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進み出そうとした達に対し頭上から制止の声がかかる。
見上げてみれば一人のまんまるい体型の男が壁と壁に足をかけ達を見下ろしていた。
口にチャックの様なものをつけた男はからかうような笑みで達を足止めする。
「さっきの部屋へ行ってももうニコ・ロビンはいないぞー。ルッチが正義の門へ連れてったからな、後長官も」
先を急ぐ達の頭上から見下ろす一人の男。
それは先程までルッチ達と共にいた大柄な男だった。
つまりこの男もCP9の一員であり、それなりの強さを持った敵と言えるだろう。
男を見上げる達の視線は鋭い。
そんな達の鋭い視線を受け止めながら男は一つの鍵を掲げて見せた。
「これを見ろ。ニコ・ロビンを捕らえている海楼石の手錠の鍵だ」
男の言葉にとチョッパーが合わせて不思議そうに首を傾けた。
疑問を口にしたチョッパーに対しナミが海楼石について手短に説明をする。
ナミによれば海楼石とは悪魔の実の能力者の力を無効にする効力を持つ石だという。
つまりロビンは抵抗したくても抵抗出来ない状態にあるらしい。
「お前達が万が一ニコ・ロビンを救い出す事があっても海楼石はダイヤの様に硬いのでその手錠は永遠に外れる事はない。それでも良ければこのままニコ・ロビンを助けに行け」
「じゃあよこせ!!」
「奪い取るしかなさそうだな」
ルフィとが男に向かって攻撃を繰り出したが、寸での所で男の動きの方が早く避けられてしまった。
動きはやはりルッチ達と同じ技の様だ。
「……あいつもあの技使えるみてェだ」
「そのようだな」
「慌てるな――まだこの鍵が本物だとも言ってないぞ」
男は実に雄弁だった。
司法の塔の中にこの男を含め五人のCP9がおり、それぞれ一つずつ鍵を所持しているらしい。
つまり全員を倒して鍵を合わせてみないとどれが本物の鍵かを知る術はなさそうだ。
「時間稼ぎか…それなりに頭は働くようだな」
「そうこうしている間にロビンちゃんを正義の門へ連行しようってんだろ!!」
「――でもロビンの方が事を急ぐわ。まず確実にロビンを奪い返して鍵はその後でいい!あんなの放っておいて急ぎましょ」
「ナミの言う通りだ。まずはロビンを奪い返す方が先決だな」
全員顔を見合わせて頷く。
ナミの言う通り今はとりあえず正義の門にたどり着く前にロビンを取り返す方が先だ。
「お前頭いいな。――でもそんな事したらこんな鍵なんか海へ捨てちゃうぞ!おれ達はチャンスをあげてるのだ」
「このっ!待てェー!!」
天井付近から下りてきた男が鍵を持ったまま一瞬にして達から遠ざかっていく。
どうやら彼らはギリギリまで時間を稼ぎたいらしい。
男を追おうとルフィとが飛び出そうとした瞬間、ゾロとサンジの手によって足止めされる。
「おい待てお前が待て!もだ」
「ストップだちゃん」
「これから各自の動きを確認するまで待て」
男の姿はもう既に見えなくなってしまった事もありは動きを止めた。
ルフィは今すぐにでも追いかけたいらしく未だ足をばたつかせている。
「ルッチってのはあのハト男の事か?」
「ああそうだ」
「そいつとロビンちゃんが一緒にいるんだったらルフィだけでも先に行かせよう。ルフィお前はとにかくハト男をブッ飛ばせ」
「で、残りのCP9は五人でこちらは七人か。手分けして5本の鍵を手に入れるでいいか?」
「ああ。それでルフィを追う」
「ロビン君が門をくぐれば全てが終わる。何もかも時間との勝負だな」
「敗けは時間のロス」
「全員死んでも勝て!!」
「おう!!」
全員気合いの入った声を上げ走り出した。
司法の塔のどこに誰がいるかは全く不明であり、自らの足で探し出すしかない。
ナミと共に行くべきか一瞬悩んだだったが限られた時間の中探し出すには固まって行動するのは得策とは言えなさそうだ。
それぞれが走っていった方向を確かめは誰も向かわなかった方向へと駆け出した。
走りながら先程屋上から見た彼等を思い出す。
先程の丸い大男、三つ編みの男、髪の長い大男、ルッチ、カク、カリファの六人がいたはずだ。
仮面の男が長官でルッチと共にロビンを連れ正義の門へ向かっているという。
