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南アルプスのトンネルルートは |
| リニア中央新幹線建設の意義として、東海地震等の大災害に備えて交通を二重系統化することがうたわれています。
しかしこの整備目的には首を傾げざるをえません
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政府の基本的な防災対策との整合性から見ても、上記の整備目的は甚だ怪しいのです。そもそも南アルプスルートは、東海地震への地震対策防災強化地域内です。 以下の図(内閣府中央防災会議のHPに掲載されている東海地震への地震防災対策強化地域図)をご覧ください。 ![]() 紫色の線が中央新幹線のルートですが、地震対策強化地域を貫くことが一目瞭然です。政府が「東海地震で大きな被害が出るおそれがある」と認定した地域を通ることが、なぜ「東海地震に備える」ことになるのでしょうか? また、あまり知られていないのかもしれませんが、南アルプスルートは、東海地震の”想定”震源域北縁を貫くルート設定でもあります。 ![]() これは平成15年中央防災会議発表の東海・東南海・南海3連動地震の想定震源域と予想震度分布図です。 見えにくいですが、紫色の線がリニア中央新幹線のルートです。黒い枠で囲まれた3連動地震の想定震源域の北端をかすめています。東海地震単独発生時でも、リニア路線との位置関係に変わりはありません。リニア計画がJR東海から発表されたのはこの分布図が公表されてから後のことですが、なぜこのルートを選んで東海地震対策を建設目的に掲げたのでしょうか しかも東日本大震災を経た平成24年4月現在、最大級の地震に備え、想定震源域や予想震度分布も大きく見直しがなされています。中間発表では、想定震源域は大きく内陸側に広げられていることが報道されていますが、そうなるとリニア中央新幹線のルートは完全に想定震源域を貫くことになります。 JR東海が「南アルプスルートなら東海地震が起きたときでも安全」としたのは、上の図に基づいているそうです(配慮書への回答による)。そしてその計画を小委員会が審議を行っている際に”想定外の”東日本大震災が発生し、東海地震を含む南海トラフでの地震想定の見直しが行われたわけですが、リニアの答申はこの見直しを待たずして出されています。これもおかしな話です。 |
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南アルプスを貫くルートを選ぶと、東海地震想定震源域北端を貫くこと、糸魚川-静岡構造線という本州を南北に貫く活断層群を横切ることから、必然的に以下のような疑問・危険がつきまといます。なにしろ「南アルプスルートでOK」という答申を出した国土交通省中央新幹線小委員会では、ルート選定にあたって安全面に対する審議を一度も行っていません。 また、東海地震発生後のことを想像すると、以下のような疑問も浮かび上がります。 |
| また、上の答申では東海地震が強調されていますが、内陸直下で起こる地震に遭遇する確率では、東海道新幹線よりもリニア中央新幹線のほうが、はるかに高いといわざるを得ません。
これは防災科学研究所の活断層マップに加筆したものです。 紫色の帯がリニア中央新幹線、青色の線が東海道新幹線です。そして赤い線がこれまでに判明している活断層です。一目瞭然ですが、リニア中央新幹線の方がはるかに多くの活断層を横切っています。 これらのうち甲府盆地南西隅の市之瀬断層群、伊那谷の多数の活断層、阿寺断層については、活動度がきわめて高いとみられ、そのうえ歴史時代の活動履歴が定かでないため、活動周期が不明確であるのが実情です。「いつ動くかわからない」断層です。 このほか、首都直下地震においては様々な発生形態が想定されていますが、この種の地震が起きればリニアも東海道も関係ありません。 東海地震ばかりを強調して内陸の活断層を無視するのはなぜなのでしょうか? |
| また、南アルプスにおいては土砂災害もリスク要因にふくまれるはずです。急速な隆起や褶曲・断層活動により山々には無数の割れ目が入っている上、年間降水量が2500〜3000oに達するため、たいへん土砂崩れが多いのです。リニア中央新幹線はわざわざ活断層沿いの土砂災害常習地域に坑口を設けるのです。また、土砂災害に対して大規模な対策工事を施せば、それは大きな景観や自然環境の破壊に直結します。 ●土砂災害の一形態として地すべりというものがある。南アルプス一帯は地すべりの密集地域である。 ![]() リニア中央新幹線(緑色の帯)、東海道新幹線(青線)沿線における地すべりの分布(黒く塗られたところ)。「地すべり」という災害に対しては、中央新幹線沿線のほうがはるかにリスクが高いことが一目瞭然である。 このことについて、中央新幹線小委員会では何の意見も審議もなかった→詳しくはこちら ●リニアが南アルプス東部の早川(富士川水系)を橋梁で渡るとしている区間は、早川の中でも最も険しい箇所であり、安政東海地震時にも大規模な山崩れが起きており、土砂災害に対しての懸念がある。→詳しくはこちら ●JR東海が作成した環境影響評価方法書では、「路線選定の考え方」において、「巨摩山地(山梨県)や恵那山付近(長野県)の脆弱な地質が広がるエリアは回避する」としている。しかし南アルプス西麓で中央構造線沿いの破砕帯を通過することについては何の記載も言及も見られない。中央構造線沿いは南アルプス一帯で最も、我が国でも屈指の地質条件の悪いエリアであり、国道のトンネル工事が中断・放棄されたり、ダムが堆砂で埋めつくされている(天竜川水系泰阜ダム、美和ダム等)。国直轄の砂防工事も行われている。巨摩山地や恵那山を回避しなければならないのなら、中央構造線を通過することはもっと危険なはずである。 →こちらもご参照ください |
| 「そんなこといったって、東海地震や直下型地震が起こるのは100年に一度ぐらいだから、リニアが走行中に地震に見舞われたら運が悪かっただけ」 という考え方もできます。それはある面で正しい考え方だと思います。 しかしそれならば、東海地震というリスクを抱えている地域に、東海地震対策を目的に掲げて建設を行うことはおかしいのではないのでしょうか。 少なくとも土砂災害は日常茶飯事です。 |