「あら、綺麗・・・。」
ショーケースの中に飾られている雪の結晶のペンダントを見て、野梨子はため息をついた。
「どれ?ああ野梨子に似合いそうだな。今日の服にもよさそうじゃん。」
「そうですわね。きらきらした雪の結晶、素敵ですわ。」
「よし!買ってやるよ。待ってろ。」
そう言うと魅録は店の中へ入って行ってしまった。
「魅録、そんな悪いですわ。」
後から追いかけたが、魅録は素早く会計をしていた。
「ほい、野梨子。」
ペンダントの入った小さな袋を差し出す。
野梨子は素直に受け取ることにした。
「ありがとう、魅録。本当によろしいんですの?」
「もちろん。たけーものじゃないし。むしろお嬢様の野梨子にそんなもんで良いのか?
本物のダイヤぐらい付いてねーとまずいんじゃね?」
「そんなことありませんわ!わたくしはまだ高校生ですもの。
十分すぎるものを頂きましたわ。大切にしますわ。」
「そんじゃここらでお茶でもしましょうかね。お嬢様。」
「ええ。温かいものでも。」
二人は近くのカフェに入った。
「魅録、見てくださいな!このケーキ。」
それはクリスマスのデコレーションがしてある小さなショートケーキだった。
「可愛いですわ!一緒に頼みましょう!」
「ケーキか・・・・。いいぜ。」
魅録が注文している間に、野梨子はさっき買ってもらったペンダントを出してみた。
「綺麗・・・。」
早速、かけてみる。
白いふわふわのタートルに、それはとても良く似合った。
「どうですかしら?」
「うん。よく似合うよ。」
「すごく嬉しいですわ。本当にありがとう、魅録。」
「どういたしまして。野梨子が喜んでくれておれも嬉しいよ。」
「あら、ケーキが来ましたわ。まあ、可愛い!」
飴細工に囲まれ、きらきらしたショートケーキだ。
上には、サンタとプレゼントの砂糖菓子がのっている。
「なんだか食べるのが勿体無いですわ!」
魅録は静かに微笑んで野梨子を見ていた。
「・・・・・あたくしちょっとはしゃぎ過ぎですわね・・・・。ごめんなさい。
なんだか魅録に無理に付き合わせてしまっていますかしら・・・。」
「なんだよ、そんなことないぜ。」
「わたくし、悠理のように魅録が楽しめる話題もありませんし、行動も取れなくて・・・。」
「野梨子!悠理はダチなの!恋人の野梨子とは違うから!」
「だって・・・。なんだか魅録、つまらなそうですわ。ケーキが嫌でしたの?」
「違うって!野梨子が可愛くてつい見とれてたんだよ。」
「まあ、魅録ったら。お上手ですわ。」
野梨子はふふふと笑った。
「とにかく。悠理のことはいいから。な。野梨子だって清四郎とのことおれになんだかんだ言われたら
面白くないだろ?そういうことだよ。あ〜止め止め!さっ、食おうぜ。」
「はい。」
二人はまた、夕方になり寒さが増してきている街へと戻った。
寒さのせいもあり、自然と手をつなぐ。
クリスマスが近いせいもあり、華やいだ雰囲気だ。
「わたくし、小さい頃に初めて雪の結晶を写真で見たとき、本当に驚きましたの。
あまりに綺麗で。繊細で。言葉が出ませんでしたわ。
自然が作ったものって、すごいですわね。あんなに小さな結晶が実はあんなに素晴らしいなんて。」
「芸術だよな。自然の。」
魅録は空を仰いだ。
「野梨子、車に戻ろう!」
魅録は早足で野梨子をひっぱり、急いだ。
「どこへ行くんですの?魅録!?」
「ドライブだよ。ちょっと遠くまで。」
「今からですの?」
「そう。今から。」
魅録は車をひたすら走らせた。
高速に乗り、どんどん先へ。
辺りはすっかり日が暮れ、真っ暗だ。
野梨子は不安になった。
「魅録・・・・・。」
「大丈夫、野梨子。おれが一緒だから。」
今日の魅録は積極的でちょっと強引だ。
いつもはもっと野梨子の気持ちを優先してくれるのに・・・。
野梨子はぼんやりと外を眺めた。
今日はこのまま付いて行こう。