ゴールデンウィーク明けの海。

初夏の日差しの下、魅録と悠理は砂浜に腰を下ろしていた。

平日のためか人はまばらだ。

「気持ち良いなぁ〜。」

「ああ。」

「来て良かったな。」

そう言うと悠理は立ち上がり、砂を払うと波打ち際へ駆け出した。

波に合わせて跳ねている。

悠理のフワフワの髪の毛は太陽と海のせいでキラキラ眩しく輝く。

魅録は目を細め、咥え煙草でその光景を眺めていた。

しばらく忙しくて太陽の下に出るのも、自然に触れるのも久しぶりだった。

髪の毛の先から足の爪の先まで心地良い気が充満する。

潮風が嬉しい。

最初は足先だけだった悠理はどんどん海へ入っていく。

まだ泳ぐのには少し早いが、悠理にはそれは関係ないようだ。

「魅録、来いよ〜!」

悠理が手を振って魅録を呼んだ。

「え〜俺はいいよ!」

バシャバシャと水しぶきを上げて悠理は魅録の元へ帰ってきて、腕を引っ張った。

「ほら、んなこと言ってないで行こーよ!」

今日の悠理は大はしゃぎだ。

久しぶりの魅録との休日。

海へのツーリング。

悠理に引っ張られ、しぶしぶ重い腰を上げ、魅録は海へと足先をつけた。

「冷てえ。」

ヒヤッとしたがなかなか気持ちが良い。

「なっ?なっ?気持ち良いだろ?」

悠理が魅録を覗き込む。

「まーな。」

その瞬間

バシャッ

「うわっおまえ何すんだよ!」

「へへ〜ん。すきあり!」

バシャッ

悠理が手で海水をすくい上げ、魅録に思いっきりかける。

「このーっ!」

バシャッ

「そうこなくっちゃ!」

バシャッバシャッ

「くらえ!」

バシャッバシャッ

「あーもう!まどろっこしいじょ!!」

そう叫ぶと悠理は服ごと海に飛び込み、沖へ向かって泳ぐ。

「あっ、おい、悠理マジかよ!」

そう言いながらも魅録は追いかけた。

二人が浜へ上がった時、当然のことながらずぶ濡れだった。

「あー気持ち良い!」

悠理は砂浜にゴロンと寝転ぶ。

「あっバカ、おまえぬれた状態で砂の上って・・・。」

「んっ!?」

「起きてみろ。」

悠理が起き上がるとぬれた背中には砂がびっしり。

「やっぱりな・・・。どーすんだよ。」

「え〜別にそのうち乾いて落ちるだろ。」

「つーか、潮でベトベトのままは嫌なんだけど。

とりあえずシャワーを浴びにホテル行こーぜ。」

魅録はビチャビチャの服を嫌そうにつまみ上げながら言った。

「ホテル?この辺はうちのホテルないよ?」

「ん〜そうだなあ。」

グルグルっと辺りを見回した魅録はホテルを見つけ、ニヤリと笑った。

「あそこにあるぜ。」

それはあからさまにラブホテルだった。

「げっ。」

「とにかく行くぞ。あそこの店で服買ってこーぜ。」

海岸沿いに建つショップで二人はジーンズとTシャツを買ってホテルへと向かった。

中へ入ると内装は外装と違いさっぱりしていて、部屋には窓があり、海が見えた。

「よーし、シャワー浴びちまおうぜ。」

魅録はバスルームに入るとコックをひねって勢い良くお湯を出した。

潮でベトベトの服を全て脱ぎ、シャワーの下に立つ。

カチャ

悠理が入ってきた。

「おーこっち来い。」

二人でお湯にあたる。

一旦シャワーを止めると魅録は悠理の頭にシャンプーをかけた。

ワシャワシャとその髪を洗う。

悠理は大人しく洗われている。

髪を洗い終えるとスポンジに石鹸をつけ、魅録は悠理に聞いた。

「体、どうするよ?」

「ん〜自分で洗う。」

魅録は悠理の背中だけ洗うとスポンジを手渡し、今度は自分の髪を洗った。

