って落ちてきたのはフランキーとフランキーの拳に押しつぶされた男。
こちらも完全に気を失っているようでフランキーが男をカリファ達の元へ蹴り飛ばした。


「お前な…一体どこから」
「アウ!!おめェラーメン野郎は片付いたのか?」
「今丁度な」
「やはり上部で戦っていたのはフランキーだったのか」
「オウよ!!おめェも無事だったんだな」


完全にノックアウトされたワンゼとネロ、そして集まった達を見てルッチ達全員が腰を上げた。


「急に騒がしくなったわね」
「護送の為の兵士は結局全滅か」
「別に期待もしておらんがのう…」


苦しそうな息を吐きながらも起き上がろうと床に手をつき体を起こすネロを見てルッチが口を開いた。


「コイツは何だ?」
「コーギーの言うておったCP9の新入りじゃろうな。ネロとかいう四式使い」


カクの言葉にルッチの視線がネロを捕らえる。
ネロは鋭い視線で達を睨みつけながら体を起こした。


「…畜生ォ!!ハァ…もう許さねェっしょ…!!おれは戦闘の天才と言われてきた男だぞ!!もう構わねェ…殺してやる!!」
「おい新入り」
「…アア…アンタ、ロブ・ルッチだな。挨拶が遅れたねェ…。ちょっと待ってくれよ今あいつを殺して…」
「フランキーは生け捕りだ。感情に任せて任務を見失うとは…イヤ、もういい。3秒やるから…さっさと逃げろ」
「はっ!?」


ルッチの言葉にネロは不思議そうな顔をしてルッチを見つめた。
その言葉の真意を悟ったが慌てて声を荒げる。


「逃げろ!!」
「え!?ちゃんどうしたんだ!?」

「何もかも半端なお前にCP9は務まらん。六式揃ってこその超人だ、坊や…」


だが、の叫び声は無駄に終わった。
きっちり3秒カウントしたルッチはネロに逃げる間も与えず致命傷を与えると海列車からネロを海へ放り投げてしまった。
ネロの返り血をふき取ったルッチはカリファに向き合う。


「カリファ」
「はい」
「後で長官に一報を。…新入りは弱すぎて使えませんでした、と」
「了解」


仮にも仲間である人物をいとも簡単に切り捨て命を奪う行為に背筋が凍る思いと怒りを感じる。
至極淡々と冷酷な言葉を吐くルッチ達を見て達は表情を険しくさせた。








07.07.08

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