ボントクタデ(タデ科イヌタデ属) 凡篤蓼
ボントクタデ(タデ科イヌタデ属) 凡篤蓼 方言名 ボンツグタデ ボンクラタデ
本州から沖縄にかけて分布し湿地を好む多年草。草丈50cm〜80cmで花期は、9月から10月
にかけて紐状花序を付け淡紅色の小さな花をまばらに付ける。花被は5裂し花柱は3裂、8個の
雄しべを持ち花後は紅色が濃くなる。葉は互生し長さ5cm〜10cm、幅1.5cm〜2cmで披針形
〜広披針形、先は鋭く尖り、葉の両面には毛が多く中央部に八の字形の黒い斑紋がある。茎は、
赤色を帯びて上向きの伏毛が多い。
ボントクは、ボンツクの方言で広辞苑には、ボンツクとは「まぬけ、ぼんやり、ぼんたろう」と
あります。
イヌタデと同義で役に立たない蓼を意味しています。ヤナギタデに良く似ていますが辛みが無く
役に立たない蓼としてこの名前が付けられています。ボントクタデも一応食用として利用されて
おり、口に入れ噛んでも辛みはありませんが、不味くもなく違和感の無い味をしています。ボン
トクについて牧野富太郎博士は、岡山県で開催された植物採集会で地元の人の話しとして「ボン
トクタデとはどういふ意味か」の随筆を残されています。「以前備中で植物採集会があって、私
は集つた会員を指導しつつ野外の地を歩いた。(中略)この蓼をボントクタデと会員に教へた。
ところが会員がしきりにクスクス笑ふので不審に思ひ、その訳を聴きだしてみたところ、会員の
一人が言うには、この辺ではボンツクのことをボントクといふのだと答えた。
私はははあ成るほどとこれを聴き、初めてボントクの意味が判り大いに啓発せられたことを悦ん
だ。(中略)この蓼は一向に辛くないので馬鹿タデ即ちボンツクタデの意で、それでボントクタ
デだといふことが始めてこの会のとき明瞭となつた訳だ」と喜ばれた様子が記載されています。
(土佐の自然ギャラリー集より)
ボントクタデの命名者は、イヌタデの「役に立たない」という同義語としてボントクという方言
名をあてたようです。