教 推 論 考    

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※ 第2稿以降には リンクをはっています (「第○稿」をクリックしてください)

第1稿   国語科、一人で授業を構想する楽しさ                     曽我正雄   H27. 11 ~
第2稿   激動社会を見据えた学校教育の創造                     中園大三郎   H27 .12~
第3稿   地域の伝統と文化を継承する教育 ーその教育的価値と取り組みの現状ー   筒井由美子   H28. 2~
第4稿   「若い先生方の授業を参観して見えてきた『授業力の基本』」(PDF)     野田悦利    H28. 5~ 
第5稿   トップリーダーとしての「校長の役割」に期待する (PDF)          二澤隆文   H28. 8~
第6稿  体罰再考 - 𠮟責の教育学 (PDF)                       山田 孝   H28. 10.~
第7稿    命を守る教育の大切さ  ~教員をめざす学生たちへ~(PDF)  筒井由美子   H29. 1.~
第8稿    不登校の子ども達に 多様な「学ぶ」機会を (PDF)  森 富士雄    H29. 3~


第1稿- 『 国語科、一人で授業を構想する楽しさ 』
 

  教科書教材を読んでいると、心がわくわくしてくる。この場所で、こういう発問をすれば、子どもはこのようにも
 答えるであろうと思うと、再び、教壇にたってみたくなる。

  1年生の教科書に、「かいがら」という2場面構成の教材がある。1の場面の内容は、くまの子がうさぎの子に、
 「海で貝がらを拾ってきたよ」と言い、「どれが一番好き?」と聞く。
 すると、くまの子が一番好きなしま模様の貝がらが好きだと指差す。くまの子は、二番目に好きな桃色の貝がら
 が好きだと言ってくれれば、それをあげるつもりであった。
  どうしようかと思い、貝がらをそっとしまいうちへ帰る。その夜、くまの子は一生懸命考える。というものである。
 発問をT、子どもの反応をCで表し私の授業構想を書いてみる。

  T くまの子は、どうして、あわててしまわないで、そっとしまったのかな。
  C あわててしまったら、うさぎさんに悪いと思ったから。
  C ぼくも、あの貝がら好きだし、あげてもいいけど。でも、もったいないな、と思ったからです。
    あわててしまってしまうという気にならなくて大事なものだからそっとしまったのです。
  T なるほどね。「そっとしまって、うちへかえりました」とあるね。心の中でどんなことをつぶやいていたかな。
    口々に言ってごらん。
   (あげてしまおうか、いや、やっぱりもったいない。うさぎさんとぼくは一番好きな貝がらが一緒なんだ。等々)
  T 夜、くまの子は、一生懸命考えました、とあるね。どんなことを考えたのか班の4人で考えてごらん。
    さあ、発表していきましょう。1班はどんなことを話し合った。

 2の 場面は、教材文を掲載して、TとCを書く。

  《教材文》

 
 「うさぎの子がくまの子に言いました」までを三回、読ませた後、次の発問をする。
  T つぎの日、くまの子は、しま模様の貝がらを持って、うさぎの子の所へいきました。とあるね。   
    みんなはくまの子に、先生は、うさぎの子になるから、さあ、机のところがくまさんの家です。
    うさぎの子の先生のところまで歩いてきてごらん。表情もつけてね。 
    (児童、あるいてくる)(机と机の間隔をとっておく)
  T どんな顔で歩いて行ったの?
  C にこにこしていた。笑顔
  C 明るい顔やった。
  T どうしてそんな明るい顔で歩けたのかな。
  C 大好きな友達に、一番いいものをあげようと決めたから。気持ち決まっている。
  C うさぎの子もきっと喜ぶとおもったから。
  T うさぎの子が「波の音が聞こえてきそう」と言ってにっこりしました。とあるね。どうして、にっこりしたのかな。
  C くまさんって本当にやさしい、自分の一番好きなものくれたんだから、嬉しい。
  T くまの子も、桃色の貝がらを取り出し、耳に当てました。そして、うさぎの子を見てにっこりしました。とあるね。
    二つの「にっこり」のところから、吹き出しを出して、ふたりの心の中の声を書いてみましょう。
    (あ、ぼくの貝がらからも波の音が…など)

 といったような授業を展開したいと思う。
 子どもの反応を考えると実に愉快である。これからも一人悦に入って教科書を読みたい。
                                                          ( 常務理事 曽我正雄 )

