月に一回の全校集会が講堂で行われていた。
まずは清四郎がマイクの前に立ち、朝の挨拶を行う。
菊正宗様〜!
生徒会長〜!
女生徒の声に混じり、野太い声援も聞こえ、頬が引き攣り、口元がゆがむ清四郎。
倶楽部メンバーは苦笑。
「皆さん、おはようございます。生徒会長の菊正宗です。いつも快適な学園生活遂行のために
協力していただきありがとうございます。今月は特に大きな行事はありませんが
その代わり一週間を使いまして学園生活向上週間を設ける事になっています。
ご協力をよろしくお願いします。では詳細は副会長から。」
魅録さま〜!!
よっ、魅録!噛むなよ!
今度も野太い声が混じって入るものの、内容は全うな声援だけだ。
「みんなおはよう。副会長の松竹梅だ。えーとすでにプリントで知らせてるけど、
今、学園生活を向上させるアイディアを募集中なのでよろしく。その中で予算なんかも
含めて出来そうなのをピックアップして、クラスごとにやってもらうことになる。
今週末が募集締め切りで、選考は有閑倶楽部の独断と偏見にて行うから。
協力よろしく!以上。」
「何か質問はありますか?」
「ちょっといいかな。経理のグランマニエです。予算は今、学園側と調整中だけど
アイディアが良ければけっこう掛けられそうだから、みんな遠慮なくアイディアよろしくね。」
美童のウインクにキャーと黄色い声が飛ぶ。
可憐はホワイトボードに用件を簡単に箇条書きにしているが、
その仕草はいちいち男子生徒のため息を誘っていた。
可憐も壇上から手を振っている。
「では次は部活動について。」
「運動部部長の剣菱だ!」
悠理さま〜!!
「お〜う!みんないつも差し入れあんがとね〜!」
「悠理!」
清四郎に睨まれチェッと舌打ちする。
「今月はインターハイの予選とかで忙しいぞ!あたいも出来るだけ助っ人に入るから
頑張ろうぜ運動部!」
オーッ!
「ほほ、こんな弱小運動音痴学園、足掻いても無駄ですわ。」
小さな小さな声で囁いた野梨子の言葉は魅録だけが聞いていた。
魅録の顔が引き攣る。
「文化部部長の白鹿です。」
白鹿さ〜ん!!
野梨子は男子生徒の声援に不機嫌な顔をした。
「先月、文芸部の作品集が毎年文部科学省で行われている
文芸作品コンクールで特別賞を貰いました。記念に全校生徒に配布いたしますので
ぜひ一読下さい。」
「生徒会からは以上です。先生方、何か御座いますか?」
え〜もうですの〜?
「ちょっと・・・さっきの学園生活向上のアイディアだけどね。
やっぱり皆の投票とかがいいんじゃないかな?生徒会の独断はどうかな・・・・。」
ブーッ!!ブーッ!!
一斉に全校生徒からブーイングが上がる。
有閑倶楽部に任せろー!
清四郎がマイクを握る。
「コホン・・・では生徒諸君に伺います。僕ら生徒会で決定して良いと思う人は挙手を
お願いします。」
生徒たちはこれまた一斉に手を上げた。
清四郎は満足な笑みを浮かべると学園長に顔を向けた。
「どうでしょうか学園長?我々生徒会での決定でよろしいでしょうか?」
「う、うむ・・・・そうしたまえ。くれぐれも無理の無い選択を頼むよ。」
「お任せ下さい。皆真剣に取り組みたいと思っております。」
そう言うと清四郎は他のメンバーを振り返る。
皆一様に笑みを浮かべ頷いた。
ワーーー!!
歓声が上がる。
「では今月の全校集会はこれで終わりです。皆さんお疲れ様でした。」
舞台袖に下がっていく生徒会役員を見送る全校生徒の悲鳴が講堂に響く。
キャー!菊正宗様〜!
キャー!美童様〜!
黄桜さ〜ん!
白鹿さ〜ん!
ウオーッ生徒会長ー!
キャー!松竹梅様〜!
悠理様〜!!
「静かにしなさーい!教室に戻りなさーい!」
教師たちが必死に叫ぶが、効果なし。
皆、大騒ぎだ。
学園長が溜息をつく。
「これだから全校集会は嫌なんですよ・・・・。」
マイクが入る。
「みんな〜ありがとう!でも、もう終わりだから教室に戻ろうね。
一時間目が始まるよ。また来月の全校集会でね。チャオ。」
キャーキャー美童様〜!
ようやく生徒達は動き始めるが、舞台袖から生徒会室まで移動する
6人を待ち伏せして、通路は人だかり。
もみくちゃにされながらようやく生徒会室にたどり着いた6人はお疲れだ。
「始業のベルよ〜。」
「あーもういいよ。ふけようぜ。」
「毎度のことながら疲れますな・・・。」
「やっぱり僕のこの美しさが罪なんだね・・・・。」
「「「「「・・・・・・・・・・・。」」」」」
「お茶でも入れますわ。一息つきましょう。」
「よっしゃ!サボリと決まりゃあ気合入れて食うぞ〜。」
悠理は差し入れのお弁当を勢いよく口に運んでいる。
ガチャッ
ドアが開き、そこには生活指導の教師が立っていた。
「君達、授業は始まっていますよ!」
「あ〜さぼるから。」
「剣菱さん!」
「まあまあ先生、先ほどの騒ぎは先生も御覧になっていたでしょう?
まだ冷めやらぬ中へ我々が教室へ出向いたら、授業どころじゃなくなるかもしれないですよ?
出席日数も足りていますし、ご心配には及びません。」
「悠理は誰が見ても心配ですけど・・・。」
野梨子がボソッと言った。
うなずく一同。
「菊正宗君・・・!分かりました!勝手になさい!」
バタンッ
頭から湯気が出ている教師が部屋を出て行った。
「さてと・・・お茶が入っていますわ。」
有閑倶楽部の優雅な朝のティータイムが始まる。