第三十一番長命寺からマイカーで南東に向かって走ると、安土城址の向こうに、ふんわりと衣笠のような容をした山、繖(きぬがさ)山が見える。その上に建つのが観音正寺である。
標高362m、寺までの南麓表参道の険しい山道は、西国札所中最大の難所といわれ続けてきたが、近年車道が開通し、寺の手前7,8分のところまで車で行けるようになった。しかし、今でも険しい登山道を約1時間かけて登る人は少なくない。
第三十一番長命寺同様、この寺も聖徳太子ゆかりの寺で、605年聖徳太子がこの近江を訪れたとき、琵琶湖から、生前に無益な殺生を繰り返し人魚の姿に変えられたという者が現れ、往生できるようにと太子に懇願した。そこで太子は
千手観音を刻み、本尊とし、堂塔を建立して、開山したと伝えられている。
その後、応仁の乱で兵火に巻き込まれ、江戸時代になって現在の地に落ち着いたが、鎌倉当時の勢いはなくなっていた。
1882年(明治15年)荒廃した本堂に替えて、彦根城の「欅御殿」(
けやきごてん)を移築、しかし、1993年(平成5年)原因不明の出火で本尊もろとも全焼したが、2004年(平成16年)5月、復興の落慶法要が営まれた。
本尊の
千手観音菩薩は
33年に一度しか開扉されない秘仏で、前回は1987年(昭和62年)
花山法皇が西国観音霊場を復興してちょうど千年目にあたる年に開帳された。
今回の内陣拝観では下の写真のようなお身ぬぐい用の散華を含む数種の記念品をもらい、新しい本尊のお身ぬぐいをさせていただいた。
【駐車場】
参道の途中に車止めのゲートがある。冬の雪深いときなどはここで行き止まりになることがあり、周辺の空き地に車を止めて寺まで約1時間歩くことになるが、通常は寺の手前7,8分のところにある駐車場まで行くことができる。
【駐車料金】 500円(普通車)
400円(軽自動車)
【拝観料】 無料
【内拝料】 300円(解説とお身ぬぐい付き)
第三十一番長命寺からは約15kmと近い。マイカーで長命寺の山をおりて県道を左折、「渡合橋北詰」の交差点を右折、橋を渡って約5kmの「音羽町」交差点を左折。「安土城址前」交差点を過ぎ約1.5kmのJR線の高架がある道を右折、「きぬがさ山トンネル」を越え、最初の信号を右折すると参道に入る。
八日市ICからは、国道8号線を右折、「五箇荘南」交差点を左折、道が右へ大きく曲がりきったあたりを左折し最初の信号を左折すると参道に入る。
車で登れるのは裏参道で、歩いて登るには山の反対側に表参道がある。
滋賀県蒲生郡安土町石寺2