新幹線の先頭は反対向きです。この形で左(東)から右(西)の軌道を走ります。つまり運転席が一番後ろに
なって反対向きに走っていると考えて下さい。これが「下弦の月」です。こういう風に見ると、すごくわかりやすい
ですネ。
(実際の新幹線は前後両方に運転席がありますから、走行的にはバックではないのですが、一番後ろにある
運転席が走行方向と反対向きとなっているというイメージです。)
新月●を電車区(車両基地)と考えると、そこから満月駅●に向かって、空の新幹線は右向きに進み、満月駅
に到着したら、丸い顔の運転席車両を左向きにしてバックのように進んで行くというイメージです。よくおみやげに
ある運転席のある一両だけの新幹線を満月駅でスイッチバックさせるイメージが一番わかりやすいでしょう(^^)
実際の月齢は約一ヶ月かけて変わるので、一日の内にそういう風に形が変わる訳ではありませんが、向きの
はっきりした乗り物でイメージが出来るとただ図で覚えるより、脳にインプットされやすいと思います。半月の丸い
方が運転席の丸いところのように見えてきたら、もう、上弦か下弦の月かがスムーズに見分けられます!
3.問題です。
この月は上弦の月でしょうか?下弦の月でしょうか?
見える時間は深夜で、見える位置は西の空です。 
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正解はもうおわかりですね。上弦の月です。空の新幹線の運転席が
西に入っていく姿ですね。
4.問題です。同じ形で深夜に東の空にこんな形になってい
た場合は、上弦でしょうか、下弦の月でしょうか?
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正解は下弦の月ですね。同じ形であっても、条件が東の空で真夜中
でしたら、空の新幹線の運転席は後ろ向きに出発して、これから
軌道を進んで上って行く時ですから、「下弦の月」であるということが、
もうイメージできましたね。
東の左下がスタートで、そこから高い所(南)を通って、右下の西に向かうという半円を描くような軌道を動くので、
場所により半月の丸い部分は角度を変えて進みますが、空の新幹線が走るイメージで向きを見れば、どの角度で
あっても見分けがつきます。上の図のようにまったく水平になってしまった場合は、出発地点の確認が必要ですが
普通は例えば三日月であっても、丸いところの向きで満月に向かう時か新月に向かう時かもわかります。
運転席に見立てた丸い方が軌道に向かって進めば上弦の月と同じなので、どんどん丸く膨らんで満月に向かう時
であり、軌道に対して後ろを向いて進めば下弦と同じなので、どんどん細くなって新月になるということです。
満月駅に向かう時は上りですから、途中の半月は「上弦の月」。満月駅から電車区に戻る時は下りですから
途中の半月は「下弦の月」です。そして、新月である電車区で月はエネルギーを蓄えてまた満月駅に向かいます。
古代から見上げられた美しい月を新幹線に見立てるのは・・と思われた場合は、あくまでもこれは覚えるための
イメージですからご了承下さい。また、空の新幹線というのもロマンチックとも言えます。
さて、ちょっとイジワルな問題ですが・・
5.問題です。
旅先で、二次会、三次会とはしごして飲んで深夜になり、下のような
月が出ていました。旅先なので方向は不明で、時間は大体、0時頃。
この月が上弦の月なのか、下弦の月か見分けるのはどうしたらいい
でしょう?紺色の所は海です。
    
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答は・・少しその場で月を見ていましょう(笑) この形で水平線に沈むのでしたら、
上弦の月、これから上るのでしたら、下弦の月です。大空にある時と 違って
水平線や地平線ですと、動きは1、2分でも変わり、わかりやすいです。
この場合、方向がわからないので仕方ないのでした。その場で見ているのが一番わかる方法です。(^^;
一般的な時間による見分け方として、上弦の月はシンデレラと同じで、夜中の12時までには西の空に帰ります。
一方、下弦の月は、夜中の12時(0時)頃に東から出てきます。ですから、0時になる前に見えるのが上弦の月、
0時より後に見えるのが下弦の月ということがほとんどです。
ですが、季節によって、下弦の月は夜中の12時前に上ることもあり、上弦の月も年に2、3回位、夜の12時の刻限を
過ぎてしまうことがあるのでした(汗)。
この問題の場合、旅先が太平洋側なら海は東、日本海側なら海は西となりますから、太平洋側なら下弦の月、
日本海側なら上弦の月という答もできます。この問題そのものが究極の状態で、例えば、山の温泉なら地平線は
見えませんし、大概、旅先であっても、ここまで弦がまっすぐにならずに、傾いている姿が目に入るはずです。
月の軌道は半円を描くので、空の新幹線のイメージがもう出来ていらっしゃれば、左からゆるやかに角度をつけて
右の上方向に上り、中央の高い所を通って、右にまたゆるやかに下る様子が浮かぶはずです。弦が上にあっても
下にあっても、やや右下がりに傾いていれば、これから上るところ、やや左下がりに傾いていれば、下に沈むところ
と見分けられますね。
上がるか下るか見分けられれば、あとは向きで判別できるのです。
ですから、方向のわからない旅先でも、きっと見分けられます(^^)v
但し、深夜までは飲み過ぎないように!!(笑)
・・・・・・・・・・
えっ?言葉だけでは雰囲気がつかめない?
