空は見事に晴れ渡り、
木々の葉は青く茂り、
葉の隙間からは、太陽の光が零れている。
平和…そう、平和以外のなにものでもない、そんな一日───
…だっただろうに。
今、目の前にいる疫病神さえいなければ。
数歩前をスキップでもするように歩いていくガキ。
ああ、ガキと言っても、子供って歳でもないか。子供と大人の中間。まあ、大人から見れば、オレもそうなんだろうけど。
そいつが、ふいに振り向いて満面の笑みを向けてくる。
「安心して、エンディ!今日中に城に着くよ!」
こっちの考えなど、どこ吹く風。
明るく言い放ちやがる。
そして、こちらの反応など全く待たずに、また先に進んでいく。
かと思えば、突然立ち止まって、あちこちを指差し確認しながら
「天気よし!方角よし!時刻よし!…よーし!こんだけ揃えば縁起もいいぞー!」
…手に負えない。
ずっとこの調子だ。
奴は、一人で盛り上がって、一人で納得して…
まったく、どうしてこんなことになっちまったのか。考えたら、頭が痛くなってきた。
盗賊のオレが奴の財布を狙ったのがちょうど1週間前か…。
それが失敗してつかまったのが運の尽き。
今じゃすっかり振り回されちまって…。
いつまでこんな状況が続くんだか。
「おい…」
「大丈夫!王様にはオレからちゃんと話しとくから。」
「おい」
「あ、あそこ飛んでるのって、青い鳥だよね。幸せを運んできてくれるよ!」
「おいって!」
「それにしてもよかったよかった。天気よくて!」
「人の話を聞けーー!!」
「あれ?どうしたの、エンディ。もう疲れちゃったとか?」
…そりゃあ疲れるよ。
てめえに1週間も振り回されたんだぞ。
いったい、いつまでこんな旅が続くんだよ。
ため息も出るってもんさ。
「なあ、本当に、どこまで連れてく気だよ?」
「エテルナ。」
「えてるな〜?そんな名前の国、聞いたこともないぞ。」
「そりゃそうさ。地図にも載ってないもん。」
「…………は?」
地図に、載ってない??
「な…?ちょ、ちょっと待て!地図にも載ってないだと!?そんな…地図にも載ってない国が、どうやって存在できるって言うんだ!?」
「そんなことは、ついて来てみればわかることさ。」
「だから!地図によって作られたこの世界に、どうやって存在するんだよ、そのエテルナとやらは!」
「ほら、エンディ!早くしないと置いてっちゃうよ!」
疫病神は、手なんか振りながら、元気に走っていく。
とんでもないことに首を突っ込んじまった。
ああ、そうさ。最初から悪い予感はしていた。
けど、こんなに予想外なことに巻き込まれるとは…
正直思ってなかったぞ。