神奈川県は

定時制高校の給食をやめないでください!

神奈川県教育委員会は、定時制高校の夜間給食を廃止する方向です。
定時制には給食が必要です。

主 張

給食廃止に反対する学校の教職員の“主張”を載せています。

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夕食があればよいということではありません 県立全日制高校教員 かに(2009.11.29.)

矢印この問題はそのまま民主主義の課題です 県立定時制高校教員F(2009.11.10.)矢印

夜間定時制の給食を廃止しないで下さい 県立定時制高校教員H(2009.11.04.)


夕食があればよいということではありません

 定時制高校の給食は、努力目標であるとは言っても、法律によって栄養素の量が定められています。

 そして、献立は県下同一メニューで、その内容が保証されています。

 現在、有職生徒の場合、1食216円でおかずに337円をかけた牛乳のついた給食を食べることができます(有職でない場合は292円)。定時制の教員が、給食の委託業者と話をしたところ、県教委から示されたプランに変更すると、1食300円で、おかずに約250円をかけた牛乳のつかない夕食を食べることになるのだそうです。

 さらに、今は栄養バランスの考えられたメニューで毎日いろいろなものが提供されていますが、生徒の欲求にあわないメニューは除かれ、からあげ、カレーなど、せいぜい5種類のメニューを順番に提供することになることでしょう。

 「食育」の重要性が言われている今、このような状況を容認するわけにはいきません。夕食があればよいということではありません。

 また、材料費が下がれば、食事の質が低下して、ますます喫食数が減り、食堂の営業の存続は長くは望めないと思います。このままでは、食堂の営業は長くても数年で終わりになるでしょう。それが県教委の狙いなのです。

 現在の給食制度で、様々な問題があるとしても、そのツケを定時制の生徒にまわすのは、お門違いではないでしょうか。

県立全日制高校教員 かに (2009.11.29.)

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この問題はそのまま民主主義の課題です

 夜間定時制高校には給食があります。5時半から授業が始まり、間に20分程度の給食休みを挟んで9時5分まで授業が続きます。夜間定時制高校の給食制度は学習権と生存権の1つです。それは給食法の目的にも「働きながら高等学校の夜間課程に学ぶ青年の身体の健全な発達に資し、あわせて国民の食生活の改善に寄与する」と位置づけさせてきました。

 私たちは、日ごろから一人一人の生徒について、何とか高校卒業を諦めることが無いように苦心しています。なんてことなく高校を卒業できる「普通」の高校生からは想像しにくいかもしれませんが、彼らを取り巻く環境はあらゆる面で彼らに卒業を断念させるのに十分です。

 わたしには給食がなくなれば、彼ら彼女らの多くは学校生活が苦しくなるか、あるいは続けられなくなることがはっきりと予想できます。不安定な雇用と生活に堪らない衝動を感じつつ、5時過ぎまで働き直ぐ学校に駆けつけて、7時過ぎに20分程度の夕食時間が与えれる生活はいい環境とは思えませんが、それすらも奪おうという神奈川県のやっていることは彼等の学習・生存権の剥奪に他なりません。

 県は(1)財政難、(2)衛生管理基準、(3)喫食率1/3以下を、給食制度廃止の理由に挙げています。

 「喫食率」については、例えば本校でも確かに1/3に到底届きません。しかし、毎日給食で支えられている生徒が30人から40人確実にいます。

 在籍生徒数の1/3以上の生徒が給食をとっていなければ「費用対効果」がないとする保健体育課(又は県財政当局)の主張は彼らの権利を財政難を理由に奪うということに他なりません。また衛生管理基準については、満たさなければ実施禁止とするものではなく努力規定でありこれも予算を削るための口実です。県は法令遵守の原則から「衛生管理基準」を強調しますが、給食提供の設置者義務を明言する『給食法』を尊守しようとはしません。

 そして財政難という理由も本当でしょうか。たとえば"スタートアップイベント"と銘打って毎年5月にパシフィコ横浜で行われる全県公立高校の宣伝合戦には会場費だけで2000万円が割かれると聞きます。その他の諸経費を合わせていくらになるかわかりません。一方、給食関連の予算は年額4900万円だそうです。

 一方でわれわれ県職員は給与の3%カットの2年分と一時金凍結などで、一人平均約50万円の「カンパ」を県にしています。反対に大企業やその運営権を実質的に握る資本家の税は減少させられています。このチグハグさはいったいなんのでしょうか。

 また仮に財政難が理由だとしても、それは生徒がいけないのでしょうか。定時制高校の職員がいけないのでしょうか? 
生徒・保護者は予算裁量権限が無いにも拘らず「財政難」の責任をとって、権利を取り上げられなければいけないのでしょうか? そんな理屈が在ろうはずもありません。わたしが最も怒っているのはこの点です。なせ定時制高校の生徒が責任を取らされなければいけないのか?