第2稿
   「激動社会を見据えた学校教育の創造」                      

  我が国の現代教育の根幹は、明治期の学校制度公布、そして、昭和22年の学校教育法の制定により定められ、今日に至っている。
 この間、新しい時代にふさわしい教育改革が数次にわたりなされてきたが、今日、人々が経験したことのないグロ―バル化、高度情報
 化、少子高齢化等の進展による急激な社会変化の中にあるため、大幅な教育改革が必須の状況にあり、今、文部科学省では昨今の
 急激な社会変化に対応すべき教育改革を矢継ぎ早に進めている。
  その一部(概要)は次の通りである。
 1、 教育改革の主な例
  〇 新しい学習指導要領・教育課程の改革
   ・ 何ができるようになるか(学習評価の充実)、何を学ぶか(新設科目や目標・内容の見直し)、どのように学ぶか(主体的・協働的
    学び →アクティブラーニングの視点からの授業改善)
  〇 幼児教育無償化、幼保一体化の推進
  〇 小中一貫教育の制度化
   ・ 義務教育学校、小中一貫型小学校・中学校(仮称)
  〇 義務教育(就学義務)の見直し
   ・ 不登校児童・生徒について「個別学習指導計画」の作成と承認、フリースクール等の多様な学習機会を承認
  〇 高大接続の抜本的改革
  〇 「チーム学校」の構築
   ・ 多様な専門人材が適切な役割分担と協働の下で学校運営を行う。
  〇 学校と地域の連携・協働の仕組みの充実
  〇 教員の資質能力の向上
 2、教育改革への学校経営の対応
  〇 最も重要な外部資源、チーム学校、地域とともにある学校(以下省略)

  以上の通り、文部科学省は、従来、経験し得なかった新しい時代を生きる子供達に、学校教育は何を準備しなければならないのか、
 と言った視点から検討した教育改革(案)を次々と発表している。
  このような時、外国より我が国への学校視察が相次いでいることは特筆すべきことであり、教育改革に際して、ぜひ参考にしなけれ
 ばならないと考える。
  外国から来られる学校視察について、大手A新聞社は次のように紹介している。

 「特活」 世界が注目 昨年度、79カ国から視察
  教科の授業以外の特別活動(特活)が、「tokkatsu(トッカツ)」として海外から注目されている。規律正しさや社会性の育て方を日本
 に学ぼうと、各国の教育関係者が相次いで視察に訪れている。
  文部科学省は、特活を含めた日本の教育の「輸出」を準備中だ。
      ― 中 略 ―
  視察したエジプトの元高等教育大臣でカイロ大教授のハニー・ヒラールさんは、「特活では自分たちで考えて行動する力を育てられる。
 より良い教育のためには日本の特活が必要だ」と話す。
     ― 中 略 ―
  特活など日本型教育の視察に来る海外の教育関係者は年々増え、平成12年度は43カ国、172人だったが、26年度は79カ国、
 617人に上った。JICAの広報担当者は「特活への注目度が高まったことが背景にある。日本人の礼儀正しさなどを育てるものだと
 受止められているようだ」と話す。         (A新聞 夕刊(東京版) 平成27年10月24日より)

  従来、我が国の教育が国際的に注目されてきたのは、いわゆる「授業研究」であった。ところが、それだけではく、人間形成に関わる
 領域に焦点を当てる「特別活動」等も諸外国で注目されるようになってきた。つまり、外国においては、「知育」に「徳育・体育」等の調和
 を図っている我が国の学校教育を注目しており、日本の教育関係者としては快報である。
  したがって我が国の先人が築き上げてきた教育理念や調和のとれた教育内容を大事にしながら、これからの教育改革を進めなけれ
 ばならない、と提言するところである。
  今後の学校教育では、「外の風」を積極的に取り入れ、世の中と結び付いた授業の創造や人間関係形成能力等を重視し、子供達に
 これからの人生を前向きに考えさせることが、主体的な学びの鍵となるであろう。
  新教育課程の実施については、幼稚園は平成30年度、小学校は平成32年度(東京オリンピックの年)、あと、中学校と高等学校が
 順次予定されているが、以上の視点がぶれないように、文部科学省の関係者には十分な論点整理の上、学習指導要領の改訂を行っ
 ていただくことを期待している。
                                                                 ( 常務理事 中園大三郎 )

