清四郎が生徒会室のドアを開けると、独特のにおいが鼻に付いた。

その原因はすぐに分かった。

大きなテーブルの一角で女3人がキャイキャイ騒ぎながら塗っているマニキュアだ。

可憐が他の二人に塗ってあげているようだ。

「はい、野梨子はお終い。どう?」

野梨子は両手を掲げて嬉しそうだ。

「ありがとう可憐!素敵ですわ!」

淡い桜色をベースに白い小花が散りばめられている。

清四郎は野梨子の爪を覗き込んだ。

「ほお、これはなかなかですな。」

「でしょう?可憐はとてもお上手ですの。」

「芸術性がありますね。ふむ・・・。」

「なあに?清四郎も興味あるの?やってあげようか。」

今度は悠理の爪に取り掛かった可憐が言った。

「いえいえ、遠慮します。ただ面白いなと思いまして。」

「僕はやってもらったんだよ。」

美童が清四郎の前に手を出した。

「もちろんシンプルだけどね。」

淡いピンクのグラデュエーションは一見本物の爪のようだが、

艶がありとても美しい。

美童の白く長い指を、より白く長く美しさを引き立たせている。

「これはすごいですね。色や柄を乗せるよりずっと凝っていますな。」

「はい、悠理も終わり。」

「可憐ありがと!綺麗だじょ!」

悠理は嬉しそうに手をひらひらさせた。

「清四郎、見て〜。」

悠理のはイエローとブルーのグラデュエーションの上に

キラキラと白のスパンコールが散っていた。

「テーマは太陽と海よ。」

清四郎は悠理の手を取り、しげしげと眺めた。

珍しく女らしい悠理の指先。

そしてそれを喜んでいる悠理。

悠理の手が清四郎の手から離れていった。

「魅録も見て〜。」

「おーどれどれ。悠理らしい色だな。」

魅録も悠理の手を取り、じっと見る。

「可憐、おまえ親指のグラデュエーションの混ざりがちょっと甘いな。」

「うるさいわよ魅録。あんたのプラモとは違うんだから。」

「あっ言ったな。」

魅録はバイク雑誌を閉じると、立ち上がった。

「よーし、おまえの爪は俺が塗ってやるぜ。」

「えっ、遠慮したいんだけど?!どうせあんたのセンスじゃ迷彩柄なんじゃない?」

悠理が目を輝かせた。

「魅録、あたいに塗って!」

「おまえはもう塗っただろーが。」

「今度は足!」

「ペディキュアなんて色っぽいね、悠理。」

美童が悠理にウインクする。

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