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ヒカゲノカズラ(ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属)日陰蔓 石松(せきしょう) 日影 日蔭 玉日蔭 玉蘿 

蘿(かげ) 玉陰 日陰草 山蔓陰(やまかずらかげ)  別名 下苔 山鬘 狐襷 狐尾枷 狐尻尾 猿首

巻 天狗襷 神襷 兎襷 山女老襷 おほかめぐさ ししのねば やまま

広義のシダ植物でヒカゲノカズラ植物門に属する多年草。北海道から九州にかけて日当りの良い山麓に

分布する。

主茎は細長く地表を這い所々に根を下ろす。夏に茎の所々から垂直に立ち上がり枝を出し先端に胞子嚢

穂を付ける。この胞子のことを石松子と呼ぶ。和名の由来は、「日陰葛」の陰地に生じる蔓植物を意味す

る説と「日影葛」の光の存在を表す影から日に向かう植物とした相反する説があるようです。神代の昔か

ら縁の深かった日陰の葛。天の岩屋戸伝説に「天の香具山の天の日影を手次(タスキ)にかけて・・・」こ

の日影がヒカゲノカズラと言われています。天宇受売命(あめのうずめのみこと)がヒカゲノカズラをたすき

にかけて天の岩戸の前で踊り天照大御神(あまてらすおおみかみ)を天の岩戸から誘い出した伝説です。

宮中の行事である大嘗祭・新嘗祭の冠につける飾り付けにもかってはヒカゲノカズラが使われていて神事

にも数多く登場します。刈り取っても長期にわたり常緑を保ち長い物で2mにもなるヒカゲノカズラは、常緑

で清浄なものとして若返りの象徴、豊穣を祈る儀式など目出たい席には欠かせないものだったようです。


万葉集にもヒカゲ(日陰)・ヤマカヅラカゲ(夜麻可都良加気)・ヤマカヅラとして登場します。

「あしひきの山かづらかげ真柴(ましば)にも得がたき蘿(かげ)を置きや枯らさむ」巻十四・三

五七三得がたき蘿(かげ)とあるように古くから手に入り難い貴重な植物であったようです。ヒカゲノカズラ

の胞子は石松子(せきしょうし)と呼ばれ、果実の人工授粉の際吸湿性がない利点を生かした花粉の増量

剤としても利用されています。又、近年では、花粉の類似物質として花粉症に用いるマスクの性能試験に

も用いられています。他にも丸薬の衣としたり傷口の保護に用いたりと幅広く活用されて来た植物と言え

ます。
                                                   本館裏斜面にて
ヒカゲノカズラ(ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属)日蔭蔓