では、自信を持っていただくためのラスト問題です。
6.問題です。次の月のうち、どちらが上弦の月でしょうか?
方位も時間もヒント無しです。形で選んで下さい。
A B
|
正解はAです。
おわかりになりましたよね?(^^)
Aはまさに空の新幹線の運転席を上にして上がって行くところです。
Bは空の新幹線の運転席が下を向いていますが、半円を描いて下りて
行く軌道を考えると、Bの向きでは下りてこれないのです。つまり、Bは
運転席を下にして、これから上っていく下弦の月です。つまり、どちらも
上っていく姿で、東であることが判明します。この場合、弦の位置はAの
上弦の月は下を向き、Bの下弦の月は上を向いているので、混乱しやす
いのですが、きっと、動く時のイメージが出来ていたと思います。
バッチリですね!(^^)/~
自信を持ってイメージが出来たでしょうから、まとめである下の図と確認して下さいね。
→
→
上の図でおわかりのように、上弦の月・下弦の月の弦の上・下の位置は西の空にある時の姿なのです。
色々と見分け方を表記しましたが、実はもっとわかりやすい見分け方があります。
普段、会社や学校、お出かけ等で日が暮れた帰り道に、空を見上げて見える半月は上弦の月なのです。
夕方から宵の時間、南から西の空に半月が見えたら、上弦の月だと思えば良いのです。
下弦の月は?朝に白い半月が見えたら下弦の月です。簡単ですね。
「なーんだ。最初からそう言ってくれれば良かったのに・・。」と思われるかもしれませんが(^^;、それでは
冒頭の
問題1や2のように半月の形で問われたりするとあやふやになってしまうのですよね。ですから、やはり基本的な
向きをご存じの方がご自分でも納得いかれるように思うのです。
どうぞ、空を見上げてみて下さい。そして、見分けられたらつぶやいてみましょう。「きれいな上弦の月だね。」
上弦の月・・と言えば、昭和の後半が青春だった人はほぼ皆、知っている吉田拓郎さんの「旅の宿」ですね。
この歌には「浴衣の君はすすきのかんざし〜♪」と歌われており、秋の頃とわかります。
「上弦の月だったけ 久し振りだね 月見るなんて〜♪。」
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吉田拓郎さんの歌ではおそらく旅先で温泉にでも入ってから、お酒を酌み交わしつつ、空を見上げたので
しょう。午後6時位ではまだ南の高い位置にあり、部屋からは見えないとも言えるので、おそらく午後6時半頃
から差し向かいで飲みだして、午後8時位に西の空を見上げたら、ちょうど夜空に上弦の月が輝いて見えたの
でしょう。ロマンチックな旅の夜ですね。
この時間帯で南から西の位置であったら、下弦の月は出ていないのです。ですから、同じシチュエーションだったら、
迷わずに「上弦の月がきれいだねぇ。」と言えばいいのでした。
まさに夕月夜です。
但し、満月から下弦の月に変わる途中の夜、半月よりふっくらした月が東に見える時があります。(A)
月齢19日〜20日位の月は夜の9時前〜10時頃に昇るので、東の空の低い所に輝いて見えるのです。
この場合は、時間は夕方より遅く、東の低い位置ですし、半月でもないのでおわかりになるとは思います
が、目に入りやすい高さの月なので、思わず見入ってしまう方もいらっしゃるように思います。
この月をご覧になって、弦が上だからと「上弦の月だね。」なんておっしゃらないように。半月ではないで
