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ようこそ 花の道民の森へ!!       5月下旬には暖かくなりますよ
  春の花と昆虫           
   
・花の色や形を気にしてみよう  
   
 黄色や白い花は上向きが多く、ブルーや紫のは横向き・下向きが多そうだ。            
             
         
 1a エゾノリュウキンカとハナアブ  2a スミレの花     2b 花の後部に蜜を隠す
  ハナアブは黄色が好き  ハナバチは青紫が好き     蜜が奥にあり、ハナバチには好都合だが、
  舌が蜜に届くが少ししかない アブやハエは舌が短く届かないうえ、バック出来ないので食べられない。 
 
 注1:エゾノリュウキンカの黄色い花びらに見えるのは「萼片(がくへん)で 花弁が無く、代わって雌しべの基部に蜜を出す」そうです。
     上向きで平らな花は、花粉運びの昆虫を選ばず、甲虫、虻、狩り蜂などが訪れます。
 注2:スミレの蜜は花の後方に伸びる細長い突起の先から分泌され、写真2bでは 蜜が出るのが分かります。
    ハナバチが正面から頭を突っ込んで蜜を吸うとき、雌しべの芯を押し曲げ、花粉室から花粉が溢れ出て背中に付く仕組みです。
 
・花の咲く向きも形も意味がある    
     
  ハナアブ、ハエ、甲虫などは家族がいません。自分だけ食べればよく、行き当たりばったりに訪花するので花粉がムダになります。
特に、群生しない植物では非効率な昆虫を避け、蜜を奥に隠す・入り口を複雑にする・着陸出来ないよう下向きや横向きにするなど
「締め出し」を計っています。上向きの花では蜜の量を少しだけにして、虫が他の花に行くように仕向けているようです。      
 
 植物が期待する花粉運びの本命は誰か。マルハナバチ、ミツバチ※、などハナバチ達で、蜜の量と質が良い時々の花を学習し、目標を絞り
採蜜する性質があります。植物側の狙いと一致するので、双方に適した形に進化を続けたと考えられます。自然の妙の代表格でしょう。      
      
 同じ草種が群れる場合には、ハナアブに頼っても花粉の受け渡しにムダが少なく、上向きの花でも不利になりません。      
高山植物の花畑も同種の集団があるので、当てずっぽうの昆虫も役立つでしょう。
ハナアブは寒さに強いので、早春や山岳で活躍の舞台がある筈です。
 
※:北海道のセイヨウミツバチは蜂蜜採取業によるもので、巣箱から逃亡してもスズメバチに滅ぼされ、定着できないとされています。
   なお、北海道ではニホンミツバチは分布していません。
 
 ・花の色の秘密        
     
 ハナアブは、蜜量は少ないが採りやすい黄色の花を好み、ハナバチは蜜採りに工夫が要るが蜜量が多い青〜紫〜ピンクの花を好みます。 
最近、花や果実の色には植物自体に重要な意味があることが判ってきました。      
紫外線は動物・植物の遺伝子や細胞に悪影響があり、花や果実の色素が紫外線を吸収して遺伝子を守っているそうです。      
おなじみのカロテンやアントシアニンが代表格で、前者はニンジン、カボチャなどの黄色系、後者はブドウなど青〜紫〜赤色です。      
(前者のカロテは「ニンジン」のキャロットから、後者のアントはギリシャ語の「花」からだそうです。)      
なお、過剰日射も活性酸素を発生させて遺伝子を傷めるので、植物はビタミンCとEを使って防いでいるとのことです。      
 
 ・春早く咲きたいわけ   他の草木が茂って暗くなる前に光を得てタネをたくさん作りたい。 
   
早起きは得 : 雪解け中に咲く種は少なく、マルハナバチの他、ハナアブに花粉運びを頼ってもムダが少ない。
             
早過ぎは損 : 早過ぎると花粉を運ぶ虫がいないので限度があります。なお,ザゼンソウは自ら発熱して、またフクジュソウは日光を花弁で 
       集めてタネ作りの場所「子房」を暖めます。前者は主にハエが、後者はハナアブが暖を取っているのがみられます。      
       なお、フクジュソウは道民の森では見つかっていません。      
 
遅く咲けば : 林の周辺では上木が茂ると暗くなり、日光不足で生育もタネ作りも難しくなります。      
 
・サクラのはてな?  短い開花にしては多すぎる花の数・・・ムダでは?  
     
