二人を乗せた車は青山の大通りから一本奥に入った道で止まった。

「着いたよ。」

美童は野梨子をエスコートし、車を降りた。

「前から野梨子にはここのデザインが似合うんじゃないかなって思っていたんだ。」

店の中に入るとキラキラと上品で可愛い感じのアクセサリー。

有名ブランドのような存在感や豪華さはないが、野梨子はその雰囲気が気に入った。

「さあ、好きなものを選んでいいよ。」

美童が野梨子をショーケースへと促す。

野梨子はわくわくしながらそっと覗き込んだ。

「素敵・・・・。」

野梨子は一通り見ると、美童に言った。

「やっぱり美童が選んで下さるかしら?その方が嬉しいですわ。」

「いいの?」

「ええ。美童なら素敵なものを選んでくれますから。」

美童は頷くと

「ならこれを。」

と迷うことなくある指輪を指した。

小さな小さなダイヤが小さなロードライトガーネットを左右から挟むように配置された

ゴールドの細く華奢な可愛らしい指輪。

「野梨子のようなお嬢様にはあまりに安っぽいかもしれないけど、僕はこれが

良いと思うんだ。高校生らしく、普段に使えるしね。どう?」

野梨子はにっこりと美童の顔を見上げた。

「嬉しいですわ。とても可愛くて。大袈裟ではないのでいつでも着けていられますわね。」

「決まりだね。」

美童は店員にサイズを出してもらうと、その場で野梨子の指にはめた。

「うん。やっぱりね。とても似合うよ。」

野梨子も嬉しそうに指輪がはまった手をかざした。

お包みしましょうか?と聞く店員に美童は

「このままで。」

と答えた。

「あら。」

「ん?包んでもらった方が良かった?」

「いえ、なんだか意外ですわ。美童なら渡すのになにか演出を考えたりするのかと。」

「フフン。そう?意外?実は本気の時はストレート勝負なんだ。」

そう言うと軽くウインクをした。

「信じてよろしいのかしら?」

野梨子は悪戯っ子のような表情で美童を見る。

「明日からの僕を見ててよ。」

「今夜は?」

「今夜はね。これからの僕たちに必要な時間なんだ。」

「そのようですわね。頑張って下さいな。わたくしは・・・・・この指輪を見ながら

明日を楽しみにしていますわ。」

野梨子はそう言うと、愛おしそうに指輪を見つめた。

小さいながらもキラキラと輝く石。

明日にはこの素敵な指輪が学園中に知れ渡るかもしれない。

「明日が本当に楽しみですわ。」

それは同時に恋人の存在を知らしめることになる・・・そのことがなんだか

嬉しくてわくわくする。

指輪が光る野梨子の手を大きな手が包み込んだ。

温かくて安心する大きな手だった。

 

 

 

 

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