すし、もうすぐに見分けられるでしょうが、これは昇る方向で、下弦の月と同じ向きです。あと2、3日で、
この月は下弦の月になります。そして、月は一日に50分位ずつ遅れて昇るので、下弦の月が昇るのは A. 東の夜空に輝く月
真夜中ということになります。つまりは下弦の月に夜に出会うのは、よほど夜更かしや夜勤した場合で (満月→下弦の時期)
あって機会が少なく、6時前後に南中しますから、朝にきれいな半月の姿が見られるということです。(B)
(上ると上弦が紛らわしいのでここでは昇ると表記しました。)
ですから、普段、夕方から宵の時間に見える半月は「上弦の月」、朝に見えるのは
「下弦の月」と
いうことになります。こういう風に覚えておけば向きを気にする必要もないとも言えます。
ただ、Aのように夜に見えるわかりにくい月もありますし、形で確認する場合もあるでしょうから、やはり
空の新幹線の向きで判別する方法を覚えていらっしゃれば、とてもわかりやすいと思います。
あくまでも、判別したい場合に便利ですが、特に必要ない時は「きれいな月だね〜。」で十分ですね(^^)
B.朝に見える下弦の月
余談ですが・・
この見分け方をアップしたきっかけは、ある会合の帰りの夜8時前頃に、参加者の年配の方が
空に浮かぶきれいな半月を見て、「あー
右が膨らんでいるから上弦の月だったかな?」とつぶやいたことなのです。別の人は「左が欠けているから上弦の月だね。」と言って
おり、覚え方が人それぞれで、更に、右が何、左が何・・というように言葉で形を覚えようとしているので、どちらが何なのか忘れてしまう
ということも話題に出ていたのです。
私はその会話を聞きながら、「上弦の月で間違いないですよ。」と心の中で思いつつ、「これまでの人生で、この時間帯に下弦の月を
見られたことがあったのですか?」と尋ねたいのをグッとこらえました。おそらく多くの方は、上弦の月と同じように、下弦の月が宵の頃に
見えることもあって、ただ、毎日、忙しいから気付いていないと思い込んでいるのだと理解したのです。(実際は夕方から宵の時間に下弦
の月は見られません。)それから、きれいな半月を見て、上弦の月なのか、下弦の月なのか?と考える人がけっこういらっしゃるということ
も知りました。
その日の帰宅後にインターネットを見て、多くの人がその見分け方を質問していることを知り、自分が前に考えた簡単な見分け方が
お役に立てるかも・・と思いました。空の新幹線は走るイメージですから、軌道に対して前向きか後ろ向きかでわかり易いのでは・・と
思いました。それに先が丸くて、ロケットのようにまっすぐ上に飛ぶのではなく、月齢毎に時間も正確に半円の軌道を動く乗り物は、
新幹線がピッタリのように思い、前から、そういう風に上弦の月などを眺めていたのでした。但し、空の新幹線は覚えるためのイメージ
です
から、「ほら、上弦の月だね。」と見分けられた時も、(新幹線が右向いて走っているだろう?)は胸の中だけにしておきましょう(^^;
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見分け方等は一段落で、この後は月にまつわるお話です。
昔、日本では太陰太陽暦を使っていて、月の満ち欠けで一月と見ていたので、新月が一日としてスタート
、
満月が十五日目で「十五夜」とか「お中日」と呼んでいました。お中日を挟んで、上弦の月が浮かぶ時期を