恐らく一番強いのはルッチだ。だからこそルフィが行ったのだろう。
ここにたどり着くまでに幾度か彼らと手合わせしたが今度こそ彼らは手加減をしないはずだ。
自分達に対し抹殺命令が下っているらしい。
本気で殺しにかかってきたとして、こちらの分が悪そうなのは否めない。
せめて自分も足止めくらいに役に立てばいいがと思いながらは走り続けた。
司法の塔をあっちこっちへと走り回るは非常に困っていた。
どこにも敵らしき人物が見当たらないのだ。
どうやら見当が外れたらしい。
先程下層から地響きのようなものが聞こえたので下ではもう戦闘中だろうと踏んだ。
だからこそ上に登り続けたというのに誰一人見当たらず仕方なくは階段を下った。
しばらく下ると、階段が切り取られたかのようにズレているのに気付く。
その近くの部屋からギャーギャーと騒ぎ声が聞こえ、誰かが戦っているのだろうと思い覗いてみた。
の目に映ったのは部屋の中なのに外の風景の様な装飾のなされた部屋。
芝生が敷き詰められ木が植えられている。
その芝生を駆けていく服を纏った規格外に大きいキリンとオオカミ。
そしてその二匹に追われるゾロとそげキングの姿だった。
「……幻覚かな」
もしかしたら自分は予想外に疲れているのかもしれない。
そういえばウォーターセブンの時点でだいぶ血を失っているし怪我も沢山している。
面白い動物を見て幻覚に浸っている暇などないとは頭を振りもう一度だけと部屋を覗いた。
だがやはり目に映るのはキリンとオオカミに追いかけられているゾロとそげキングだ。
部屋を覗いた瞬間ゾロと視線がかち合ったがはそれを無視して部屋の前を通り過ぎようとした。
幻覚に反応している場合ではない。
「こらァてめェ!!無視してんじゃねェよ!!」
「何?君!いるのなら早く助けてくれたまえ!!」
響いてくる怒鳴り声にはため息を吐いた。
どうやら幻覚ではなかったらしい。
仕方なくもう一度部屋の前に立って中を覗きながらが口を開いた。
「何遊んでいるのだ二人とも」
「遊んでる訳じゃねェ!!」
「動物と戯れるのもいいがCP9が先だろう」
「だからこいつらがCP9なんだっつーの!!」
「君これを見てくれ!!」
走りながら叫び続ける二人が腕をぐいとあげた。
二人の腕にはロビンの腕についていたものと同じ手錠がかかっている。
いまいち事態が飲み込めないが、恐らく不慮の事故によって二人とも手錠で繋がれてしまっているという事だろうか。
「今チョッパーが2番の鍵を探しに行ってる!」
「では私も探しに…」
「アホかァ!!は残ってとりあえずこいつらの気を逸らしてくれ!!」
「私もそれがいいと思うぞ君!いやむしろお願いだから残ってくれ」
二人の言葉にが視線をキリンとオオカミに移す。
大きい上に動きも早い。そこらの合成獣とは比べ物にならないほど強そうだ。
仕組みがどうなっているのかはわからないがこの二匹がCP9だというのなら残るより他なさそうだった。
部屋に足を踏み入れたがゾロとそげキングの前に立ち二匹に向かって爆風を起こす。
それはの予想より大きな爆風となり二匹へと向かっていった。
突如巻き起こった爆風と現われたに驚いたキリンとオオカミの鋭い視線がへと移る。
「追いかけっこばかりではつまらないだろう?私が相手してやる」
「――女を甚振る趣味はねェが」
「やれやれ、お前さんか。あまりとは戦いたくないんじゃがのう」
「…その声、カクか?」
「そうじゃ」
の問いにキリンの姿をしたカクが頷いた。
数十分程度見ない間にキリンへと変身してしまったカクを見ては余計に深い溜息を吐き出す。
何がどうなっているのだか全く訳がわからない。
だが姿がカクであろうとキリンであろうとやる事に変わりはないのだ。
はめていたブレスレットに触れ普段使っているものより一際大きな刀を作り出したの前にカクが立ちはだかった。
「仕方ないのう。向こうはもう追いかけっこを再開してしまったようじゃし」
「屋敷での借りはきっちり返させて貰おうか」
とカクは互いに視線を交わし、口元に笑みを浮かべた。
07.12.15
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