ここ近年通りなら今日は曇るんだが、天気予報の言う通り今年は見事に晴れた。
「暑いな〜」
今日は、我が校は振替休日というやつで平日だが休みである。
そんな今日、人が多くなったり本格的に暑くなる前にと思い午前中のうちにと思って買い物に来た。
というのはある意味本当で、でも実際は嘘なわけで…
俺が朝から買い物に来ているのにはわけがある。
全てのことの始まりは朝飯の準備をしている時だった。
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「士郎〜いいモノ持ってきたよ〜♪」
なんて超ハイテンションで藤ねえが居間に飛び込んできた。
まぁ藤ねえがいいモノ持ってきたなんて言う時は大体は厄介なモノなわけで。
それに、その藤ねえの後ろでうんざりしてたイリヤが全てを物語っていた。と、
「大河嬢ちゃん言われた通り縁側の柱に付けておきやした。後、時間もないのでお早めに」
と縁側の方から声がした。付けておいた?
多分藤村組の人だろうけど。
「ありがと〜すぐ帰るから」
なんて藤ねえは言ってる。
すぐ帰る?どういうことだ?
「あっ士郎、今日は私もイリヤちゃんも朝ご飯も夜ご飯もいらないから」
は?飯はいらない?あの藤ねえが?てかイリヤも?全く意味が分からん。
「今からお爺様達と伊豆に行ってくるから」
「伊豆というと温泉旅行ですか?」
と、隣で朝食の準備を手伝っててくれてた桜が話しに入ってきた。
「そうよ、本当はタイガは入ってなかったんだけど泣いて頼んできたからしょうがなくね」
イリヤに泣いて自分も行きたいと頼む藤ねえか。
うっ…その図が普通に想像できてしまうな。
「ふーんだ。イリヤちゃんばっかりにいい思いさせませんよ〜だ」
「で、じゃあ藤ねえ達は何しに来たんだ?てか、さっき組の人が言ってた付けたとかってのは何だ?」
「ふふ…よくぞ聞いてくれた!今日は何の日か分かるかな士郎」
今日?何か特別な日だったっけ?
「あ!七夕ですか!?」
ピンポーン!流石桜ちゃんなんて笑う藤ねえ。
七夕か。じゃあまさか縁側に付けたとか言うのは…
「まさか、笹?」
「そうだよ〜はい、これ私とイリヤちゃんの短冊ね。士郎達もちゃんとお願い事書くんだよ」
なんて結構な量の短冊を渡してきた。まぁ多分大半は藤ねえのモノなんだろうけどな…
「タイガ!そろそろ行くわよ。じゃお兄ちゃん明日の夜には帰るからお土産楽しみにしててね♪」
なんて居間を出て行くイリヤに待って〜なんて追いかけてく藤ねえ…
「先輩、せっかくですし朝食食べ終わったらみんなで短冊書きませんか?」
まぁ確かにそういうのも良いかもしれないな。
「あぁそうだな。じゃ、飯終わったらそうしよう」
…これが全ての元凶だった。
ただあんなことになるなんて予想も出来なかった…
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「短冊?」
「あぁ遠坂みんなで書かないか?」
「シロウ、短冊とは何でしょうか?」
そっかセイバーはそりゃあ知らないよな。
「短冊というのは願い事を書くモノです。そうですよねシロウ」
「ライダー知ってたのか?」
「いえ、以前読んだ本に書いてあったので」
なるほどな。
「でもロマンチックな話しですよね織り姫と彦星って」
「そう?私は無理ね。一年に一回しかあえないなんて。その間に相手が何してるか分かったもんじゃないし」
って。何でこちらを見てらっしゃるんですか、遠坂さん?
「そんなことないですよ姉さん。きっとお互い思い合ってその日を待っているんです。二人があえるその日を」
え、桜さん?その目はいったい何でしょうか?