 この問題はそのまま民主主義の課題でもあります。私たちはこの権利剥奪の不合理を知って既に半年が経ちますが、いまだ当事者には知らせていません。私たちはこの事実をどう受け止めればいいのでしょうか? 県ははっきりしない段階では混乱をもたらすので説明しないとしています。しかし決まってから説明しても意味が無いし、もし混乱するとしてもそれは必要な混乱ではないでしょうか。私たちも黙っていていいはずがありません。

県立定時制高校教員F(2009.11.10.)

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夜間定時制の給食を廃止しないで下さい

抗議します!!

 「給食見直し問題」については4月以降県教委保健体育課と神高教との間で協議を重ね、一定の合意に至りました。しかし、10月27日に行われた校長会において保健体育課が定時制各校の校長にこの合意を反故同然とする内容の説明を行い、文書を配付したことに対し強く抗議します。

 9月30日の合意では、「2010年度については各校が給食維持か新制度への移行かを各校の意向を尊重した上で選択できる」としているのに対し、10月27日の校長への説明では「2010年度は原則新制度に移行で、特別な事情がある場合のみ給食継続を保健体育課と調整する」としています。また、これまで衛生管理基準を満たしているので給食継続できるとしていた2校(秦野総合、神奈川総合産業)についても新制度移行を検討するもの、と一歩踏み込んだ内容になっていて合意内容とはかけ離れたものです。

 合意は、すでに撤退したり撤退を表明している業者が3社あるとはいえ、11社が給食継続を希望している7月実施のアンケート結果や、新制度運用の問題点、とりわけ新制度での継続的な夕食提供への危惧に対する検討がまったくなされていない状況の中では当然の内容といえます。また、保健体育課は校長に対して「特別な事情」については「新制度を実施する業者が見つからないことや導入に対する保護者の理解が得られない場合を想定している」として学校が希望すれば1年給食を延長できるというものではないと説明しています。これについては、新制度での業者への委託料がどれくらい支払われるのかが未定であるため業者も判断が難しいこと、これまで保健体育課が校長を通し『方針決定までは混乱を避けるために生徒・保護者に知らせないこと』を指示していたため、不本意ながら忠実に指示を守ってきた各校にしてみれば回答期限の11月6日までに保護者からの異議など出るはずもなく、あまりに現状無視、不誠実な説明で心底怒りを感じます。

 現在の給食制度を改善する必要があることは否定しません。しかし、ここ数年間のクラス増で定時制各校の状況は多様化し課題もさまざまです。各校の状況や意向を無視して拙速に一律の新制度導入を押し付けるやり方ではうまくいくはずがありません。

 子どもの貧困が問題とされ、県の施策としても食育推進を掲げながら、真っ先に弱者を切捨てるに等しい給食廃止の提案は教育行政として思考停止しているとしか思えません。

 夜間過程に学ぶ生徒の健康の保持増進に資するために給食提供を定めた法の精神は現在にこそ必要なのではないでしょうか。拙速に定時制各校に新制度導入を押し付ける県教委保健体育課に抗議し、給食制度の維持を求めます!