上旬と呼び、下弦の月が浮か時期を下旬と呼んでいました。太陽暦を使うようになった今は一日(ついたち)が
新月という訳ではありませんが、上旬、中旬などの呼び方は今も使われています。
但し、現在の新暦のカレンダーの上旬に見えるのが上弦の月という訳ではありません。太陰太陽暦(旧暦)
では一月(ひとつき)は月の満ち欠け(29.5日)から定めた29日または30日でしたから、今の暦とはズレており、
現在の上旬が昔の上旬ということではないのです。ですから、現在の暦での月の初めに下弦の月が見える時
もありますし、月の下旬に上弦の月が出ることもあります。やはり、形で覚えておくことが間違いないのでした。
新しいことを始める時は新月の時に、知力・体力作りには新月から上弦の月→満月と向かう時が良いと言われ、
満月の時は色々な意味で気持ちが高揚するので安全に注意して自重が必要と言われています。また、心鎮めて
の浄化やデトックスする時は、満月を過ぎて下弦の月→どんどん月が細くなって行く時期が良いと言われています。
日本で大安等の六曜をカレンダーや手帳に記載されていることが多いように、欧米の手帳では満月、新月を
表記してあることが多いです(日本の手帳でも採用していることがあります。)月の動きで、心の持ちようや事業
の展開時期を参考にしている訳です。ですから、半月等を見て、今は満月に向かう時か、新月に向かう時かを
知ることが出来ると、とても役に立つとも言えます。
上弦の月は昼間に東の空から上り、夕方に南の空に存在(正中)して、日没後にはちょうど南から西の空に
きれいに見える訳で、つまり、普段、目に入り易い半月なのです。ですから、大概の方は半月を描いてみて
下さいと言ったら、1の上弦の月を描くと思います。形が右を膨らませた方が描き易いということもあるでしょう
が、その形の方が無意識にも長年、見慣れているからではないでしょうか?
下弦の月は夜中に東の空から出てきて、明け方に南の空に上り、お昼頃の明るい時間に西に沈みます。
ですから、下弦の月を見られる機会は少なく、真夜中から夜明け前のまだ暗い時に空に輝くのを見られるか、
昼間の空に白っぽく見えたりするのに気付く程度で、滅多に見られないことから二十三夜様という敬称で、
崇められたりしています。
もちろん、下弦の月に限らず、日本人は古代から、月を尊び、眺めることが何より楽しみであったと言われて
います。短歌や俳句にも多く歌われています。半月も三日月も美しく、その途中の月にも名が付けられ、更には
大きく輝く満月に魅了されて・・と、お月様は人々に慕われ、愛でられてきました。
お月見は元々、中国から日本に入ってきた文化であり、今でも中国は十五夜の月を愛でることを非常に大事に
していらっしゃるそうですが、上弦の月という名称も、今から1500年以上も前の中国ですでに書物に書かれて
いたそうです。それ以来、日本においても、他の月の名も加えながら、大事に呼び続けられた名ということです。
人の目に一番、入りやすかったのは満月(望月)で、夕刻に東の空に上がり、夜中に南中し、明け方に西の空に
帰ります。暗くなってきてから、一晩中、空のどこかに輝いているということです。まん丸ですし、古代から人々を
魅了してきたのが、よくわかります。そのため、歌に大変よく詠まれています。
夏の夜はまだ宵ながらあけぬるを 雲のいづこに月宿るらむ」
(作 清原深養父
・きよはらのふかやぶ 古今和歌集 905年)
訳.
