清四郎は考えていた。

悠理と付き合ってはいるものの、あまり以前と変わりない。

二人きりで会うこともあるけれど、剣菱邸で水泳をしたり、テニスをしたり、

格闘技の相手をしたり・・・・とにかく体を動かすことばかりで、それはそれで楽しいのだが

たまにはしっとりと恋人同士らしいデートもしてみたい。

「ぼくも月並みなデートを望むなんて。面白いものですね・・・恋って。」

パソコンに向かいながら、一人つぶやく。

「さて・・・・どこに行きましょうか?あまり落ち着きすぎる場所だと、悠理が退屈しそうですし。」

いろいろ考えてみたが、結局デートの王道とも言えるディズニーランドに決めた。

あそこなら悠理も好きだし、デートを楽しめそうだ。

早速、悠理にメールを送る。

(今度の休みに、ぼくとディズニーランドでデートしませんか?)

(デート?二人で行くって事?別にいいけど。)

(なら決まりですね。楽しみにしていますよ。おやすみなさい。)

(おやすみ〜。晴れるといいな。)

悠理も快諾。

清四郎は満足してベットに潜り込んだ。

 

デート当日。

今日は清四郎の運転で行くことになっている。

剣菱邸に悠理を迎えに行き、一路ディズニーランドへ。

悠理は助手席に座り、何となく落ち着かなかった。

考えてみれば、清四郎が運転する車に、しかも助手席に乗るのは初めてだ。

魅録の運転ならいくらでもあるが・・・・。

清四郎の運転する横顔にちょっと照れてしまう。

「どうしました?」

視線に気づき、清四郎が声をかける。

「別に・・・。清四郎も運転するんだな〜と思って。」

「美童よりは上手いと思いますよ。魅録には負けますが・・・。」

「じゃあ何でいつもはしないんだ?」

「いいんですよ。二人に任せているんです。助手席のほうが気が楽ですから。」

「今日は何で?名輪に任せりゃよかったのに。」

「?それじゃあ悠理と二人きりのドライブではなくなってしまいますよ。」

そっか・・・・。悠理は思う。運転している清四郎はちょっとかっこいいからいっか・・・。

 

「あっ、あそこにもある!」

悠理は勢いよく駆け出し、清四郎は慌ててついて行った。

「悠理、また買うんですか?」

「あったりまえだろ!味が違うんだから!」

ポップコーンを受け取るとほくほく顔で食べ始めた。

すでに清四郎の肩に、中身が半分ほどになったポップコーンバケットが2つかかっている。

「まったく・・・。さっきから食べてばかりじゃないですか。今度は何に乗りますか?」

「う〜んとあれ行こ!」

並んでいる間は会話を楽しむ。

大体は悠理がしゃべり、清四郎が耳を傾けているのだが・・・。

(清四郎の話題は悠理にとって退屈なので。)

こんなに長い時間、二人きりで、特に目的もなく会話をすることは珍しく、

それだけでも新鮮な感じがした。

ふと会話が途切れたとき、清四郎は悠理の手を握ってみた。

振り解かれることもなく、そのまま列を進んだ。

 

「清四郎!あれ、作ろうよ!」

悠理の指した先には、革のブレスレットのお店があった。

「ブレスレットですか?ぼくも?」

「いいから、いいから!」

並ぶと、文字を彫ってくれるらしく、彫る文字を書く紙を渡された。

「何て書くんですか?」

「お前の分もあたいが書くから!。」

悠理が清四郎から紙を奪うと何やら書き込んでいる。

そして革の色見本を見ながら、真剣に選んでいる。

清四郎はそんな悠理がとても可愛かった。

ポップコーンバケットを四つも持たされていることも悪くないかなと思った。

出来上がってきた赤いブレスレットを悠理は嬉しそうにはめた。

「清四郎、腕出せよ。」

素直に腕を出すと、黒いブレスレットをつけてくれた。

文字を見ると・・・・

seisirou&yuuri

と彫ってあった。

思わず笑みがこぼれる。

悠理は下を向きながら

「だってさー。デートだもんな、一応。」

と恥ずかしそうに小声で言った。

「ありがとう、悠理。」

「べっつに〜〜〜。さっ次行こう!」

 

夜のパレードがキラキラと目の前を通り過ぎていくのを眺めていた。

さっきのように、悠理の手を握ると、今度はぎゅっと握り返してきた。

目は正面のパレードを見つめている。

清四郎は辺りをそっと見回してみた。

幸せそうな恋人たちがたくさん寄り添っている。

ぼくたちもあんな風に見えるんですかね・・・・。、

色とりどりの輝きの中で清四郎と悠理は少しずつ、寄り添っていった。

 

「さあ、そろそろ帰りますかね。悠理。」

「え〜もうか?」

「でももういい時間ですよ。」

「じゃあさ。もう一個だけ乗ったら帰るから!。いいだろ?」

「分かりました。もう一個だけですよ。」

「やった〜!行こう!」

悠理がはしゃぎながら清四郎の手を引っ張った。

 

「あ〜面白かった!あたいちょっとトイレ。」

なぜか顔を赤らめて走っていく。

悠理がトイレに消えた後、清四郎はアトラクションの出口にある写真を見に行った。

そしてこっそりと一枚買った。

 

悠理はまたしても出口付近で駄々をこねていた。

「どーしても欲しい!」

「どうするんですか?あんなもの。」

「いいの!買ってよ、清四郎!」

「本当にこれで最後ですよ。どれが欲しいんですか?」

「え〜とね。お姉さん、これと、これと、あれと、それと・・・。」

「ちょっとまて!いったいいくつ買うんですか?」

「後もう1つ!これ!」

5個の風船を持った悠理は満足そうに笑い、駆け出した。

「清四郎!ありがとう!」

「まったくあいつは・・・!」

清四郎も微笑むと、すでに空になっているポップコーンバケットをガチャガチャ言わせながら

後から追いかけ、駐車場へと向かった。

 

後日・・・・

清四郎の生徒手帳の中には、あの時買った写真・・・・

落ちるジェットコースターで清四郎の頬にキスをする悠理が写った写真が

切り取られてこっそり入っていた。

「こんなもの落として誰かに拾われたら恥ですな・・・。」

 

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