CD用ライン・トランス

  CDの出力にトランスを入れると音がアナログ・ライクなるということで流行った時期があります。
  確かにトランスを入れると変わります。よく言えば音の実体感が出るというか、音像がしっかりして太さが出てくるように思います。でも、私の好みには合わなかったので使っていません。
  だいぶ前になりますが、3種類ほど入手して周波数特性を計ってみたので、データを紹介します

1. UTC A-22

  代表的なビンテージ・トランスはWestern Electricの111CとUTCのA-20だと思いますが、両方とも高いので、比較的安かったA-22を買ってみました。
  参考までに3種の仕様の比較をしてみました。

 型名  インピーダンス  周波数特性  最大出力  
 A-22  500:500/125Ω  40Hz〜20kHz  +30dBm
 A-20  50/125(150)/200(250)/333/500(600):
            50/125(150)/200(250)/333/500(600)
 10Hz〜50kHz  +15dBm
 111C  600/150:600/150  30Hz〜15kHz  +30dBm

  では、A-22の周波数特性です。信号レベルは2V(+8.5dBm/600Ω)入力です。

  600Ω出力、600Ω負荷(600Ω:600Ω)では素直な特性をしていますが、CDのライン・トランスとして想定した場合のローインピーダンス出力・47kΩ負荷(Low Z/47kΩ)では高域が大きく暴れています。このあたりも音を作る一因になっているかもしれません。

  音の印象は骨太になるとともに、総天然色ではありませんが色彩感がつくような美音系と感じました。

  A-20は帯域が広いので広域の暴れの影響は少ないと考えられます。逆に111Cは帯域が狭いのでさらに影響がありそうです。そのあたりも含めてトランスの個性となっているのでしょう。


2. タムラ TF-5725

  汚いです。ラインアウト・トランスだそうです。仕様は、

 インピーダンス

周波数特性 

最大出力 

 600Ω CT または150Ω split : 600Ω・8Ω

 20Hz〜30kHz ±1.0dB

 +30dBm


  600Ω:600Ω端子での周波数特性のグラフです。信号レベルは同じく2V入力です。

  600Ω負荷では素直な広帯域特性をしていますが、47kΩ負荷ではA-22程ではないものの、100kHz辺りが盛り上がっています。20kHzまではあまり影響がなさそうです。

  音質的にはそれほど骨太にならず、特別に色もつかず端正な音と感じました。
 

3. Marantz DLT-1

  初めからCD用のライントランスとして作られたものです。
  細かい仕様はわかりませんが1:1.4の昇圧トランスらしいです。

  周波数特性です。インピーダンスはローインピーダンス出力・47kΩ負荷で、信号レベルを変えてみました。

  一般のCDプレーヤーの出力である2Vでは20Hz〜20kHzで見事にフラット。47kΩ負荷でも高域の暴れはありません。0.775Vでは低域が延びており、2Vでもコアが飽和していることがわかります。4Vではさらに飽和している様子がわかります。さすがCD用、ドンピシャの設計です。

  音は骨太になるものの、色は付かなかったように記憶しています。