ICラジオ

ICラジオでは、共振回路がその性能を左右します。その共振回路を構成するコイルとバリコンです。
どこにでもある材料で手作りしたコイル、バリコンで、ICラジオを製作してみました。見かけはみすぼらしいですが、良く聞こえます。
バリコンは、厚紙製のものと空き缶製のものを作ってみました。簡単に静電容量の大きいものができます。厚紙バリコンは、最大/最小容量比非常に大きいものが出来ますが、空き缶バリコンは容量比が小さいものになります。
いろいろな材料を使って、コイルも作ってみました。コイルの良さを表すQも調べてみました。比較的大きなQが得られるようです。
容量比の大きな厚紙バリコンを組み合わせるといい加減な巻き方をしたコイルでも中波放送帯を十分カバーするラジオができます。

なお、ここに掲示したデータは、すべて自作計測器で得たものです。これらの機器は、信頼できる計測器で校正をしているものではありません。データは、「おおよそ」「傾向」を見ていただく程度と理解してください。

CDバリコンとスパイダーコイルを使ったICラジオ
左のCDがバリコンです。青い大きなツマミ(実は、瓶詰めのキャップ)で回転させます。右のコイルは、スパイダーコイルを使っています。回路はラグ板で作っています。
厚紙バリコンとスパイダーコイルを使ったICラジオ
左の白い厚紙がバリコンです。細長い厚紙を前後にスライドさせて選局します。非常に大きな容量が得られるので、小さなコイルで済ませられます。回路はアルミ箔で作っています。
空き缶バリコンとベニヤ板”スター”コイルのICラジオ
左のビール缶がバリコンです。このバリコンも大きな容量が得られるのですが、最小容量も大きいので、中波帯をカバーするには、コイルとのバランスをうまくとる必要があります。回路はラグ板を使っています。

コイルのいろいろ

ICラジオ用の優秀なコイルを求めて、8タイプ--厚紙にスロットを切り込み巻枠としたスパイダーコイルタイプ、ベニヤ板に丸棒を埋め込んで巻枠とした星型コイルタイプ 等--のコイルの試作し、Qを調べてみました。
ベニヤ板タイプの”スター型”コイルのQは、最もいい数値が出ています。ゴールデンボード製の厚紙コイルも厚紙製巻枠の中では最高の数値です。厚紙は何でもというわけにはいきません。紙質の硬いものが良いようです。
”星形”という見た目の形もちょっと良いのですが、巻く時も簡単です。スパイダーコイルでは、巻いている途中で巻き方向を間違えたり、スロットを飛ばしたりしがちですが、スター型コイルは間違えれば、すぐ分かります。
ICラジオには、下の3つのタイプを取り上げました。
その他のタイプの詳しい測定データは、「コイルのQ」のページを参照してください。

「ゴールデンボード」製7スロット巻枠スパイダーコイル
厚紙「ゴールデンボード」(商品名)で作った7スロットの巻枠です。CDバリコン(gb359タイプ)、厚紙バリコン(gb123タイプ)との組み合わせで使っています。このコイルの作り方(685KB)を参照して下さい。
ベニヤ厚板星型コイル
12mm厚ベニヤ板に6mm丸棒を7本(半径55mmの円、360/7度間隔)取り付けたものです。ベニヤ板、丸棒は有り合わせのものを再利用したものです。空き缶バリコンとの組み合わせで使っています。

上のコイルのデータは次の通りです。

       
巻枠材 巻枠形態 巻数 巻線サイズmm インダクタンスμH浮遊容量pF備考
ゴールデンボード(紙) 7スロットスパイダー 24t(ポリエステル線0.4φ) 105/85 123 6.3 "gb_123"
ゴールデンボード(紙) 7スロットスパイダー 40t(ポリエステル線0.4φ) 105/85 359 6.3 "gb_359"
ベニヤ厚板&丸棒 5ポール星型 15t(ポリエステル線0.4φ) 95 134 5.8 "marubo"

手作りコイルのQ

バリコンのいろいろ

コイルを巻くという作業は、思ったよりなかなか難しいものです。コイルの巻きが容易(巻き数が少なくて良い)になるよう、大きな静電容量が得られるもの、作り方が難しくならないものとして、不要になったCD、厚紙を使ったものと空き缶を使ったものを試作してみました。
静電容量の測定には、ディジタル容量計(秋月電子)を使いました。

