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| ↑2匹の亀ちゃん物語と同じ作りを、深い湖と森と心はずむマリモのイメージで背景を選びました。by kemerin3 |
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● 1つのまりも |
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その日は朝から強い雨でした。 透明袋に傘を入れた人達や、服を濡らした人達が歩いている ホームセンタの、品物が積み重なった台の一番端に 小さなマリモがポツンといました。 少し先には金魚や熱帯魚の水槽があって、子供や大人・・ 色々な人がマリモの前を通り過ぎて行くけれど、 一つ売れ残った小さなマリモに誰も目をくれません。 マリモがここに来て何日経ったのか・・気が付いたら一人ぼっちでした。 一緒に来た友達はどこにいったのかしら。 ● 突然、マリモは入れ物ごと持ち上げられました。 その人は、マリモの目の前に顔を寄せて、ジッと不思議そうに眺めた後、また台に置き、金魚の方に歩いて行った かと思うと、水槽の前で立ち止まってはジックリと眺め、いつか見たことある沢蟹みたいに横歩きしていました。 どれ位、経ったでしょう。マリモがウトウトしていると、その人が手に何か持って、またマリモの前にやって来ました。 マリモはもう何日もホームセンターにいるので、それが金魚と亀のエサであることを知っています。 その人に再び持ち上げられた時、マリモは心の中で悲鳴をあげました。 (きっと、亀か金魚のエサにされちゃうんだ。お願い連れて行かないで・・)
エサと一緒に並べられて、袋に詰められ、マリモは雨の激しくなった外の世界に連れ出されました。 雨音が、マリモの泣いている声を消して、誰にも届きませんでした。
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● まりもが来た家 |
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袋から出されて外の様子が見えた時、マリモは透明な台の下を見て震え上がりました。そこには金魚が5匹もいて、 パクパク口を開けてマリモを見ているのです。・・ここで金魚のエサになるのね。長い旅と長い一人ぼっちの末に ここで金魚に食べられるのね。もう覚悟を決めたけれど、もうお友達とも会えないのね。マリモの涙がお水に溶けました。
マリモを連れてきたその人は、バタバタ動いていたかと思うと、そばに来て「ふ〜っ」とため息ついて座りました。 それから、またジッと眺めています。金魚とマリモを交互に眺めているようでした。マリモはいつ下に入れられるのかと ドキドキしていましたが、ただ眺めているだけで何も起きません。 夕暮れの斜めの日差しが届いてもそのままで、その内、マリモは眠くなってしまいました。
「マリンちゃん」 マリモはそばで聞こえる声で目が覚めました。マリンちゃんって誰? 「マリンちゃんに決めたからね。」マリモはキョトンとして、その顔を見ました。何だか笑っているみたい。 その人は立ち上がると、違う部屋にパタパタ歩いて行って、何かコトコト音をさせています。 「マリンちゃんになったのね。」 何が起きたのかわからないでいるマリモに、今度は下から声がしました。 いつのまにか斜め下に大きな亀が2匹もいて、マリモに話しかけてきたのです。
「あの人はカメリン3って言うの。最初に名前を付けるのよ。私なんてれっきとした女の子なのに、ず〜っと ガメラって呼ばれているのよ。最初はルビーって可愛い名前だったのに・・早く女の子と気付いてほしいけど、 毎日、毎日、あんなに眺めているのに、のん気でちっとも気がつかないの。 もう10年も私をオスだと思っているんだから。困った人間だけど、危害は加えないから安心してね。」 マリモは自分がエサになる身でないこと・・ここが自分の新しいお家になるのだとやっとわかって、ほっとしました。 それから、まわりをゆっくり眺めると、怖そうに見えた金魚も、愛嬌のある顔で交互に挨拶しているのでした。
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● マリモハウス |
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マリンちゃんと名を付けられ一週間・・ここの生活に慣れてきたけれど、マリンは相変わらず 1つきりのマリモで、暑い日中を過ごしていました。カメリン3も相変わらず、朝とか夜更けにジッと 眺めているけれど、確かにエサにする気はないようで、そばに来ても安心になってきました。 容器もカラになったジャムの入れ物になって、重いから水槽のポンプの上にお引越し。 間違って、金魚達の水槽に落ちたら・・とヒヤヒヤだったから一安心です。