夏の夜は(短いので)まだ宵だと思っている内に明けてしまって、これでは月は西まで帰るのにたどりつけないだろう。はたして
雲のどこを宿にして(かくれて)いるのだろう。 |
名月や 池をめぐりて夜もすがら
(作 松尾芭蕉 1644-1694 )
訳. 中秋の月があまりに美しかったので、池のほとりで(空や湖面に映る姿の)月を見ながら、一晩中、過ごしてしまったよ。
|
その次によく見えたのが、夕刻から夜中まで輝いた上弦の月や三日月と思います。上弦の月は弓の形として、
万葉集に登場し、旧暦の七夕の時に天の川の近くに必ず見えるということで、古くから天の川を渡る舟に見立
てた歌も多く詠まれています。
あまのはら ふりさけ しらまゆみ
天の原 振り放け見れば 白真弓 張りて懸けたり 夜道はよけむ (作者 間人大浦
・はしひとのおおうら 万葉集)
訳.天空を見上げてみると、白木の弓に弦を張ったような月がかかっていて、夜の道(を歩くの)は良いものでしょうね。
(振り放けは振り返ることではなく、古語で仰ぎ見る意味で 、月を見上げながら歩く情景と思われます。)
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こよい
わがり きまさむ
久方の天の川瀬に舟浮けて 今夜か君が我許来まさむ
(作 山上憶良
・やまのうえのおくら 万葉集 629〜759年頃)
訳.久方ぶりに、天の川の瀬に舟(上弦の月)を浮かべて、あなたは今宵、私のもとへ来て下さるのでしょうね。
七夕の日に天の川に舟を浮かべてやってくる・・ご存じのとおり、歌の中の君は牽牛(彦星)、我というのは織女(織姫)です。
|
上弦の月という名のことですが、最初に弦の向きの項目で、弦が上に見える形から「上弦の月」ということでは
時間帯により形が異なるから見分け方としては難しいと表記しましたが、ここまで目を通して下さった方はもう十分、
角度が変わっても、向きで見分けがつくと思いますので、それをふまえて、更に上記のような情緒ある歌を先人が
多く詠んでこられた歴史を併せて、この「上弦の月、下弦の月」という名前を考えてみたいと思います。その響きは
なんて美しい・・と感慨深く思うのは私だけではないでしょう。
「上弦の月の名は上旬に見える半月だからであり、弦の向きは時間で変わるから後付の解釈で関係ない。」と
いう説を読んだこともありますが、月に名を付けて親しんでこられたロマンあふれる先人の方々が、上旬に見える
半月をなぜ「上弦の月」とずっと長い歴史の中で呼び続けて来たのか・・と考えた時、やはり、その姿形から名を
付けたというのが一番、しっくりとするように思います。まさに形がそのとおりだからです。
上弦の月と言っても、上る時は弦は下を向いていると反論される方もいらっしゃるでしょうが、では、その時間に
人々はその形を見ていたでしょうか?上弦の月が昇る時間は明るい昼間で月の形は確認するのが難しいです。
つまり、そういう下向きの弦の形は天体物理学的なことで、大昔の方々はその形の時間には仕事をしたりして、
お月様を見ていない人が多かったはずです。というか、お日様の明るさでよく見えなかったと思います。
ではいつ、お月様に気付くのか・・?そう、夕方、暗くなってからが一番、多くの人に見られた確率が高かった
はずで、その時の姿が一番印象が強かったと思われます。大概の方は宵に月を見上げます。昼間の月をわざ
わざ探して愛でるというのではなく、暗くなってきた時に、
美しい月に気付くのだと思います。テレビなど無い時代
ですから、一般的には夜の空を眺めるのは楽しみであり、風流であったことと思われます。
夕方6時位ではまだ横を向いていますが、多くの人が仕事等を終えて、寛いだ後のひととき、見上げる
宵の時刻の半月は傾き出していたのでしょう。(弦が真上になるのは西に入る時ですが、途中も右の図の
ように上の方に向けて傾いて見えます。)
夜が寒くなく、月を見るのに適した夏の時期などは暗くなるのが遅いので、やっと暗くなった後に、空を見上げて、
傾いている半月の姿をほれぼれと眺めた人も多かったように思います。
実際、昭和に育った方なら、夏の夜に縁台を外に出して涼んだ人々の姿が記憶にあるでしょうが、冷房の無い
