スチールボール・ジェットコースター

3連ループコースの全景

プラスチックのコース上をスチールボールが高速で走る、スチールボールのジェットコースターです。
良く走るジェットコースターを作るには、良いコース材料を選別すること、コースを傷めずしっかり固定する固定方法の工夫が大切です。
 ここでは、ホームセンター等で容易に入手可能な配線モール(室内配線保護用カバー)をコースとして使ったジェットコースターを作ってみました。
 左の写真は、完成したジェットコースターです。奥の助走コースからスタートして、アップダウンコース、3つのループを越えて手前がゴールとなっています。
 ボールがコースを走る様子は次の動画ファイルで見られます。
(Windows Media形式のファイル:380kB)

コースの構成

全体コース図

本物のジェットコースターとは違って、左右方向に移動するようなコースはありません。作りやすさということから一方向にのみ走るコース構成としています。
 コースは、助走コースからスタートし、アップダウンコース、小中大の3つのループコース、最後にアップダウンコースという構成にしています。
 アップダウンは高さ約50mmで、コース傾斜度約13°ですが、ほぼこの辺がちょうど良いようです。これ以上では、かなり厳密にコースの直線、水平を確保しないとボールがコースから浮き上がるため、コースから飛び出してしまいます。
 ループは高さは、それぞれ18.5cm、21.5cm、23.5cm(内径、頂点の高さ)です。
左図はイメージ図です。
 アップダウン、ループの各コースをつなぎ合わせる形になっていますので、最初は、コースの数を少ないものから始め、後で追加したりすることも可能です。また、コース順序を変えた形で作ることもできます。<拡大>

コース部品の作成

必要な材料は下のリストを見てください。
モールの選択が重要です。室内配線の保護用として市販されている配線モール(配線カバー)のサイズは0号(幅12.5mm、メーカーによりやや異なる)から3号、または5号(41mm)があります。ここでは、比較的扱いやすい最も小さなサイズの0号を使用しています。
配線モールは、いろいろなメーカー製のものが市販されていますが、その断面をつき合わせてみて、断面サイズのバラツキの小さなものを選んでください。バラツキの大きなものを使うとつなぎ目で大きな段差ができてボールがうまく走らず苦労します。参照:「コース材の選択」
配線モールは、ここでは未来工業(株)「プラモールPML-0号」を使用しています。
 モールの切断、曲げ加工が必要ですが、その際、注意するところは、
@切断は「直角」に、切断面のバリ等は取り除き、きれいにしておくこと。
A曲げ加工では、全体(一部に力がかかるような曲げ方をするとそこから折れてしまいますから注意)を少しずつゆっくり曲げれば常温でも可能です。温水等で加熱した状態で曲げると容易に曲げることができます。参照:「モールでループを作る」

   
品名 サイズ 数量 用途備考
プラモール PML-0号(未来工業) 6本 ループ、アップダウンコースを作ります。 プラモールの底面のみ(蓋の部分は使いません。
パイプ 直径50mm、長さ5cmくらい 2個 アップダウンコースを支えます。 塩ビパイプ、紙パイプなど
固定金具 約45mmx20mm  19枚 コースを固定します。  
木ネジ ナベ2.6φx10mm 38本 固定金具を留めます。  
スチールボール 直径15mm 任意    
幅17.5cm、長さ183.5cm 1枚 コースの台 ここでは、1x4木材を2枚張り合わせています
         

直線
助走、アップダウン1、アップダウン2コースと塩ビパイプ写真
助走、アップダウン1、アップダウン2を作ります。1mx1本、1mのプラモールを切断して67cm、65cmのモール各1本を用意します。加工はありません。黒く見えるのは茶色の塩ビパイプで作ったアップダウンコースの支えです。
ループ
大中小ループと補助20cmx3コース写真
直径約20cm、約23cm、約26cmのループです。プラモールを66cm、76cm、82cmに切ったものを用意し、円状、または半円状に曲げます。また、ループ間のつなぎ用として、長さ20cmのものを2本用意します。
コース固定金具
固定金具の写真
18枚用意します。
固定金具の作り方は参照:「コース固定材の選択」を参照してください。
スチールボール
スチールボールとレールの断面を捉えた写真
ボールは直径15mmほどがちょうどいいようです。大きすぎると脱線しやすくなります。小さすぎるとスピードが出なくなりループを走り抜けるのが難しくなります。参照:「ボールの選択」

コースの組み立て

全体金具取付位置図

固定金具の取り付けがポイントです。図を参照して、所定の位置に正確に取り付けてください。これができればコースの取り付けは機械的に進めることができます。
なお、ループコース固定金具の位置が26mmずらせています。ボールの脱線を防ぐためには、ずらす距離はできるだけ小さいのが望ましいのですが、近すぎると交差している他方のモールにボールがぶつかりやすくなります。避けるためには、この辺(26mm)が限界のようです。<拡大>