夜間定時制の給食は法律に基づいて行われています

 夜間定時制高校の給食は法律(S31法律157号)に基づいて行われています。

第1条 (目的)では、「勤労青少年の重要性にかんがみ、働きながら高等学校の夜間家庭 に おいて学ぶ青年の身体の健全な発達に資し、あわせて国民の食生活の改善に寄与するため、夜間学校給食の実施に関し必要な事項を定め、かつ、その普及充実を図る」
第3条 (設置者の任務)では、「夜間課程を置く高等学校の設置者は、当該高等学校において夜間学校給食が実施されるように努めなければならない」

 この法律に基づいて学校給食が実施されています。この法律は1956年に、「夜間の学習時における生徒の空腹と疲労による心身の苦痛をまず解消することが急務である」として働きながら高等学校夜間過程に学ぶ生徒の健康の保持増進に資するため、適正な学校給食を普及充実する目的で制定されたものです。50年以上前にできた法律ですが、現在の働く生徒たちにとってもたいへん重要な制度です。学校によって違いはありますが、午後7時頃に20分程度の給食時間が設けられていて、多くの生徒が利用しています。

 給食の経費はそれを受ける生徒の負担ですが、法律はできる限り生徒の負担する経費を軽減するように、となっているので本来1食459円の給食を働いている生徒は216円で食べることができます。残りの243円は、県が人件費・諸経費・食材料費補助として負担しています。県負担額は1年間に5000万円程度と言われています。

給食1食あたりの経費の内訳 人件費・諸経費167円・食材料費(補助)76円<以上県負担243円>・食材料費216円<生徒(有職者)負担額216円> ※生徒(補助対象外)負担額292円

 県教委保健体育課は、この給食制度を廃止しようとしています。

 理由として当初は、(1)有職生徒の割合が減っていることや、学校周辺の環境の変化(コンビニの営業など)によって喫食率が低下していること、(2)学校給食衛生管理基準の改正によりほとんどの学校の厨房が基準を満たさないこととしていましたが、一番の理由は『財政の見直しを迫られていること』であることがわかっています。

給食廃止提案は定時制生徒の厳しい状況を無視しています

(1) 県は昔のような勤労青少年はもういないと言っていますが、勤労青少年は少なくありません!定時制高校の7〜8割は勤労青少年です。しかし、昔のような正社員ではありません。不安定な派遣やサービス業のアルバイトがほとんどで繁忙期には授業が始まる時間に仕事が終わらないなどで毎日登校することが難しく、また不景気になれば最初にクビを切られてしまいます。かつての勤労青少年より貧困の状況はずっと深刻であり、過酷な働き方を強いられているといえます。

(2) 県は喫食率が下がっているので生徒のニーズがあるとは言えないといいます。現在の喫食率は25%程度(給食を食べる人が4人に1人)ですが、給食を食べている生徒たちは、家庭では食事を作ってもらえない、経済的に厳しく栄養のある弁当は高くて買えないなどの事情を抱えています。少ないからと切り捨ててしまったら彼らの健康はどうなってしまうでしょう。また、この5年間で定時制各校の在籍者は約2倍に増えていますが食堂や厨房の広さはそれに対応できていません。毎年4月には給食を食べる生徒が食堂にあふれかえり、うんざりした生徒がだんだんと喫食をやめてしまう現実もあります。

(3)衛生管理基準についても、問い合わせに対して文科省は、「法はあくまでも望ましい基準であり、満たせなければ給食を廃止するということは想定していない」と回答しています。ハード面で基準を満たしていなくても、運用の工夫で給食を継続することは可能なはずです。

(4)子どもたちの食生活については、朝食の欠食や孤食などこれまで様々な問題点が挙げられ、睡眠や運動など生活習慣全体の問題とも大きな関連があることも指摘されていますが、定時制ではほぼ100%の生徒が12時過ぎに就寝するのではないでしょうか。毎日2〜3時に寝て、バイトがあれば朝6〜7時には起きる。食べる時間がないから朝食を食べない・食べたくない、運動もほとんどしない。そんな食や睡眠、運動の問題を抱えた生徒は定時制に集中しています。定時制の保健室に来室した生徒から聞き取った彼らの食生活は、「朝・昼何も食べていない、下校途中でおにぎり1ケ」「コンビニでお菓子とジュース、食事とったような・・わかんない」「朝コンビニのおにぎり、昼夜コンビニのパン各1ケ」・・・・・・。とても食事とはいえないような食の実態に唖然としてしまいます。

 だからこそ、何としても給食の維持が必要なのです。コンビニや学食では栄養面の保障はできません。給食の価値こそ見直されるべきで、運用上の問題は知恵を絞れば改善できるはずです。給食を廃止しないでください!安易な新制度の導入には断固反対します。

県立定時制高校教員H(2009.11.04.)

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