「シロウ。ではこの短冊に願いを書けばいいのでしょうか?」
「あぁ。紙があれだから一人二枚な」
そして、みんな短冊に願いを書き始めたわけなんだが。
チラッとセイバーの短冊を見ると、
一枚目は…
“シロウが幸せでありますように”
そっか、ありがとなセイバー。
で、二枚目は…
“世界三大珍味というモノが食べられますように”
すまない、セイバーその願いはまだ当分叶えられそうもない…
「姉さん書けましたか?」
「えぇそう言う桜は?」
「勿論書けましたよ」
すいませ〜ん。なんかそこ明らかに空気がおかしいんですけど?
そして、お互いの短冊を見せ合うお二人。
桜はと言うと
“今よりもっとお料理上手くなって、先輩に美味しいと言ってもらえますように”
む!それは拙い。ただでさえ既に抜かれかけてるのに今以上に上手くなられると。
てか十分桜の料理美味しいぞ?
“先輩やみんなとずっと幸せに過ごせますように”
そっか。なんか桜らしい願い事だな。
「桜?ずいぶんと欲張りなのね」
な!?遠坂お前なんてことを…
「あら、では姉さんの願いはどうなんですか?」
と、遠坂が短冊をみせた。
“私の士郎が幸せになりますように”
え〜っと…その遠坂さん?嬉しいんだがそれはちょっとあれじゃないでしょうか?
それに、やけに“私の”が強調してあるのが気になる。
“士郎とずっと一緒にいられますように”
うん、あの、そのこっちこそよろしくな。
「あ〜ら姉さん、珍しく女の子みたいなことですね」
「珍しくとはどういうことかしら桜?それにしょうがないじゃない」
ん?しょうがない?
「私の居ない隙に、士郎にフルーレの新作クレープを食べに連れてって貰ったり」
……!!(腹ぺこ王)
「新都に服を一緒に買いに行ってもらったり」
……!!(黒い妹)
「そ〜んな泥棒猫ちゃん達がいるんだから」
泥棒猫ちゃんって…ていうか何であのこと遠坂は知ってるんだ?
「姉さん?のぞき見なんて趣味が悪いですよ?」
やばい!なんかさっきより空気が重くなってきた…
と、一枚の短冊がスッと目の前に飛んできた
“この場は何とかするので隙を見て買い物にでも行ってきてください”
飛んできた方を見ると困り果てたような、それでもって呆れてるライダーがいた…
俺はすまないと心からお礼を言って三人がにらみ合ってる隙を見てどうにか命からがら脱出した。
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で、まぁ今に至るわけだ。
と、商店街の入り口でキョロキョロ周りを見てる人が目についた。
ていうか、あれイリヤか?
んな訳はないか。イリヤは今は藤村組の人達と伊豆だし。
でもその女性はイリヤとうり二つで、まさにイリヤを大きくした感じなわけで。
ただ明らかに様子がおかしい、物珍しそうに見渡してるかと思えば、懐かしそうにしたりと。
てかあれだけの美人な人だと目立つな。
「すみません、イリヤのお姉さんですか?」
俺は意を決して話しかけてみた。
「イリヤ?イリヤを知ってるのあなた!?」
「えぇ知ってますけど、お姉さんはイリヤに会いにいらっしゃったんですか?」
「あらやだ。お姉さんだなんて。私イリヤスフィールの母、アイリスフィールですわ。アイリでいいですよ」
なんて優雅に笑ってらっしゃる。
あぁイリヤのお母さんか…ん?お母さん!?
若っ!!
