990〜995年ごろ一条天皇の詔によって馬頭観音像が造られ威光上人が感得したという像がその胎内に納められた。本尊は西国札所の中では唯一の「
馬頭観音」で、激しい怒りの表情を見せている。
古来、この地で農耕を営む人々にとって、日本海沿岸の厳しい自然は人間の非力さを痛感させるものだったであろう。そのようなときにすがりたいのはこのような激しいエネルギーを感じさせてくれる観音様であったのだろう。
西国三十三ヶ所の中で、海岸沿いを走るのは
成相寺からここ松尾寺の日本海沿いと太平洋岸を走る
青岸渡寺から
紀三井寺の間だけである。
成相寺からマイカーで丹後の美しい海岸沿いを、潮の香りを感じながら国道178号線、国道27号線を経て舞鶴市へ、途中、道の駅「とれとれ市場」で新鮮な魚貝に舌鼓を打ちながら約1時間半。国道27号線のJR松尾寺駅入口を過ぎ、青葉トンネルへの上り坂にさしかかる手前を斜め左に山の中へ入ると後は一本道である。急な登坂を登りきると左に松尾寺への石段が見える。その石段を通り過ぎ第一駐車場に車を停める。
背後にそびえる青葉山は地元では「若狭富士」と呼ばれるほど美しい容姿をした死火山で、その昔、唐の僧である威光上人が中国の馬耳山を思い出し、山に登山した際、松の大樹の下で経を唱えると
馬頭観音が現れたという。
そこで708年、ここに寺を建立し、
馬頭観音を祀った。また、松の大樹にちなんで、松尾寺と名づけられたと伝えられている。