時代は暑さしのぎも兼ねて、夜空を見上げていた人が大勢いらっしゃったと想像できますし、日が沈むのが早い
時期なら一層、月は自然に目に入ります。また、詩歌を詠むのが知識人のたしなみのように言われていた時代も
過去に続いていた背景もありますから、夜空の月は今の時代より、ずっと多くの人々に見られていたとも言えます。
そして、かなり、イマジネーション豊かにご覧になっていたとも言えます。
ですから、夜空を見上げ、その半月の時の姿が弦を上に向けた弓矢に似ていると思ったのでしょう。
だから「上弦の月
」・・そう呼ぶようになったことはごく自然なことのように思えます。広まったきっかけは学問の
場だったのでは?と思いますが、旧暦は月の形で日にちを数えていた訳ですから、暦の普及も含めて、納得が
いく月の命名が広く浸透したのではないでしょうか。
新月から数える旧暦の上旬の半月だから「上弦の月」という説はもちろん正しいでしょうし、私も覚え方として、
満月に向かう時は「上り」と表記したように、上弦の月に上るの意味が確かにあることは事実と思いますが、月の
命名に関しては、宵の空で弓の形に見える月の弦が上を向いているから、それを見て名を付けた・・という発想の
方が情緒を重んじてきた文化にも合うような気がします。
月が本当に好きだから美しい形を表す名にしたのでは・・と思います。「上弦の月」という響きがまさにピッタリで
親しまれて定着し、それと同時に反対の形になっていて下旬に東の方に見える美しい半月を、対として「下弦の月」
と名付けたのではないでしょうか?形が逆なのですから、上弦とは逆向きに西に沈んで行くことを理解されていたの
でしょうし、6時頃に南中する下弦の月を朝に目にする機会もけっこうあったでしょうから、午前中の早い内に見上げ
た時、弦がやや下向きに傾いているのがわかったと思います。
お昼の一番、太陽が明るい時間に西に沈むので、本当に弦が真下に近い向きになる姿を見るのは困難だったと
としても、午前中、手を休めて空を仰いだ時に見える姿で弦が下に向きだしているという認識はあったと思います。
昔の方々の思いを想像するだけで、由来についての確証をここで示せませんが、そう思うとロマンチックであり、
風情を大切にしてこられた歴史の上でも合っているように思います。
半月はダイヤモンドのように輝く美しい月です。雲の間に浮かぶ姿はため息が出るほど・・
三日月も心が安らぐような中に気品があって素敵ですし、満月の美しさは語り尽くせない素晴らしさと思います。
今夜もどこかでロマンチストさんが空を見上げているのではないでしょうか?
1000年以上も前から、ずっと何代もの多くの人々が見上げては、感動に浸ったり、心ほのぼのとしたように・・。
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参考(見分け方は上記までの記載で十分と思いますが、追加で補足します。)
参考1.「簡単見分け方法」の冒頭で北半球の場合と書きましたが、南半球では、太陽も月も東から上がって北の空を通って西に沈みます。
ですから、イラストの上弦の月・下弦の月は反対の向きになります。この場合も、軌道に対し空の新幹線が走っている向きを想像すれば、
上弦の月、下弦の月はすぐわかると思います。混乱するので、北半球にある日本での見方をこちらでは説明しております。)
参考2.上弦の月と下弦の月を「半月」と総称しておりますが、正式には上弦の月は新月から数えて7日目か8日目に当たる半月の日であり、
下弦の月は新月になる7日か8日前にあたる半月の日で、月齢で定められた日を言います。でも、そこまで正確に表記しますと複雑に
なり過ぎて情緒も減るでしょうから、とりあえず、見た目での「半月」ということにさせていただいております。その月の正式な上弦の月、
下弦の月の日をお知りになりたい場合や、行事や祭事で確認される場合は、月齢表を掲載のサイトをご確認いただければ幸いです。
参考3.上弦の月は、昔の中国の書物に書かれていた(五世紀の頃に書かれた後漢書という書物と言われています。)ということも影響に
あるのか、「ジョウゲン」と音読みが浸透していますが、実際に弓道に携わった方に伺ったところ、弓の弦は「つる」と呼ばれる方が多い
そうです。
