菊正宗家は結婚十周年を迎えた。

清四郎は、いつまで経っても少女のような可愛い妻と息子に恵まれ、幸せな毎日を送っている。

妻・悠理は相変わらずで、清四郎は振り回されてばかりだが、退屈しない人生に乾杯!

その可愛い妻は日に何度かものすごい勢いでボディアタックを仕掛けてきて油断ならない

(世間一般では抱きつくと言うが・・・)。

あの衝撃に耐えられなくては悠理の夫は務まらないのだ。

でも清四郎は平気だ。

鍛えた体で妻をガシッと受け止めると、次に続くいつも変わらない言葉を待つ。

「清四郎!キスして!」

ああ、ぼくの可愛い悠理!

ニヤニヤした顔(本人曰く微笑らしいが・・・)で愛する妻にキスをする清四郎を見れば

きっと誰もが驚くだろう。

もちろん喧嘩もする。

この二人の夫婦喧嘩は肉弾戦だ。

終わった時点で怒りもストレスも発散され、もうどうでもよくなっていることも多い。

決着がついてしまえば後腐れないので気が楽だ。

夫婦関係はすこぶる良好。

 

息子は、顔は悠理に似ている。髪は真っ黒だが、くせは悠理譲りだ。

あれはかなりもてるだろう・・・と清四郎は思う。

昔の杏樹のような感じ。

運動神経は抜群に良い。

どんなスポーツでもこなし、武道の腕前もかなりのレベル。

ただ勉強は・・・。

基本的に頭は良さそうだが、なにしろ努力嫌いで継続心もない。

なので成績はいつもパッとしないのだ。

清四郎としては非常に不満なのだが、いかんともし難い。

度胸はあるので人生それで乗り切るか?

 

結婚記念日の今日は、当直も断り、緊急呼び出しからも外してもらい、

注文してあった7個のホールケーキを車に積んで、帰宅した。

ドアを開けると悠理がニコニコして出迎える。

「お帰り、清四郎。ケーキは?」

「ただいま。とりあえず二個。」

「えーこれだけ〜?」

「まだありますよ。車に。」

悠理がケーキを取りに飛び出していく。

さすがのぼくのキスも、ケーキには完敗だな・・・。

ちょっと寂しい清四郎であったが続けて出迎えてくれた子供に笑い掛ける。

今宵は悠理と飲み明かそう。

たくさんキスをしよう。

そして、寝相が悪い悠理の強烈な蹴りにも耐え、パンチにも耐え、

一晩中彼女を抱きしめて寝よう。

武道をやっていて本当に良かった。

「清四郎、たくさんあった!」

ケーキの箱を抱えて悠理が戻ってきた。

「そうだ!忘れてた!清四郎キスして。」

清四郎は微笑みキスをする。

「またかよ〜。」

後ろで照れている息子の声がした。

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