「あの、もしよろしかったら、イリヤのお話聞かせてもらえませんか?」
アイリさんはそう聞いてきた。
その後、立ち話もなんだしという自分の提案で近くの喫茶店に入ることにした。
その店は、最近大橋の公園の近くに出来た店でかなり美味しい紅茶を出すらしく、今度遠坂を誘ってみようと思ってた店なわけで。なんて言うか事前視察ってやつだな。
「いらっしゃい…ってなんだ坊主かよ」
店に入るなり迎えてくれたウエイターはか・な・り見覚えのあるヤツだった。今度はこいつここでバイトしてたのか…
「って坊主その美しい貴婦人はどこのどなただ?てかやるじゃねぇか坊主。でも、こんなことあの嬢ちゃんに知れたらどうなっても知らねえぞ俺は」
「何勘違いしてんだランサーこの人は、アイリさん。イリヤのお母さんだ。だからどうにもならない、はずだ。うん、多分」
なるほどな、とランサーは呟くと、
「貴女のようなお美しい方と出会えるとは今日の私は何と幸運でしょう」
なんて軽く口説き始めやがった。そういえばこいつ以前、蒔寺達を口説こうとした前科あるしな。
「おい、ランサー取りあえず席に案内してくれないか?」
ランサーはなんだよ、なんて文句言いながらも席に案内してくれアイスティーを二つ注文すると、あいよなんて戻っていった。
「そういえば、名前聞いてなかったわね」
そう言えばそうだ。何だかんだでタイミング逃してたな。
「あ、俺衛宮士郎って言います」
「…エミヤ?」
アイリさんはかなり驚いたようにこっちをじろじろ見るなり、まさかねなんて呟いた。
と、その時だった。一人の女性がいきなり店内に駆け込んできた。
「居た!」
「美綴?どうしたんだそんなに慌てて?」
「まさかとは思ったが衛宮が本当にとは…」
こいつも勘違いしてるな。
「美綴この人はイリヤのお母さんだ」
「へ?そうなのか?」
分かった途端、始めましてなんて挨拶する美綴。
「ってそれでもだ拙いぞ衛宮」
「はいよ、アイスティー二つ。って嬢ちゃんじゃないかいらっしゃい」
「あっランサーさんこんにちわって、違う。さっき蒔寺と逢ったんだけど、お前ここにその人と入るのあいつに見られたんだよ。あいつ嬉しそうに遠坂に電話したとか言ってたぞ。まぁ私は用事あるから行くけど死ぬなよ」
「「なっ!!」」
「ランサー俺がここに来てどの位だ?」
「15分てとこか。どちらにしろやばいぞ坊主」
あぁ本当にやばい。『このままではお前は死ぬ』俺の身体が頭が訴えてきてる。
「坊主裏口を使え」
「あぁ、サンキューランサー恩に着る」
「アイリさん店を出ましょう!」
早く!少しでも早く、そして一歩でも遠くへ今は逃げないと。
なのにアイリさんはどうしたのなんて優雅にアイスティーを飲んでらっしゃる。
「ちょっと拙いことになったんです。早くしないと…」
いや、だからそんな首を傾げられても。
と、チョンチョンと肩をつつかれた。
「いやちょっと待ってくれランサー」
「…いや。坊主手遅れだ」
へ?
ランサーを見ると、その顔は真っ青だった…つまり終わったのだ。
何が?言うまでもない俺の命が…
取りあえず被害は最小限ですまさないとな…
「ランサー悪い、今日の付けといてくれないか」
「いや、今日のは俺のおごりでいい。死ぬなよ坊主…」
その表現は間違ってないのだろう。何せ俺が今から向かうのは死地なんだから…
「あぁランサー、アイリさん頼んだ。アイリさんも絶対店の外には出ないでください」
任されたと頷くランサーと、意味の全く分かってないアイリさんに背を向け俺は席を立った。
大丈夫。きっと本当のことを話せば分かってくれる。
うん…大丈夫?だよな。
俺は紙切れより薄く、ミジンコより小さいそんな希望を胸に店のドアを開け死地に立った。
目の前には走ってきたのか、ハァハァと肩で息をし、目に涙をため、左手を光らせてる遠坂が居た…
「…衛宮君、言い訳はある?」
「あのだなっ………っ!」
全く言い訳させてもらえなかった…
遠坂、お前言ってることと、やってることが、違う…
唯一の救いは時間的に調度周りに人が居なかったことなんだろう…
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