「ねえねえ。」
可憐の雑誌をパラパラめくっていた美童が顔を上げ、
パソコン画面を見つめている清四郎とバイク雑誌を見ながら
ギターをいじっている魅録へ話しかけた。
今はこの三人しか部室にはいない。
開いている雑誌のページは”彼と楽しむラブラブランチ特集”。
「なんですか?」
「もしさあ、悠理たち3人それぞれとランチするなら、何食べる?」
「はあ?!なんだそれ。」
「やっぱり相手が違うと選ぶものも違うよね?」
「まあ・・・それはそうですが。」
「そりゃあな。」
「だから何を選ぶかなって。例えば悠理相手だったら?」
「悠理ですか・・・・・。」
「俺はハンバーガーだな。かぶりつき系。悠理と二人のランチって
ツーリング先しか思いつかねえ。」
「魅録と悠理らしいね。僕はバイキングに連れて行きたいなあ。たくさんの料理を目の前にして
大喜びの悠理が大好きなんだ。可愛いよね。清四郎は?」
「僕ですか・・・・”お弁当”ですね。芝生の上でお弁当。もっとも悠理が作れるわけ無いので
僕が作るしかないですけど。」
「あ、俺、野梨子にはおにぎり作ってもらいたい。弁当なんて大袈裟でなくていいから。
それを・・・・どこで食べるかなあ。公園かなあ。庭でもいいや。」
「僕はねえ。野梨子とは二人でサンドイッチ作って、家のテラスで食べたい。」
「野梨子の海苔巻きは絶品でしてね。渋目の緑茶と。」
「野梨子の場合、みんな作ってもらいたいんだね。そして身近な場所で食べるんだね。」
「そういえば。」
「料理上手いからなあ。」
「可憐も料理上手だけど、僕はあえて可憐好みのカフェでブランチかな。ラフな感じで。」
「可憐なら、俺は一緒にパスタ作るかな。」
「パスタなんだ。」
「そう。パスタ。なんでかは分かんねえけど。」
「僕は美童とは逆にドレスコードのあるような店で時間をかけてゆっくりとランチを
楽しみたいですね。可憐とならそういう場所での会話も楽しめそうです。」
「そう言えば美童はそういう店、出さなかったな。好きそうなのに。」
「うん。あの三人とは少し力抜いておきたいんだ。」
「なんですか?それは。」
「まあ、色々とね。恋の駆け引きは大変なんだよ。」
「へいへい。それよりもうすぐ腹減らした悠理が飛び込んでくるぜ。」
「そうだね。今日のお菓子は何だったっけ?」
「野梨子がなんか持ってきてたな。」
「ああ、おじさんがスケッチ旅行から帰ってきて、中国のお菓子がお土産だそうですよ。」
「じゃあジャスミン茶淹れるね。」
「ほら声が聞こえてきた。」