 -第3稿-
    地域の伝統と文化を継承する教育
                 ―その教育的価値と取り組みの現状―

 近年「地方再生」「地方創生」「地域活性」などの言葉がよく聞かれる。
  これは行過ぎた中央集権と一極集中に対し、「地方文化」「伝統文化」「伝統技術」などの衰退や喪失を防ぎ、回復をめざ
 そうとする動きと言える。

  改訂された教育基本法(平成18)には『伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、
 他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと』とある。

   今なぜ、次代を担う子どもたちの教育において、伝統や文化に関する教育の充実が必要なのかを考えてみる。
  国際社会で活躍する人間の育成を図る上で、自らの国や郷土の伝統や文化についての理解を深め尊重する態度を身に付けて
 こそ、グローバル社会の中で自分とは異なる文化や歴史に敬意を払いこれらに立脚する人々と共存することができるからで
 ある。

   小学校教育においても、地域文化や伝統に対する誇りと愛情を育もうとする取り組みが増えてきている。例えば、中学年社
 会科では、地域の学習を通して地域の一員としての自覚をもち地域の生活の向上について考えることを主なねらいとしている。

  「伝統の継承」として、長い歴史を通じて培われ受け継がれてきた風俗・習慣・芸術、例えば季節行事・伝統芸能・伝統産業・
 伝承遊びといったことなどを体験的に学ばせ、次代に引き継ごうとしている。地域に継承されている文化や行事などには地域の
 発展やまとまりなどへの人々の願いが込められており、人々の生き方にふれることができる。
  
また、地域の生活の移り変わりを取り上げることで、過去の先人の働きや苦心が現在の地域の生活向上に大きな影響を及ぼし
 たことに気づかせ地域社会に対する誇りと愛情を育み、人間としての生き方に目を向けさせることができる。
  
ところが、教員をめざす学生に小学校の授業を思い出させて自分の地域のどのようなことを学習したか? 地域のどのような
 人物について学習したのか? と質問してもはっきり答えられる学生は少ない。

  何が原因でこのような状況になっているのだろうか。
  まず、中学年の社会科指導の課題として教員からは次のような声が聞かれる。
    ・教科書
事例と指導する地域が違うため授業が難しい
    ・地域素材を開発しても教材化が容
易でない
    ・地域の様子や特徴が十分把握できないで困っている
    ・新
任教員が3・4年生担任になるケ-スも多い
  
学習指導要領で3・4年の地域学習に焦点あてているにもかかわらず、社会科教科書は全国的レベルで編集されているため、小学校
 中学年の身近な地域を学習するための内容や活用資料としては完全にサポートできていないといえる。
 そこで、都道府県や 市町村においては、地域ごとに副読本を作成し、地域学習に活用している。

                     

   大阪市においては副読本「私たちの大阪3・4年」が使用されている。
  この中では、大阪市の歴史や暮らしの移り変わり、文化、行事、先人のはたらき
などがふんだんに盛り込まれている。「水の都」から「水都大阪」に再生された様
子、あべのハルカスからまち全体を観察する事例、にぎわう商店街の工夫などの内
容が具体的であり身近に感じられるものになっている。
 羽曳野市の副読本
わたしたちの はびきのにおいては、広がる古墳群の様子や、
重要文化財の吉村家住宅などについて詳しく書かれている。また、近くに石川・大
和川が流れていることから「大和川のつけかえ」については20ページを使って記述し
てあり、土地の特徴や先人のはたらきについて深く考えさせるよう工夫されている。

   大阪府で使われている地域副読本例
 
   他の市町村の副読本においても同様に、地域の特色・文化・伝統・行事・産業・歴史などが詳しくとりあげられている。
 具体的な授業においては、副読本をもとにしながら可能な限り見学に行ったり、体験したり、当時の地図や道具を見たり、ゲストティ-チャーから
 お話を聞いたりする活動を組み入れることで、身近な地域についての興味関心や学びを深めることができるようになっている。
 
  今後さらに、地域副読本を充実させると共に、各学校の授業記録を積み重ねたり、各市町村の教育研究会をもとに指導例を集約したりして、
 学習カリキュラムや単元構成の工夫をすすめ、「地域を愛し、地域を理解し、地域について指導できる」教員の育成が重要である。これが教育に
 おける『伝統と文化の継承』の大きな原動力になると考える。                                             

       
     ( 常務理事 筒井由美子 )



第4稿 「若い先生方の授業を参観して見えてきた『授業力の基本』」 (PDF)