漢字は元々、古代中国から日本に入ってきて日本語の起源に大きな影響を与えた存在ですが、「上弦」にまつわる書が何時の時代に
日本に入ったのか不明なので、上弦の月や下弦の月という言葉がいつから使われているのか定かではないのですが、日本の万葉集の
中には「白真弓」、大和物語では「弓張月」と詠まれて、やはり弓に見立てていたとの証になっております。
[万葉集は7世紀から8世紀後半にかけて編集された日本最古の和歌集
・大和物語は10世紀(951年頃)に作成の物語]
日本で古くから弓に見立てていたということは事実であるものの、日本最古であって歌の数も多い万葉集では「上弦の月」という言葉が
入った歌がないようであることと、奈良時代や平安時代の頃の宮中時代の歌には登場しないようなので、歴史的にはもう少し後の時代、
漢詩、漢文などをよく学ぶ機会の多かった武士がメインの時代から広まったのではないか・・と推測します。実証を明記できないので、あく
までも推測ですが、武士は戦やら会合やらで大勢集まるために暦が重要だったでしょうから、上弦の月の時を折々の目印にしていたで
しょうし、兜の前立てに、三日月や上弦の月をあしらった物が現存されています。前立ての半月の弦は必ず上に向いていたので、オーダー
する時に向きの判別しない「半月」や「弓張月」という表現ではなく、「上が弦の月」つまり「上弦の月」と呼んでいたと推測します。
参考4.三日月については正式には上弦の月となる前の細い月を言います。もとは新月から
三日目の月という意味です。下弦の月から細く
なった逆の形の三日月は「有明の月」とか「二十六夜月」と言います。でも、これもまた、英語ではどちらもCrescentであり、
新月から
何日目であっても、かなり細い月も、ややふっくらしてきた月であっても、細い月は「三日月」の愛称で定着していると思いますので、
正式名を必要とされる場合の方への参考としてのみ記載させていただきます。
このサイトをご覧下さった方はもう見分けられると思いますが、夕方から宵の空にきれいに輝いて見えるのは上弦の月に
向かう時の三日月ですから、どっちだろう?とお悩みにならなくて大丈夫です。下弦の月から細くなっていく月の時期は夜中
を過ぎてから上がって、朝から午前の早い内に南に上り、昼間に西に下るので、目に入ることが少ないですし、一番、遅い時間
に西に下る“新月になる一日前あたりの細い月”も午後3時過ぎから4時頃に西に沈むので、ほぼ昼間の空ということであり、
宵の空に浮かぶという姿は見られないのです。
ですから、きれいな細い月が南から西の夜空に見えたら間違いなく三日月です。安全は確保した上で、ふーっと 三日月と宵の明星
肩の力を抜いて、「きれいな三日月だねぇ」としばし見惚れてみるのも良いものですね(^^)
宵の明星と呼ばれる金星が三日月に近づく時のランデブーもとても美しい天空ショーです。
参考5.下弦の月も有明の月(二十六夜月)も下るイメージにつながるように思われがちですが、古来から信仰の月であり、「二十六夜待」
と
いう慣わしもあって、人々に尊ばれたと言われています。
さらにここまで読んで下さった方にそっとお伝えすることですが、下弦の月という
形は弦(つる)が下にあるということで、つまり、西の空に下る時に、弦を引っ張って飛ばす矢は空高く上に飛ぶということです。
そこの
認知度が低いのでむやみに言えないかもしれませんが、実は縁起が良いとも言えるのですよ。下弦の月が暗い空に見えるのは夜中から
夜明け前の東の空ですから、ご覧になる場合は、風邪などひきませんようどうぞご注意下さい。
(朝になると青空に白くきれいに見えます。)
ちなみに石鹸等のブランドである花王のマークは創立当初は二十六夜月の姿でしたが、今は「三日月」が採用されています。
もちろん、三日月も上弦の月も、満月へと膨らむので、これもまた縁起が良いという認知度が高いです。でも、矢は下に飛ぶってこと?と
ご心配も不要です。上弦の月の矢は山の獲物を射る・・と言われているのです。どちらも弓張月で縁起が良い!と言えるのでした(^^)
参考6.「太陰太陽暦・お中日・上旬・下旬」のところで気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、月の周期は約29.5日とのことで、