今日はカメリン3はお休みみたいで、暑い日中どこかに出かけて留守でしたが、夕方、袋を抱えて帰ってきました。 いつもは着替えてくるのに、今日は嬉しそうにすぐマリモの前にやってきて眺めたかと思うと、またすぐ立ちあがって、 まもなく水の入った緑色の屋根の入れ物を運んで来ました。マリンはその容器に移されました。 「うん やっぱりこれがいい。」 カメリン3は満足そう。 マリモハウスへのお引越しの日でした。
マリンも気に入りました。下には白い石が敷き詰められて安定しています。 でも、それだけではなかったのです。
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● もう1つのマリモ |
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マリンがニューハウスでくつろいでいると、 カメリン3は一度戻って、違う袋を持ってきました。、 立ったまま、手に持った容器のような物を触っていて それからそっと、マリンのいるマリモハウスの中に入れました。 マリンは驚いて、ただもう驚いて、その新しい入居者をみつめました。 「レイク君にしたからね。」 新しいマリモがやって来た日でした。
マリンは釘付けなのに、レイクはマリンをチラッと見て、何も語ろうとしませんでした。 マリンはレイクを遠くから見たことがある気がしました。・・そう初めて船に積まれた日、大勢の仲間の中に、確かに このレイクはいた。マリンは大勢の中で、なぜか目に止まった存在だったあの姿を心に焼き付けていました。 マリンの心は深い湖で、捜していた相手に出会ったような嬉しい思いになりました。
夜、亀達が部屋に入れられ、カメリン3からエサをもらっていました。 数日前、ガメラに聞いた話によると、初めて卵を生んで、それは残念ながら割れてしまったけれど ガメラは女の子であることをカメリン3からやっと認識されて、メメラちゃんになったそうでした。 愛しそうに亀達をみつめながら、カメリン3は語り出しました。 「貴方達は2匹だけど、マリンちゃんは1つきりで寂しいだろうから、マリンがいたホームセンタの違うお店を見て 来たの。きっと、同じお店だから同じようにマリモを仕入れていて、きっとどこかでも残っているんじゃないかと 思ってね。そしたら2つ目のお店にやっぱり端っこに1つ残っていたのよ。きっと最初は同じ場所にいたマリモだと思う。 」 カメリン3の話を聞きながら、マリンはウンウンと頷いてレイクを見ました。 レイクもマリンを見て、2つのマリモは初めて真っ直ぐ目が合いました。 でも、レイクは、またすぐに目をそらして遠くをみつめました。
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● マリモの願い |
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朝から、窓越しに気持ちよい日差しが入ってきました。 マリンは毎日、嬉しくてたまりません。 レイクは相変わらずあまり語らないし、こっちを見ないし、 雨の日も、晴れた日もいつも遠くをみつめています。 でも、マリンはいつも、そっとレイクを見ていました。 もう1つきりじゃないのです。横にレイクがいるのです。 マリンはレイクのそばに行って、語りたかったけれど、マリモは動けないのです。金魚や亀さん達のように 自分のヒレや手足で動くことができないのです。マリンは毎日、どうしたらいいのか考えていました。
そこにお日様の光が深く差し込み、マリンはいつのまにか、自分の体が少し軽くなるのを感じました。 (そうだわ、お日様が出ると泡がつくみたい。 たくさん息をすると泡が増えるみたい。 泡がたくさんついたら、もっと軽くなって浮かぶことができるかもしれない。) マリンは大きく大きく何度も深呼吸をしました。 何度か繰り返して、マリンの体はプカリと浮かびました。
(浮かんだー)マリンは嬉しさで叫びたい思いをこらえながら、下のレイクをそっと見ました。 レイクは不思議そうにマリンを見上げていました。
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● マリモの不思議 |
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星空のきれいな晩、仕事で遅く帰ってきたカメリン3は驚きました。 昨日、水替えをして、今朝は確かに離れていたマリモがくっついているのです。
