| (総合司会) 本日はNPO法人「現代社会の問題を糺し未来の扉を開く会」第三回シンポジウムに お越しいただき有難うございます。 今回は「家庭論・家族論」というテーマで行わせていただきます。 最初に本会理事長の千葉 糺よりご挨拶とともに本日のテーマにつきまして問題提起を させていただきまして、その後、引き続き早川先生のご紹介をさせていただき、 早川先生の基調講演に入らせていただきます。 それでは千葉先生、宜しくお願いいたします。 |
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| 総合司会挨拶 |
(千葉)この会の役割・使命に、教育、家族、高齢化、医療、福祉、環境、等々、 現代の社会が抱える諸問題について正しく把握・分析し、一人ひとりが真の教養・知性を 身に着ける啓蒙的活動を行うということがあります。 今回は「家庭論・家族論」というテーマに最適任者と思います早川治子先生と対談をして参ります。
早く本題にという方も多いと思われますので、手短に本日のテーマの趣旨と 早川治子先生について述べさせていただきます。
最近の日本には次第に大人がいなくなっていくような気がします。 中年の子どもが増えているとも言えます。
Puerileとは小児病のことですが、そこからホイジンガーがかつて「ピュエリリズム」という
言葉を言いました。
嘘をついてはいけません、マニフェストは守らなければいけませんと、政治家も知識人もマスコミも、
小学生の学級会並の政治ごっこの国になったわが国は、まさに「ピュエリリズム」の国と化しています。
マニフェストの発案者である、某大学政治学科教授が昨年8月31日マスコミ関係者に 「今日だけは泣かせてくれ!とうとう我が国に民主革命が訪れた」と話したということを 耳にしたことがあります。まさにピュエリリズムです。
「戦争は時に必要であり、また戦争はあるレベルにおいて人間の愚かさの発露だという真実である」 この発言は、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞演説の一文です。日本人の学者、政治家、経団連、 等々の中で誰かそう言った人間はいたか。誰一人いません。是非は別として、これは大人の政治家の発言です。
「友愛」を説くわが国の首相の論文の一つに「最適お見合い回数」というOR論があるという ことがある会で話題になりました。その理論では最適回数は9回目が正解ということらしいです。 そこには歴史も思想もない、つい目先のことの予測があるだけです。
プラトンが『国家』で言った高貴な偽りもときには大事であると言ってのける大人の国々、
かたや第二次大戦後、ダグラス・マッカーサー元帥が「日本人の精神年齢は12歳」と語った国。
テレビでは、俗に言うオピニオン・リーダーたちが、相手の発言に強引に浅ましく 割り込んで、相手を黙らせ、自分の意見を滔々と述べている、そういう光景が毎日垂れ流されています。 「我心をわれにも隠す」と言った世阿弥の『風姿花伝』の精神などまったく見られません。 またやたらに一斉に声をかけるというジェスチャーも多くなったような気がします。 例えば「ズームイン!」「がってん!」とか料理番組での「おいしい!」の連発。 これらは幼児化の証拠ではないでしょうか。そして問題が自分の手に負えなくなると最後は 「社会が悪い」と来ます。
日本は大人のいない国、大人が幼児化した国とも言えます。その国を形成している組織の最小単位が 家庭であり、家族です。次世代に夢・希望を持たせる義務が私たちには課せられています。 精神年齢12歳と言われて60年以上になるのに、一向に成長どころかますます幼児化している国を 考えるには、その最小単位である家庭・家族について論じる必要があると考えた次第です。 勝間和代女史に象徴されるような、お金でお金を多く稼ぐ人間が勝ち組で、それが正しいという幼稚で、 危険な発想をマスコミがもてはやし、それが家庭を、次世代の人々を浸食し、国の最小単位自体が 壊れ始めているのではないでしょうか。
このような背景から、今日のテーマは非常に大きく、かつ緊急性を要するテーマだと私たち社員一同が考えた次第です。