CDバリコンの外観
CDの回転軸は、CD板の中心から20mmほど偏心させています。これによりバリコンの容量の小さい領域では、変化が小さくすることができ、高周波域の選局が容易です。
厚紙バリコンの外観
スライド長さと容量変化は、直線的ですので、周波数の高い領域は詰まってきます。工作は、正確に行ってください。可動極をスムースに動かせません。
空き缶バリコンの外観
ビール缶のスライド長さと容量変化は、厚紙バリコンと同じ直線的です。

CDバリコンの特性

CDバリコンを作るときに気をつけなければならないこと。CD円盤全面の中に埋め込まれている金属(アルミ蒸着膜(レーザー光反射板))の影響です。

生のCD板でバリコンの基礎実験
CDの半円状のサイズのアルミ箔を固定極として、生のCD板を回転極側としたバリコンの回転角と静電容量特性を測ってみました。互いに90度のとき、容量は最小になりますが、再び容量が大きくなってきます。
電極は、レーベル面?、データ面?に付ける
CD板側の電極をレーベル面に付けるか、データ面側に付けるか、CD15枚で違いを観測してみました。データ面側に付けた方が有利なようです。アルミ箔を2重にしたものを作り実験してみましたが、同じような結果が得られました。
電極の大きさ
電極の大きさは、小さいもので済ませられれば、小さいものにしたい。電極の大きさと得られる容量を観測してみました。
CDバリコン静電容量の経時変化
可動極を往復させて変化を記録しています。回転軸を偏心させていることで、容量の大きい領域では容量変化が大きく、小さい領域では変化が小さくなっています。<拡大>

CDバリコンの詳しい作り方は、こちら(457KB)を参照してください。

厚紙バリコンの特性

得られる静電容量の大きさ、その工作精度による容量のバラツキ、そして経時変化がどのくらいになるか、調べてみました。

厚紙バリコンの容量特性
6個(サンプルAからF)のバリコンを作ってみました。それぞれ、可動極の移動量と静電容量を計測しました。可動極を往復させた時の変化も計測してみました。可動極のスムースな移動を確保するため、可動極幅70mmに対し、固定極の間隔72mmとしているため、往復の差が見られます。<拡大>
厚紙バリコンの経時変化
厚紙製のバリコンであっても、長く使用できるようにしたい。5個(サンプルAからE)のバリコンで経時変化を確認してみました。最初の3日間を補強バーなしで観測しました。厚紙が変形していくためか、容量が減少していきます。補強バーを取り付けました。容量の変化を抑える効果がでているようです。<拡大>

厚紙バリコンの詳しい作り方は、こちら(333KB)を参照してください。

空き缶バリコンの特性

空き缶バリコンの容量特性
金属製の材料で構成しているため、最低容量を低く抑えることが出来ません。厚紙バリコンの最低容量/最高容量が約40倍以上あるのに対し、空き缶バリコンでは6倍そこそこです。<拡大>

空き缶バリコンの作り方はこちらを参照してください。

共振周波数

中波の放送周波数は、531kHz〜1602kHzです。できれば、この周波数帯をカバーできるのがのぞましいのですが、とりあえず神奈川県では、周波数の低い方では、NHK第1放送594kHz、高い方では、ニッポン放送1242kHzは受信できるのが条件です。
厚紙バリコン、空き缶バリコンを使ったICラジオを例に受信可能周波数を検討しています。

厚紙バリコンと受信可能周波数
厚紙バリコンでは最低/最高容量比が40倍もあるので、中波放送帯をカバーするのは簡単です。ただ、丸棒コイルは、インダクタンスがやや小さめに作ったので、低い周波数 の方がぎりぎりです。<拡大>
空き缶バリコンと受信可能周波数
最低/最高容量比が小さいので、やはり放送周波数帯をカバーするには、ちょっとコイル側で調整する必要があります。ゴールデンボードコイルのインダクタンスは大きすぎです。丸棒タイプのコイルのインダクタンスか、やや小さめが良いようです。<拡大>

回路の構成

ICラジオの回路については、多くのサイトで詳しく紹介されていますので、そちらを参照してください。

アルミ箔を使った回路
アルミ箔回路の作り方はこちらを参照してください。
ラグ板を使った回路