固定金具の取り付け
金具の取り付けの様子
切れ端のモールを用意し、所定の位置のセンターに置きます。モールを押さえるように1枚の金具を取り付けます。さらに、反対側からモールをしっかり挟み込むように金具を置き、木ねじで取り付けます。
コース部品の取り付け
コース部品取り付けの様子
金具の中ほどでつき合わせるようにしてコースを取り付けます。つき合わせたコースは互いに直線が確保されていることを確認してください。

ループの揺れ止め
ループの揺れ止め
ループの径が大きくなるとボールが走るとき、コースが揺れることによりボールが脱線しがちになることがあります。気になるときは太目の針金(洋蘭用の支柱など)を使い揺れ止めの支えをして下さい。

 

コースの調整

コースの組立てが終わったら、ボールを走らせる前に、コースの点検が必要です。
@コース台は水平に
 コースの直角方向に、コース台がわずかでも傾斜しているボールが脱線しやすくなります。水平器、なければ台にボールを置いて、転がる様子を見て水平になっていることを確認してください。
A直線性の確保
 各繋ぎ目に定規を当てるか、目視で直線であることを確認してください。さらに、助走コースから、目を透かして全体として直線状にコースがつながっていることを確認してください。
Bつなぎ目の段差を抑える
 つなぎ目のずれはボールの脱線の原因になります。つなぎ目を指先でなでて見て段差の有無を確認し、段差の目立つところは、目の細かいサンドペーパー(500番など)を使い、段差をできるだけ抑えてください。参照:「ボールと走行コース」

コースの直線
直線を確保するラインを示す。透かし方。直線であることを確認
繋ぎ目に定規を当てて直線であること。助走コースから、目を透かして全体としてきれいにコースがつながっていることを確認してください。
レールの繋ぎ目の修正
段差の修正
つなぎ目のずれはボールの脱線の原因になります。指先で段差を確認しながら、目立たなくなるよう、目の細かいサンドペーパー(500番など)を使い、修正してください。

 

ボールを走らせる

助走コースを支えるもの(高さ50cmくらいのダンボール箱、椅子など)、終点でボールを受ける箱などを用意してください。
ボールがアップダウンコースを越え、ループを乗り切るには、ループの途中で落下しないよう遠心力を出すスピードが出ている必要があります。スタートの位置(高さ)が重要です。だいたいループ高さの1.5〜1.7倍くらいの高さからスタートさせる必要がありそうです。        
スタート高さ ボールの走る様子備考
26cm以下 アップダウンコース1を越えるがループ1で失敗する。      
36〜27cm ループ1を越えるがループ2失敗する。      
40〜37cm ループ2を越えるがループ3で失敗する。      
41cm以上 ループ3、アップダウン2を越え、ゴールまで到達する。      

 

スチールボール・ジェットコースター資料編

ボールと走行コース

スチールボール(15φ)を安定に走られるには、精度の高いレールを用意しなければなりません。
また、コースのつなぎが正確に作られていないとボールは、コース外へ飛び出してしまい、安定したボールの走行は望めません。コースのつなぎとボールの安定走行との関連を調べてみました。

ボール走行試験用コース
スチールボールを右奥からスタートさせ、中央部がコースずれの調整部分です。
コースずれ計測用バーニア目盛り
2枚の透明アクリル板の右が固定、左が可動側です。コースの上中に見えているのは手作りバーニア目盛りです。主尺が1.5mm目盛り。副尺を使ってずれの寸法(だいたい0.15mm)を確認しています。

横方向ずれのテストには、バーニア目盛りを確認しながら可動側アクリル板をずらせます。縦方向ずれのテストには、可動側アクリル板の下に紙(0.1mm)、アクリルフィルム(0.2mm)を敷いて調整しました。

つなぎ精度(横方向のずれ)とボールの走行
コースの繋ぎ目のずれの許容範囲は、±0.15mmが望ましい。
つなぎ精度(縦方向のずれ)とボールの走行
縦方向のずれは、川下側のコースが高くなっている場合を想定しています。この場合、コースの繋ぎ目のずれは、+0.2mm以下が望ましい。

実際には、横方向のずれと高さ方向のずれが複合しているわけですが、それらの影響は見ていません。

スロープを下るボールの速度

コースを走るボールはどの程度の速度で走っているのか測定してみました。
下の仕掛け(コース幅7.8mm、コース長1m、15φ(14g)スチールボール)を使い、一定の高さから初速ゼロでスタートさせました。

ボールの走行速度の測定の様子
詳細は「高輝度LEDフラッシュランプ」のページを見てください。
スタート高さとボール走行速度
4回ほど同じ測定を繰り返してみました。少しバラツキが出ますが、45cmの高さからスタートさせた場合、約2m/sの速度が出ているようです。<拡大>

上のデータを整理しつつ、こんな小さな実験だから、ロスと言っても目に見えるような形では出てこないだろうからスタート高さ(位置エネルギー)とボール速度(運動エネルギー)がほぼ一定の関係として出てくると予想していたのですが、出てきたグラフは二次曲線です。スタート高さに対し、速度の大きさは抑えられています。測定、読み取りミスがあるかなと思い何度もやってみたのですが、多少のバラツキはありますが、傾向は全く同じです。
この曲線は、ボールの回転、摩擦によるエネルギーロスの存在を表しているのでしょうか、それとも別の・・・?

