YAMAHA A-5で遊ぶ



1. はじめに

  以前からYAMAHA A-5の美しさに惹かれていました。YAMAHAのAシリーズはどれも美しいのですが、その中でも特にA-5が全体のバランスが整っていて最も美しいと思います。

  AuraのVA-50も極めてシンプルで美しいのですが、A-5は多機能でありながらそれに負けず劣らずの美しさを持っていると思います。
  
  A-5はヤフオクでもそれなりの値段で取引されており、今まではケースに使うだけではもったいないと思い手を出しませんでした。

  ところが、ここへ来て価格が下がってきたようで、ちょうどジャンクが出品されたので、後先考えずに安値で落札してしまいました。

  (上の写真はヤフオクに出品された時のものを無断で流用させていただきました。私が落札したので許して下さい。私にはこんなにうまく撮影できません。)


2. 構想

  さあどうしましょうか。何も考えていません。

  電源を入れると光るセレクターボタンがこのデザインのポイントなので、これを生かすためにはプリアンプということになります。半導体パワーアンプのプリメインという線も無くはないですが、今更半導体パワーアンプは使う気が起きません。

  しかし、現在使っているプリアンプはデザインも音も気に入っているので、音質的に同等か、それを超えるもので無ければ常用にはなり得ません。

  アイディアとしては次の3つになりました。

    A案: A-5のプリアンプ段をそのまま使う
    B案: 真空管プリアンプ
    C案: OPアンプ使用のプリアンプ

  市販の製品を流用するに当たっては、その内部構造を見て見ないと何ともならないので、とりあえず臓物をチェックすることにしました。


3. A-5の内部構造

  A-5の内部写真です。下がフロントパネルです。


  上側の青と茶色の部品がセレクター・スイッチで、フロントのボタンから黒いバーを使ってON/OFFするようになっています。その上の銀色の箱から黒いケーブルが出ているものがREC OUTセレクターです。ちなみに、右隅はフォノイコライザーでMM/MCの切り替えスイッチもあります。

  上下を隔てるようについている銀色の物がパワートランジスタのヒートシンク兼セレクター用バーのガイドになっています。

  フロントパネルのボタンを生かすには、上側基板とヒートシンクはそのまま残すしかないでしょう。

  フロントパネルのその他のボタンもスイッチ自体は下側の基板に付いており、これを無くすとスイッチが陥没して格好悪いので、何とかこの部分は残したいところです。

  各種ボリュームも、もちろん基板に付いています。いかにも安物のボリュームですので交換したいところですが、ここで問題発生。ボリュームのシャフトがローレットを切った物なのでツマミも当然ローレット用。音質上、アルプスのミニ・デテントを使いたいところですが、これはローレット無しの丸軸の物しか手に入りません。そうなるとツマミも交換となりますが、音量調整のツマミがφ45mmと大変大きい物で、ほとんど売っていません。サトーパーツに1種類だけありましたが、同じデザインで他のツマミ(φ20mm)と同サイズの物が無く、デザインが合わなくなってしまいます。デザイン命(?)のA-5にとっては許されることではありません。

  したがって、やむなく元のボリュームを使わざるを得ませんが、音質上、不安が残ります。

  それでは手っ取り早く、A案のA-5のプリアンプ段をそのまま使うことを検討して見ました。音質がどうなるかは???ですが。


4. A-5の回路

  取説のブロックダイヤを簡略化すると、次のようになります。



  入力から「TONE CONTROL AMP」までを使うとして、問題は「TONE CONTROL AMP」の出力インピーダンスです。ローインピーダンスならそのまま取り出せば良いので簡単です。

  ということで、早速、基板から回路図を起こして見ました。

  使っている半導体は日立のHA1457(High Voltage Low Noise Preamprifier)という1回路のアンプICを片チャンネル1個だけです。本来はフォノイコライザー用のICのようです。

  よく解りません。配線を全部外して基板だけにしないと良く見えません。何とか起こした回路でシミュレーションして見たのですが、おかしいです。どこか間違っているのでしょう。

  かといって配線を全部外すと後が大変そうです。端子にコードが何ターンもぐるぐる巻きにしてあったりしますので、元に戻すことを考えたらやる気がおきませんでした。

  ただ、「ヤマハ独自のNF-CR型」トーンコントロールということで、一般的な回路とは全く違うらしいことだけは見当が付きました。

  ということで実際測定して見たほうが早いので計って見ました。

 

出力インピーダンス (Ω)  

 周波数 (Hz)

 Flat

 Bass Max.

Bass Min. 

Treble Max. 

Treble Min. 