今日は、日頃の組織・あるいは枠組みを離れて、皆さんと一緒に、家庭・家族という非常に大きな この問題を分析し、考え、議論しあい、少しでも参考になることを持って皆様が帰路についていただけるよう、 精一杯頑張ってみたいと思います。
ここで「家庭」と「家族」について意味を正しく把握しておきたいと思います。『広辞苑』には
とあります。ここではほぼ同義語として扱ってもいいと思います。 どちらも経済学の依拠する個人主義的な物の見方に真っ向から抵触するものだと言えます。 これから話の中で触れると思いますが、「核家族」という家族でさえ、単なる消費単位ではないことは 重要なことです。「最小単位の非常に大事な領土」と言い換えてもいいと思います。
このあたりまで押さえておいて、次に早川先生のご紹介をさせていただきます。 レジュメに簡単にまとめさせていただきましたが、早川治子先生は1936年2月生、一児の母であり、 弁護士として、ご活躍されています。早稲田大学政治経済学部・法学部卒、地方公務員、教職を経て、 司法試験合格、司法研修所を経て昭和49年から弁護士として35年以上、悩みを抱えた人々のために 日々活躍されています。 以前、私が先生を「社会派弁護士」と言ったことに対し、次のような見解を示されました。 それを読み上げることで、先生のお人柄がご理解いただけると思います:
「私は社会派弁護士だとは思っておりません。ただ、一人一人が大切にされるように、 皆が幸せになれるように、そのためには一人一人が真剣に自分の生き方を持ってほしい、 自分がかわいいのはだれも一緒、だからこそ他人を大切にできるのだ、と思って生きているだけです。 「自分を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい」。これほど実行困難な言葉はないと思います。 でも、この言葉と真剣に取り組んで毎日苦闘しているというのが本当のところでしょうか。」
また、早川先生は社団法人日本フィンランド協会専務理事をなされ、平成2年、フィンランドから 勲章(白薔薇騎士一級章)授与されています。 共訳「フィンランド協同組合法」 共著「フィンランドテーブル」、フィンランドの教育・福祉・男女共同参画・原発問題等に 関しての寄稿や講演等々がございます。
今日のお話しの中でフィンランドについて、日本と比較する形でお教えいただけると思いますが、 簡単にフィンランドという国についてまとめておきます。 面積は約34万平方キロメートル(日本よりやや小さい)。人口は約520万人(北海道の人口と同規模)。 首都はヘルシンキ。 作曲家のシベリウス、Linuxの開発者として知られるリーヌス・トーバルス、 「ムーミン」シリーズのトーベ・ヤンソン、携帯電話メーカーのNOKIAの国です。
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| フィンランドの地図 |
読解力、数学リテラシー、科学リテラシーという三分野の調査を57カ国に対して行った結果、 フィンランドの教育水準は世界トップで、教育における「フィンランドメソッド」が注目を集めています。 生徒は競争による相対評価ではなく、達成度によって評価されます。 フィンランドの学校は週休二日制であり、教師は大学院卒が基本、授業時間も日本よりかなり少なく、 また「総合的な学習」に相当する時間も日本より多く、最近、日本で批判されている「ゆとり教育」に 近い内容という特徴があります。
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| トーベ・ヤンソンの「ムーミンファミリー」 |
教育内容や教授方法への教育行政の指示が少なく、分権化が進んでいること、成績下位者への 支援態勢が特に手厚いこと、義務教育にも留年制度があること、小学校から大学まで多くの学校で 学費が無料であることなどの違いがあります。福祉国家として有名、障害者はタクシーを無料利用できます。 女性大統領の選出など女性の社会進出も有名等々がネット上で見られます。
今日はこの辺のお話しも比較文化論的に伺えると楽しみにしています。 では、早川先生から「基調講演」的なお話しを伺いたいと思います。早川先生、お願いいたします。