「今日はこれまでにしましょう。」
清四郎はテキストを閉じてまとめた。
「やったー!!」
ん〜っと伸びをして体をほぐす悠理。
「なかなか上達しましたな。真面目に取り組んでいますし。」
「だろー?!あたいだってなー、やる時はやるんだ。」
「その台詞、高校時代に聞きたかったですな。そうしたら今頃こんなことで・・・。」
「説教は無し!それより夕飯食っていくだろ?魅録もうすぐ戻って来るし。」
清四郎は帰り支度を始めていた。
「せっかくですが、今日は研究会の会合があるので帰ります。」
「え〜魅録楽しみにしてんのに〜?」
魅録の変わりにむくれた顔をする悠理を見て、清四郎は思わず微笑む。
「魅録には謝っておいて下さい。近々お邪魔しますよ。誘いを断った僕が言うのもなんですが、
今日は夫婦水入らずで過ごしたらどうです?」
足に擦り寄るタマを抱き上げながら悠理は頷いた。
「うん。久しぶりに夜のツーリングに出るかな。」
「気を付けて下さいよ。では、明日の晩餐会でこれまでの成果を見せてもらいますからね。」
「おうよ。」
翌日の晩餐会で、魅録は驚いた。
その日の悠理は深い緑のロングドレスに、可憐が選んだダイヤのチョーカーとイアリング。
髪をルーズにアップし、魅録の腕に白くて細い(でも実は強力なパンチを繰り出す)その腕を絡ませ、
会場を回っていた。
そして流暢とまでは言えないが、英語を操り会話をしていた。
「悠理、おまえいつの間に?」
「あーここんところ魅録忙しかったじゃん?清四郎に集中して教えてもらったんだ。」
魅録は後ろに控えつつ、来賓と会話をしている清四郎を見た。
清四郎が少し微笑んで魅録にそうなんですよと目で返事をする。
「まだ全然だけどな。」
ハローしか言えなかった事を思えば、たどたどしくとも、単語を並べただけだとしても、
何とか通じる程度に話しているのは大進歩だ。
しかも笑顔を振りまくというということも、悠理は身に付けていた。
魅録のフォローを受けながらも、社交的に振舞う悠理。
今日は内面的なものも加わり、より一層美しく見える悠理に魅録は目を細めた。
悠理が魅録から離れた時、清四郎が魅録に話しかけた。
「どうです?頑張っているでしょう。悠理は。」
「ああ。驚いたぜ。」
「それもこれも貴方の為なんですよ。貴方が恥を掻かないようにって。
貴方の仕事の邪魔にならないようにって。やっと剣菱財閥の夫人としての自覚が
出てきましたかね。」
「あいつ前はそういうこと嫌がって・・・・・。」
清四郎は大きく肩をすくめて見せた。
「いったい何時の話をしているんです?魅録。あの時の話はもう過去の過去です。
それにパートナーが違いますから。」
魅録は笑顔で誰かと話している悠理を目で追っていた。
清四郎も一緒に悠理を追う。
「可愛い奥さんじゃないですか。」
「そうだな。思っていた以上にそうだな。」
「魅録がそうさせているんですよ。彼女の輝きは魅録が引き出しているんです。」
魅録は横目で清四郎をチラッと見た。
「おまえ酔ってるだろ。」
「ワイン3杯位しか飲んでいませんよ。」
魅録がシャワーを浴びて出てくると、先にシャワーを浴びていた悠理はパジャマでベットに
寝転んでいた。
魅録に気付き起き上がり、両手を広げる。
「魅録、抱っこ。」
魅録はベットに上がり、悠理を抱き締めた。
「あたい少しは良かった?」
「ああ。頑張ったな悠理。」
悠理のフワフワの髪を撫でる。
「そか。なら良かった。あたいもっと頑張るよ。」
「まあ無理すんな。あんまり突っ走るとパンクするぞ。」
「うん。でも、やっぱいつもより良い感じだったって自分でも思うからさ。
あたいもしゃべれた方が。」
「そうだな。俺も嬉しいし。・・・・・今日のドレス良く似合ってた。」
「へへ。」
照れて魅録を見たその唇に優しくキスをおとす。
とっくにルージュを落としたその唇は、むしろ色っぽく魅録には見えた。
こいつどんどん綺麗になっていく・・・・
魅録は自分の高ぶる鼓動が嬉しかった。
〜〜光ってもっと最高のLady〜〜