 エゾヤマザクラは、一つの花はせいぜい3日しかもたず、一本の樹でみても1週間以内の短い開花期なのに、大量の花が咲き、
 しかも、大多数が実を結ばないのは どうしたことか。 ムダをしているように思われるけど・・・。      
             
野鳥がタネを広げる植物は、枝に留まって糞をするのを利用しています。風で沢山タネを飛ばすシラカンバのような樹と違い 、ポツンと 
生えることになります。 花粉を媒介する昆虫に来てもらうには、派手に宣伝費を掛けないと、見つけてくれないからなのでしょう。
同じ種が離れて生えるホウノキでは、自家受粉が多いので結実が少ないと考えられており、エゾヤマザクラもそうかもしれません。      
 
・無意識に花粉の撒布を手伝う虫たち      
             
植物と訪花昆虫の仲は「ギブ&テイク」と云いたいところだけど・・・。      
花蜜や花粉を自分のためや幼虫のために集めるときに、花粉が体について次の花に運ばれる「感情ナシ」の世界。でも頼り切っている仲。
 
・毛深い蜂と無毛の蜂がいるのはナゼ?        
     
マルハナバチは花粉を体毛で集めやすいように進化しました。花粉を梳き取る櫛や、脚に花粉を取り付ける装置(下図)もあります。      
マルハナバチが花粉だらけになると、目にも留まらぬ動作で花粉を脚に団子状にまとめる作業を観察しよう。      
狩り蜂は無毛で空気抵抗が少なく、高速で飛べるので狩に適しており、それぞれが生活に適した形態に進化した様子に注目しよう。
 
 
狩り蜂の体
スズメバチなど
体がツルツル
   
ハナバチの体
エゾオオハナマルバチなど
毛深い体と
花粉団子に注目!
 
モンスズメバチが
獲物を団子に
したところ

蜜と花粉を
集めているところ

いじめなければ
おとなしい
 危険です!    エゾオオマルハナバチの女王    花粉団子を後脚の花粉篭に付け運ぶ
         
・ザゼンソウやミズバショウにみる   早春スタートダッシュのタネ明かし     
         
 秋の内に芽を出しておく。フライングスタート!? 秋の内に15cmほど芽を出して来年に備えている・・・落ち葉が溜まり見つけ難いかも・・・      
            
 ザゼンソウ   晩秋の芽の様子(10月下旬)  ミズバショウ(融雪後) 晩秋の芽の様子(10月下旬)
       観察適地 : やや湿った土の所                          観察適地 : 湿った所       
   
・花の蜜や花粉に集まる昆虫を   待ち伏せるクモの様子も観察しよう     
     
ハナグモのグループは
見つけやすい。
巧みな色模様で
隠れているけれど。

また、ハエトリグモの仲間が
素早いジャンプで昆虫を
捕らえている様子も
観察しよう。
       
 ハナグモが蜂を捕らえた     ハエトリグモがハナアブを捕らえ、花の下でアブの体液を吸い取った(右)
         
 観察適地 : 上向きの花の中や周り   観察適地 : せせらぎ棟〜木漏れ日棟の中間の小川など。どこでも  
     
     
ハナグモは空間に張られている見慣れたクモの巣を作らず、花の下方の枝葉を紡いで作ります。
クモにたくさんの生活タイプがあり、土の中や水の中にも巣を作る種がいます。

虫の世界を覗くと 生き物のたくましさに驚き、私たちにも力が湧いてくるようです。
道民の森で その力が得られることを願っています。
   
     
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