首を傾げてよく見つめても、さっぱりわからず、カメリン3はあきらめて、コーヒーを炒れました。 理由はわからないけれど、なんてほほえましいのでしょう。 やっぱり捜してきて良かった。カメリン3はコーヒーがとてもおいしく感じました。 窓から見上げる星が、いっそう綺麗に見えました。 まりも達の生まれた所も、ここも、同じ星空の下と思いました。
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● 2つのマリモ |
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彩りの美しい街路樹の葉が風に乗って窓辺にフワリ・・部屋には暖かい光が差していました。 マリンはキラキラ輝くお日様のお陰で、今日も気持ち良く浮かびました。 カメリン3は時々、お水を替えたり、ポンプの掃除で動かすので、 せっかくそばに行っても、また離れてしまうのです。 でも、新しいお水は気持ちいいし、マリンはもう自分で動けます。 毎日、浮かんではレイクのそばに降り、レイクに亀や金魚や遠い北国の湖の話を しました。 レイクは何も言わないで、ただ頷いているだけ。でも、マリンは自分が楽しいから幸せです。
そこにカメリン3が帰って来ました。 マリンが浮かんでいる姿をみつけて、少し離れたテーブルに 荷物を置き、立ったまま、こっちを見ていました。 浮かんだのは、この前も見ていたから、初めてではないけれど 買い物袋を片付けたりするより、そうしていたいようでした。
すると、突然、本当に突然、レイクがゆっくり浮かび出しました。 いつもつまらなそうに沈んでいたレイクが、なぜか少しずつ浮かんで来たのです。
カメリン3も駆け寄って来て、前に座りました。 マリンは驚き、そして思いがけない出来事に胸一杯になりました。
「君が毎日、毎日、浮かんでいるから、一緒に浮かびたかった。でも、きっかけがなかったんだ。 今、カメリン3が来たから驚かしてやったんだよ。ホラ、見てご覧。目が 僕達みたいにまん丸になってる。 口をアングリ開けて、ボーッと固まってる。外にいる亀達が見たら、笑うだろうなァ。」 2つのマリモは顔を見合わせて笑いました。 「遠い場所を思い出していたけれど、今、ここには君がいるね。」 レイクとマリンはそのまま、ずっと浮かんでいました。 風が、また一枚、きれいな色の葉っぱを窓辺に運びました。 柔らかな日差しがその窓を包んでいました。
あの日から、マリンとレイクはたくさん、たくさん語り合って過ごしています。 A story of marimo or aegagropila by kamerin3
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● 編集後記 |
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「2匹の亀ちゃん物語」は、卵を生んだ我が家の亀さんのことを、驚いて会社で語ったことがきっかけで出来たホーム
マリモの気持ちはフィクションですが、我が家に2つのマリモが来た理由等の下りは実話です。●●
元々、写真や絵が好きで記録していたから「2匹の亀ちゃん物語」に生かせた訳ですが、デジカメになってからは、 2003.11.3 by kamerin3 この後、素材提供サイトのご紹介と、まりもに関する画像ダイジェストが続きます。 どうぞご覧下さい。 |
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● リンク・素材提供コーナー(2つの マリモの物語) |
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*その他、お薦め
サイトを「2匹の亀ちゃん物語」リンクコーナーで紹介しています。
また、「2つの
マリモの物語」の著作権はカメリン3にあります。
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● マリモポケット(マリモに関する 画像ダイジェスト) |
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マリンが浮かんでから降りてくる場所は、その都度、変わります。・・マリモって意思があるみたいに仲がいい
管理人は夜更かしするので、金魚のカバーを作り、
↑本場、阿寒湖の特別天然記念物まりもです。
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● マリモの育て方 |
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マリモの飼育環境(基本編)
マリモは金魚や亀さんのように、動きのあるものではなく、いつも浮く訳ではありません。
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