 100

 1.1k

 1.1k

 6.7k

 1.1k

 1.1k

 1k

 1.1k

 1.4k

 1.8k

 1.1k

 1.1k

 10k

 1.1k

 1.1k

 1.1k

 1.1k

 360







  出力インピーダンスは表のように低インピーダンスとは言えませんが、思ったほどは高くありませんでした。Bass Min.の時だけ高めですが、低域ですのでケーブルの(容量の)影響は無いでしょう。受けのパワーアンプの入力インピーダンスも100kΩですので大丈夫でしょう。

  特別、バッファを入れなくても、そのままプリアウトとして引き出しても問題は無さそうです。

  と、ここで重大問題発生です。音量調整用のボリュームの片チャンネルの抵抗体が割れているようです。初めは気付きませんでしたが、ボリュームを回すと途中で引っ掛かりを感じます。まともにボリューム調整が出来ません。通電のみ確認のジャンクということでそれなりに動くのではと考えていましたが、意外なところで本当にジャンクでした。


5.1 A案: A-5のプリアンプ段をそのまま使う

  とりあえずローレットを切ったボリュームを見つけましたので、早速、調達・交換して、音出しして見ました。

  うーーーん、いけません。まずドンシャリです。低音は少しぶよぶよした感じで、高域は荒い上に強調された感じです。中域はソフトで丸っこい感じですが、音像が大きめです。

  現用のOPアンプ・プリアンプよりクオリティーは数段落ちるレベルと言わざるを得ません。

  まあ、30年くらい前の\45,000の製品なので、元々取り立てて高音質ということでもなさそうですし、部品の劣化もあるでしょうし、仕方ないところでしょう。

  部品を大幅に交換すれば少しは良くなるのかも知れませんが(電解コンデンサは調達済みなのですが)、やる気が無くなりました。元の回路を生かす必然性も感じられないので、まあ、予定通りというか、ケースだけ使って中身は新調するほうが良さそうです。


5.2 B案: 真空管プリアンプ

  ではどうするか、どうせならオール真空管にするという事で、真空管プリアンプにも未練がありますので、その線で検討して見ました。

  トーンコントロールのボリュームは安物っぽいですが、±5ポイントのクリック付きなのでそこは良いところです。。クリック無しだと微妙な調整は出来ますが、逆にそれが煩わしく、私の場合、微妙なバランスに気が行ってしまい音楽に集中できないのです。その点クリック付だとそのポイントにしか合わせられないので、ざっくり調整して細かいことは気にしないと開き直れるのです。現用のプリアンプのミニデテント・ボリュームは±15ポイントで、それでも細かすぎると思っています。それ以前に作ったプリアンプはロータリー・スイッチと抵抗を組み合わせて±2ポイントで使っていたくらいです。それを何故ミニデテント・ボリュームにしたかというと、そこにミニデテント・ボリュームがあったから(^^)。本当は良く覚えていません。本当にその程度の理由で何も考えていなかったのだと思います。

  さて、本題に戻りますと、その±5ポイントのクリック付ボリュームですが何故か30kΩなる中途半端な抵抗値です。で、そのボリュームですがBassは30k BでBカーブという事でよいのですが、Terebleは30k Gと書いてあります。Gカーブ?初めて聞きました。調べて見たらありました。メーカーによってはWカーブというところもあり、EIAJ(JEITA)では4Bというそうです。Bカーブに近いカーブですが直線のBカーブに対してS字のカーブになっています。

ということで、Bカーブに近いのでNF型のトーンコントロール回路を設計して見ました。そうしたら、トーンコントロール回路の入力インピーダンスは最小2kΩ程度まで下がってしまうことが解りました。前段にはP-G帰還回路かカソード・フォロワーのバッファが必要ですが、2kΩという低インピーダンスを真空管でドライブするのはいくらなんでも無茶です。


5.3 C案: OPアンプ使用のプリアンプ

  という事で、C案のOPアンプということになってしまいました。

  念のため、ボリュームのカーブを計って見ました。ところが何と、中点タップ付というか、Bカーブの方(下図左)は中点でボリュームの三つの端子が全てショートになります。Gカーブの方(下図右)は中点で摺動子(真ん中の端子)がオープンになります。

  下図がその抵抗変化カーブです。

 

  ラインが2本づつあるのは、2連ボリュームのそれぞれのカーブです。安物だけあって結構ばらついていますが、この際、気にしないことにします。

  しかし、このカーブでは単純にNF(BAX)型の回路は組めません。となると、オリジナルのNF-CR型をコピーするしかなさそうです。


5.4 D案: オリジナル回路+OPアンプ使用

  A案で音が悪かったのでオリジナルのHA1457は使わず、OPアンプで作り直すことにします。HA1457はSIPパッケージで一般的なDIPパッケージは入りません。またオリジナルの電源電圧は±22VとOPアンプには高すぎます。 したがって、電源を含め別基板で製作することにしました。
 
 音が悪かったのはNF-CR型の回路そのもののせいではないことを願いつつ。 ボリュームが安物なのが気になりますが・・・