悠理は全身を洗い終えると、そのまま魅録の背中を洗い、自分の体を流した。

「先出るよ〜。」

「おう。」

魅録はすぐに自分の体を洗い終えると、シャワーで流し、外へ出た。

そこには巨大な鏡の前で裸のままドライヤーをかけている悠理。

背後から魅録がそっと腕を伸ばし、その張りの良い胸を手の平で

すっぽりと包むように触れると

「あにすんだよ!」

と悠理は笑いながら鏡の中の魅録に言った。

「いいだろ。ちょっと触らせろよ。」

「バーカ。楽しくねーだろ。あたいの胸なんか。」

「バーカ。楽しくねーわけねーだろ。」

「あっ、おまえケツに変なものくっつけるなよな!」

「変なものって・・・しょーがねーだろ。おまえに欲情してんだから。」

「よくじょう?」

「興奮してるってことだよ。」

そこに魅録の携帯が鳴った。

その着信音は清四郎からであることを伝えている。

「げーなんだよ。今いいところなのに。」

「ほれほれ、早く出ないと清四郎ちゃんが怒るよ〜。」

悠理はキシシと笑いながら楽しそうだ。

魅録は苦笑いしながら電話に出た。

「あーもしもし。」

「魅録ですか?せっかくの休みにすみませんが物産の方でトラブルです。

緊急会議が開かれます。今外出先ですよね?」

「ああ。」

「すぐに迎えに行くので場所を教えて下さい。」

「場所〜?・・・・・・。」

隣で耳を寄せて会話を聞いていた悠理が電話をひったくった。

「もしもし清四郎〜?今あたい達、湘南の海沿いにあるホテルだけど!」

「おい悠理!」

後ろで魅録が慌てる。

「悠理、一緒だったんですね。ホテル・・・ですか?」

「うん。ラブホ。」

「悠理!」

「・・・・・・・・。」

「おまえ今やらしーこと考えただろ。」

「まあ場所が場所なだけに多少は。で、どこなんです?」

「○○海岸のとこだよ。」

「分かりました。今、剣菱邸にいますから、スーツを持ってすぐに向かいます。」

「あたいはどうなんの?」

「申し訳ないですが、一人で帰ってください。」

「ひでー。750cc2ケツで来ちゃったんだぞ。」

「悠理なら乗れるでしょう?では魅録に伝えておいて下さい。」

清四郎の電話が切れた。

「おまえなあ、正直に言うなよな。」

魅録は優しいげんこつを落とした。

「へへ。魅録が来ようって言ったんじゃん。」

「そうだぜ。」

魅録は返事をしながら悠理を抱き上げ、ベットへと運ぶ。

「なんだよ?!」

「決まってんだろ。おまえが自分でラブホって言ってたじゃん。」

悠理は少し抵抗しながら

「だって清四郎が迎えに来んじゃないの!?」

「1時間ぐらいかかんだろ。」

「ダメだよ!あいつ変態だからすぐ来ちゃうよ!」

「だったら急ごうぜ。ちょっと乱暴になっても許せよ。」

そう言うと魅録は悠理も抗えない力で強く掻き抱き、口付ける。

思っていた以上の力に悠理は驚いた。

普段、魅録はあまり悠理に強く出ることは無いのだ。

唇を離した魅録の顔を悠理はじっと見上げた。

「なんだ?」

「にゃ。魅録って男なんだなあって。力あるなあ。」

「なんだよ。ったりめーだろーが。じゃなきゃこんなじゃじゃ馬、面倒見れるかよ。」

「あ、ひどいじょ。」

「おまえを守る力と自信と覚悟ぐらいあるぜ。」

魅録はそのまま悠理をベットに押し倒した。

「だから俺だけを見てろ、悠理。」

「うん・・・・・・・。」

悠理は魅録の背中に腕をまわして、目を閉じた・・・・。

 

 

 

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