コース材の選択

上でテストしたようにスチールボールを安定に走られるには、コースを精度高くつなげなければなりません。
二つの製品の仕上がり精度バラツキを調べてみました。走るボールが接するのは、高さと内側の幅になるので、その精度を確認します。下の図で、円の面積はサンプル数にほぼ比例させて表現しています。

配線カバー(小):100円ショップ製
高さ、幅ともかなりバラツキが大きい。36本ほど計ってみた。高さは、5.0mmから5.5mm、幅(内側)のバラツキは、7.3mmから8.3mmに広がっている。<拡大>
モール0号:未来工業製
10本ほど計ってみたが、高さは、5.3mmでバラツキなし。幅は、7.7mmから7.9mmに収まっており、偏差は、わずか、±0.1mm。<拡大>

未来工業製では、どれをとっても何ら手を加えることなしに走行可能範囲に収まっています。
100円ショップ製では、手を加えないでボールを走らせるのは難しい。幅7.6〜7.8mmを中心に寸法の差の小さいものを選別するか、走行するボールへの衝撃を抑えるような処理(サンドペーパー、ヤスリ等で角を削る)が必要です。
ただし、本来の用途においては、これ位のバラツキは、まあ、あまり気にすることもないのだが・・。

コース固定材の選択

精度の高いモールも精度高く固定できなくては意味がありません。安価で穴あけ精度の良いプレートを見つけました。

金属プレート
コンクリート型枠止めの金板。金物店、ホームセンターで売られている。量産されているので穴あけ精度は良いようです。しかも安価。ただし、穴あけ位置がセンターでなく、偏っているプレートもあるので、購入するとき、裏返して、穴位置がずれていないか十分確認することが必要です。
プレートの切断の様子
プレートを5〜6枚セロテープで束ねて、カッターで切断します。切断箇所は、つなぎの精度に関係しないので目分量で問題ありません。切断面はグラインダー、やすりでバリ取りしておきます。また、この要領でプラモールも束ねて一挙に切断してしまいます。

木板穴あけ加工図と穴あけ治具
正確な穴あけ工作が必要です。アルミ板製の穴あけ治具を使います。白いプラスチック製アングルは木台に正確に合わせるガイドになっています。
固定の様子
つなぎにずれもなく正確に固定できました。

モールでループを作る

モールは、塩化ビニール製です。モールは加熱すると容易に曲げることができます。沢山のループを作る場合は、加熱による方法が効率がいいです。 加熱は、熱湯につけるとかドライヤー等で加熱できます。部分的に曲げるには、ドライヤー加熱が簡単です。ただし、長いモールを均一に加熱するのは難しいですから避けたほうが無難です。 ループを作るなど、長いモールを加熱するには熱湯につける方法が簡単です。塩化ビニールは熱可逆性です。再加熱で元へ戻ります。
数本のループを作るのであれば、常温のままループ加工治具に当てて加工することもできます。曲げるときは、プラモールの両端を持ち、加工治具に当てながら、モール全体に力をかけてゆく感じで、ゆっくり曲げてゆきます。部分的に力が加わると、そこから簡単に折れ曲がってしまいます。
ループを作るとき、曲げ過ぎに注意してください。手を離したとき、半円状になる程度にしてください。手を離しても円状になっているのは、曲げ過ぎです。曲げ過ぎるとループに組み立てた時、モールにストレスが掛かっていないため、ボール走行時に横方向へのブレがひどくなりボールが弾かれてしまう場合があります。その時はコースの支えが必要です。

加熱槽
加熱槽に約60℃の熱湯を用意、曲げ加工する本数のモールを入れ、約20秒加熱します。
ループ加工治具1
加熱槽で加熱したモールを次々掛ける。モールには冷水をかけ、冷却する。モールを20本位掛けることができます。

ループ加工治具2
適当な直径のゴミ箱、なべ、等に巻きつけて養生テープでしばらく固定します。数本のループを作るならこのようなもので十分です。
出来上がったループコース
ループは期間が経過するに従い、いくらか広がる。広がりを抑えるため、輪ゴムをかけておきます。

加熱槽は、プラダンで形を作り、水漏れ防止のシートで覆った簡単なもの、軽くて簡単に分解できる。多量のループを作っている間に温度が低下するので、温度計でしっかり管理する必要があります。投げ込みヒーター等で保温することも必要でしょう。曲げ加工治具は、直径185mm、高さ270mmのゴミ箱で作ったものです。丸棒はモールを押さえるガイドです。正確に押さえるため、モールの高さ(10mm)の隙間を作ってあります。

まとめ

誰にでも、組立てれば問題なくスチールボールを走行させることができるものができるようになりました。つなぎ合わせて10〜12mのコースを作り、ボールを安定して走らせるのも難しくないようです。