それで一年を数えて行くと、一年は354日にしかなりません。現在、世界中の多くの国は地球が太陽のまわりを周る周期を元にした
太陽暦であるグレゴリオ暦を使用して、一年を365日としているため、この暦の元に暮らしている私達にとって、4月はいつも桜の咲く月で
あり、11月には銀杏が色づきますが、旧暦の数え方の時代はそのままにしておくと春夏秋冬の季節の様子と暦の月がズレていってしま
います。それで、旧暦使用の頃は3年位に一度の割合で、閏月(うるう月)というのを作っていたそうです。つまり、一年が12月ではなく、
13箇月ある年が時々あったのです。
2010年12月に公開の映画「武士の家計簿」は茨城大学 准教授の磯田道史先生が、加賀藩の御算用係の武士の方が残した実在の
文書をひも解いて、新潮社から出版された「武士の家計簿」を元に映画化されたものですが、その磯田先生の著書の中で、1843年(天保
10年)は閏月が9月にあったため、9月が二回もあって、その文書を残した武家のお宅(武士の収入は年俸制)の生活費(支出)が増えて
大変であったことが記載されています。
(当時は9月ではなく、長月と言っていたのでしょうが、磯田先生が現代風に解説して下さって、読み易くかつ貴重なデータの本です。)
今の時代に考えると同じ月が二回とは不思議なことですが、暦として季節が合わないと色々と困るため、工夫されていたのですね。
閏月はいろいろなことを勘案して決めていたらしく、その年により何月を閏月にするかが定めされていたようです。
なお、明治政府になってから、日本は太陰太陽暦から、現在の太陽暦に改めましたが、100年以上経っても、いまだに旧暦で祭事等を
行う風習は残っています。もちろん、旧暦の暦や書物が広まっていることもあるでしょうが、月の形に合わせた旧暦の方が、日本古来の
行事に合っているケースもあるでしょうし、何より、先に生まれた方(及びそのことをよく学んだ方)から後に生まれた方(及び後進)へと
「文化を伝承する力」が大きいと思います。また、普段は太陽暦、必要に応じて旧暦や旧暦の日を現在の暦で読み替えるというような
臨機応変な使い方は、伝統を重んじながらも新しいことを受け入れる日本人らしい文化とも言えます。
参考7.「菜の花や 月は東に日は西に」と歌ったのは与謝蕪村ですが、こういう風に上る月と沈む夕日が同時に見えるのは春ばかりで
なく、一年中、満月の頃に見られる現象です。● ●
大概、14日目の月の時で(満月の時も稀にあります。)、半月や三日月では起きない現象です。満月の一日前の頃は月が昇る時にまだ
夕日が沈んでいないので、東の月と西の夕日が同時に見られる訳です。
ただ、夏は暗くなるのが遅いので、月がせっかく上がってもよく見えないですし、冬は日の入りが早くてアッという間に沈んでしまうので、
同時にという雰囲気ではないですから、「月は東に日は西に」(ゲームの名ではありません^^;)は、やはり春の時期が見頃と言えます。
それから、日の出が海から見える地域では、冬の時期は海から満月が上がるのが見られます。他の季節でももちろん見られますが、
昼間の午後で気付かないことも多いのに対し、冬の時期は日が沈むのが早いので(12月で16:30頃)、満月が昇る頃(12月で16:25頃)に
暗くなっているため、満月並びにその前後の丸い月が海から美しく上っていく姿に対面できるのでした。但し、月の出は一日で50分位は
変わるので、もし、ご覧になりたい時は、前もって新聞等に掲載の「月齢」や「日の入り・月の出の時間」を確認された方が良いです。
「月は東に日は西に」の逆のケースである「日は東に、月は西に」状態の月は満月から下弦の月に向かう頃に見られます。この時期の
月の入りは午前8時から10時頃なので、朝の頃にはまだ西の空に居ます。
下弦の月は朝、空を見上げると南から南西の天高くにあり、
新月に向かう途中の細い月も明け方の空に見えたりします。暁の月と明けの明星(金星)と並んできれいに見えることもありす。
空に輝く月は格別ですが、青空に浮かぶ朝の月もまたきれいなものです。
上弦の月、下弦の月、三日月、満月・・月の話題は尽きません。色々な形の月を愛でていきましょう!